社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

朽木合同輸送事件(名古屋地判昭和56.12.25労判380号43頁、名古屋高判昭和62.4.27労判498号36頁)

朽木合同輸送事件(名古屋地判昭和56.12.25労判380号43頁、名古屋高判昭和62.4.27労判498号36頁)

1.事件の概要

Xは、A海運会社に雇用されて艀船員として勤務していたが、その後Y会社に在籍出向し、Y社の指揮監督の下で労働に従事していた。Xは、名古屋港の海運会社に勤務する労働者によって結成されたZ労働組合に加入していたところ、同組合を脱退して全国組織のB組合に加入したため、ユニオン・ショップ協定に基づきA会社により解雇された。そこで、Xが解雇の効力を争ってY社における労働契約上の地位の確認を求めて訴えを提起した。

2.判決の概要

XはA海運との間ではXを労働者、A海運を使用者とする労働契約締結の当事者としての関係(基本的在籍関係)、Y社との間ではXを出向労働者、Y社を右出向労働者に対し労務指揮をし賃金支払をする者とする出向労働における指揮従属の関係(出向労働関係)が複合的に成立し、右出向労働関係は基本的に在籍関係を前提として成立する関係にあったとみるのが相当である。
Xは出向労働関係成立後Y社との間で労働契約が成立したと主張するが同事案を認定にするに足る証拠はない。
(前略)・・・Xは出向後Y社の指揮監督を受けて艀船員としてY社に対し労務を提供し、Y社から右労務提供の対価として賃金を受けてきた事実が認められるが、これらは出向労働関係の内容をなすものであり、右事実があるからといってXとA海運との間の労働契約(基本的在籍関係)と並んでXとY社との間にも出向と同時若しくはその後に労働契約が二重に成立したものと認めることはできない。
Xらの本訴請求は、・・・(中略)XがY社に対し出向労働者としての権利を有する地位にあることの確認を求め・・・(中略)る限度で理由がある。

3.解説

出向労働者の労働契約が単純に二重の労働契約であると解するべきか、この点につき、下級審ながら、労働者の出向先会社との関係を、「出向労働関係」と称し、これを出向元との「基本的在籍関係」を前提として成立する関係とした判例

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