社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



短時間労働者に対する健康保険 ・厚生年金保険の適用拡大 Q&A集(令和4年10月施行分)

バナー
Kindle版「年金復活プラン」がよくわかる本
定価:300円で好評発売中!!


にほんブログ村
続き

短時間労働者に対する健康保険 ・厚生年金保険の適用拡大 Q&A集(令和4年10月施行分)

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220322T0040.pdf


1.被保険者資格の取得要件(総論)

問1 なぜ被用者保険の適用拡大を進める必要があるのか。

(答)政府においては、これまでも法律改正を通じて、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大(以下「適用拡大」という。)の取組を進めてきており、その意義については、以下の点があるとされています。
①被用者でありながら国民年金国民健康保険加入となっている者に対して、被用者による支えあいの仕組みである厚生年金保険や健康保険による保障を確保することで、被用者にふさわしい保障を実現すること。
②労働者の働き方や企業による雇い方の選択において、社会保険制度における取扱いによって選択を歪められたり、不公平を生じたりすることがないようにすること等により、働き方や雇用の選択を歪めない制度を構築すること。
③適用拡大によって厚生年金保険の適用対象となった者が、定額の基礎年金に加えて報酬比例給付による保障を受けられるようになること等を通じて、社会保障の機能を強化すること。

問2 被用者保険の適用拡大の実施により、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の被保険者資格の取得要件はどのようになるのか。

(答)<令和4年9月30日までの取扱い>
短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大(以下「適用拡大」という。)が平成28年10月1日より実施されたことにより、「1週の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」が、同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」という。)である労働者については、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。
4分の3基準を満たさない場合であっても、以下の①から⑤までの5つの要件を満たす短時間労働者については、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。
①1週の所定労働時間が20時間以上であること。
②雇用期間が継続して1年以上見込まれること。
③月額賃金が8.8万円以上であること。
④学生でないこと。
⑤以下のいずれかの適用事業所に使用されていること
(ⅰ)公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号。以下「年金機能強化法」という。)附則第17条第12項及び第46条第12項に規定する特定適用事業所(以下「特定適用事業所」という。)
(ⅱ)労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)※平成29年4月より追加
(ⅲ)国又は地方公共団体の適用事業所

<令和4年10月1日以降の取扱い>
今般、適用拡大について見直しが図られ、令和4年10月1日(以下「施行日」という。)より人数要件の見直し及び雇用期間要件が廃止されることに伴い、4分の3基準を満たさない短期労働者のうち、次の①から④までの4つの要件(以下「4要件」という。)を満たす場合は、新たに厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。
①1週の所定労働時間が20時間以上であること。
②月額賃金が8.8万円以上であること。
③学生でないこと。
④以下のいずれかの適用事業所に使用されていること
(ⅰ)特定適用事業所(※)
(ⅱ)労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)
(ⅲ)国又は地方公共団体の適用事業所
(※)特定適用事業所における、いわゆる企業規模要件については、令和4年10月1日から、特定労働者の総数が常時500人を超える企業から、常時100人を超える企業に引き下げられることになる。なお、令和6年10月1日からは、さらに常時50人を超える企業にまで拡大される予定です。

問3 4分の3基準を満たさない短時間労働者は、4要件のうちいずれか1つの要件を満たせば被保険者資格を取得するのか。

(答)4分の3基準を満たさない短時間労働者は、4要件全てを満たした場合に被保険者資格を取得します。

問4 今回の改正により、年金が在職支給停止となる可能性がある70歳以上の労働者に該当するか否かの基準についても、影響が及ぶのか。

(答)施行日以降は、被保険者資格の取得要件と同様に、4分の3基準又は4要件を満たした場合に、70歳以上の使用される者に該当することとなります。

問5 4分の3要件を満たさない短時間労働者として被保険者資格を取得したが、雇用契約の変更等で正社員等の一般被保険者として適用要件を満たすこととなった場合、どのような手続が必要になってくるか。

(答)事業主は、被保険者に係る短時間労働者であるかないかの区別に変更があったときは、当該事実が発生した日から5日以内に、「健康保険・厚生年金保険被保険者区分変更届/厚生年金保険70歳以上被用者区分変更届」を日本年金機構(以下「機構」という。)の事務センター(又は年金事務所)(以下「事務センター等」という)に届け出る必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。

2.特定適用事業所

問6 使用する被保険者の総数が常時100人を超えるか否かの判定は、適用事業所ごとに行うのか。

(答)使用する被保険者の総数が常時100人を超えるか否かの判定は企業ごとに行いますが、具体的には以下のいずれかの考え方で判定します。
①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超えるか否かによって判定します。
②個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超えるか否かによって判定します。

問7 「被保険者の総数が常時100人を超える」において、被保険者はどのような者を指すのか。今回の適用拡大の対象となる短時間労働者も含むのか。70歳以上で健康保険のみ加入している被保険者は対象に含めるのか。

(答)特定適用事業所に該当するか判断する際の被保険者とは、適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数になります。そのため、今回の適用拡大の対象となる短時間労働者や70歳以上で健康保険のみ加入しているような方は対象に含めません。

問8 「被保険者の総数が常時100人を超える」とは、どのような状態を指すのか。どの時点で常時100人を超えると判断することになるのか。

(答)「被保険者の総数が常時100人を超える」とは、①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上100人を超えることが見込まれる場合を指します。②個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上100人を超えることが見込まれる場合を指します。

問9 特定適用事業所に該当した適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。(答)特定適用事業所に該当した場合は、

①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所を代表する本店又は主たる事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。
②個人事業所の場合は、各適用事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。
なお、適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、法人事業所であっても個人事業所であっても、各適用事業所がその者に係る被保険者資格取得届を事務センター等へ届け出る必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者資格取得届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。

問10 施行日から特定適用事業所に該当する適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。

(答)令和3年10月から令和4年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6か月以上100人を超えたことが確認できる場合は、機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当通知書」を送付するため、特定適用事業所該当届の届出は不要です(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対して通知書を送付します。)。
ただし、適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、各適用事業所がその者に係る被保険者資格取得届を事務センター等へ届け出る必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者資格取得届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。

問11 施行日から特定適用事業所に該当する適用事業所や該当する可能性がある適用事業所に対して、あらかじめ機構から何らかのお知らせは送付されてくるか。

(答)<特定適用事業所該当事前のお知らせ>令和3年10月から令和4年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6か月以上100人を超えたことが確認できる場合は、同年8月頃に対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当事前のお知らせ」を送付し、同年10月頃に「特定適用事業所該当通知書」を送付します(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対してお知らせを送付します。)。
<特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ>
令和4年8月に、令和3年10月から令和4年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が5か月100人を超えたことが確認できる場合(同年9月までに1か月以上100人を超えると特定適用事業所に該当する場合)は、同年8月頃に対象の適用事業所に対して事前勧奨状として「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」を送付します(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対してお知らせを送付します。)。
また、令和4年9月にも同様の確認を行い、直近11か月(令和3年10月から令和4年8月)で5か月100人を超えることが確認できる場合は、同年9月頃に同通知を送付します。※機構から送付するお知らせについては別紙もご参照ください。

問12 施行日以降、特定適用事業所に該当する可能性のある適用事業所に対して、あらかじめ機構から何らかのお知らせは送付されてくるか。

(答)施行日以降は、機構において、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が直近11か月のうち、5か月100人を超えたことが確認できた場合(5か月目の翌月も被保険者数が100人を超えると特定適用事業所に該当する場合)は、対象の適用事業所に対して、「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」を送付します(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対してお知らせを送付します。)。
※機構から送付するお知らせについては別紙もご参照ください。

問13 「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が送付され、5か月目の翌月も被保険者の総数が100人を超えたため特定適用事業所に該当したにもかかわらず、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出なかった場合はどうなるか。

(答)施行日以降は、特定適用事業所に該当したにもかかわらず、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出なかった場合は、機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当通知書」を送付します(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対して通知書を送付します。)。

問14 機構において使用される被保険者の総数が直近12か月のうち、6か月以上100人を超えたことが確認できなかった場合でも、事業主が特定適用事業所に該当すると判断した場合は、特定適用事業所該当届を年金事務所に届け出ることはできるか。

(答)事業主が特定適用事業所に該当すると判断した場合は、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出る必要があります。

問15 使用される被保険者の総数が常時100人を超えなくなった場合、どのように取り扱われるか。

(答)使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超えなくなった場合であっても、引き続き特定適用事業所であるものとして取り扱われます。
ただし、使用される被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類を添えて、事務センター等へ特定適用事業所不該当届を届け出た場合は、対象の適用事業所は特定適用事業所に該当しなくなったものとして扱われることとなります(法人事業所の場合は、特定適用事業所該当届の届出方法と同様に、同一の法人番号を有する全ての適用事業所を代表する本店又は主たる事業所が取りまとめ、事務センター等へ特定適用事業所不該当届を届け出ることになります。また、健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所不該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。
このとき、短時間労働者に係る被保険者がいる場合は、併せて資格喪失届の提出が必要となります(健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者資格喪失届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。

なお、届出による特定適用事務所の不該当年月日及び短時間労働者に係る被保険者の資格喪失年月日は受理日の翌日となります。

問 16不該当届は、100人を超えなくなったら直ちに提出可能なのか。被保険者の4分の3以上の同意を得てとあるが、70歳以上の被用者は含まれるのか。

(答)不該当届は、被保険者の総数が100人以下となった日以後であれば、その総数が常時100人を超えなくなった時点で提出可能となります(常時100人超の判断については問8参照。実際に100人以下となった月が、直近1年のうち6ヶ月以上となることを待つ必要はありません)。
なお、被保険者の不利益を生ずる手続きが事業主の一方的意思によって行われることを防止するため、届出の提出時には労使の合意が必要となります。
特定適用事業所の不該当の届出に必要な同意は、次のとおりです。
①同意対象者(厚生年金保険の被保険者、70歳以上被用者(※)、短時間労働者)の4分の3以上で組織する労働組合がある場合は、当該労働組合の同意
(※)過去に厚生年金保険の加入期間を有する方であって、仮に70歳未満であれば、厚生年金保険の被保険者要件(短時間労働者においては3要件)を満たすような働き方をしている方に限ります。
②①に掲げる労働組合がない場合は、次のいずれか
・同意対象者の4分の3以上を代表する者の同意
・同意対象者の4分の3以上の同意

問17 「施行日に特定適用事業所に該当する旨のお知らせ」や「特定適用事業所該当通知書」が送付されてきたが、施行日前に、被保険者の総数が100人を超えなくなった場合、特定適用事業所に該当したことを取り消すことはできるか。

(答)特定適用事業所不該当届を、事務センター等へ届け出ることにより、特定適用事業所に該当したことを取り消すことができます。

問18 「常時100人を超える」と見込んで特定適用事業所該当届を提出し適用された後、実際には常時100人を超えなかった場合は遡及取消となるのか。

(答)遡及取消にはなりません。また、特定適用事業所を不該当とする場合は、通常の手続きと同様に労使の合意が必要となります。

3.任意特定適用事業所

問19 被保険者の総数が常時100人を超えない企業は、適用拡大の対象外となるのか。

(答)100人以下の企業であっても、労使合意(働いている方々の2分の1以上と事業主の方が厚生年金保険・健康保険に加入することについて合意すること)がなされれば、年金事務所に申出を行っていただくことで「任意特定適用事業所」となり、次の要件(以下「3要件という。」)を全て満たす短時間労働者の方は、企業単位で厚生年金保険・健康保険に加入できます。
①1週の所定労働時間が20時間以上であること。
②月額賃金が8.8万円以上であること。
③学生でないこと。

問20 任意特定適用事業所の労使合意に必要となる「働いている方々の2分の1以上の同意」とは具体的にどのようなものか。

(答)同意の対象となる「働いている方々(以下「同意対象者」という。)」は、以下の方々となります。
・厚生年金保険の被保険者
・70歳以上被用者
・3要件を満たす短時間労働者
これらの方々の過半数で組織する労働組合がある場合は、その労働組合の同意が必要になります。また、同意対象者の過半数で組織する労働組合がない場合は、
・同意対象者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)の同意
・同意対象者の2分の1以上の同意のいずれかが必要になります。
なお、週の所定労働時間が20時間未満の方など厚生年金保険の被保険者となり得ない方は、今回の労使合意による適用拡大の同意対象者には含まれませんが、たとえば労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)などでは、同意対象者に含まれているなど、異なる点がありますので、ご注意ください。

問21 事業主の合意は必要か。

(答)労使合意に基づく適用拡大は、労働者と事業主双方が了承の上で行われるものです。そのため、申出は、双方了承の上で、事業主の方から行っていただく必要があります。なお、法人の会社において、代表取締役など事業主である方が厚生年金保険の被保険者である場合は、当該事業主の方は、事業主としての立場のほか、厚生年金保険の被保険者として、労働者側の同意対象者にもなります。

問22 短時間労働者が1名でも社会保険の加入を希望した場合、合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか。

(答)
【事業主側が希望を把握した場合】
事業主において、短時間労働者の方から、直接、相談を受ける等により、短時間労働者の方が社会保険の加入を希望していることを把握した場合は、労働組合過半数代表者の方に対して、すみやかに情報提供を行い、改正法の趣旨を踏まえ、社会保険の適用に向けて、労使の協議が適切に行われるための環境の整備に努めるようにしてください。

労働組合等が希望を把握した場合】
短時間労働者の方は、社会保険の加入を希望する場合に、労働組合過半数代表者の方などに、相談することが考えられます。労働組合過半数代表者の方などは、こうした短時間労働者の意向や改正法の趣旨を踏まえた上で、社会保険の適用に向けて、労使の協議が適切に行われるよう努めてください。

(参考)改正法の趣旨働く方々の年金や医療の給付を充実させ、安心して就労できる基盤を整備することは、雇用に伴う事業主の責務であるとともに、結果として働く方々の健康の保持や労働生産性の増進につながりうるものであるため、社会保険の加入は事業主の方にもメリットがあると考えられます。
さらに、短時間労働者への社会保険の適用が、企業の魅力を向上させ、より長く働いてくれるような人材の確保に効果的と考えられます。
事業主の方におかれましては、こうした改正法の趣旨を踏まえ、短時間労働者の方の社会保険の加入について、ご検討いただくようお願いします。

問23 同意対象者から選ばれる過半数代表者になるための要件はあるのか。

(答)以下の①・②のいずれにも該当することが必要です。
労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと
過半数代表者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手、持ち回り決議等の方法により選出された者であること

※上記①は、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある方をいい、役職名だけでなく、その職務内容、責任と権限、勤務様態等の実態によって判断してください。
※上記①に該当する者がいない場合は、過半数代表者は②に該当する者とします。
なお、事業主は、過半数代表者であることや、過半数代表者になろうとしたこと等を理由として、労働者に対して不利益な取扱いをしないようにしなければいけません。

(参考)労働基準法(昭和22年法律第49号)
第四十一条この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
二事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

問24 労働者の同意や事業主の申出は企業単位と事業所単位のどちらで行うのか。

(答)法人事業所であれば企業単位(法人単位)で、個人事業所であれば適用事業所単位となります。

問25 労働者の同意書に有効期間はあるのか。事務センター等への申出は、同意があった日からいつまでに行う必要があるのか。

(答)同意書に一律の有効期間はありませんが、事務センター等が申出を受理した日が資格取得日となりますので、どの時点から短時間労働者の方への社会保険の適用を開始するか等、労働者と事業主で話し合われた内容を考慮した上で、適切に同意の取得や申出を行っていただく必要があります。

問26 申出が受理された後に、過半数代表者が退職した場合や同意した者が過半数割れした場合など、改めて同意を取り直す必要はあるか。

(答)既に受理された申出は有効ですので、取り直しの必要はありません。

問27 一度申出が受理されれば、社会保険に加入し続けることができるのか。

(答)その通りです。ただしその後の事情変更により、厚生年金保険の被保険者及び70歳以上被用者(以下「4分の3以上同意対象者」といいます。)の4分の3以上の同意(※1)を得て、事業主が管轄の年金事務所等に社会保険から脱退する旨の申出を行い、受理された場合には、受理された日の翌日に、短時間労働者の方の社会保険の資格が喪失することになります(※2)。
(※1)「4分の3以上同意対象者」の4分の3以上で組織する労働組合がある場合は、その労働組合の同意が必要になります。労働組合がない場合は、
・「4分の3以上同意対象者」の4分の3以上を代表する者の同意
・「4分の3以上同意対象者」の4分の3以上の同意のいずれかの同意が必要になります。(※2)労使合意に基づき適用拡大の申出を行った事業所が、その後、特定適用事業所(厚生年金保険の被保険者数が常時101人以上であること)に該当した場合には、特定適用事業所でいる間は、労使合意によって社会保険から脱退することはありません。

4.1週間の所定労働時間が20時間以上

問28 1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合とはどのような場合か。また、そのような場合は1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。

(答)4週5休制等のため、1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動し一定ではない場合等は、当該周期における1週間の所定労働時間を平均し、算出します。

問29 所定労働時間が1か月単位で定められている場合、1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。

(答)1か月の所定労働時間を12分の52で除して算出します(1年間を52週とし、1か月を12分の52週とし、12分の52で除すことで1週間の所定労働時間を算出する)。

問30 特定の月の所定労働時間に例外的な長短がある場合とはどのような場合か。また、そのような場合は1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。

(答)夏季休暇等のため夏季の特定の月の所定労働時間が例外的に短く定められている場合や、繁忙期間中の特定の月の所定労働時間が例外的に長く定められている場合等は、当該特定の月以外の通常の月の所定労働時間を12分の52で除して、1週間の所定労働時間を算出します。

問31 所定労働時間が1年単位で定められている場合、1週間の所定労働時間をどのように算出すればよいか。

(答)1年の所定労働時間を52で除して算出します。

問32 就業規則雇用契約書等で定められた所定労働時間が週20時間未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が週20時間以上となった場合は、どのように取り扱うのか。

(答)実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。

5.学生でないこと

問33 「学生でないこと」について、学生とはどのような者を指すのか。通信制課程に在学する者は対象となるのか。

(答)「学生」とは、主に高等学校の生徒、大学又は短期大学の学生、専修学校に在学する生徒等※が該当しますが、卒業した後も引き続き当該適用事業所に使用されることとなっている者、休学中の者、定時制課程及び通信制課程に在学する者その他これらに準じる者(いわゆる社会人大学院生等)は対象から除かれることとなります。
※(参考)厚生年金保険法施行規則第9条の6に規定する学生
・高等学校に在学する生徒
中等教育学校に在学する生徒
・特別支援学校に在学する生徒
・大学(大学院を含む)に在学する学生
・短期大学に在学する学生
高等専門学校に在学する学生
専修学校に在学する生徒
各種学校に在学する生徒(修業年限が1年以上である課程を履修する者に限る)
・上記の教育施設に準ずる教育施設に在学する生徒又は学生

問34 学生については、4分の3基準に該当していても、学生という理由のみをもって健康保険・厚生年金保険の被保険者とならないのか。

(答)学生であっても、適用事業所に使用され4分の3基準を満たす場合は、正社員等と同様に一般被保険者として健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。

5.雇用期間要件(雇用期間が継続して1年以上見込まれること)の廃止

問35 適用拡大に関する雇用期間要件が令和4年10月に廃止されるが、施行日以降、被保険者資格はどのように判定するのか。日々雇用されている方や、2月以内の期間を定めて使用される者についても、適用拡大の対象となるのか。

(答)適用拡大に関する雇用期間要件の廃止により、施行日以降、4分の3基準を満たさない短時間労働者の被保険者資格については、4要件により判断することとなります。なお、日々雇用されている方や、2月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないものについては、被保険者の適用除外の規定に基づき被保険者資格を判断することとなります。

問36 任意特定適用事業所として施行日前から加入している事業所において、雇用期間要件により適用除外となっている者がいる場合、施行日以降どのように取り扱われるか。

(答)適用拡大に関する雇用期間要件の廃止により、施行日以降、4分の3基準を満たさない短時間労働者のうち、4要件を満たす場合は健康保険・厚生年金保険の被保険者に該当するため、事業主は施行日を資格取得日とした被保険者資格取得届を事務センター等へ届け出る必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者資格取得届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。

問37 雇用期間が2か月を超える見込みがあったため被保険者資格を取得したが、当該期間を超えなかった場合、被保険者資格取得を取り消すことはできるか。また、遡及取消となるのか。

(答)雇用時に2か月を超える見込みであった場合、結果として雇用期間が2か月未満になったとしても、被保険者の資格取得を取り消しはできません。

問38 雇用期間が2か月以内である場合は、雇用期間が2か月を超えることが見込まれることとして取り扱われることはないのか。

(答)雇用期間が2か月以内である場合であっても、次の(ア)(イ)のいずれかに該当するときは、定めた期間を超えることが見込まれることとして取り扱うこととし、最初の雇用期間を含めて、当初から被保険者の資格を取得します。
(ア)就業規則雇用契約書等その他書面においてその契約が更新される旨又は更新される場合がある旨が明示されていること
(イ)同一の事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されている者が更新等により2か月を超えて雇用された実績があること
ただし、(ア)(イ)のいずれかに該当するときであっても、労使双方により、2か月を超えて雇用しないことについて合意しているときは、定めた期間を超えて使用されることが見込まれないこととして取り扱います。

7.月額賃金が8.8万円以上

問39 短時間労働者の厚生年金保険・健康保険の適用については、月額賃金が8.8万円以上であるほかに、年収が106万円以上であるかないかも勘案するのか。

(答)月額賃金が8.8万円以上であるかないかのみに基づき、要件を満たすか否かを判定します(年収106万円以上というのはあくまで参考の値です。)。

問40 健康保険の被扶養者として認定されるための要件の一つに、年収が130万円未満であることという収入要件があるが、この要件に変更があるのか。

(答)健康保険の被扶養者の認定について、収入要件の変更はありません。なお、年収が130万円未満であっても、4分の3基準又は4要件を満たした場合は、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。

問41 月額賃金が8.8万円以上の算定基礎となる賃金には、どのようなものが含まれるのか。

(答)月額賃金8.8万円の算定対象は、基本給及び諸手当で判断します。ただし、以下の①から④までの賃金は算入されません。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
②1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
③時間外労働に対して支払われる賃金、休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)
最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)

問42 被保険者資格取得時の標準報酬月額の基礎となる報酬月額と、短時間労働者の被保険者資格の取得要件である月額賃金が8.8万円以上であるかないかを判定する際に算出する額の違いは何か。

(答)報酬月額には、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので被保険者の通常の生計に充てられる全てのものが含まれます。このため、短時間労働者の被保険者資格の取得に当たっての要件(月額賃金が8.8万円以上)の判定の際に算入しなかった諸手当等も加味して報酬月額を算出します。なお、適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者の被保険者資格取得時の報酬月額の算出方法は、従来からの被保険者資格取得時の報酬月額の算出方法と同一です。

問43 日給や時間給によって賃金が定められている場合は、どのように算出すればよいか。

(答)日給や時間給によって賃金が定められている場合には、被保険者の資格を取得する月前1月間に同じ事業所において同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける最も近似した状態にある者が受けた報酬の額の平均額を算出します。※「同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける最も近似した状態にある者」とは、同一事業所内の同一の部署に勤務し、時間単価や労働日数等の労働条件が同一の方を指します。ただし、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける最も近似した状態にある者がいないような場合は、個別の雇用契約等に基づいて月額賃金を算出します。

問44 個別の雇用契約等に基づいて月額賃金を算出する場合で、所定労働時間が1週間単位で定められている場合、月額賃金をどのように算出すればよいか。

(答)1週間の所定労働時間で算出した賃金額に12分の52を乗じて算出します。

問45 短時間労働者として届出を行った場合「月額賃金が8.8万円以上」に該当するかどうかは、各労働者について毎月確認する必要があるのか。また、被保険者資格を取得後に月額賃金が8.8万円未満となった場合は、被保険者資格は喪失するのか。

(答)原則として、資格取得後に雇用契約等が見直され、月額賃金が8.8万円を下回ることが明らかになった場合等を除き、被保険者資格を喪失することはありません。そのため、毎月確認する必要はありませんが、雇用契約等に変更はなく、常態的に8.8万円を下回る状況が続くことが確認できる場合は、実態を踏まえた上で資格喪失することとなります。

8.給付・その他

問46 老齢厚生年金の受給者が適用拡大により短時間労働者として被保険者資格を取得した場合、年金給付に対してどのような影響があるか。(在職老齢年金、高年齢雇用継続給付等)

(答)被保険者資格を取得した場合は、在職老齢年金や高年齢雇用継続給付金等との支給調整の対象になります。

問47 障害者又は長期加入特例に該当する特別支給の老齢厚生年金を受けている者が、適用拡大により短時間労働者として被保険者資格を取得した場合、特別支給の老齢厚生年金の額に変更は生じるのか。

(答)令和4年9月30日前から障害者又は長期加入特例の該当者であって、かつ、同日前から引き続き同一の事業所に使用されている者が、今回の適用拡大の制度改正により同年10月1日に被保険者資格を取得した場合は、所定の届出をしていただくことにより特別支給の老齢厚生年金の定額部分を支給停止しないこととする経過措置が設けられています。
なお、上記の経過措置の対象者であっても、前問の回答のとおり在職老齢年金等の支給調整の対象になります。

問48 短時間正社員について、今回の適用拡大によって取扱いに変更はあるか。

(答)短時間正社員は、従来どおり、所定労働時間の長短にかかわらず、被保険者資格を取得します。

問49 同時に2ヶ所以上の事業所で勤務をしているが、複数の事業所で被保険者資格の取得要件を満たした場合、どのような手続きが必要になるか。

(答)同時に2ヶ所以上の事業所で被保険者資格の取得要件を満たした場合、被保険者は、いずれか一つの事業所を選択いただき、その事業所を管轄する年金事務所(健康保険の保険者が二以上あり、健康保険組合を選択する場合は、年金事務所及び選択する健康保険組合)へ「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出いただく必要があります。
なお、被保険者資格の取得要件を満たすか否かについては、各事業所単位で判断を行うこととしており、2ヶ所以上の事業所における月額賃金や労働時間を合算することはしません。

問50 特定適用事業所該当届、区分変更届は電子申請・電子媒体に対応しているのか。具体的な手続はどうすればよいか。

(答)<特定適用事業所該当届について>電子申請・電子媒体に対応していませんので、紙届書を事業所を管轄する事務センター等に届け出ることになります。

<被保険者区分変更届について>
電子申請に対応しています。申請手順は以下のとおりです。なお、電子媒体申請は対応していません。初めてe-Govから電子申請を利用する場合は、アカウントの準備、ブラウザの設定等が必要となります。詳細は、e-Govホームページの電子申請トップページ「利用準備」をご参照ください。
(申請手順)
①e-Gov電子申請トップページ※でログイン
②手続検索で、「区分変更届」を検索します。
③記載要領を確認していただき、申請者の情報、届書の入力、提出先の選択、電子証明書を付与(gBizIDアカウントでログインした場合は不要)を行い、提出(申請)します。
※「e-Gov電子申請」で検索いただくと、簡単にe-Gov電子申請トップページを見つけることができます