社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

予告手当の支払方法①(昭23.8.18基収2520号)

【予告手当の支払方法①】(昭23.8.18基収2520号) 問 労働基準法第20条第1項後段の解雇予告手当は、退職手当とその内容は類似するものの、過去の労働と関連が薄く、むしろ労働者の予測しない収入の中絶を保護するもので、労働の対償となる賃金とは考えら…

予告手当の支払期間(昭23.3.17基発464号)

【予告手当の支払期間】(昭23.3.17基発464号) 問 労働基準法第20条第1項の即時解雇の場合における30日の平均賃金の支払期間については、解雇と同時に即時に支払うべきものと解せられるが、右について労働基準法第23条第1項の期間(請求後7日間)…

民法627条との関係(昭和23.7.20基収2483号)

【民法627条との関係】(昭和23.7.20基収2483号) 問 労働基準法第20条第1項の規定は民法第627条第2項の規定は排除しないか。答 民法627条第2項の規定による予告の日数が30日に満たない場合には、同条第2項の規定は排除される。 (期間の定…

予告なしに解雇した場合の休業手当(昭24.7.27基収1701号)

【予告なしに解雇した場合の休業手当】(昭24.7.27基収1701号) 問 使用者の法に対する無関心の為に予告することなく労働者を解雇した。労働者は当該解雇を有効であると思い離職後相当日数を経過し他事業場に勤務し、このような事例の場合は労働基準法第20…

予告期間及び予告手当の支払いなき解雇(昭24.5.13基収1483号)

【予告期間及び予告手当の支払いなき解雇】(昭24.5.13基収1483号) 労働基準法第20条による法定の予告期間を設けず、また法定の予告に代わる平均賃金を設けず、支払わないで行った即時解雇の通知は即時解雇としては無効であるが、使用者が解雇する意思が…

解雇の予告とその取消し(昭25.9.21基収2824号、昭33.2.13基発90号)

問1 解雇予告を受けた労働者が他の職場と雇用契約を行うことができるのは、その予告期間が満了した後であるか、又は他の職場で勤務を開始するのが予告期間満了後であるとすれば予告期間中に他の職場と雇用契約を行うことができるか。答1 解雇の予告を受け…

B金融金庫(B型肝炎ウイルス感染検査)事件(東京地判平成15.6.20労判854号5頁)

1.事件の概要 当時大学生のXは、金融機関であるY社の平成9年度採用選考に応募した。Xは、同年5月12日から同月31日にかけて順次行われた応募者面接(支店社員)、1次面接(支店長)、2次面接(人事部職員)、3次面接(人事部次長ら)、4次面接…

予告と同時に休業した場合の解雇(昭24.12.27基収1224号)

【予告と同時に休業した場合の解雇】(昭24.12.27基収1224号)問 ○○会社において解雇の予告と同時に労働者に休業を命じ、予告期間中労働基準法26条に規定する休業手当を支給し、予告期間満了とともに解雇しようとした事件があるが、本件に関し次の諸点につ…

30日以上前の予告と予告期限到来後の解雇(昭24.6.18基発1926号)

【30日以上前の予告と予告期限到来後の解雇】(昭24.6.18基発1926号)問 労働者の解雇に際して、30日以上前に予告(例えば38日前)した場合、その予告は労働基準法第20条にいう「少なくとも30日前」の字句に該当するか。 また、30日前に予告はし…

断続労働と通常の労働が混在・反覆する勤務(昭63.3.14基発150号)

【断続労働と通常の労働が混在・反覆する勤務】(昭63.3.14基発150号)労働基準法第41条第3号の許可を受けた者については、労働時間、休憩及び休日に関する規定がすべて除外されるものであるから、その勤務の全労働を一体としてとらえ、常態として断続的…

断続的労働に従事する者(昭22.9.13発基17号、昭23.4.5基発535号、昭63.3.14基発150号)

【断続的労働に従事する者】(昭22.9.13発基17号、昭23.4.5基発535号、昭63.3.14基発150号)断続的労働に従事する者とは、休憩時間は少ないが手持時間が多い者の意であり、その許可は概ね次の基準によって取り扱うこと。(1) 修繕係等通常は業務閑散である…

監視に従事する者(昭和22.9.13発基17号、昭和63.3.14基発150号)

【監視に従事する者】(昭和22.9.13発基17号、昭和63.3.14基発150号)監視に従事する者は、原則として、一定部署にあって監視するのを本来の業務とし、常態として身体又は精神的緊張の少ないものについて許可すること。したがって、次のようなものは許可しな…

機密の事務を取り扱う者(昭22.9.13発基17号)

【機密の事務を取り扱う者】(昭22.9.13発基17号)機密の事務を取り扱う者とは、秘書その他職務が経営者又は監督もしくは管理の地位に在る者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者であること。

多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化を図るための周知等に当たって留意すべき事項について(平20.10.3基監発1003001号)

【多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化を図るための周知等に当たって留意すべき事項について】(平20.10.3基監発1003001号)標記については、平成20年9月9日付け基発第0909001号「多店舗展開する小売業、飲食業等の店…

多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について(平20.9.9基発0909001号)

【多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について】(平20.9.9基発0909001号)小売業、飲食業等において、いわゆるチェーン店の形態により相当数の店舗を展開して事業活動を行う企業における比較的小規模の店舗においては、…

安全管理者、衛生管理者と管理監督者(昭和23.12.3基収3271号)

【安全管理者、衛生管理者と管理監督者】(昭和23.12.3基収3271号)問 労働安全衛生法に定める安全管理者、衛生管理者等は労働管理の権利と義務を有し、かつ使用者系統に属するものであるので、当然労働基準法41条第2号に該当するものと解するがどうか?答…

監督又は管理の地位にある者の範囲(昭22.9.13発基17号、昭63.3.14基発150号)

【監督又は管理の地位にある者の範囲】(昭22.9.13発基17号、昭63.3.14基発150号)労働基準法41条第2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の…

三和機材事件(東京地判平成7.12.25労判689号31頁)

三和機材事件(東京地判平成7.12.25労判689号31頁) 1.事件の概要 Y会社は、倒産し、裁判所で認可された和解条件を履行中に、会社の営業部門を分離してA会社を設立し、当該部門の従業員全員を転籍させることとした。しかし、労働組合の書記長であったX…

古河電気工業・原子燃料工業事件(最二小判昭和60.4.5民集39巻3号675頁)

古河電気工業・原子燃料工業事件(最二小判昭和60.4.5民集39巻3号675頁) 1.事件の概要 Y1会社は、同社の原子燃料部門を独立させ、訴外A社の同種部門と合併した新会社Y2を設立した。Y2会社としては、当座の操業に支障を生じさせないようにするため…

朽木合同輸送事件(名古屋地判昭和56.12.25労判380号43頁、名古屋高判昭和62.4.27労判498号36頁)

朽木合同輸送事件(名古屋地判昭和56.12.25労判380号43頁、名古屋高判昭和62.4.27労判498号36頁) 1.事件の概要 Xは、A海運会社に雇用されて艀船員として勤務していたが、その後Y会社に在籍出向し、Y社の指揮監督の下で労働に従事していた。Xは、名古…

ゴールド・マリタイム事件(大阪高判平成2.7.26労判572号114頁)

ゴールド・マリタイム事件(大阪高判平成2.7.26労判572号114頁) 1.事件の概要 XはY社の管理責任者の地位にあったが、Y社は、Xがしばしば無断早退や職場離反があり管理者としての責任を全うしないとして、懲戒解雇処分に処した。しかし、この解雇につ…

新日本製鐵(日鐵運輸)事件(最二小判平成15.4.18労判847号14頁)

新日本製鐵(日鐵運輸)事件(最二小判平成15.4.18労判847号14頁) 1.事件の概要 Xらは、製鉄業を営むY社の従業員であって、製鉄所の鉄道輸送部門の職務に従事しており、また従業員で組織するA労働組合の組合員であった。Y社の就業規則には、「会社は…

興和事件(名古屋地判昭和55.3.26労判342号61頁)

興和事件(名古屋地判昭和55.3.26労判342号61頁) 1.事件の概要 Y社は、20数社の関連会社が形成している通称「コーワ・グループ」の中核3社の一つであり、これらの本店は同一の場所にあり、その業務は実質的に一体として行われている。また就業規則をは…

日立電子事件(東京地判昭和41.3.31労民集17巻2号368頁)

日立電子事件(東京地判昭和41.3.31労民集17巻2号368頁) 1.事件の概要 XはY社に技術者として雇用されていたとこと、福岡市にある同系列A社の九州営業所に出向させる旨の内示を受けた。そこで、Xは、同命令が不当労働行為に当たるとして、地位保全仮処…

民法改正により賃金等請求権の消滅時効はどうなるか?

2020年4月民法改正による労働法への意外な影響2020年4月から施行される改正民法では、短期消滅時効についての規定がすべて無くなります。 労働者の賃金債権の短期消滅時効については、民法では1年と定められていますが(現行民法174条1号)、労働基準法で…

フジ興産事件(最二小判平成15.10.10労判861号5頁)

フジ興産事件(最二小判平成15.10.10労判861号5頁) 1.事件の概要 訴外A社は、化学プラントなどの設計・施工を目的とする会社であり、平成4年に本社以外に「センター」を開設し、Xは設計業務に従事していた。Yらは、A社の代表者である。A社は、同6…

第四銀行事件(最二小判平成9.2.28民集51巻2号705頁)

第四銀行事件(最二小判平成9.2.28民集51巻2号705頁) 1.事件の概要 Y銀行の改定前就業規則では、定年は55歳とされていたが、「但し、願出により引続き在職を必要と認めた者については3年間を限度として」在職が認められており、男性の93%が55歳…

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について(H31.1.30基発0130第1号・H31.1.30職発0130第6号・H31.1.30雇均発0130第1号・H31.1.30開発0130第1号)

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について(H31.1.30基発0130第1号・H31.1.30職発0130第6号・H31.1.30雇均発0130第1号・H31.1.30開発0130第1号) 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施…

【2019年4月施行】年次有給休暇の取得義務化が始まりました!!

2019年4月より施行された年次有給休暇の取得義務の開始についてわかりやすくまとめました働き方改革の一環として、2019年4月から年次有給休暇を5日以上の取得させることが企業に義務付けられることになり、企業は対象となる労働者に対し時季を指定し…

みちのく銀行事件(最一小判平成12.9.7民集54巻7号2075頁)

みちのく銀行事件(最一小判平成12.9.7民集54巻7号2075頁) 1.事件の概要 60歳定年制を採用していたY銀行において、行員の高齢化、経営の低迷等の事情から、従業員の73%を組織する労働組合の同意を得て、昭和61年に「専任職」という職階を導入し、…