社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

【2019年4月施行】年次有給休暇の取得義務化が始まりました!!

2019年4月より施行された年次有給休暇の取得義務の開始についてわかりやすくまとめました

働き方改革の一環として、2019年4月から年次有給休暇を5日以上の取得させることが企業に義務付けられることになり、企業は対象となる労働者に対し時季を指定して有給休暇を付与する必要があります。
ここでは、有給取得義務化の詳細と企業の対応について解説していきます。
なお、本内容は厚生労働省の通達を参考に記載しています。
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律について(H30.7.6基発0706第1号・職発0706第2号・雇均発0706第1号)
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(H30.09.07基発0907第1号)
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について(H30.12.28基発1228第15号)

1.有給休暇取得義務化とは

有給休暇取得義務化の概要

労働基準法が改正され、2019年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇を付与した日から1年以内に5日、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられます。
ただし、労働者が自ら申請して取得した日数や、労使協定で取得時季を定めて与えた日数(計画的付与)に関しては、取得させる義務のある5日から控除することができます。例えば、年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は行わなくてよいことになりますし、年次有給休暇を2日取得済みの労働者に対しては、使用者は3日だけ時季指定を行えばよいこととなり、また計画的付与により3日の有給休暇を一斉に取得させた場合は、使用者は2日だけ時季指定を行えばよいことになります。

有給休暇取得義務化の背景

労働基準法では、「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも資する」*1という趣旨から、一定の要件を満たす労働者に対して毎年一定日数の年次有給休暇を与えることが定められています。この年次有給休暇は、原則として労働者自身が請求する時季に与えるものとされています*2が、職場への配慮やためらいといった理由から取得する人が少ないというのが現状です。こうした状況を改善するために定められたのが、今回の有給休暇の取得義務化です。有給休暇の取得を企業側から働きかけることで、労働者が有給休暇を取得しやすいように促すというのがねらいです。

2.企業の対応

有給取得義務化により使用者に求められる対応

有給休暇の取得する際に、労働者から申し出て有給休暇を取得するという現状の方法に加えて、使用者から時季指定による取得という新たな方法が取れるようになります。使用者が取得時季の指定を行う際は、まず使用者が労働者に取得時季の意見を聴きます。その後、労働者の意見を尊重し、使用者が取得時季を指定します。*3
また、今回の改正に伴い、使用者には、年次有給休暇の時季指定義務について就業規則に定めること*4、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し3年間保存すること。*5が義務付けられました。

就業規則の規定方法はこちらを参照
年次有給休暇時季指定義務の就業規則への規定方法の解説

対象となる労働者

年10日以上の年次有給休暇が付与される可能性のある労働者は、以下の通りです。
なお、「年10日以上」には前年付与されて取得しなかった有給休暇は含まれず、1度に10日以上付与されることをいいます。*6

  • 入社後6か月が経過している正社員または次のいずれかに該当するパート社員・契約社員派遣社員・アルバイト*7

 ・週所定労働時間30時間以上
 ・週所定労働日数5日以上
 ・年間所定労働日数217日以上

  • 入社後3年半以上経過している週所定労働日数4日もしくは年間所定労働日数169~216日のパート社員・契約社員派遣社員・アルバイト
  • 入社後5年半以上経過している週所定労働日数3日もしくは年間所定労働日数121~168日のパート社員・契約社員派遣社員・アルバイト

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具体的な有給取得義務の方法

有給休暇取得義務化に対応するには、主に個別指定方式と、計画年休制度の導入という2つの方法があげられます。
なお、例えば計画年休制度を3日・個別指定を2日というように複合した方法も考えられますし、有給休暇を労働者の請求により取得する習慣が根付いている企業であれば、基本的に何もせず、取得が少ない人だけをターゲットにして個別指定をするという方法も考えられます。

・個別指定方式
労働者ごとに、個別に希望を聴取して会社がそれぞれの有給休暇取得日を指定する方法です。
メリットは会社による指定の柔軟性が高いことです。労働者の希望を聴取して指定日が決められますので、労働者にとっては取得したい希望の日に取得できる可能性が高くなり、満足度を上げることに繋がります。
また、この方式は有給休暇が付与されてから一定期間経過した後(例えば6か月後)に個別指定することもできます。その際には、付与されてからそれまでの間に労働者が自ら請求して取得した日数を5日から控除することができますし、また5日以上取得していれば、会社は時季指定する必要がありません。
デメリットは労働者から一人一人希望を聴取するのに手間がかかることです。
また、一定期間経過した後に個別指定する場合は、使用者がすべての労働者の有給休暇取得日数を把握しなければいけないため、管理の手間が増えることになります。
現状でも、有給休暇取得日数が年5日以上の労働者が多数を占める企業では、個別指定方式が向いています。

・計画年休制度の導入
会社が労働者代表との労使協定により、各労働者の有給休暇のうち5日を超える部分についてあらかじめ日にちを決めるという「計画年休制度」を用います。この計画年休制度を導入し、年5日以上の有給休暇を付与することで、有給休暇取得日の指定義務の対象外となります。
計画年休制度は様々なパターンが可能で、全社で一斉に特定の日を有給休暇としたり、部署ごとに有給休暇をとる日を分けたり、あるいは有給休暇を取る日を1人ずつ決めていくこともできます。
メリットとしては、労働者を個別に管理する手間が省けることが挙げられます。労使協定により定めるため、個別の労働者ごとに有給取得日数の把握や取得促進を行わなくてもよくなります。
なお、現状ある特別休暇を廃止して、計画年休制度に切り替えることは就業規則の不利益変更に該当しますので*8、注意が必要です。(就業規則の不利益変更については確実に問題ないという条件はありませんが、少なくとも時季指定儀義務を果たすことだけを目的として不利益変更をするのはNGと思ってください)

デメリットとしては、労働者代表との話し合いによって労使協定が締結されるので、会社側の都合で有給取得の日程を変更できないことです。そのため、緊急の事態が発生しても労働者が有給休暇でほとんどいないということも起こりえます。また、現状でも、ある程度の有給休暇を取得している労働者にとっては自由に取得できる日数が少なくなるため、満足度が下がることに繋がります。
現状で有給休暇取得日数が年5日以上の労働者が少ない会社には、計画年休制度の導入が向いています。
なお、計画年休制度については、就業規則にも導入できる旨が定められている必要があるため、現行で定められていない場合は就業規則の変更も必要となります。

有給休暇の時季義務違反の罰則

対象となる労働者に有給休暇の時季指定を行わなかった場合、30万円以下の罰金が課されます。
なお、あくまで私の予想ですが、この30万円以下の罰金は労働者1人当たりになるものと思われ、複数の労働者が時季指定を行われていない場合には、刑法48条第2項の規定により、併合罪となり、「その人数×30万円以下の罰金」が課せられることになります。

*1:時間単位年休の趣旨(平成21.5.29基発0529001号)より

*2:年次有給休暇に関する最高裁判決(昭和48.3.6基発110号)

*3:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(H30.09.07基発0907第1号)第3・3

*4:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について(平成30.12.28基発1228第15号)問14

*5:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(H30.09.07基発0907第1号)第3・4

*6:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について(平成30.12.28基発1228第15号)問2

*7:ただし、入社後6か月より前に10日以上の有給休暇を付与された場合は6か月経過していなくても対象となる。また、入社時に3日、3か月経過後に7日付与するような場合は10日以上となった時点で対象となります。働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(H30.09.07基発0907第1号)第3・2(2)を参照

*8:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について(平成30.12.28基発1228第15号)問12

ハマキョウレックス事件(最二小判平30.6.1 労判1179号20頁)

ハマキョウレックス事件(最二小判平30.6.1 労判1179号20頁)

1.事件の概要

期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)を締結して一般貨物自動車運送事業等を目的とするY社で、トラック運転手として配送業務に従事しているXが、期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)をY社と締結している労働者(以下「正社員」という。)と被上告人との間で、無事故手当、作業手当、給食手当、住宅手当、皆勤手当,通勤手当、家族手当、賞与、定期昇給及び退職金(以下,これらを併せて「本件賃金等」という。)に相違があることは労働契約法20条に違反しているなどと主張して、Y社対し、労働契約に基づき、正社員に支給された無事故手当、作業手当、給食手当、住宅手当、皆勤手当及び通勤手当(以下「本件諸手当」という。)と、同期間にXに支給された本件諸手当との差額の支払等を求めて提訴したのが本件である。

Y社とXの間で締結されていた雇用契約の概要
期間:平成20年10月6日から平成21年3月31日まで(ただし、更新があり得る)
業務内容:配車ドライバー
勤務時間:午前5時から午後2時まで
賃金:時給1150円、通勤手当3000 円
昇給:原則として昇給しない。
賞与:原則として支給しない。

2.判決の概要

労働契約法20条は、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより相違していることを前提としているから、両者の労働条件が相違しているというだけで同条を適用することはできない。一方、期間の定めがあることと労働条件が相違していることとの関連性の程度は、労働条件の相違が不合理と認められるものに当たるか否かの判断に当たって考慮すれば足りるものということができる。そうすると、同条にいう「期間の定めがあることにより」とは、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであることをいうものと解するのが相当である。
・・・(中略)労働契約法20条は、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が、職務の内容等を考慮して不合理と認められるものであってはならないと
しているところ、所論は、同条にいう「不合理と認められるもの」とは合理的でないものと同義であると解すべき旨をいう。しかしながら、同条が「不合理と認められるものであってはならない」と規定していることに照らせば、同条は飽くまでも労働条件の相違が不合理と評価されるか否かを問題とするものと解することが文理に沿うものといえ・・・(中略)同条にいう「不合理と認められるもの」とは、有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理であると評価することができるものであることをいうと解するのが相当である。
そして、両者の労働条件の相違が不合理であるか否かの判断は規範的評価を伴うものであるから、当該相違が不合理であるとの評価を基礎付ける事実については当該相違が同条に違反することを主張する者が、当該相違が不合理であるとの評価を妨げる事実については当該相違が同条に違反することを争う者が、それぞれ主張立証責任を負うものと解される。
本件では、契約社員であるXの労働条件と、Xと同じくY社のA支店においてトラック運転手(乗務員)として勤務している正社員の労働条件との相違が労働契約法20条に違反するか否かが争われているところ、・・(中略)両者の職務の内容に違いはないが、職務の内容及び配置の変更の範囲に関しては、正社員は、出向を含む全国規模の広域異動の可能性があるほか、等級役職制度が設けられており、職務遂行能力に見合う等級役職への格付けを通じて、将来、Y社の中核を担う人材として登用される可能性があるのに対し、契約社員は、就業場所の変更や出向は予定されておらず、将来、そのような人材として登用されることも予定されていないという違いがあるということができる。

(住宅手当について)
Y社においては、正社員に対してのみ所定の住宅手当を支給することとされている。この住宅手当は、従業員の住宅に要する費用を補助する趣旨で支給されるものと解されるところ、契約社員については就業場所の変更が予定されていないのに対し、正社員については、転居を伴う配転が予定されているため、契約社員と比較して住宅に要する費用が多額となり得る。したがって、正社員に対して上記の住宅手当を支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理であると評価することができるものとはいえないから、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当である。
Y社においては、正社員である乗務員に対してのみ、所定の皆勤手当を支給することとされている。この皆勤手当は、Y社が運送業務を円滑に進めるには実際に出勤するトラック運転手を一定数確保する必要があることから、皆勤を奨励する趣旨で支給されるものであると解されるところ、Y社の乗務員については、契約社員と正社員の職務の内容は異ならないから、出勤する者を確保することの必要性については、職務の内容によって両者の間に差異が生ずるものではない。
また、上記の必要性は、当該労働者が将来転勤や出向をする可能性や、Y社の中核を担う人材として登用される可能性の有無といった事情により異なるとはいえない。そして、本件労働契約及び本件契約社員就業規則によれば、契約社員については、Y社の業績と本人の勤務成績を考慮して昇給することがあるとされているが、昇給しないことが原則である上、皆勤の事実を考慮して昇給が行われたとの事情もうかがわれない。
したがって、Y社の乗務員のうち正社員に対して上記の皆勤手当を支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理であると評価することができるものであるから、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

(無事故手当について)
Y社においては、正社員である乗務員に対してのみ、所定の無事故手当を支給することとされている。この無事故手当は、優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得を目的として支給されるものであると解されるところ、Y社の乗務員については、契約社員と正社員の職務の内容は異ならないから、安全運転及び事故防止の必要性については、職務の内容によって両者の間に差異が生ずるものではない。また、上記の必要性は、当該労働者が将来転勤や出向をする可能性や、Y社の中核を担う人材として登用される可能性の有無といった事情により異なるものではない。加えて、無事故手当に相違を設けることが不合理であるとの評価を妨げるその他の事情もうかがわれない。
したがって、Y社の乗務員のうち正社員に対して上記の無事故手当を支給する一方で,契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、・・・(中略)労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

(作業手当について)
Y社の正社員給与規程は、特殊作業に携わる正社員に対して月額1万円から2万円までの範囲内で作業手当を支給する旨を定めているが、当該作業手当の支給対
象となる特殊作業の内容について具体的に定めていないから、これについては各事業所の判断に委ねる趣旨であると解される。そして、Xが勤務するA支店では、正社員に対して作業手当として一律に月額1万円が支給されている。上記の作業手当は、特定の作業を行った対価として支給されるものであり、作業そのものを金銭的に評価して支給される性質の賃金であると解される。しかるに、Y社の乗務員については、契約社員と正社員の職務の内容は異ならない。また、職務の内容及び配置の変更の範囲が異なることによって、行った作業に対する金銭的評価が異なることになるものではない。加えて、作業手当に相違を設けることが不合理であるとの評価を妨げるその他の事情もうかがわれない。
したがって、Y社の乗務員のうち正社員に対して上記の作業手当を一律に支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理
であると評価することができるものであるから、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

(給食手当について)
Y社においては、正社員に対してのみ、所定の給食手当を支給することとされている。この給食手当は、従業員の食事に係る補助として支給されるものであるから、勤務時間中に食事を取ることを要する労働者に対して支給することがその趣旨にかなうものである。しかるに、Y社の乗務員については、契約社員と正社員の職務の内容は異ならない上、勤務形態に違いがあるなどといった事情はうかがわれない。また、職務の内容及び配置の変更の範囲が異なることは、勤務時間中に食事を取ることの必要性やその程度とは関係がない。加えて、給食手当に相違を設けることが不合理であるとの評価を妨げるその他の事情もうかがわれない。
したがって、Y社の乗務員のうち正社員に対して上記の給食手当を支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理であると評価することができるものであるから、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

通勤手当
Y社においては、平成25年12月以前は、契約社員であるXに対して月額3000円の通勤手当が支給されていたが、Xと交通手段及び通勤距離が同じ正社員に対しては月額5000円の通勤手当を支給することとされていた。この通勤手当は、通勤に要する交通費を補塡する趣旨で支給されるものであるところ、労働契約に期間の定めがあるか否かによって通勤に要する費用が異なるものではない。また、職務の内容及び配置の変更の範囲が異なることは、通勤に要する費用の多寡とは直接関連するものではない。加えて、通勤手当に差違を設けることが不合理であるとの評価を妨げるその他の事情もうかがわれない。
したがって、正社員と契約社員であるXとの間で上記の通勤手当の金額が異なるという労働条件の相違は、不合理であると評価することができるものであるから、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。
(なお、家族手当、賞与、定期昇給及び退職金については、これらの労働条件が労働契約法20条に違反するものであるとしても、同条違反の民事的効力として、当然に正社員の労働条件と同一になる補充的効力を有するものとは認められない」ことから、労働契約法20条違反該当性について判断するまでもなく、Xは家族手当、賞与、定期昇給及び退職金について正社員と同一の権利を有する地位にあることの確認を求めることはできないと判示し、本判決では判断していません。)

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第20条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

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定時決定(算定基礎届)についての主な疑義照会

定時決定(算定基礎届)についての主な照会

1.給与計算の締日及び支払日両方に変更があった際の算定基礎届の支払基礎日数及び報酬について

(設問)
事業所の給与計算が以下のとおり変更になった場合の算定基礎届への記載方法についてご教示ください。
<事例>
変更前末日締、翌月20 日払
変更後15 日締、当月25 日払
6 月25 日支払分から変更となる
3 月1 日~3 月31 日分を4 月20 日払(支払基礎日数31 日) 200,000 円
4 月1 日~4 月30 日分を5 月20 日払(支払基礎日数30 日) 200,000 円
5 月1 日~5 月31 日分を6 月20 日払(支払基礎日数31 日) 200,000 円
6 月1 日~6 月15 日分を6 月25 日払(支払基礎日数15 日) 100,000 円

(回答)
定時決定を行う際、給与の締日が変更されたことにより、4、5、6月のいずれかの月の支払基礎日数が通常の月より増加する場合については、通常受けるべき報酬以外の報酬を受けるものとして、保険者算定を行うことになります。
この場合に、単月に通常の一の給与計算期間が確保されている期間と確保されていない期間が混在していれば、変更された給与の締日における期間であるか否かにかかわらず、確保されていない期間分を控除して報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定します。
したがって、本件については、給与の締日が変更されたことに伴い、6月中に2度の給与の支払が発生し、単月に通常の一の給与計算期間が確保されている期間と確保されていない期間が混在していることから、通常の一の給与計算期間が確保されている5月1日から5月31日までの期間における給与(6 月20日支払分)を6月の算定月額として取り扱うことになるため、4、5、6 月の報酬の総額から、6月1日から6月15日までの期間における給与(6月25日支払分)を控除し、修正平均額により報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定することになります。

2.職場復帰プログラムによる低額給の取扱いについて

(設問)
休職からの復帰プログラムを設けている事業所があり、一定期間30%減の報酬で軽微な業務に従事し、その後通常の業務と報酬に戻ることになっています。期間は診断書などで判断され、個別に決められるとのことです。
算定対象期間に復帰プログラム期間が含まれる場合に、算定対象月として4 月分を含めるべきかと、二等級以上差を生じた場合の随時改定の取扱いについて照会します。
<事例>
・30%減額は全ての固定的賃金が対象で、就業規則に明記されている。
・復帰プログラム期間:4 月の1 ヵ月間のみで17 日以上の出勤があった。
・減給に関する労働基準法に違反していない。
・賃金締切日:月末締、当月払。

(回答)
本件では、復帰プログラムとして通常とは異なる軽微な業務への変更があり、その業務に対して就業規則によりあらかじめ定められた報酬の支給をしています。業務の変更があり、その業務について設定された報酬への変更が行われているならば、これを固定的賃金の変動と考えることが妥当です。この取扱いは、軽微な業務から通常の業務へ復帰する場合も同様です。
また、この変更が1月に限るものであっても固定的賃金の変動という事実に基づき取り扱うことになります。
したがって、4月は固定的賃金の変動後の通常の報酬が支給されているため、定時決定においてこの月を除外する理由はなく、当該4月の報酬も含めて算定を行います。
また、随時改定については、固定的賃金の変動のある月を起算月として2等級以上の差が生じるならば行うことになります。

3.賞与に係る報酬の取扱いについて

(設問)
1. 平成24年4月1日に給与規程を改正し、賞与の支給を年2 回(6月、12 月)から年4 回(3 月、6 月、9 月、12 月)に変更しました。
(1) この事業所において、算定基礎月である平成24年4月~6月の間は休職により全く給与を受けませんが、変更後の給与規程により平成24年6月の賞与を支給される場合、保険者算定を行い、従前(平成23年度定時決定)の標準報酬月額により決定してよいでしょうか。
従前の標準報酬月額は年4 回の賞与にかかる報酬を含みませんが、これにより平成24年度定時決定の標準報酬月額を決定して差し支えないでしょうか。
それとも、従前の標準報酬月額に年4 回の賞与にかかる報酬を合算すべきでしょうか。
(2) (1)の者について、平成24 年10 月に昇給し平成25 年1 月の随時改定に該当する場合、年4 回の賞与にかかる報酬を含めるべきでしょうか。
(3) (1)、(2)について年4 回の賞与にかかる報酬を含めないとすれば、この事業所の他の被保険者は年4 回の賞与を報酬に含めていても、この者については含めず、平成24年9月1日~平成25年8月31日の間支給される賞与について賞与支払届を届け出る取扱いでよいでしょうか。
(4) 平成24年度定時決定において年4回の賞与に係る報酬を含めて決定を行った者が、平成25年4月~6月の間、休職により全く給与を受けない場合の定時決定及び平成25年10月以降の随時改定において使用する年4回の賞与にかかる報酬は、平成24年定時決定において用いた報酬により算定を行ってよいでしょうか。
(5) 賞与の算定対象期間について、休職していたため変更後の給与規程による平成24年6月の賞与の支払がない者の年4 回の賞与にかかる報酬は、変更前の給与規程により平成23年12月に支払われた賞与を12で除して得た額でよいでしょうか。
2. 平成24年5月1日に給与規程を改正し、賞与の支給を年2 回(6月、12月)から年4 回(1月、4月、7月、10月)に変更しました。この場合、年4回の賞与にかかる報酬は、平成24年7月1日前に変更後の給与規程による支給実績がないため、平成24年7月1日前1年間に支給された額により算定することになり、変更前の規程により平成23年12月に支給された賞与を12で除して得た額でよいでしょうか。


<対応案>
1.(1)4 月~6 月の3 ヵ月間のいずれも報酬を受けないときの保険者算定については、従前の報酬月額とするため、年4 回の賞与にかかる報酬を含めることはできない。
(2)昭和53年6月20日保発第47号1.(1)イにより、次期標準報酬月額の定時決定までは、報酬に係る賞与の取扱いは変わらないことから、年4回の賞与にかかる報酬を含めることはできない。
(3)報酬に含めていないことから賞与支払届を届け出る取扱いによる。
(4)(1)と同様の理由により従前の報酬月額とするため、平成24年度定時決定において用いた報酬により算定を行う。
(5)昭和53年6月20日保険発第72 号2.(1)アにより、変更後の給与規程による賞与の支払いがないため、変更前の給与規程により平成23年12月に支払われた賞与を12で除して得た額とする。
2.(4)と同様の理由により、変更前の給与規程により平成23年12月に支払われた賞与を12で除して得た額とする。

(回答)
定時決定の際、健康保険法第41条1項及び厚生年金保険法第21条1項の規定により算定することが困難な場合には、健康保険法第44条1項及び厚生年金保険法第24条1項により従前の報酬月額により保険者算定が行われます。
また、昭和53年6月20日保発第47号「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」により、年4回以上の賞与が支給される場合の定時決定(7、8、9 月の随時改定を含む)においては毎月支給される「通常の報酬」に「賞与に係る報酬」を加えて報酬月額を算定します。
このことから、4月から6月の3 カ月間のいずれも報酬を受けない年4回以上の賞与が支給される場合の定時決定は、賞与に係る報酬が加えられることになりますが、結果としては、従前の報酬月額により決定を行うことになります。
したがって、
1(1)については、従前の報酬月額により決定をします。
1(2)については平成25年1月の随時改定時には賞与に係る報酬を加えて改定を行います。
1(3)については、平成24年の定時決定以降の賞与支払届の提出が不要となります。
1(4)についても従前の報酬月額により決定をしますが、この決定された報酬月額に含まれる賞与に係る報酬は平成24年7月から平成25年6月までに支給された賞与によるものです。
1(5)、2 については年金事務所対応案の通りとなります。
なお、回答にあたっては、厚生労働省年金局事業管理課及び保険局に協議済みです。

4.賞与の回数等、考え方について

(設問)
就業規則により年4 回の賞与を支給しているため、標準報酬月額に年間賞与の1/12 を加算している事業所が、昨年7 月より回数は変わらないが賞与の計算方法を固定型から業績連動型に変えたことにより、年間報酬(固定的賃金(給与・賞与)のみで残業代は除く)が大きく下がった人のみ今回に限って(就業規則には記載なし)激変緩和措置として前年度比10%を超える減額となった人を対象に差額が最大で10%になるように補填を行った際の手当は、これまでの賞与と同じ考えで通算5 回とし、来年の算定基礎届に反映させるのか、それとも、全く性質の違う手当の臨時支給として対象者について賞与支払届の提出を求めるのかご教示願います。


当該手当については就業規則により定められている賞与の支給形態が変更されたことに伴い、激変緩和措置として支払われるものであることから、賞与と同一の性質のものと考えられ、報酬に含まれる。
また、「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」(昭和53 年6 月20 日保発第47 号・庁保発第21 号)中、1(2)より、当該手当は名称は異なっても支給された賞与と同一性質を有しており、当該年に限り支給されたことも明らかであることから、別個の賞与支給とはせず、報酬として算定基礎届に反映させる。(なお、回答については厚生労働省年金局事業管理課確認済であることを申し添える。)

5.6ヵ月分定期代が支払われた際、各月の報酬に円未満の端数が生じる場合の取扱いについて

(設問)
1 月から6 ヵ月分定期代(42,340 円)の支給が開始された場合、定期代を6 で割った金額を1 月以降の各月の報酬に割り振ることになりますが、各月7056.66 円となり、円未満の端数が生じます。1 月を起算とした月額変更を手続きする場合及び算定基礎届において、端数をどのように取り扱えばよいでしょうか。

(回答)
1.まとめて支給された手当等を月数で除し各月の報酬に算入する場合(以下2.3.の場合を除く)
端数そのものは存在しますが、届出自体に円未満の記載を求めるのは現実的でないため、切り捨てと取り扱って差し支えありません。
2.1.のときに端数の出る手当等が複数ある場合
端数そのものは存在していることから、それぞれの手当ごとに端数処理するのでなく、端数を付けたまま各月の報酬に合算し、報酬月額を確定する段階で端数処理をするのが妥当です。
3.定時決定、随時改定において、三月間に受けた報酬の総額自体を使用する必要がある場合(まとめて支給された総額自体を使用する必要がある場合)
そもそもまとめて支給された手当等を各月に分割する必要性は、報酬決定の際に、便宜上各月に算入しているだけであり、運用上1.のように切り捨てで取り扱うことにより、「受けた報酬の総額」が変わることは、適当ではありません。(等級が変動する場合あり)
ある一定期間に受けた報酬の総額を、ある一定期間全体で使用する場合においては、総額が変わらないように調整いただき、またその場合は原則支給月に算入することにします。

・1.の例(1 月に6 ヵ月分の交通費42,340 円が支給された)
総支給額÷月数=各月の報酬
42,340 円÷6 ヵ月=7056.66…円
4 月月額変更時の扱い1 月7,056 円
2 月7,056 円
3 月7,056 円
7 月算定基礎時の扱い4 月7,056 円
5 月7,056 円
6 月7,056 円

・2.の例(1 月に6 ヵ月分の交通費42,340 円が支給された)(賞与年4
回以上合計500,000 円が支給された)
総支給額÷月数=各月の報酬42,340 円÷6 ヵ月=7056.66…円総支
給額÷月数=各月の報酬500,000 円÷12 ヵ月=41,666.66…円
7 月算定基礎時の扱い基本給交通費賞与
4 月200,000+7,056.66…+41,666.66…=248,723.33…⇒248,723 円
5 月200,000+7,056.66…+41,666.66…=248,723.33…⇒248,723 円
6 月200,000+7,056.66…+41,666.66…=248,723.33…⇒248,723 円

・3.の例(4 月に3 ヵ月分の交通費10,000 円支給された)
総支給額÷月数=各月の報酬
10,000 円÷3 ヶ月=3,333.33…円



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入管法に基づく外国人労働者の就労等の許可の概要

入管法に基づく外国人労働者の就労等の許可の概要

1.外国人の入国・在留・出国の概要

① 外国人の入国の要件

外国人が日本国内に入国するためには次の6つ要件を全て満たす必要があります。空港または港で行われる入国審査官による審査で、これらの要件を満たしているかが審査されます。

(1) 有効な旅券(パスポート)を持っていること。

(2) 旅券に「査証」(ビザ)が記載されていること。
日本国との間に相互に査証免除取決めを結んでいる国の国民が、観光等の目的で入国しようとする場合は査証は必要がありませんが、就職その他報酬を伴う活動に従事する目的で日本国に入国する外国人には適用されません。したがって、入国後に就労する場合には、日本国との間に査証免除取決めを結んでいる国の国民であっても、あらかじめ査証を取得することが必要になります。

(3)入国目的が法定の「在留資格」のいずれかに該当していて、かつ、虚偽でないこと。
在留資格は次のとおりです。なお、2018年入管法等の改正により、「特定技能」が追加されました。(特定技能については「2019年4月施行の入管法等の改正の概要」を参照)

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在留資格の一覧

(4)法務省令で定める上陸許可基準を満たしていること。
在留資格のほとんどについては、入管法に基づき「上陸許可基準」が設けられており、外国人がこれらの在留資格を取得するためには、この上陸許可基準を満たしていることも必要です。

(5)希望する「在留期間」が法定の在留期間に適合していて、かつ、虚偽でないこと。
「在留期間」とは、当該外国人が適法に日本国内に在留することが認められる期間のこといい、それぞれの在留資格ごとに定められています。

(6)その外国人が「上陸拒否事由」に該当していないこと。
次のような上陸拒否事由があり、いずれかに該当すると日本国内への上陸が認められません。

  • 一定の事由により日本国内から退去強制させられた者
  • 火薬類等を不法に所持する者
  • 1年以上の懲役・禁固の刑に処せられたことのある者

② 外国人の日本国内への入国手続

外国人が日本国の空港や港での入国審査をパスするポイントは、その外国人の予定している日本国内での活動が、入管法で定められている「在留資格」のいずれかに該当していて、かつ、虚偽でないと認められることです。
在留資格」が認められるためには、入国審査の際に、「在留資格認定証明書」を提示します。これは、日本国内への入国を希望する外国人が、あらかじめこれを取得し、当該外国人の活動が在留資格取得に必要な要件を満たしていることを証明する書類となります。

(1)在留資格証明書取得の2つの方法
外国人が、日本国の法務省から「在留資格認定証明書」の交付を受けるには、次の2つの方法があります。

  • 代理申請:その外国人を受け入れようとする日本国内の企業等の職員が、その外国人の代理人として、企業等の所在地を管轄する出入国在留管理庁地方入国管理局に申請する方法
  • 本人申請:その外国人本人が、母国に設けられている日本国大使館に申請する方法

(2)代理申請による在留資格証明書取得申請
代理申請による在留資格証明書取得の手続は次のようになります。
ほとんどの外国人が代理申請の方法を用いています。

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本人申請による在留資格証明書取得申請のフロー

  • ① 日本国内の受入れ機関(企業、学校等)と日本国への入国を希望する外国人とが、在留の目的、期間その他諸条件について話合い、合意します。
  • ② その外国人の依頼を受けた申請代理人(受入れ企業等の職員)が、日本の地方入国管理局に対して「在留資格認定証明書交付申請書」を提出します。(誰が申請人になれるかは、取得しようとする在留資格の種類によって異なります。)
  • ③ 申請を受けた日本国内の地方入国管理局は、申請のあった外国人に関する審査を行い、適切と判断したときは、申請代理人に「在留資格認定証明書」を交付します。
  • ④ 申請代理人は、この「在留資格認定証明書」を海外にいる申請人本人(外国人)に直接送付します。
  • ⑤ 申請人(外国人)は、「在留資格認定証明書」が送付されるまでに、あらかじめ自国政府の外務省に申請して「旅券(パスポート)」をもらっておきます。また、申請人(外国人)は、自国内に設けられている日本国の大使館または領事館に「旅券」と「在留資格認定証明書」を提出して「査証(ビザ:日本政府が当人を日本国内に受け入れることの旅券への裏書き)」の申請をします。
  • ⑥ 大使館等は、申請人に「査証」を発給(裏書き)します。不適格の場合は、「不許可通知」をします。
  • ⑦ 査証を発給された外国人は、飛行機または船で日本国に来ます。そして外国人は、日本国の空港または港で査証の記載された旅券(パスポート)と在留資格認定証明書を提出し、日本国政府の入国審査官の審査を受けます。
  • ⑧ 外国人は、旅券に上陸の認印をもらいます。その際に、旅券に上陸許可年月日、在留資格、在留期間及び上陸港名が記載されます。ここで、その外国人の在留資格と在留期間が決定します。なお、中長期在留者には、「在留カード」が交付されます。
  • ⑨ 外国人は日本に上陸し、在留します。市役所等で居住地の届出を行います(住居地を定めてから14日以内)。

③ 日本国内に在留する外国人の義務

日本国内に在留する外国人は、次のことを守らなければなりません。これらに違反した場合には、入管法等に基づき、懲役、禁固あるいは罰金の刑に処せられます。また、場合によっては日本国外に強制退去させられます。

(1)旅券、在留カードを所持すること
日本に在留する外国人は、常に旅券または在留カードを携帯し、入国審査官、入国警備官、警察官等から提示を求められたときは、これを提示しなければなりません。

(2)在留資格に定められた活動範囲を守ること
外国人が日本国内に在留中に行うことができる活動の範囲は、それぞれの在留資格ごとに定められています。外国人は、その在留資格に属する活動以外の収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動(以下「資格外収入活動」という)を行ってはなりません。ただし、業として行う者ではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬は収入の範囲から除かれます。
外国人が「資格外収入活動」を在留資格に基づく活動を阻害しない範囲内で行うおうとするときは、地方入国管理局に申請し、「資格外活動の許可」を受けなければなりません。
また、外国人が付与された在留資格のもとで適法に行うことができる活動をやめて、新たに別の在留資格を所持しなければ適法に行うことができない活動を専ら行おうとするときは、地方入国管理局に申請し、「在留資格の変更の許可」を受けなければなりません。

(3)在留期間を守ること
外国人は、許可された在留期間を超えて日本国内に在留することを禁止されています。
ただし、許された在留期間を超えて日本国内に在留する必要がある場合は、地方入国管理局に「在留期間の更新」を申請することができ、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるとして更新が許可されれば、その外国人は、許可された期間、引き続き日本国内に在留することができます。

④ 外国人の出国、国外退去強制

(1)外国人の出国手続
日本の国外に出国しようとする外国人は、出入国港において、入国審査官に出国許可申請書を提出します。出国の確認は、旅券に出国に証印をすることによって行われます。また、外国人登録をしている外国人が出国する場合は、出入国港で、入国審査官に所持している在留カードを返さなければなりません。

(2)国外への退去強制
外国人が次ぎのいずれかに該当する場合には、国は所定の手続きを経て、日本国から強制的に退去させることができます。

  • ① 資格外収入・報酬活動をもっぱら行っていると明らかに認められる者
  • ② 在留期間の変更または更新の許可を受けないで、在留期間を経過して日本国内に残留する者
  • ③ 在留カードに関する法令の規定に違反して禁固以上の刑に処せられた者
  • ④ 他の外国人に不正に上陸許可等を受けさせる目的での、偽変造文書の作成等を教唆、幇助する行為をした者
  • ⑥ 資格外活動の罪により禁固以上の刑に処せられた者
  • ⑦ 犯罪を犯し、一定の処罰を受けた者
  • ⑧ 不法入国または不法上陸をあおり、そそのかし、または助けた者
  • ⑨ 法務大臣が日本国の利益または公安を害する行為を行なったと認定する者その他

2.入管法上適法に就労できる外国人

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在留資格の一覧

① 活動範囲に制限のない在留資格の取得者

在留資格のうち、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」及び「定住者」を取得している者は、日本国内での活動範囲に制限はありません。当然、働く職種・分野についても制限がありません。
外国人労働者として在留資格を取得できる主なケースは、次の人達です。

(1)日系二世・三世
ブラジルなど外国で生活している日系二世(日本人の子)と三世(日本人の孫)とこれらの配偶者は、「定住者」の在留資格を取得することができます。

(2)難民
日本国に上陸した外国人のうち、人種・宗教・政治的意見などを理由に、本国に戻ると迫害を受ける恐れのある者については、入管法により「難民」として認定され、「定住者」の在留資格が付与されます。
ただし、外国人が船に乗り日本に来ても、出稼ぎなどが真の目的で前述の要件に該当しない場合は、「難民」と認定されず本国に送り返されます。

(3)日本人の配偶者等である外国人
日本人と結婚した外国人、その夫婦の子供として生まれた者、または日本人の民法上の特別養子となった者は、「日本人の配偶者等」の在留資格を取得して入国できます。

② 就労を目的とする在留資格の取得者

「外交」「公用」「教授」「芸術」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興業」「技能」「特定技能」及び「技能実習」の分野で就労することを希望する外国人は、在留資格を取得することで就労が認められます。

③ 就労を目的とする在留資格への変更を許可された者

在留資格「留学」により大学生として在留している外国人留学生が、大学卒業前にあらかじめ、就労を目的とする在留資格(「外交」から「技能」まで)について「在留資格変更の許可」を得れば、卒業後、日本国内の企業等へ就職することができます。
また、例えば、「医療」の在留資格取得者が「教授」の在留資格への変更を許可されれば、その後、医師から大学教授として入管法上適法に就労することができます。
ただし、「短期在留」の在留資格所持者の変更許可申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可されません。
また、在留資格の変更を許可された外国人が就労できる範囲は、新たに取得した在留資格で認められている活動範囲です。

④ アルバイト

昼間の大学、短大、専修学校の専門課程、高等専門学校各種学校、高等学校等に留学している外国人が取得している在留資格は「留学」です。
これらの留学生は、本人が地方入国管理局に資格外活動(いわゆるアルバイト)の許可申請をし、認められれば、その範囲内で適法にアルバイトに従事できます。許可されると、本人の所持している「在留カード」にそのことが記載されます。
許可の基準は次のとおりです。

  • ① 1日の就労時間は、おおむね4時間以内とする(日曜日、休日も同じ)。ただし、長期休暇(夏休みなど)の期間中については、1日8時間まで認める。
  • ② 従事する仕事の内容は、留学生の身分にふさわしいものに限る(風俗営業、危険有害業務、深夜労働などについては許可されません)。バーやスナックでの接客、麻雀店、パチンコ店、ゲームセンターの労働や風俗営業に該当する。
  • ③ 上記①以外のアルバイトをすることを希望する場合は、個別に本来の学業に支障がないか否かを審査して、許可、不許可を決定する。
  • ④ 雇用形態は、常用雇用、臨時雇用などのいずれであってもさしつかえない。

企業等が外国人留学生をアルバイターとして雇い入れるときは、在留カードを確認して、「資格外活動許可」を得て入管法に関して適法に就労できる者であることを確認していください。

⑤ 外国人労働者の副業

「教授」から「技能」まで及び「家族滞在」の在留資格の者が、地方入国管理局からとくに許可されて副業を行う場合(資格外収入活動)も適法です。この場合は、留学生のアルバイトのように許可基準は定められておらず、ケースバイケースで判断されますが、単純労働は認められません。
なお、業として行うものではない講演に対する課金、日常活動に伴う臨時の報酬を受ける活動などについては、許可を得る必要はありません。

⑥ ワーキングホリデー制度による就労

「特定活動」の在留資格を取得している者のうち、ワーキングホリデー制度により働く青年も適法です。
これは、日本国と相手国との協定により、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ等の青年(18歳以上30歳未満の者)が日本国内で観光しながら働くことを認めているものです。

2019年4月施行の入管法等の改正の概要

2019年4月施行の入管法等の改正の概要

 1.入管法等改正の目的

 

入管法等の改正法が2018年12月に成立し、2019年4月1日から施行されました。「入管法」の正式名称は「出入国管理及び難民認定法」で、「等」が付されるのは「法務省設置法」を含む意味で、この入管法等の改正の目的は次のとおりです。

  • ① 外国人の新たな在留資格として、「特定技能1号」と「特定技能2号」を設けること。
  • ② 法務本省内の入管管理局を、同省の「出入国残留管理庁」に格上げし、その組織を拡充すること。

①の改正により、従来の外国人技能実習制度に基づく外国人技能実習生が最長5年間であったのに対して、通算して10年~20年程度雇用することができるようになりました。
つまり、日本国内の企業等は、従来の外国人技能実習制度により、まず、外国人を技能実習生として、最長5年間雇用することができます。
さらに、その後、最長5年間、在留資格「特定技能1号」により雇用することができ、そしてその後も、在留資格「特定技能2号」により雇用することができるようになりました。
以上の改正により、これまで禁止されてきた、外国人の建設、生産、接客等の現場の単純労働者から熟練労働者までの受入が認められることになりました。
そして、新設された「出入国在留管理庁」が日本国の国籍を保持していないすべての外国人の出入国、在留の事務手続、管理及び処分等を行うこととなりました。

 

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外国人技能実習制度と特定技能制度の関係

 

 2.外国人技能制度の概要

外国人技能実習制度は、入国管理法と外国人技能実習法(外国人の技能実習の適正な実子及び技能実習生の保護に関する法律)に基づいて行われています。外国人技能実習生は、在留資格技能実習」により日本国内に在留しています。
外国人技能実習制度は、企業単独型と団体監理型があり、企業単独型は主に大企業で行われており、海外にある合弁企業など事業上の関係を有する企業の従業員を受け入れて行われる活動で、団体監理型は主に中小企業で行われており、商工会等の営利を目的としない団体の責任及び監理の下で行われる活動です。実施されているのは、大多数が団体監理型です。

 

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企業単独型による外国人技能実習

 

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団体監理型による外国人技能実習

外国人技能実習制度は、日本国内の企業が、開発発展途上国等から外国人技能実習生を受け入れて技能・技術・知識を習得させ、人材の育成を通じて国際貢献を図るのが主なねらいですが、これまで、外国人技能実習生を受け入れている団体、企業等の一部が本来の目的を十分理解せず、実質的な低賃金労働者として扱うなどの問題が生じていました。

外国人技能実習の全体のしくみ・流れは次の図のとおりです。

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外国人技能実習制度の流れ

外国人技能実習の実施期間は、最長5年間です。
実習の実施期間中は、当初2か月の座学による講習の期間を除いて、受け入れ企業等と外国人技能実習生の双方に、日本人労働者と同様に、労働関係法令と社会保険関係法令が適用されます。
団体監理型の場合は、実習生受け入れ企業等に対し、監理団体による訪問指導(1か月に1度)及び定期もしくは臨時の監査(3か月に1回以上)が実施されます。
なお、この制度の対象となるのは、国が定める80職種(144作業)に限られており、多いのは、建設関係(22職種、33作業)、機械・金属関係、繊維・衣服関係、食品関係、漁業関係、その他となっています。

 

3.改正入管法等の概要

 改正入管法等の概要は次のとおりです。
外国人技能実習制度は、あくまで国際貢献が目的で、外国人労働者の受入れはありませんでした。今回施行された改正入管法等は、従来、高度な専門分野に限っていた日本国政府外国人労働者の受入れ政策の方針を大幅に転換し、外国人労働者の単純労働分野から熟練技能分野までの就労を認めるものとなります。

在留資格の新設

 

(1)外国人(日本国籍を取得していない者)は、次のいずれかの在留資格を取得することにより、適法に日本国内に在留し、雇用労働者として就労することが認められる。

  • 一定の技能が必要な業務に就く「特定技能1号」
  • 熟練した技能は必要な業務に就く「特定技能2号」

(2)在留資格「特定技能1号」を取得できるのは、次のいずれかの外国人労働者である。

  • 「日本国内での外国人技能実習」を3年間以上終了した者(例えば、「建築大工」の職種の技能実習を修了した外国人は、「建設業」として従事するための「特定技能1号」の在留資格を取得できる)
    (※)外国人技能実習制度の技能実習2号を修了した場合、無試験で「特定技能1号」を取得できることになります。
  • 技能と日本語の能力試験に合格した者(この試験は、中国、ベトナム、タイなど9カ国において政府が実施する)
    (※)特定技能制度は外国人実習制度とは別の制度であるため、技能実習を経なくても能力試験に合格すれば、「特定技能1号」を取得できます。

(3)「特定技能1号」の取得者が、日本国内に在留し、就労できる通算期間は最長5年間とする。また、配偶者と子供の帯同は認められない。

(4)在留資格「特定技能2号」を取得できるのは、次のいずれかの外国人労働者である。

  • 日本国内で「特定技能1号」による就労を修了した者
    (※)「特定技能1号」により通算5年間就労した場合、無試験で「特定技能2号」を取得できることになります。
  • 「特定技能2号」を取得するための技能試験に合格した者
    (※)「特定技能2号」の取得に際しては、日本語の能力についての試験はありません。

(5)「特定技能2号」の取得者が、日本国内に在留し、就労できる期間は、認められた在留期間とする。配偶者と子供の帯同も認められる。在留期間は更新することができ、永住が認められる場合もある。

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日本国政府のこの制度の運用方針

 

(1)この制度の適切な運用を図るため、日本国政府は、在留資格「特定技能1号・2号」に関する基本方針を定めなければならない。

(2)法務大臣は、外国人で人材不足を補う産業分野を所管する関係行政機関の大臣(国土交通省農林水産省経済産業省その他)、外務大臣厚生労働大臣等と共同し、人材不足の状況や求められる人材の基準などを盛り込んだ「分野別運用基準」を定めなければならない。

※「分野別運用基準」として定めれた「分野別運用方針」により、次の分野(特定技能1号14分野・特定技能2号2分野)で特定技能制度が実施されます。

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特定技能制度が実施される産業分野

 

③差別のない雇用契約の締結と遵守

(1)事業主は、「特定技能1号・2号」の分野の労働に従事させる外国人労働者との間で締結する雇用契約において、報酬、教育訓練、福利厚生施設の利用などの待遇について、外国人であることを理由として差別的取扱いをしてはならない。

(2)「特定技能1号」の外国人を受け入れる事業主は、職業生活、日常生活及び社会生活についての支援計画を作成し、この計画に基づいて支援しなければならない。

(3)支援については、出入国在留管理庁長官の登録を受けた支援機関に委託することができる。

(4)登録支援機関及び支援業務に関する必要事項については、法務省令で定める。

 

④特定技能外国人の受入れ停止

 

必要な人材が確保できたと認められる産業分野については、所管する関係行政機関の長が、法務大臣に対して、在留資格認定証明書の交付の停止を求めることができる。

 

⑤指導、助言等

 (1)出入国在留管理庁長官は、雇用契約の適正な履行等に関して、在留資格「特定技能」所持労働者の受入れ先事業主に対して指導や助言を行うほか、立入り検査や改善命令を出すことができる。

(2)出入国在留管理庁長官は、登録支援機関に対しても、指導や助言、登録の取消しをすることができる。

 

⑥罰則

 

(1)出入国在留管理庁長官の発出した改善命令に違反した者については、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科することができる。

(2)事業主が不適正な雇用契約の変更を申し出なかった場合や、虚偽の報告書を提出した者には、30万円以下の罰金を科すことができる。

 

 4.ポイント

  • 従来から設けられていた在留資格技能実習」に加えて、「特定技能1・2号」が設けられたことにより、日本国内の建設、生産、接客等の現場労働分野に、単純無技能労働から熟練技能労働までの広範囲にわたって、外国人労働者を受け入れることが認められました。
  • 在留資格「特定技能1号」また「2号」を取得して、日本国内の企業に雇用された外国人労働者が、同一業種(例えば建設業)の範囲内で、他社に転職することは認められています。(ただし、退職から3か月を超過しても特定技能に該当する就労をしていない場合は、在留手続取消の対象となる可能性があります。)
  • 改正入管法は、現在の建設等をはじめとする深刻な人手不足を解消することが目的です。
  • 改正入管法には、日本国内の企業が「特定技能1号・2号」に基づき外国人労働者を受け入れることができる受入れ対象業種は、記載されていません。具体的な受入れ対象業種は、法務省令により、当面、建設業、農業などの14業種と定められました。
  • 受入れの大半は、「特定技能1号」が占めており、「特定技能2号」については、建設業及び造船・舶用工業に限定されています。
  • 受入れ対象業種は、人手不足の状況等により、見直されることもあります。

 

 

 

 

 

 

 

健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬の定時決定及び随時改定の取扱いについて(昭37.6.28保険発第71号)

健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬の定時決定及び随時改定の取扱いについて(昭37.6.28保険発第71号)

健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬の定時決定に際し保険者において算定する場合の取扱い及び標準報酬の随時改定の取扱いについては、昭和36年1月26日保発第4号厚生省保険局長通達(以下単に「局長通達」という。)並びに昭和36年1月26日保険発第七号厚生省保険局健康保険課長及び厚生年金保険課長通達(以下単に「課長通達」という。)の示す基準により取り扱われてきたところであるが、これらの通達の運用に関してこれまで疑義照会のあつた事項については、次に示すところにより取り扱うこととするので、近く昭和37年度における標準報酬の定時決定の事務をひかえ、遺憾のないようお取り扱い願いたい。
おつて、貴管下健康保険組合に対しては、貴職からこの旨御示達のうえよろしく御指導願いたい。

1 定時決定の保険者算定について

(疑義1)
5、6、七月のいずれかの月において低額の休職給を受けた場合、局長通達1の(2)により定時決定の保険者算定を行なうものとされているが、「低額の休職給」とはどの程度の休職給をさすものか、例えば休職期間中基本給は全額支給されるが、諸手当が支給されないような休職給は、低額の休職給に該当するか。

(回答)
局長通達にいう「低額の休職給」とは、休職しなかつた場合に被保険者が通常受けうべき報酬の額に比べて低額である報酬をさすものである。
なお、休職給とは、通常受ける報酬とは別個に休職という事由に対して設定された給与として支給されるものをさし、日、時間、稼高等稼働実績に比例して報酬が定められている場合において、病気休業中稼働が減じたため給与が減じた場合におけるその給与は、休職給に該当しない。


(疑義2)
課長通達1の(2)にいう「10月以降において受けるべき報酬月額」とは、具体的にはどのように算定すればよいか。

(回答)
10月以降において受けるべき報酬月額は、定時決定時現在における可能な範囲の推定額、すなわち、5、6、7月のうち4月分以前の給料の遅配分、遡り昇給の差額分もしくは低額の休職給の支給されなかつた、又はストライキによる賃金カットを受けなかつた1か月ないし2か月に受けた報酬額の実績により推定するものであり、通常の場合は、当該1か月ないし2か月の実績を用いて算定することとなる。


(疑義3)
5、6、7月の3か月間において4月分以前の給料の遅配分を受けたときは、局長通達の1の(1)により定時決定の保険者算定が行なわれるが、5、6、7月の全部またはいずれかの月の給与の一部の支払が遅配となり八月以降に支払われることとなつたような場合保険者算定にして差し支えないか。

(回答)
定時決定に際し保険者において算定する場合として取り扱つて差し支えない。
なお、この場合、保険者において算定する報酬月額は課長通達1の(2)の「その他の場合」の取扱いと同様とすること。


(疑義4)
5、6、7月の3か月間のうちに3か月定期券の支給があつた場合は、当該月の報酬支払基礎日数が20日未満であるとき等事例によつては保険者において算定する場合として取り扱つて差し支えないか。

(回答)
健康保険法第3条第2項及び厚生年金保険法第21条第1項の規定により算定した額が御例示のように著しく不当と認められるような場合には、保険者において算定する取扱いとして差し支えない。なお、保険者において算定することとした場合における報酬月額は、10月以降において受けるべき報酬月額とすること。


(疑義5)
5、6、7月の3か月のうちにおいて、賞与(年4回以上支給され、昭和36年1月26日保発第5号厚生省保険局長通達により報酬の範囲に含まれるものとする。)の支給があつた場合、事例によつては定時決定に際し保険者において算定する場合として差し支えないか。

(回答)
疑義4の場合に準じて取り扱われたいこと。


(疑義6)
年間を通じ4回以上支給されない通勤費(6か月ごとに支給される定期券等)も報酬に含まれるものと解して差し支えないか。もし、報酬に含まれるものとすれば、5、6、7月のうちの3か月間においてこれが支給された場合における定時決定の取扱い如何。

(回答)
通勤費についてその数か月分を一括して現金又は定期券等により支給するのは、単に支払上の便宜によるものとみられるから、設問の年4回以上支給されない通勤費(6か月ごとに支給される定期券等)は、報酬の範囲に含まれるものと解される。なお、5、6、7月の3か月間のうちにおいて当該通勤費が支給されたときの定時決定の取扱いについては疑義4の場合と同様とする。


(疑義7)
次の設例の場合、定時決定に際しては、保険者において算定する場合として取り扱い10月以降において受けるべき報酬月額(標準報酬等級第18級月額3万円)で決定して差し支えないか。
もし保険者算定を行なわないとすれば、取得時においては標準報酬等級第18級で決定され、定時決定においては、報酬月額2万5000円(6、7月の二か月の報酬の算術平均額)、標準報酬等級第16級で決定することになる。

(設例)
6月11日資格取得 月給3万円
6月分給与 2万円(20日分の日割計算)
7月分給与 3万円

(回答)
設例の場合、お見込みのとおり標準報酬等級第18級3万円で決定して差し支えない。



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健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて(昭53.6.20保発第47号・庁保発第21号)

健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて(昭53.6.20保発第47号・庁保発第21号)

 
健康保険法第3条第5項及び厚生年金保険法第3条第1項第8号の規定により賃金、給料、俸給、手当又は賞与及びこれに準ずべきもののうち、臨時に受けるもの及び3か月を超える期間ごとに受けるもの以外のものは、標準報酬月額に係る報酬(以下「報酬」という。)とされているが、この取扱いについて左記のとおり定めたので遺憾のないよう取り計らわれたい。
 

1 報酬の範囲

(1) 毎年7月1日現在における賃金、給料、俸給、手当又は賞与及びこれに準ずべきもので毎月支給されるもの(以下「通常の報酬」という。)以外のもの(以下「賞与」という。)の支給実態がつぎのいずれかに該当する場合は、当該賞与は報酬に該当すること。

ア 賞与の支給が、給与規定、賃金協約等の諸規定(以下「諸規定」という。)によつて年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているとき。

イ 賞与の支給が7月1日前の1年間を通じ4回以上行われているとき。

したがつて、賞与の支給回数が、当該年の7月2日以降新たに年間を通じて4回以上又は4回未満に変更された場合においても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、報酬に係る当該賞与の取扱いは変らないものであること。

 

(2) 賞与の支給回数の算定は、次により行うこと。

ア 名称は異なつても同一性質を有すると認められるもの毎に判別すること。

イ 例外的に賞与が分割支給された場合は、分割分をまとめて一回として算定すること。

ウ 当該年に限り支給されたことが明らかな賞与については、支給回数に算入しないこと。

 
2 賞与に係る報酬額の算定

 

 (1) 賞与に係る報酬額は、標準報酬月額の定時決定又は7月、8月若しくは9月の随時改定の際、次により算定すること。

ア 7月1日前の1年間に受けた賞与の額を12で除して得た額


イ 7月1日以前1年内に諸規定により賞与の支給回数が変更され、新たに当該賞与が報酬に該当したときは、変更後の諸規定による賞与の支給回数等の支給条件であつたとすれば同日前1年間に受けたであろう賞与の額を算定し、その額を12で除して得た額

 

(2) 1の(1)に該当する事業所に使用される者の資格取得時における賞与に係る報酬額は、当該事業所において、同様の業務に従事し、同様の賞与を受ける者の賞与に係る報酬の平均額とすること。

(3) 賞与に係る報酬の額に変動があつても、当該変動に基づく随時改定は行わないこと。

また、通常の報酬に著しい変動があり、随時改定(7月、8月又は9月の随時改定を除く。)を行う場合は、新たに賞与に係る報酬の額を算定することなく。(1)又は(2)に基づき算定した賞与に係る報酬の額を変更後の通常の報酬の額に加算すること。

 

 

 

健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて(平30.7.10保 保発0730第1号・平30.7.10年管管発0730第1号・昭53.6.20保険発第72号・昭53.6.20庁保険発第9号)

 標記については、昭和53年6月20日保発第四七号、庁保発第二一号(以下「局、部長通知」という。)により通知されたところであるが、これによるほか、次の事項に留意のうえ遺憾のないよう取り扱われたい。
なお、貴管下健康保険組合に対する周知方につき御配意願いたい。

 

1.報酬の範囲

 

(1)局、部長通知1の(1)にいう「通常の報酬」には、1か月を超える期間
にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されることとなる場合その他これに準ずる場合は含まれないこと。
(2)局、部長通知にいう「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」及び「賞与」は、名称の如何にかかわらず、二以上の異なる性質を有するものであることが諸規定又は賃金台帳等から明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること。
(3)局、部長通知1の(1)にいう「賞与」について、7月2日以降新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること。
(4)局、部長通知1の(2)のイにいう「例外的に賞与が分割支給された場合」とは、事業主のやむを得ない事情等のため、諸規定又は慣例によらず賞与が分割支給されたときをいうものであること。
(5)局、部長通知1の(2)のウにいう「当該年に限り支給されたことが明らかな賞与」とは、過去数年にわたって支給されたことがなく、諸規定又は慣例から判断して、当該年に限り特別に支給された賞与をいうものであること。


2 賞与に係る報酬額の算定

 

(1)局、部長通知2の(1)のイにいう「同日前1年間に受けたであろう賞与
の額」は、次によること。
ア  変更後の諸規定による賞与の支給実績がない場合は、変更前の諸規定に基づき7月1日前1年間に支給された額とする。

イ 変更後の諸規定による賞与の支給実績がある場合は、その実績から7月1日前1年間に受けたであろう額とする。
ただし、その額が、同日前1年間に支給された額と大差がないと認められるときは、当該支給された額をもつてその額として差し支えない。


(2)6月中に資格を取得した者の賞与に係る報酬額は、当該事業所において、同様の業務に従事し、同様の賞与を受ける者の同月以前1年間に受けた賞与の額(同月中に受けるであろう賞与の額を含む。)を12で除して得た額の平均額とすること。


3.その他

 

(1)報酬に係る賞与については、局、部長通知2により算定される額等を、各
種届書の備考欄に記載させること。
(2)賞与に係る報酬額は、標準報酬月額に係る決定通知書の備考欄に明示する
こと。
(3)賞与の支給状況については、報酬月額算定基礎届の提出の際に総括表等に
記載させることにより的確に把握しておくこと。

 

 

 
 

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イーライフ事件(東京地判平25.2.28労判1074号47頁)

イーライフ事件(東京地判平25.2.28労判1074号47頁)

1.事件の概要

Xは、ポータルサイトの運営及びIT関連事業等を営むY社で、東京事業部に所属する年俸制の従業員であった。Xは、元上司であった訴外A(Y社を退職後にY社と同種・同業である訴外B社を設立し、Y社の顧客を奪取)の依頼を受けて、1年以上にわたってB社の競業業務を請け負い、顧客の奪取に加担した。Y社は、本件競業行為等への加担行為は懲戒事由に該当するものとして、Xを懲戒解雇とし、退職金の一部を不支給とした。これに対して、XがY社に対し、退職金規程に基づく退職金及び時間外労働賃金等を請求したのが本件である。 なお、Y社の給与規程13条には,精勤手当について「会社は、営業社員について本規程第15条の超過勤務手当に代えて、精勤手当を定額で支給する。なお、超過勤務手当が精勤手当を超える場合には、その差額を支給する」と規定されていた。

2.判決の概要

①退職金の不支給について

Xは、Y社の従業員として雇用契約の継続中、使用者であるY社の利益に著しく反する競業行為及び顧客等の奪取行為を差し控える義務(以下「競業避止義務等」という。)を負っているものと解されるところ、Y社は、Aが競業会社であるB社を設立した上、その顧客を奪取し、あるいは奪取しようとしていることを認識しつつ、本件雇用契約の継続中であるにもかかわらず、1年余りにわたって継続して本件競業行為等に加担したこと、そして、その加担の内容は、競業業務(ホームページのデザイン作成作業等)の手伝いにとどまらず、Y社の重要顧客に関するホームページのデザイン制作という顧客奪取にとって不可欠な行為にまで及んでいるばかりか、その態様もEメール等によりAのほかB社の担当者との間でかなり周到な連絡を取り合った上、Y社の就業時間内においても、Y社のパソコンを利用するなどして行われているほか、その対価としてXは、飲食代をおごって貰ったり、10万円程度の報酬を受け取るなどしたこと、そして、実際にXの上記加担期間中におけるY社の重要顧客からの売上にかなりの減収が生じていることなどの事実関係が認められる。 以上によると、Xによる本件競業行為等への加担の性質及び態様等に照らすと本件懲戒解雇は、「客観的に合理的な理由」を欠くものではなく、かつ、社会通念上も相当と認められ、有効と解するよりほかはない。そこで次に本件懲戒解雇事由が、それまでのXの勤続の功を抹消又は減殺するほどの著しい背信行為に当たるものと評価し得るか否かについて検討するに、そもそもXの正社員としての勤続年数は10年に満たないところ、本件懲戒解雇事由である本件競業行為等への加担は、その経緯、期間、内容、態様等からみて、XがY社に対して負っている競業避止義務等に著しく違反する悪質な行為であって、それまでのXの勤続の功を抹消してしまうほどの著しい背信行為であったとの評価が十分に成り立つものと考えられ、・・・(中略)退職金規程に記載されている不支給規定は、本件退職金請求に対して、全面的に適用されるものというべきである。

②時間外賃金の請求について

給与規程13条は、精勤手当について、「会社は、営業社員について本規程第15条の超過勤務手当に代えて、精勤手当を定額で支給する。なお、超過勤務手当が精勤手当を超える場合には、その差額を支給するものとする。」と、また同15条は、時間外勤務手当の計算方法として、「基本給/その年度における1カ月の平均所定労働時間×時間外労働時間数×1.25」と規定している。しかし、Xは、東京事業部所属の従業員であって「営業社員」ではなく、したがって、本件給与規程13条の適用はない。 これに対しY社は、本件給与規程13条は「年俸制の従業員」を書き漏らしたに過ぎない旨主張しているが、本件給与規程は平成19年に制定され、平成22年4月1日に改定されているところ、Y社の主張によれば、この間一貫して、年俸制の従業員に対する精勤手当は残業手当の趣旨で支払われていたというのであるから、平成22年の改定においても、本件給与規程13条の「年俸制の従業員」が記載されていないことに気が付かなかったというのは、やはり不自然である。・・・(中略)いずれにしても本件給与規程13条は、その適用対象従業員として「年俸制の従業員」を規定していないのであるから、その効力(労働契約規律効ないし契約内容補充効。労契法7条)により、同条の定めが本件雇用契約の内容の一部となっているものと解する余地はない。 また、仮に本件みなし残業合意がXとY社の間に成立していたとしても、かかるみなし残業合意が有効とされるためには、 ① 当該手当が実質的に時間外労働の対価としての性格を有していること、 ② 定額残業代として労基法所定の額が支払われているかどうかが判定できるように、その約定(合意)の中に、明確な指標が存在していること、 ③ 当該定額(固定額)が労基法所定の額を下回るときは、その差額を当該賃金の支払時期に精算するという合意が存在するか、あるいは少なくともそうした取扱いが確立していること が必要不可欠であると解される。

そして、①の要件を満たすためには、少なくとも当該手当が、(1)時間外手当に従事した従業員だけを対象として支給され、しかも、(2)時間外労働の対価 以外に合理的な支給根拠(支給の趣旨・目的)を見いだすことができないことが必要であり、②の要件を満たすためには、少なくとも当該支給額に固定性(定額性)が認められ、かつ、その額が何時間分の時間外労働に相当するのかが指標として明確にされていることが必要である解されるところ、Xに支給されていた精勤手当は、年間に数回も変動しており、その幅も決して小さくなく固定性(定額制)に疑問があるばかりか、その合意中に当該支給額が何時間分の時間外労働に相当するものであるかを明確にする指標を見出すことはできない。さらに③の要件を満たすには、労基法所定の割増賃金との差額精算の合意ないしはその取扱いが確立していることで足りるところ、少なくとも本件全請求期間のうち本件コンピューター入力システムに転換した後の期間についてはY 社の指示により当初から出社時刻の入力記録しか残されておらず、これでは上記労基法所定の割増賃金との適正な差額精算など行いようもないことは明らかであるから、他に上記差額精算の合意ないし取扱いが存在したことを認めるに足る証拠はない。 以上によれば仮にXとY社間に本件みなし残業合意が成立していたとしても、その合意は、上記各要件を満たさず、無効と解するよりほかはない。

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