社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

2021年4月1日から36協定届が新しくなります

2021年4月1日から36協定届が新しくなります

特に区別していない会社も多いとは思いますが、36協定と36協定というのは別のものです。
36協定という、使用者と労働者の間の契約を締結し、締結した旨とその概要を労働基準監督署に届け出るのが36協定です。
今回、押印・署名が廃止されるのは、36協定についてです。
一方、36協定の方は労基署に提出しないとはいえ、契約の一種ですので、通常の契約書と同様に、締結したことを証することができるよう、記名押印もしくは署名をして会社で保管しておくことになります。
ですので、押印・署名をしなくても労働基準監督署に36協定を提出することはできますが、36協定届と36協定を区別していない会社では、これまでと同様に記名押印もしくは署名により提出すべきです。


1.主な変更点

①36協定届における押印・署名の廃止

労働基準監督署に届け出る36協定届について、使用者の押印及び署名が不要となります。
※記名はしていただく必要があります。

②36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

36協定の適正な締結に向けて、労働者代表(※)についてのチェックボックスが新設されます。
※労働者代表:事業場における過半数労働組合又は過半数代表者

2.施行時期

2021年4月1日

3.新書式

こちらからダウンロードできます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/index.html

記載例
https://www.mhlw.go.jp/content/000708408.pdf

【同一労働同一賃金】社会福祉法人青い鳥(横浜地判令2.2.13労判1222号38頁)

同一労働同一賃金社会福祉法人青い鳥(横浜地判令2.2.13労判1222号38頁)

1.事件の概要

Y社は、第二種社会福祉事業として、障害福祉サービスの経営等を行うほか、公益事業として、障害児の診療相談、検診及び治療に関わる事業、Dを経営する事業等を行う社会福祉法人であり、就労支援・援助センターであるC就労支援センター(以下「本件支援センター」という。)を運営しており、Xは、社会福祉士の資格を有する女性であり、平成25年5月1日、Y社との間で、期間を平成26年3月31日までとする有期労働契約を締結した後、同契約を1年ごとに5回更新し、現在に至るまで本件支援センターにおいて相談員として勤務していた。
Xは、平成27年6月30日に第一子を、平成30年1月29日に第二子を出産ししたが、Xが、第一子出産時にY社との間で締結していた労働契約の内容は、以下のとおりである。

 (ア)就業場所 本件支援センター
 (イ)仕事の内容 就労支援業務
 (ウ)就業日 週4日(月、火、水、木)
 (エ)就業時間 午前8時45分から午後5時15分まで(休憩1日1時間)
 (オ)賃金 時給1360円
 (カ)賃金支払日 翌月25日

また、Xが、第二子出産時にY社との間で締結していた労働契約の内容は、時給が1540円であるほかは、第一子出産時と同様であった。

このようなXが、期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という。)をY社と締結している職員との間で、産前休暇の期間及び産前産後の休暇期間における給与の支給の有無に相違があることは、労働契約法20条に違反すると主張して、

①労働契約に基づき、産前休暇及び産前産後の休暇期間における給与の支給について、無期労働契約の職員と同様の就業規則の規定の適用を受ける労働契約上の権利を有する地位にあることの確認
不法行為に基づく損害賠償として、第一子の出産の際に、無期労働契約の職員と同様の扱いを受けていれば産前8週間に支払われるべきであった給与と、Xが全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」という。)から出産手当金として支給された金員との差額に相当する14万1560円
③第二子の出産に関して、不法行為に基づく損害賠償として、産前8週間前から同6週間前までの期間にXが取得した年次有給休暇相当額である9万2400円及び主位的には労働契約に基づく賃金請求として、予備的に不法行為に基づく損害賠償として、無期労働契約の社員と同様の扱いを受けていれば産前6週間及び産後8週間の期間に支払われるべきであった給与と、Xが協会けんぽから出産手当金として支給された金員との差額に相当する19万1520円
不法行為に基づく損害賠償として、Xが無期雇用契約社員と有期雇用契約社員を区別する違法な取扱いによって被った精神的苦痛に対する慰謝料

等を求めて、Y社を提訴したのが本件である。

なお、Y社の就業規則等は次のとおりであった。

(Y社の就業規則の規定 )
Y社には、通常の就業規則(以下、無期就業規則)のほかに、主として有期労働契約の職員を対象とした「有期雇用契約職員就業規則」(以下「有期就業規則」という。)が定められている(以下、Y社との間で無期労働契約を締結し、無期就業規則の適用を受ける職員を「無期契約職員」と、有期労働契約を締結し、有期就業規則の適用を受ける職員を「有期契約職員」という。)。
就業規則における出産休暇に係る規定では、無期契約職員について、産前8週間、産後8週間の出産休暇が付与され、これらの休暇期間中通常の給与が支給されることとなっている一方で、有期契約職員については、出産休暇期間が産前6週間、産後8週間とされ、これらの休暇期間中は無給であるとの相違があった(以下、無期契約職員に付与される産前休暇を「本件出産休暇」、出産休暇期間中に支給される給与を「本件出産手当金」という。)。

※要約すると、次のような差異があったということです。
Xは、社会保険に加入しているので、無給であっても協会けんぽから出産手当金(標準報酬月額の約2/3)の支給を受けることはできました。

産前休業期間
 無期契約職員:8週間(有給)
 有期契約職員:6週間(無給)

産後休業期間
 無期契約職員:8週間(有給)
 有期契約職員:8週間(無給)

また、X産前産後休暇の取得等の状況は次のとおりであった。

(Xの産前産後休暇の取得状況等 )
ア  Xは、第一子の出産時(出産予定日は平成27年7月8日)に、産前産後休暇として出産予定日の8週間前である同年5月14日から、出産日の8週間後である同年8月25日まで就労せず、同期間は無給とされた。
なお、Xは、同年9月7日、協会けんぽから、出産手当金として43万9830円を受給した。
イ  Xは、第二子の出産時(出産予定日は平成30年1月31日)に、出産予定日の8週前である平成29年12月7日から出産予定日の6週間前である同月20日までの2週間、年次有給休暇を取得し、その後、産前産後休暇として、同月21日から出産日の8週間後である平成30年3月26日まで就労せず、同期間は無給とされた。
なお、Xは、同年4月17日、協会けんぽから、出産手当金として36万2880円を受給した。

※産前休暇について、出産手当金は出産予定日より6週間前からしか支給されないため、8週間前から産前休暇に入ったXは、最初の2週間は何の支給もない状態となります。本来であれば、無期契約職員は、法定どおり、出産予定日の6週間前からしか産前休暇は認められないので、最初2週間は会社の承諾のある欠勤であるとも考えられます。なお、有給となっている日に対して、出産手当金が支給されませんので、無期契約職員には出産手当金は支給されません。

また、Y社の職員の状況は次のとおりであった。

(Y社の職員について)
Y社に勤務する無期労働契約の職員は、専門職である精神保健福祉士社会福祉士等として、障害児の療育相談、障害者の地域生活・就労支援等の相談及び支援等を内容とするソーシャルワーカー業務に従事する者(以下「ソーシャルワーカー正社員」という。)と、これらのソーシャルワーカー業務に従事しない者(以下「非ソーシャルワーカー正社員」という。)に分けられる。
他方で、Xのように、有期労働契約の職員の中にも、ソーシャルワーカー業務に従事する者(以下「ソーシャルワーカー非正規社員」という。)が存在する。

2.双方の主張

① 本件出産休暇及び本件出産手当金に係る労働条件の相違が労働契約法20条に違反するか否かに関する主張

(Xの主張)
ア 本件出産休暇及び本件出産手当金は、出産以外を契機として与えられることはなく、その目的は、労働基準法所定の出産休暇や一般的な産休手当と同様、母体の保護及び産休中の経済的安定を図ることによる実質的男女平等の確保にある。そのため、業務内容、責任の範囲、業務範囲等や配置の変更の範囲は関係なく、等しく女性であれば与えられるべきであり、Xと無期契約職員との間に労働条件の相違を設ける本件区別は不合理ある。
イ Y社は、本件出産休暇及び本件出産手当金の趣旨は中核的人材の確保にあるところ、中核的人材として確保しなければならない人材は、育成に時間と費用がかかる専門職従事者であるとしており、そうであれば、専門職であるソーシャルワーカー以外に本件出産休暇及び本件出産手当を付与する理由はないし、また、中核的人材は必ずしもY社内で育成する必要はないから、本件出産休暇及び本件出産手当について、有期契約職員のみを除外する理由はない。
また、Y社は、法定の給付部分とそうでない部分を分け、後者についての使用者の裁量権を強調するが、就業規則上も、運用上も、法定の給付部分とそうでない部分を分ける根拠や分離して運用している実態は存在しないから、手当は一体として考慮されるべきである。Y社の主張は、法定の最低限を充足していれば、最低限とそれ以上を分けて、それ以上の部分について労働契約法20条等の均等均衡原則が及ばないとするに等しく、失当である。
Xと比較対象とされるべき無期契約職員である支援員Aの地位にある者では、①中核的業務は相談業務と共通しており、②その責任の範囲も基本的には同一で、③業務等及び変更の範囲については、Xも無期雇用労働者も業種の変更ができない。また、無期契約職員には転勤があるものの、転勤の回数が少ない者や、これを経ずに管理職になった者もいる以上、重要な違いには当たらない。このように、業務等が同一である中で、Y社は本件出産休暇及び本件出産手当金による労働条件の相違の内容を合理的に説明しておらず、本件出産休暇及び本件出産手当金が不合理であることは明らかである。


(Y社の主張)
ア 無期就業規則28条4項に基づく本件出産手当金が定められた昭和59年当時、女性労働者の割合が少なく、出産を機に退職する女性労働者が多かったため、女性労働者の割合が多いY社にとって、将来の法人経営における中核的人材及びその候補者となる女性労働者の確保は、重要な経営課題であり、また、女性労働者の中には、専門職に従事する者が多数含まれ、専門職従事者の育成には時間と費用がかかるため、出産による女性労働者の退職は他の法人よりも深刻な問題であった。そこで、本件出産手当金は、出産による女性労働者の流出を防ぎ、将来の法人経営における中核的人材を確保するために導入されたものである。
ここでいう中核的人材とは、Y社の経営の中枢として、各施設、事業の管理・運営の責任者となっている者で、勤務成績に応じて変動する全8段階からなるグレード制職位のうち、グレード6及び7に位置する人材をいい、本件に関していえば、ソーシャルワーカー正社員で、事業所の施設長等の立場でY社の経営に参画する者をいう。実際、Y社においては、11か所の事業所のうち、少なくとも4か所の事業所の施設長をソーシャルワーカー正社員が務め、中核的人材としての役割を果たしているが、その理由は、専門職たるソーシャルワーカーとしての実務経験を積むことで、実務経験のないソーシャルワーカーの新人従業員を適切に指導育成することができるからである。
このような経緯に鑑みれば、本件出産手当金は、主に出産に伴って将来の法人経営における中核的人材が退職することを防ぐという人的資源の確保を目指したものであり、経営上の裁量に委ねられるべき要素の強いものである。そして、これは、本件出産休暇についても同様である。
イ 将来、中核的人材に登用される可能性があるのは、グレード1ないし5に属する無期契約職員であり、Y社においては、中核的人材による部下に対する影響力の強さや、職員のモチベーションへの影響を考慮して、無期契約職員に対して組織をマネジメントできる能力を身に付けられるよう時間をかけて段階的に育成するとともに、施設の事業契約を踏まえた個人の目標を設定させ、その達成度とリンクさせる等した人事考課制度を適用している。また、無期契約職員は、転勤が予定されているが、この配置転換を通じて様々な事業所を経験し、事業所の施設長の補佐業務を担当することで、事業所運営を学び、組織マネジメント能力を身に付けることができている。
他方で、有期契約職員は、雇用契約上、業務の内容、就業時間、場所について制限があることから、無期契約職員のように複数の事業所を経験したり、事業所運営に携わったりすることができず、組織をマネジメントするための能力を身に付けることができない。そのため、無期契約職員に設けられているような人材育成を目的とした人事考課制度やグレート制職位は適用されず、中核的人材に登用される可能性もない。
ウ 上記に述べた本件出産手当金の趣旨との関係からすれば、本件区別には合理性が認められる。すなわち、Y社における無期契約職員の女性労働者は、事務職で41.7パーセント、専門職で80.7パーセントと非常に高い割合を占めていることから、現在においても出産に

緊急事態宣言を踏まえた追加支援策のご案内

緊急事態宣言を踏まえた追加支援策のご案内

厚生労働省より、緊急事態宣言の発出を踏まえて生活と雇用を守る追加支援のご案内が公表されています。

https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000716487.pdf

感染防止や夜間営業の制限などで仕事が減少した場合

※短時間休業の場合や、シフト制、日々雇用等の方でも、仕事が無くなった日にも雇用関係が継続するなど、要件を満たせばそれぞれの措置の対象となります

※シフト制、日々雇用等の方でも、仕事が無くなった日にも雇用関係が継続するなど、要件を満たせば
それぞれの措置の対象となります

雇用調整助成金新型コロナウイルス感染症特例

・事業主が労働者に支払った休業手当等について以下の助成(助成額日額上限:15000円)
・中小企業4/5(解雇等を行わない場合10/10)・大企業2/3(解雇等を行わない場合3/4 )
※緊急事態宣言対象地域の知事の要請を受けて営業時間の短縮に協力する飲食店等に対しては、雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率を最大10/10 に引き上げられます。また、生産指標が前年又は前々年同期と比べ、3か月で30 %以上減少した全国の大企業についても助成率を最大10/10に引き上げられる予定です。

※緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで現行措置が延長される予定です。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

中小企業の労働者で休業手当の支払を受けられなかった場合、休業前賃金の80%
(給付額日額上限:11000円)

※緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで現行措置が延長される予定です 。


夜間営業の制限など仕事が無くなるなどにより生活費にお困りの場合

緊急小口資金・総合支援資金(生活費)

休業等により一時的な資金が必要な方及び失業等により生活の立て直しが必要な方への貸付を実施。
・緊急小口資金:20万円(上限)
・総合支援資金:20万円/月×3月=60万円(上限)
※日常生活の維持が困難な場合、3か月以内の延長貸付あり
  (注)2人以上世帯の場合。単身世帯の場合は15 万円。

※令和4年3月末以前に返済時期が到来する予定の貸付について、引き続き経済が厳しい状況等を踏まえ、返済の開始時期が令和 4 年 3 月末まで延長されます。

住居確保給付金(家賃)

休業等に伴う収入減少等により住居を失うおそれのある方等に対して、家賃相当額を原則3か月(最長9か月(令和2年度中に新規申請した方は最長12か月))支給。(支給上限:住宅扶助特別基準額)

※令和3年3月末までの間、住居確保給付金の支給が一旦終了した方に対して、3か月間の再支給を可能とする予定です。(2月上旬)


sr-memorandum.hatenablog.com


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雇用調整助成金の特例措置等の延長等について

雇用調整助成金の特例措置等の延長等について

2月7日緊急事態宣言が解除される見込みが低いと思われますが、2月末までに解除されれば、現行の特例措置は3月末までとなる見込みです。その後は、地域や企業の業績によっては、5月までは一定の特例の適用を受けることができるようになるようです。
また、大企業については、売上げ等が前年又は前々年同期と比べ、最近3か月の月平均値で30%以上減少していれば、地域・業種に関係なく、当該宣言が全国で解除された月の翌月末までは助成率10/10(解雇を行った場合は、4/5)となるようです。いつから適用になるのか等の詳細は今後決まるものと思われます。

※雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置を段階的に縮減するとありますので、状況に応じて、「緊急事態宣言解除の翌月末まで」あるいは「緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月から2か月間」といった期間は延長される可能性もあります。


(注)以下は、事業主の皆様に政府としての方針を表明したものです。
施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要で、現時点での予定となります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/enchou0122_00002.html

1.雇用調整助成金の特例措置等の延長

雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金(以下「雇用調整助成金等」という。)、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下「休業支援金等」という。)については、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで(※1)現行措置が延長される予定です。

※1 緊急事態宣言が2月7日に解除された場合、3月末まで。

2.特に業況が厳しい大企業への雇用調整助成金等の助成率引上げ

今般の緊急事態宣言に伴い、緊急事態宣言対象地域の知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する飲食店等に対しては、雇用調整助成金等に係る大企業の助成率を最大10/10 に引き上げることとされていますが、これに加え、生産指標(売上等)が前年又は前々年同期と比べ、最近3か月の月平均値で30%以上減少した全国の大企業に関して、当該宣言が全国で解除された月の翌月末まで、雇用調整助成金等の助成率を以下のとおり最大10/10とする予定です。

 ・解雇等を行わない場合の助成率  10/10(これまでの特例措置の助成率3/4)
 ・解雇等を行っている場合の助成率 4/5(これまでの特例措置の助成率2/3)

そのうえで、緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月から(※2)、雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則的な措置を段階的に縮減するとともに、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業について別紙のとおり特例を設ける予定です。

※2 緊急事態宣言が2月7日に解除された場合、4月1日から。

別紙

<緊急事態宣言が全国で解除された月の翌々月から2か月間の措置として想定する具体的内容>

○原則的な措置を以下のとおりとする。
雇用調整助成金等の1人1日あたりの助成額の上限:13,500 円(現行15,000円)
・事業主が解雇等を行わず、雇用を維持した場合の中小企業の助成率:9/10(現行10/10)
※ 休業支援金等の1人1日あたりの助成額の上限:9,900 円(現行11,000 円)

○感染が拡大している地域(※1)・特に業況が厳しい企業(※2)の雇用維持を支援するため、特例を措置(上限額15,000 円、助成率最大10/10)。
※1 内容は追って公表予定
※2 生産指標(売上等)が前年又は前々年の同期と比べ、最近3か月の月平均値で30%以上減少した全国の事業所

※別紙は、2月7日に緊急事態宣言が解除された場合、4月・5月の2か月間を予定した措置(川口補足)

雇用調整助成金Q&A(緊急事態特例)

雇用調整助成金Q&A(緊急事態特例)

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000724322.pdf

09ー01 緊急事態宣言対応特例の対象となるのはどのような企業でしょうか

新型インフルエンザ等対策特別措置法平成24年法律第31号)(以下「特措法」という。)第32条第1項に基づく緊急事態宣言に伴い、緊急事態措置の対象区域の属する都道府県(以下「特定都道府県」という。)の知事による、特措法第18条に規定する基本的対処方針に沿った要請又は働きかけ(以下「要請等」という。)を受けて、当該要請等について指定区域ごとに指定された期間を通じて、特措法施行令第11条に定める施設(※)の内、指定区域内に所在する全ての施設において要請等の内容を満たす営業時間の短縮、当該施設の収容率若しくは当該施設を利用できる人数の制限又は飲食物の提供を控えることに協力する大企業事業主が対象となります。
※ 特措法施行令第11条に定める施設(三から十四に掲げる施設にあっては、その建設物の床面積の合計が1000平方メートルを超えるものに限る。)
一 学校(三に掲げるものを除く。)
二 保育所、介護老人保健施設その他これらに類する通所又は短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所又は短期間の入所の用に供する部分に限る。)
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学、同法第百二十四条に規定する専修学校(同法第百二十五条第一項に規定する高等課程を除く。)、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校その他これらに類する教育施設
四 劇場、観覧場、映画館又は演芸場
五 集会場又は公会堂
六 展示場
七 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(食品、医薬品、医療機器その他衛生用品、再生医療等製品又は燃料その他生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものの売場を除く。)
八 ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。)
九 体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場
十 博物館、美術館又は図書館
十一 キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設
十二 理髪店、質屋、貸衣装屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
十三 自動車教習所、学習塾その他これらに類する学習支援業を営む施設
十四 飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設(十一に該当するものを除く。)
十五 三から十四までに掲げる施設で会って、その建築物の床面積の合計が1000平方メートルを超えないもののうち、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の発生の状況、動向若しくは原因又は社会状況を踏まえ、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため特措法第45条第2項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの

09ー02 対象となる施設を教えてください

特定都道府県の知事による、特措法第18条に規定する基本的対処方針に沿った要請等の対象となる施設は以下のとおりです。 
【要請対象】 
(a) キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設の内食品衛生法上における飲食店営業の許可を受けている飲食店(宿泊を目的とした利用が相当程度見込まれるネットカフェ・マンガ喫茶等の施設を除く。) 
(b) 飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設((a)に該当するものを除く。)
【働きかけ対象】 
(c) 劇場、観覧場、映画館又は演芸場 
(d) 集会場又は公会堂 
(e) 展示場 
(f) 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(食品、医薬品、医療機器その他衛生用品、再生医療等製品又は燃料その他生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものの売場を除く。) 
(g) ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。) 
(h) 体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場 
(i) 博物館、美術館又は図書館 
(j) 理髪店、質屋、貸衣装屋その他これらに類するサービス業を営む店舗((a)から(e)、(g)から(i)の施設については床面積の合計が1000平方メートルを超えないものも対象となる。)

09ー03 特定都道府県の知事が、特措法施行令第11条に定める施設以外の施設に行った要請等に応じた場合は特例の対象となりますか

対象になりません。

09ー04 特定都道府県以外の都道府県の知事が、独自に行った要請等に応じた場合は特例の対象となりますか

対象になりません。

09ー05 要請等に対し、部分的(一部の曜日や一部の店舗など)に応じた場合であっても特例の対象となりますか

特定都道府県に設置している店舗の一部で対応している場合や時短営業に休日のみ対応している場合は対象になりません。対象となるためには、要請等に全面的に協力している必要があります。

09ー06 要請等は1月8日から行われていましたが、1月11日までは営業時間の短縮に当たっての検討や準備をい、12日から営業時間の短縮を始めました。この場合でも特例の対象となりますか

本来、指定区域ごとに指定された期間を通じて全面的に協力を行う必要がありますが、営業時間の短縮を始めるために準備が必要な場合は、その期間も含めて特例の対象とします。

09ー07 もともと20時までの営業としている飲食店等でも特例の対象となりますか

○従来から閉店時間を20時前に設定している施設については、特例の対象になりません(要請等に応じて休業することが要件となります)。

09ー08 営業時間が9時から17時の要請等対象施設において、全日休業した場合は対象となりますか

要請等(20時までの営業)に応じて休業をしている訳ではないので、特例の対象になりません。

09ー09 要請等に応じるため、20時で飲食店等を閉店した後、テイクアウトでの営業を続けた場合は特例の対象となりますか

特例の対象になります。

09ー10 テイクアウトやデリバリーの専門店は特例の対象となりますか

特例の対象になりません。対象となる施設は、09-02を確認ください。

09ー11 特定都道府県以外の都道府県に事業所を設置している事業主が、指定区域の要請等対象施設において要請等に応じて休業を実施した場合、特例の対象となりますか

指定区域の要請等対象施設のみ特例の対象となります。

09ー12 要請等の対象となっていない施設が、要請等対象施設の営業時間短縮等の影響を受け、休業を余儀なくされた場合、特例は適用されますか

特例の対象とはなりません。

09ー13 催物(イベント等)に関し、どのような場合に特例の対象となるのか具体的に教えてください

要請等対象施設における催物(イベント等含む、以下同じ)について、人数上限5,000人、かつ、収容率50%以下の要件及び20時までの営業時間短縮に対応するため、当該催物を開催した(又は予定していたが開催できなくなった)事業主に雇用される労働者(派遣労働者を含む)であって開催縮小等がなされる催物に従事する(予定があった)労働者の休業は特例の対象になります。

09ー14 派遣労働者も含むとありますが、どのような場合に特例の対象となるのか具体的に教えてください

要請等の対象施設に派遣先として就労する派遣労働者が、派遣先の企業が要請等に協力することにより、派遣先で就労できなくなり、派遣元企業(大企業に限る)が当該派遣労働者を休業させた場合は、特例の対象となります。

09ー16 本特例の対象事業主となる場合、全ての事業所、店舗の労働者に助成率の引き上げが適用されるのでしょうか

特定都道府県の知事の要請等の内容(対象期間、施設の制限等)に応じて協力する店舗で就労する労働者のみが対象になります。

09ー17 特定都道府県における市町村によって要請等の開始日が異なることがありますが、本特例の対象となる期間について教えてください

特定都道府県ごとに設定された緊急事態宣言における「緊急事態措置を実施すべき期間」が特例措置の対象となります。
●1都3県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県): 令和3年1月8日~令和3年2月7日
●2府5県(栃木県、岐阜県、愛知県、京都府大阪府兵庫県、福岡県): 令和3年1月14日~令和3年2月7日

09ー18 雇用維持要件の確認は適用事業所単位、要請等対象施設単位のいずれで行いますか

適用事業所単位になります。

09ー19 同一の労働者が、勤務日によって指定区域の要請等対象施設と要請等対象施設以外において働いている場合(ホテル内のレストランと受付など)はどうなりますか

要請等対象施設における休業のみ緊急事態宣言対応特例の対象となります。施設によって休業日数を区分し、申請する必要があります。

09ー20 特例の対象となる対象労働者については、特例用の様式を使って支給申請することになりますが、店舗ごとに用紙を分ける必要がありますか

複数の特例対象店舗がある場合には、店舗ごとに分ける必要はありませんが、特例の対象となる対象労働者については、それ以外の労働者と分けて申請する必要があります。

09ー21 特例に係る支給申請はいつから行うことができますか

令和3年2月上旬以降の予定です。具体的な日付については、決定次第、ホームページにてお知らせいたします。

09ー22 特例用の様式や添付書類について教えてください

現時点では、特例用の様式を配布しておりません。支給申請の受付開始と同時に厚生労働省のホームページに掲載する予定です。

09ー23 既に特例用の様式を使わずに支給申請を行ってしまったのですが、どうしたら良いでしょうか

管轄の労働局において、申請いただいた内容にて一度支給決定をさせていただきます。支給決定通知書をお受け取りになりましたら、緊急事態宣言対応特例の受付開始をお待ちいただき、所定の様式を使って再申請を行って下さい。

雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率の引き上げのお知らせ

雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率の引き上げのお知らせ

緊急事態宣言の発出に伴い、特定都道府県(※)の知事の要請を受けて営業時間の短縮、収容率・人数上限の制限、飲食物の提供を控えることに協力する飲食店や劇場、映画館等について、雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率が最大10/10に引き上げられました。
(※)特定都道府県…栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府大阪府兵庫県、福岡県

大企業の助成率の引き上げについて

新型コロナウイルス感染症の特例措置に関して、緊急事態措置の実施期間に実施した休業(短時間休業を含みます)については、以下のとおり助成率を引き上げられます。

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特例措置以外の場合は、大企業は1/2、中小企業は2/3

【緊急事態措置の実施期間】
・1都3県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県) … 令和3年1月8日~令和3年2月7日
・2府5県(栃木県、岐阜県、愛知県、京都府大阪府兵庫県、福岡県) … 令和3年1月14日~令和3年2月7日

対象となる休業

特定都道府県の知事の要請を受けて、当該要請の対象施設における営業時間の短縮、収容率・人数
上限の制限、飲食物の提供を控えることに協力する、当該都道府県内で事業を行う飲食店等の事業所が、当該施設において雇用される労働者の休業を行った場合。

※ 施設において催物(イベント等)を開催した(又は予定していたが開催できなくなった)事業者に雇用される労働者(開催縮小等がなされる催物に従事する労働者)について休業を行った場合も含みます。
※ 労働者には、当該施設において、当該施設に係る事業主や労働者の指揮命令を受けて就業する派遣労働者を含みます。

Q&A

Q.緊急事態 宣言対応 特例の対象となるのはどのような企業でしょうか

新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24 年法律第 31 号)(以下「特措法」という。)第 32 条第1項に基づく緊急事態宣言に伴い、緊急事態措置の対象区域の属する都道府県(以下「特定都道府県」という。)の知事による、特措法第 18 条に規定する基本的対処方針に沿った要請又は働きかけ(以下「要請等」という。)を受けて、当該要請等について指定区域ごとに設定された期間を通じて、特措法施行令第 11 条に定める施設( (※※)の内、指定区域内に所在する全ての施設において要請等の内容を満たす営業時間の短縮、当該施設の収容率若しくは当該施設を利用できる人数の制限又は飲食物の提供を控えることに協力する大企業事業主が対象となります。
※特措法施行令第 11 条に定める施設
(三から十四に掲げる施設にあっては、その建設物の床面積の合計が1000 平方メートルを超えるものに限る。)
一 学校(三に掲げるものを除く。)
二 保育所、介護老人保健施設その他これらに類する通所又は短期間の入所により利用される福祉サービス又は保健医療サービスを提供する施設(通所又は短期間の入所の用に供する部分に限る。)
三 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学、同法第百二十四条に規定する専修学校(同法第百二十五条第一項に規定する高等課程を除く。)、同法第百三十四条第一項に規定する各種学校その他これらに類する教育施設
四 劇場、観覧場、映画館又は演芸場
五 集会場又は公会堂
六 展示場
七 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗(食品、医薬品、医療機器その他衛生用品、再生医療等製品又は燃料その他生活に欠くことができない物品として厚生労働大臣が定めるものの売場を除く。)
八 ホテル又は旅館(集会の用に供する部分に限る。)
九 体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場
十 博物館、美術館又は図書館
十一 キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設
十二 理髪店、質屋、貸衣装屋その他これらに類するサービス業を営む店舗
十三 自動車教習所、学習塾その他これらに類する学習支援業を営む施設
十四 飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設(十一に該当するものを除 く。)
十五 三から十四までに掲げる施設で あ って、その建築物の床面積 の合計が 1000 平方メートルを超えないもののうち、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の発生の状況、動向若しくは原因又は社会状況を踏ま え、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため特措法第45 条第2項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの


Q.特定都道府県以外の都道府県に事業所を設置している事業主が、指定区域の要請等対象施設 において要請等に応じて休業を実施した場合、特例の対象となりますか

特例の対象となります。


Q.特例に係る支給申請はいつから行うことができますか

令和3年2月上旬以降の予定です。具体的な日付については、決定次第、ホームページにてお知らせいたします。


Q.特例用の様式について教えてください

現時点では、特例用の様式を配布しておりません。支給申請の受付開始と同時に厚生労働省のホームページ に掲載する予定です。


Q.既に特例用の様式を使わずに支給申請を行ってしまったのですが、どうしたら良いでしょうか

管轄の労働局において、申請いただいた内容にて一度支給決定をさせていただきます。支給決定通知書をお受け取りになりましたら、緊急事態宣言等対応特例の受付開始をお待ちいただき、所定の様式を使って再申請を行って下さい。

今般の特例に係るQ&A は、上記の他 、以下のホームページでも公開 しています。支給申請に当たって、重要なものもございますので、必ずご確認いただきますようよろしくお願い します 。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000724322.pdf

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雇用調整助成金は短時間休業にもご活用いただけます!!

雇用調整助成金は短時間休業にもご活用いただけます!!

雇用調整助成金は短時間休業にもご活用いただけます。

(※)短時間休業とは、1日の所定労働時間のうち、一部(例えば9時~10時)を休業することをいいます。

例えば、飲食店が、知事からの20時までの営業時間短縮の要請に協力し、閉店時間を早め、所定労働時間の一部について休業とする場合にもご活用いただけます。

雇用調整助成金の短時間休業への活用例

短時間休業によって雇用調整助成金を受給する場合、事業所に勤める全労働者が一斉に休業する必要がありましたが、特例措置により、短時間休業に活用しやすくなっています。

1.シフト制をとっている職場の場合
⇒ シフト制における短時間休業にも活用可能です
(例:営業時間短縮によりシフト減した労働者の短時間休業)
2.社内の部門や部署で働き方が異なる場合
⇒ 部署や部門ごとの短時間休業にも活用可能です
(例:業績の落ち込んだ一部門のみの短時間休業、製造ラインごとの短時間休業)
3.宿泊業など常時配置が必要な労働者がいる場合
⇒ 職種等に応じた短時間休業にも活用可能です
(例:常時配置が必要な労働者以外の労働者の短時間休業)

Q&A

Q.シフト制によるなど労働日が不確定な業種の事業主については、どのように取り扱われるのですか。

事業主においては、昨年同時期のシフトや直近月のシフト等に基づいて労働日の設定を行い、それに基づき休業日を決め、休業手当を支払うこととしている場合は助成対象としています。
また、支給申請時に休業手当の支払いの元になるシフト等の提出をお願いすることになります。
なお、雇用期間が短い者についても、直近の当人のシフトや同様の勤務形態の者のシフトを参考に事業主が勤務シフトを作成し、休業手当の支払いを行うことで雇用調整助成金の対象となり得ます。


Q. 都道府県知事の営業時間短縮の要請に協力し、早めに閉店し労働者を帰した場合にも対象となるのでしょうか。

時間単位の休業手当を支払った場合は助成対象としています。
(例:通常23時まで開店している店舗であったが、20時に閉店し通常よりも3時間短縮しての勤務)


Q.申請を行いたいのですが、どのようにすればよろしいのでしょうか。

厚生労働省HPに特例用の様式等について掲載していますので、そちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html
※以下のキーワードで検索いただいても同様のページを閲覧できます。
雇用調整助成金様式ダウンロード新型コロナ特例」

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(0.1%引下げ!)令和3年度の年金額改定が公表されました

(0.1%引下げ!)令和3年度の年金額改定が公表されました

https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/000725140.pdf

総務省から、本日(1月22 日)、「令和2年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)が公表されました。
これに基づき、令和3年度の年金額は、法律の規定により、令和2年度から0.1%の引き下げとなります。

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【在職老齢年金について】

令和3年度の在職老齢年金の支給停止調整変更額などについては、令和2年度から変更ありません。
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■参考:現行の仕組み
60 歳台前半の在職老齢年金は、厚生年金保険法附則第11 条に規定されており、令和3年度の場合でいうと、賃金(賞与込み月収。以下同じ)と年金の合計額が、支給停止調整開始額(28 万円)を上回る場合には、賃金の増加2に対し年金額を1支給停止し、賃金が支給停止調整変更額(47 万円)を上回る場合には、増加した分だけ年金を支給停止します。
60 歳台後半と70 歳以降の在職老齢年金については、厚生年金保険法第46 条に規定されており、賃金と年金の合計額が、支給停止調整額(47 万円)を上回る場合には、賃金の増加2に対し年金額を1支給停止します。
支給停止調整開始額(28 万円)は新規裁定者の年金額の改定に応じて、支給停止調整(変更)額(47 万円)については名目賃金の変動に応じて、それぞれ改定することが法律に規定されています。

国民年金保険料について】

国民年金の保険料は、平成16 年の制度改正により、毎年段階的に引き上げられてきましたが、平成29 年度に上限(平成16 年度価格水準で16,900 円)に達し、引き上げが完了しました。その上で、平成31 年4月から、次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者(自営業の方など)に対して、産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことに伴い、令和元年度分より、平成16 年度価格水準で、保険料が月額100円引き上がり17,000 円となりました。
実際の保険料額は、平成16 年度価格水準を維持するため、国民年金法第87 条第3項の規定により、名目賃金の変動に応じて毎年度改定され、以下の通りとなります。
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【偽装請負・正社員転換】AQソリューションズ事件(東京地判R2.6.11労経速2431号18頁)

AQソリューションズ事件(東京地判R2.6.11労経速2431号18頁)

※争点を主要なものに絞って記載しています。

1.事件の概要

コンピューターのソフトウェアの開発、労働者派遣等を営んでいる被告CTは、コンピューターのソフトウェアの開発、労働者派遣及び有料職業紹介等を業とする被告AQとの間で、被告CTを委託者・被告AQを受託者として、被告CTが開発するソフトウェアの開発業務を個別契約により委託すること等を定めた業務委託基本契約書を平成29年7月7日付けで作成した。
被告AQは、システムエンジニアであるXとの間で、平成29年9月21日、両者のソフトウェアに関する業務に関する請負、業務委託等の取引に関して基本事項を定めること、同取引において、対象業務の内容、納期、数量及び単価等は個別契約の都度、被告AQが指定する様式により別途決定すること等を定めたソフトウェア基本契約書(以下、「本件基本契約」という。)を作成し、以降、Xは、被告CTの事業所でソフトウェアの開発業務に従事した。
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被告AQは、平成29年12月8日、Xに対し、同日をもって被告AQ・X間の本件基本契約に係る契約及び同契約に基づいて締結した個別契約を解除する旨の意思表示をした(以下「本件解除」という。)。
これに対して、Xが、被告AQとXの契約の実態は、被告AQがXを雇用し、その雇用関係の下に、被告CTの指揮命令を受けて、被告CTのために労働に従事させる労働者派遣契約であり、被告らによる契約期間の中途解消は無効であると主張し、①被告AQに対しては平成29年12月以降の賃金の支払、②被告CTに対しては、被告CTは労働契約法40条の6第1項5号(偽装請負に係る派遣先による労働契約申込みのみなし)に該当する行為をした派遣労働者の役務の提供を受ける者であるから、Xの承諾により、両者の間で労働契約が成立したと主張して、①と同額の賃金等の支払、③被告らに対し、連帯して、違法な解雇による不法行為に基づく損害賠償請求として慰謝料の支払を求めて提訴したのが本件である。
なお、Xの代理人弁護士は、被告CTの代理人弁護士らに対し、平成30年9月11日、「被告CTは、平成29年9月26日以降、労働者派遣法等の法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、労働者派遣法26条1項各号に掲げる事項を定めずにXの派遣を受けてその役務の提供を受けているため、同法40条の6第1項5号により、Xに対して労働契約の申込みをしたものとみなされる。また、同年11月1日及び同月7日に、被告AQとXとの間で労働契約の期間が延長された際にも、Xに対し延長後の労働契約の申込みをしたものとみなされる。Xはこれらの申込みを承諾する。」旨の意思表示をした。

労働者派遣法第40条の6
労働者派遣の役務の提供を受ける者・・・(中略)・・・が次の各号のいずれかに該当する行為を行つた場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行つた行為が次の各号のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかつたことにつき過失がなかつたときは、この限りでない。

五 この法律又は次節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。

2.双方の主張

①被告AQとXとの契約は、労働者派遣契約であったか?

(Xの主張)
被告AQとXの契約は、AQ・X間の本件基本契約により、形式上は業務委託ないし請負の体裁をとっているが、その実質は、被告AQがXを月額60万円(月末締め翌月末日払)で雇用し、その雇用関係の下、Xが被告CTの指揮命令を受けて被告CTのために労働力を提供するという労働者派遣を内容とする労働契約であった。
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根拠
・Xが行うべき業務が特定されたことはなく、Xは、被告CTの事業所において、被告CTの社員に指示された業務を行っており、Xが担当した業務は被告CTが被告AQに発注したソフトウェア(以下、「本件管理ソフト」という。)のバッチプログラムの詳細設計、開発(実装)及び単体テストに限られなかった。
・被告AQは、被告CTから受託ないし請け負った業務を自己の業務として被告CTから独立して処理することはなく、Xが被告CTの事業所で行う業務に関し、被告AQから指示や管理はされていなかった。
・被告AQとXの契約前の面接は、被告CTの事業所で実施され、業務内容の説明やXのスキルチェックなどの質問はすべて被告CTの社員が行っており、同席した被告AQ代表者は質問することはなかった。
・Xの作業場所は被告CTの事業所内と指定され、被告CTは、Xに対して、作業の際に使用するサーバーの作業フォルダの位置を指定したり、課題管理一覧表の作成を指示して確認したり、Xの成果物をチェックしたり、内部打ち合わせの時間を指定して進捗状況の報告を求めたりするなど、業務の遂行方法に関する指示をしていた。
・被告CTは、Xの労働時間数を指定し、Xから退社時刻の報告を受けて了承し、休日出勤を仕向けるなど、労働時間に関する指示もしていた。

(被告AQの主張)
被告AQとXの契約が労働者派遣の契約に当たることは否認する。
被告AQは、被告CTから、本件管理ソフトのTCC向けのカスタマイズ業務の一部であるバッチプログラムの基本設計、詳細設計、開発(実装)及び単体テストの業務を受注した。被告AQは、前記受注した業務を個人事業主であるX及びZ1に発注したものであり、被告AQとXとの契約は、前記業務を仕事内容として報酬月額60万円(月末締め翌月末日払)でXに発注した請負ないしは業務委託契約である。
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根拠
・バッチプログラムの基本設計及び詳細設計はXが担当し、開発及び単体テストはX及びZ1が担当した。
・具体的な作業内容や作業時間はXに任されており、Xが被告CTや被告AQの指揮命令を受けていた事実はない。
・被告AQは、受託者として、ウイチャットや月1回の訪問等により、作業者であるXに進捗状況を確認して適切に業務を管理していたから、単にXの労働力を被告CTに提供していたわけではない。

※Xは、本件基本契約を締結していることから、XとAQとの契約は請負(少なくとも偽装請負)であることは認識しており、労働契約であるとの認識はなかったと思われます。Xの認識が請負であろうと偽装請負であろうと、客観的にみて労働契約であると考えられる場合は、労働基準法や労働契約法の強行法規が両者に適用され、極端な話、半ば共犯的に偽装請負の契約形態に入っ労働者も保護されることになります。そういう事情があるため、請負という形態を取るのであれば、もう少し誤解を受けないような図式を取れないものかと試み程度に作成したのが次の図です。
ポイントは、(1)CT事業所を作業場所としない(図では、AQの事業所としていますが、Xの自宅であるほうがさらに良いです。)、(2)CTの従業員はXを監督はしても指揮命令はしない(本件では、CTがシステム要件の確認や進捗状況を管理する必要性が高かったうえ、CTが派遣業を営んでいることもあり、図では、CTの従業員をAQに派遣し、CTの従業員がAQからの指揮命令を受けつつXを監督するとしています。当然、AQの従業員が監督するほうが良いです。)というところです。なお、これが必ずしも請負として有効であることを保障するものではありませんのでご注意ください。(単に、本件より有効と認められる可能性が高いのでは、と私が考える図式です。)
なお、この図式でも、CTの従業員が監督の範囲を超えて、Xに指揮命令していれば、AQとXの関係は雇用契約となり得ます。本判決でも、CTからXへの指揮命令の有無が大きな争点になっており、詳細は判決の要旨をご確認ください。
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②本件解除の有効性

(被告AQの主張)
Xのスキル不足により、コーディングが不完全で、単体テストの開始までに終了すべきコンパイルの作業や動作確認が行われていなかった。また、平成29年12月初旬、Xが外出・退出を繰り返したことで、単体テストのスケジュールが大幅に遅延した。このようにXに起因して作業が遅延したことは、被告AQとXとの個別契約12項に定める解除事由「実スキル等により作業遂行が困難と判断した場合」に該当する。
また、Xは、被告AQの了解を得ることなく被告CTに対し、Xと関係のあるZ1の社員を作業要員として提案し、個別条項11項及びAQ・X間の本件基本契約の40条1項の背信行為を行なった。
これらの事由があるため本件解除は有効である。

(Xの主張)
単体テストのスケジュール遅延の原因は、Xのスキル不足ではなく、Xが業務に加わった平成29年9月26日時点で本来終了しているはずの要件定義や基本設計等が完成しておらず、Xが無理な作業を強いられたことにある。
また、作業に従事する人材が不足しており、Xは、被告CTから人材を紹介するよう申し入れられ、Z1の人材を紹介したことはあったが、被告AQ代表者に無断で行ったものではない。
したがって、本件解除は理由が無効である。

③本件解除は、違法な解雇に当たり、不法行為が成立するか?

(Xの主張)
被告AQは、理由がないにもかかわらず本件解除を行ったもので、違法な解雇であり、不法行為が成立する。従業員たる地位を争われ、賃金を失い、能力不足といわれ社会的名誉を失ったXの精神的苦痛は著しく、慰謝料は200万円が相当である。

※争点①により、一度労働契約と認められることになれば、AQがした業務委託契約の解除は、労働契約の解雇にすり替わります。すると、XとAQ間の契約は期限付きの労働契約となり、労働契約法17条1項により「やむを得ない事由」がある場合でなければ、契約期間が満了するまでは解雇できないことになります。業務委託契約の解除であれば、契約条項に従って粛々と進められますが、労働者を保護する労働法規が適用される解雇となると、認められるハードルが別次元に高くなります。当事者全員が想定したとおりに業務が進めば、請負契約であろうと労働契約であろうと大きな違いは無いように思うでしょうが、想定外の事態(AQの視点ではXのスキル不足、Xの視点では契約の中途解約)が生じれば法的紛争になることもあり、そうなったときのことを仮想して、請負契約を否定されない形態を構築して業務を行うべきなのです。

(被告AQの主張)
②(被告AQの主張)のとおり、本件解除は、請負、業務委託契約債務不履行又は約定により解除したのであり、有効であるし、解雇ではない。したがって、不法行為は成立しない。損害額は争う。

※単に解雇ではないと主張するだけで、「仮に解雇であったとしても、これこれこういう理由で、やむえない事由によるものであった」と主張していません。もし、AQに偽装請負という認識があったのなら、解雇であっても有効となり得る程度の既成事実に基づいて解除したでしょうから、もしかしたら偽装請負という認識が無かったのかも知れません。あるいは、偽装請負なのだから、あくまでも請負であることに徹して解除したのか?。どちらもなく、全くそういう周到さが無かったのか。淡白な主張ですが、考える(妄想?)と興味深いところです。

④被告CTは、Xを、被告AQとの雇用関係の下に、被告CTの指揮命令を受けて、被告CTのために労働に従事させ、労働者派遣の役務提供を受けたか?

(Xの主張)
被告AQとXの間では、形式上、被告CTから被告AQが受託ないし請け負った業務を、Xが下請負する体裁の契約書が作成されたが、実質は、被告CTは、Xを、被告AQとの雇用関係の下に、被告CTの指揮命令を受けて被告CTのために労働に従事させ、労働者派遣の役務提供を受けていた。
したがって、被告CTは、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、労働者派遣法26条1項各号に掲げる事項を定めず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(同条40条の6第1項本文、5号)に当たる。

(被告CTの主張)
(ア) 被告CTが、Xを、被告CTの指揮命令を受けて、被告CTのために労働に従事させ、労働者派遣の役務提供を受けていた事実は否認する。
(イ) 被告CTは、平成29年7月、被告AQとの間で、CT・AQ間の本件基本契約書に係る契約を締結し、同年9月、被告AQに対して、本件管理ソフトをTCC向けにカスタマイズする業務のうちバッチプログラムに関する基本設計、詳細設計、開発(実装)及び単体テストの業務を発注した。そして、被告AQの担当者であったXが、同年9月26日からこれらを担当することになった。
(ウ) 被告CTから、Xに対して直接の指揮命令を行ったことはない。被告CTはXの勤務時間の管理はしていない。前記請負の業務はTCCの機密情報を扱うものであるため、被告CTは、情報セキュリティの観点から、Xの勤務場所を被告CTの事業所内と指定したが、Xは被告AQの区画で勤務し、被告CTから独立して作業していた。
また、システム開発は、専門的な知見と技能を必要とする業務であり、分業によることが可能で、作業の進め方自体は各人の裁量に委ねられることが多い一方で、単体としての稼動に問題がなかったとしても、システム全体に組み入れた際には正常に作動しないといった事態もあり得るから、全体的な進捗状況を調整、確認する必要がある。被告CTは、委託者として、TCCとの間で調整したシステム要件の確認と作業全体の進捗状況を確認するため、Xとの間で打ち合わせ等を行っていたものであり、これは被告CTからXに対する業務上の指揮命令には当たらない。
なお、Xは、被告AQとの間で秘密情報の安全管理に関する覚書、被告CTとの間で機密保持に関する確認書(以下「本件確認書」という。)をそれぞれ締結し、被告AQは、被告CTとの間で機密保持契約書を交わしている。Xが本件訴訟で証拠提出している被告CT関係者とXとのメール、被告CT内での打ち合わせ議事録及び被告CT関係者とXとのメールはいずれも機密情報に該当しており、Xが、これらを被告CTに無断で複製し、持ち出して証拠提出したことは、本件確認書の2条、4条で禁止された行為に当たり、これらは違法収集証拠であるから証拠能力を否定すべきである。

⑤被告CTがXにより労働者派遣の役務提供を受けた行為が、労働者派遣法又は同法44条ないし47条の3の規定により適用される法律の適用を免れる目的でされたか?

(Xの主張)
(ア) 被告CTには、労働者派遣法40条の6第1項5号にいう労働者派遣法又は同条44条ないし47条の3の規定により適用される法律の適用を免れる目的があった。
(イ) CT・AQ間の本件基本契約書には、一切の指揮命令は被告AQが行うこと、被告らの間には労働者派遣関係がないことが記載されており、被告CTは、作業者に自らが指揮命令を行えば、労働者派遣関係に立つことを認識していたといえる。また、被告CTが、労働者派遣法26条6項で禁じられている事前面接をXや他の作業者に対して行っていること、作業実績報告書によりXや他の作業者の作業時間を監視・記録していたこと、作業者に対し本件確認書の作成及び提出を指示していたこと、これらが全て常態化していたことから、労働者派遣法等の規制を免れる目的があったといえる。

(被告CTの主張)
被告CTは、労働局から偽装請負に関して調査や指導を受けたことはなく、被告CTの担当であったZ2は、Xが被告AQに委託した業務の代表者であると認識していたのであり、労働者派遣法等の規制を免れる目的は存在しない。
※「Xが被告AQに委託した業務の代表者であると認識していた」とは、Xは被告AQの従業員であり、Z1などの他の下請けを監督する地位であると認識していたことを意味する。

⑥被告CT代表者が、被告CTがXにより労働者派遣の役務提供を受けた際、労働者派遣法等の規制を免れる目的で労働者派遣以外の名目で契約を締結して労働者派遣の役務の提供を受ける行為に該当することを知らず、かつ、知らなかったことについて過失がないといえるか?

(被告CTの主張)
被告CTは、労働局から偽装請負に関して調査や指導を受けたことはなく、被告CTの担当者であったZ2は、Xについて、被告AQに委託した業務の代表者であると認識していたのであり、労働者派遣法40条の6第1項ただし書の善意無過失であったといえる。

(Xの主張)
被告CTにおいて労働者派遣法等の規制を免れる目的があったことは、⑤(イ)のとおりであり、被告CTが善意無過失であったことは否認する。

⑦Xが、平成29年9月26日に被告CTの指示に従い就労を開始したこと、又は、平成30年9月11日に被告CTに意思表示したことにより、労働契約の承諾がされ、労働契約が成立したと認められるか?

(Xの主張)
被告CTは、Xの労働者派遣の役務の提供を受けたことにより、労働者派遣法40条の6第1項本文に基づき、Xに対して労働契約の申込みをしたものとみなされる。Xが、平成29年9月26日に被告CTの指揮命令下で就労を開始したことにより、Xの黙示の承諾の意思表示がされたといえるから、同日、被告CTとの間で労働契約が成立した。そうでなくても、被告CTが申込みをしたとみなされる同日から1年以内の日である平成30年9月11日には、Xは、被告CTに対し、承諾の意思表示を行い、同日、被告CTとの間で労働契約が成立した。

(被告CTの主張)
被告CTからXに対する労働契約の申込みが擬制されるとしても、Xの就労開始時にXによる黙示の承諾の意思表示がなされたということはできず、平成29年9月26日の意思表示の時点で労働契約が成立したとはいえない。また、平成30年9月11日の意志表示の時点では、TCC向けのバッチプログラム業務は終了しており、Xの労務提供義務は原始的不能となっているから、労働契約は成立していない。

3.判決の要旨

①被告AQとXとの契約は、労働者派遣契約であったか?

(1)労働者派遣契約とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものをいう(労働者派遣法2条1号)。
労働者派遣の労働契約というには、被告AQとXとの関係が雇用関係といえることが必要であるため、被告AQとXとの契約が、契約書においては業務委託契約の形式をとるものであるが、実質は雇用関係(労働契約関係)であったといえるか、以下、検討する。

(2)被告AQとXの契約の性質
ア 労働者は、使用者に使用されて労働し、労働の対償としての賃金を支払われる者をいい(労働契約法2条、労働基準法11条)、実質的にこのような関係(使用従属関係)にある場合には、契約の形式にかかわらず、労働契約関係すなわち雇用関係にあるといえる。そして、このような関係にあるといえるかは、
 ①仕事の依頼の許諾の自由
 ②業務遂行上の指揮監督
 ③時間的、場所的拘束性
 ④代替性
 ⑤報酬の算定支払方法
を主たる要素として考慮し、
 ⑥機械・器具の負担、報酬の額等に現れた事業者性
 ⑦専属性
を補助的な要素として考慮すべきである。
※この判断基準は、1985年(昭和60年)に厚生労働省にある労働基準法研究会が、労働者の備える性質(労働者性)について示したもので、多くの裁判例で取り入れられています。(参照:Uber Eatsの配達員は労働者であるか!?~労働者の2つの意味~ - 社会保険労務士川口正倫のブログ


イ 被告AQ・X間の本件基本契約書には、請負ないし業務委託の目的とするシステム開発業務の内容や報酬について具体的な定めはなく、対象業務の内容、単価その他の条件は個別契約で別途決定するとされているところ、個別契約の内容を定める注文書には、作業内容が「ECObjectsカスタマイズ業務」との記載しかなく、また、契約前の被告CTの社員との面談時や契約条件についての被告AQ代表者とのやりとりの時点においても、Xが担当する具体的な業務内容は明確にされておらず、注文書発行後、Xは、被告CTの事業所に赴き、平成29年9月26日から11月末までは被告CTの社員が作成した作業スケジュール表(WBC)のとおり仕事の分担を決められ、その後は、被告AQ代表者が示した表のとおり仕事の分担を決められており、被告CTの社員がXに指示して担当させた業務には、当初予定されていたバッチプログラムの詳細設計、開発(実装)及び単体テストの業務のみならず、基本設計に関わる業務もあり(ただし、その内容は、基本設計といっても補助的なもので、詳細設計に付随した業務と考えられる。)、①Xには、被告CTの社員を通じた被告AQからの業務の依頼(指示)を断る自由があったとは認められない。
また、Xは、平成29年9月26日から同年11月30日まで、被告CTの求めに応じて、被告CT社員に対し、作業スケジュール表や会議において、作業の内容及び進捗状況について毎日報告し、確認を受けており、成果物も被告CTの社員による検査を受けて対応を行う等、②業務遂行において、被告CTの社員を通じた被告AQによる指揮監督を受けていた。
作業場所は被告CTの事業所内と指定され、作業時間は1箇月あたり151時間から185時間までの間とされ、Xは、被告CTの社員から、作業実績報告書により作業時間を被告AQに報告することを要求されたほか、平日の午前9時30分から午後6時15分まで作業し、午後5時に退社するときや、前記時間に外出するときには被告CTの社員にその旨報告して了承を得ており、また、休日とされる土曜日に出勤することを被告CTの社員との会議で確認されるなどしていたことから、③Xは、時間的、場所的拘束を受けていたといえる。
被告AQとの契約前に、Xは被告CTの社員と面談し、システムエンジニアとしての経験や保有する資格の確認を受けており、被告CTと被告AQとの個別契約に係る発注書にもXが作業者であることが明記されており、Xが第三者に作業を代替させたり、補助者を使ったりすることは想定されておらず、④代替性はなかった。
被告AQは、被告CTを通じてXの作業時間を管理・把握しており、報酬は、作業時間が1箇月あたり151時間から185時間までの間に収まる場合には月額60万円、151時間を下回る場合には時間単価を3980円として控除し、185時間を上回る場合には時間単価を3240円として加算することとなっており、⑤報酬の支払計算方法は、ほぼ作業時間に応じて決まっていたといえ、作業時間と報酬には強い相関性があったといえる。
また、⑥Xは開発のためのコンピューター、ソフトウェア等の機械・器具を有する者ではなく、報酬は月60万円であり、著しく高いとはいえず、また、Z1の経営に携わっていることを自認しているが、同社の役員ではなく、事業者性が高いとはいえない。
⑦Xは、被告AQの仕事以外に就くことは禁止されていないが、1日の作業時間によれば事実上専属の状態であった。
以上からすると、Xは、被告AQに使用されて労働し、労働の対償としての賃金を支払われる者といえるから、被告AQとXとの契約は、形式上は業務委託契約の体裁を取っているものの、実質的には、被告AQがXを月額60万円で雇用する労働契約であったと認められる。
※Xが労働者であり、雇用契約に相当する業務委託契約を締結し、賃金に相当する報酬を支払っているのが被告AQであることから、被告AQに使用されている(雇用されている)こととなり、実際の指揮命令を被告CTが行っていれば、労働者派遣となります。


(3)被告AQと被告CTの契約の性質
ア 次に、被告AQと被告CTとの関係が、労働者派遣契約といえるか、すなわち、被告AQが、Xとの雇用契約の下に、Xを被告CTの指揮命令を受けて、被告CTのために労働に従事させる関係であったといえるか検討する。

イ 別紙1の区分基準告示によれば、請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であっても、当該事業主が当該業務の処理に関し、別紙1の一及び二のいずれにも該当する場合を除き、当該事業者は労働者派遣事業を行う事業者に当たるとされているところ、被告AQと被告CTとの関係を検討するにおいても、この基準を参考とするのが相当である。

労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年4月17日労働省告示第37号)
第2条
請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であつても、当該事業主が当該業務の処理に関し次の各号のいずれにも該当する場合を除き、労働者派遣事業を行う事業主とする。

1. 次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること。
イ 次のいずれにも該当することにより業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。
(1)労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
(2)労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。
ロ 次のいずれにも該当することにより労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。
(1)労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(これらの単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
(2)労働者の労働時間を延長する場合又は労働者を休日に労働させる場合における指示その他の管理(これらの場合における労働時間等の単なる把握を除く。)を自ら行うこと。
ハ 次のいずれにも該当することにより企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行うものであること。
(1)労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと。
(2)労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと。
2. 次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより請負契約により請け負つた業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。

イ 業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。

ロ 業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。

ハ 次のいずれかに該当するものであつて、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
(1)自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること。
(2)自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること。

ウ 本件についてみると、少なくとも平成29年9月26日から11月30日までは、Xが分担する業務ついては、被告CTの社員が、スケジュール表(WBC)や会議等で指示することで、その内容を決定し、Xにスケジュール表及び会議で毎日その進捗状況を報告させ、成果物も検査していたこと、前記の期間中、被告AQ代表者は、前記会議に参加したことはなく、被告CTやXから、Xの作業内容、進捗状況及び成果物の検査結果を伝達されたことはなく、報告されたXの作業内容に関心を払っていなかったことが認められるから、被告AQは、Xの業務の遂行方法に関する指示その他の管理及び業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行っていたとはいえない(区分基準告示の2条1号イ(1)(2))。
また、Xに対し、始業及び終業の時刻を作業実績報告書により報告させてこれを点検し、外出を了承し、作業時間の延長、休日出勤を確認していたのは被告CTの社員であり、被告AQ代表者は、被告CTを介することなくXの作業時間を把握・管理したことはなかったから、被告AQがXの労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行っていたとはいえない。(同2条1号ロ(1)(2))
また、Xの開発作業に必要なコンピューター、サーバー及び開発ソフトを提供したのは被告CTであって、被告AQは提供しておらず、被告AQは、自己の責任と負担で準備し、調達した設備等で業務を処理することはなかった。かつ、被告AQ代表者は、平成29年9月26日から11月30日まで、Xの成果物について確認しておらず、XからXがリーダー役をやっているのか聞き出そうとしたり、作業展開が順調なのか聞き出そうとしたりするなど、Xの業務内容や進捗状況を把握していなかったことが認められ、被告AQは、自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて業務を処理していたともいえない。

エ そうすると、被告AQは、Xの労働力を自ら直接利用していたともいえず(同2条1号本文)、かつ、業務を自己の業務として契約の相手方である被告CTから独立して処理していたということもできない(同2条2号本文)
したがって、被告AQは、労働者派遣事業を行う事業主といえ、Xは被告CTの指揮命令下に置かれ、被告CTのために労働に従事していたと認めるのが相当である。

(4)小括
以上から、被告AQとXとの契約は、実態としては、被告AQがXを月額60万円で雇用したものと認められ、その雇用関係の下、被告CTの指揮命令を受けて、被告CTのためにXを労働に従事させるという労働者派遣の労働契約であったと認められる。

②本件解除の有効性

(1)被告AQとXの契約は、平成29年12月31日までの有期労働契約であるところ、本件解除は、有期労働契約の期間途中の使用者による解除ということになるから、「やむを得ない事由」がなければならない(労働契約法17条1項)。

(2)被告AQは、「Xのスキル不足により、コーディングが不完全で、単体テストの開始までに終了すべきコンパイルの作業や動作確認が行われなかった。また、平成29年12月初旬、Xが外出・退出を繰り返したことで、単体テストのスケジュールが大幅に遅延した。」旨主張し、被告AQ代表者もこれに沿う供述をする。
しかし、コーディングが不完全であった等の事実を裏付けるに足りる的確な証拠はない以上、それがXのスキル不足によることを裏付ける証拠はない。むしろ、被告CTのZ2は、Xが作業に従事していた当時、Xの開発技術や作業内容に問題があるとは認識しておらず、会議の議事録にも作業の遅れがXの技能不足にあることをうかがわせる指摘はなかった。また、Xが平成29年12月初旬に2回外出し、1回午後5時に終業した事実はあるが、同年11月のXの作業時間は240時間を超えており、外出等によりXが開発作業を懈怠していたとはいえない。TCC向けカスタマイズ業務の作業が遅延していたのは、被告CTの基本設計の担当者が休養に入ったこと等により基本設計が完成していなかったことや、TCCの要望により開発の分量が当初より増えたことによる。
したがって、TCC向けカスタマイズ業務の遅延が、Xのスキル不足や、Xの作業離脱によるものとは認められない。

(3)被告AQは「Xは、被告AQ了解を得ることなく、被告CTに対し、Xと関係のあるZ1の社員を作業要員として提案し、背信行為を行なった。」旨主張する。
Xは、被告CTの社員のZ2の依頼により、TCC向けカスタマイズ業務に従事する開発作業者としてZ1のZ6及びZ11を紹介した事実はあるが、Z2に対しては、いずれも被告AQの者として紹介したもので、同じ時期に被告AQ代表者にも、Z1、Z6及びZ11が紹介されていること、Z1と契約して、Z6やZ11を開発作業者とするかどうかは、被告AQ代表者がZ1を条件を交渉して決定していることからすれば、Xが被告CTにZ6及びZ11を紹介した行為が被告AQに損害を与える行為とはいえず、背信行為ということはできない。

(4)以上によれば、被告AQが主張する事実は、いずれも「やむを得ない事由」(労働契約法17条1項)に当たるとはいえない。したがって、本件解除は、同条の要件を欠いてなされたものであるから、無効である。

③本件解除は、違法な解雇に当たり、不法行為が成立するか?

(1)本件解除は労働契約法の要件を満たさず無効である。そればかりか、被告AQが本件解除の理由として主張するXのスキル不足や懈怠による業務遅延という事実は、これを認めるに足りる証拠はなく、作業者の紹介は背任行為とはいえないもので、いずれも根拠を欠くものであった。このように、根拠なくなされた本件解除は、違法の評価を免れない。また、根拠がない違法は解雇を行ったことについて、被告AQ代表者には少なくとも過失が認められるから、Xに対する不法行為が成立する。

(2)本件解除を理由とする不法行為の慰謝料額については、本件解除により、Xが、労働者たる地位を失って生活の資を失ったこと、スキル不足や作業遅延に責任があるとされて不本意な思いをしたこと、就労した部分の賃金も含めて賃金の支払を拒絶される等して、本件訴訟で本件解除の効力を争うほかなくなったことを考慮すべきである。他方で、Xを被告AQとの契約期間は3箇月と5日、更新は3回にとどまること、12月分の賃金は別途認容されることも考慮すべきである。
以上を総合し、慰謝料は8万円とするのが相当である。

④被告CTは、Xを、被告AQとの雇用関係の下に、被告CTの指揮命令を受けて、被告CTのために労働に従事させ、労働者派遣の役務提供を受けたか?

(1)前記①(2)ないし(4)のとおり、被告CTは、Xを、被告AQとの雇用関係の下に、被告CTの指揮命令を受けて、被告CTのために労働に従事させ、労働者派遣の役務提供を受けたことが認められる。
したがって、被告CTは、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、労働者派遣法26条1項各号に掲げる事項を定めず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(同法40条の6第1項本文、5号)に当たる。

(2)被告CTは、「Xに対して作業時間の管理はしていない。Xは被告AQの区画で勤務し、被告CTから独立して作業していた。システムの特性上、単体としての稼動に問題がなかったとしても、システム全体に組み入れた際には正常に作動しないといった事態もあり得るから、全体的な進捗状況の調整、確認する必要があり、被告CTは、委託者として、TCCとの間で調整したシステム要件の確認と作業全体の進捗状況を確認するため、Xとの間で打ち合わせ等を行ったものであり、被告CTからXに対する業務上の指揮命令に当たらない」旨主張するが、これらが採用できないことは、前記①2(3)ウで判断したとおりである。少なくとも、平成29年9月26日から同年11月30日までの間は、Xの業務内容の決定、業務遂行方法についての管理、成果物の評価、作業時間の管理は、いずれも被告CTの社員が行い、被告AQがこれを独自で行ったことはなかったから、前期期間中のXの被告CTの事業所における作業は、客観的には労働者派遣の役務の提供と評価されるべきものである。

(3)被告CTは、「Xが本件訴訟で証拠提出している甲2、甲3及び甲7はいずれも機密情報に該当しており、Xがこれらを被告CTに無断で複製し、持ち出して証拠提出したことは、被告CTとの間で、機密情報の複製、持出し、公開しないことを誓約する本件確認書に違反する行為であり、これらは違法収集証拠であるから証拠能力を否定すべきである。」旨主張する。
Xが本件訴訟で証拠提出している甲2、甲3及び甲7は、非公開の情報であり、Xがこれを被告CTに無断で複製し、持ち出して証拠提出したことは、本件確認書の2条、4条で禁止された行為に当たる可能性がある。しかし、Xが、これらを複製し持ち出したのは、被告AQから本件解除を受けて、その効力を争う目的であったこと、Xが持ち出したものは被告CTのソフトウェアや成果物ではなく、その作成過程の作業内容や情報交換の記録であり、機密として保護すべき価値が高いとはいえないこと、Xが被告CTの指揮命令下に置かれていた事実等を立証するに当たり、これらの証拠は不可欠であって、証拠としての価値は極めて高いことからすれば、これらの証拠を採用することが訴訟法上の信義則に反するまでとはいえない。
したがって、被告CTの前記主張は採用できず、甲2、甲3及び甲7については、その証拠能力を否定排除すべきとはいえない。


⑤被告CTがXにより労働者派遣の役務提供を受けた行為が、労働者派遣法又は同法44条ないし47条の3の規定により適用される法律の適用を免れる目的でされたか?

(1)労働者派遣法40条の6第1項5号が、同号の成立に、派遣先(発注者)において労働者派遣法等の規定の適用を「免れる目的」があることを要するとしたのは、同項の違反行為のうち、同項5号の違反に関しては、派遣先において、区分基準告示の解釈が困難である場合があり、客観的に違反行為があるというだけでは、派遣先にその責めを負わせることが公平を欠く場合があるからであると解される。そうすると、労働者派遣の役務提供を受けていること、すなわち、自らの指揮命令により役務の提供を受けていることや、労働者派遣以外の形式で契約をしていることから、派遣先において直ちに同項5号の「免れる目的」があることを推認することはできないと考えられる。また、同項5号の「免れる目的」は、派遣先が法人である場合には法人の代表者、又は、法人から契約締結権限を授権されている者の認識として、これがあると認められることが必要である。
※労働者派遣法40条の6第1項5号について、解釈が示されています。

(2)被告CTと被告AQとの契約においては、被告CTの担当者であったZ2が、被告AQ等の業務委託先との間で業務委託契約を締結するか否か決定する権限を有していたから、Z2において「免れる目的」があったかを検討すべきである。

(3)Z2は、被告AQ代表者を介することなく、Xに対して直接、業務を依頼し報告を求めた理由について、「被告AQ代表者から、Xが被告AQの責任者であるため、Xに直接伝えてほしいと言われたからである。Xは被告AQに雇用されていると思っていた。」(※1)旨証言し、週に1~4回会議を開く等して作業の進捗状況の報告を求めた理由については、「納期が切羽詰った状況下で、1日の遅れも致命的となってしまうため、問題が発生していないかを毎日確認する必要があった。」(※2)旨証言するところ、前者(※1)は、Z2との面接時に被告AQ代表者がXに同道してXを紹介したことや、X自身が、Z6やZ11を被告AQの者としてZ2に紹介していたことから不合理ではないし、後者(※2)も、作業の進捗状況の確認や成果物の確認がされるようになった時期が、TCC向けカスタマイズ業務の遅延が顕著となり増員が検討された時期と符号することから、不合理とはいえない。
また、Xが従事していた業務は、TCC向けカスタマイズ業務のバッチプログラムの詳細設計、開発(実装)及び単体テストであったところ、システム開発の過程では、これらの業務は細分化して発注できる業務とされていること、Xは、基本設計に関する業務を一部担当したこともあったが、それは、基本設計が一部未完成であったため、詳細設計の際に要件定義を参照しつつ仮の作業として進めたとか、顧客の要望により要件定義及び基本設計が変更になった際、基本設計のダブルチェックを行ったというにとどまり、詳細設計に付随する業務といえるものであること、被告CTが顧客であるTCCとの打ち合わせにXを同席させることはなかったことから、被告CTが、Xに対し、被告AQへの委託業務であるか否かに意を払うことなく、様々な業務を担当させていたとは認め難い。
そして、作業者に対する指揮命令と業務委託・請負における注文者の指図との区別は困難な場合があること、被告CTは、過去に労働基準監督署ないし労働局から個別の指導を受けたこともなかったことを踏まえると、Z2において、「免れる目的」があったと認めるには無理がある。

(4)Xは、「CT・AQ間の本件基本契約書には、一切の指揮命令は被告AQが行うこと、被告らの間には労働者派遣関係がないことが記載されており、被告CTは、作業者が自ら指揮命令を行えば、労働者派遣関係に立つことを認識していたとえる。」旨主張し、CT・AQ間の基本契約書にはXの主張どおりの記載がある。しかし、同記載は、被告CTによる作業者への指揮命令があれば労働者派遣の役務提供になるという一般的な理解を示すものであり、被告CT代表者やZ2において、作業者に対する指揮命令と業務委託・請負における注文者の指図との区別を適切に判断できていたことを示すものではないから、この記載をもって「免れる目的」があるとはいえない。
また、被告CT及びZ2が、業務を発注する前に、Xら外部の開発作業者との面接を常々行っていた事実は認められる。しかし、被告CT代表者及びZ2において、面接した開発作業者により当初から労働者派遣の役務の提供を受ける意図を有していたとは認められないから、これが労働者派遣法の禁止行為に当たるとは必ずしもいえない。また、システム開発には技能が必要であるため、発注に当たり、発注先が当該システム開発のため必要な技能を持っているか判断する一助として、発注先の開発作業者と面接を行う場合もあると考えられるから、面接を行ったという事実をもって、業務委託や請負ではないということはできず、「免れる目的」があるとまではいえない。
また、被告CTが、作業者に対し、本件確認書(機密保持契約書)の作成提出を求めていたことは、顧客や被告CTの秘密保持のためであり、業務委託や請負であっても、そのような文書の作成を求めることは不合理ではない。作業実績報告書によりXや他の作業者の作業時間を記録していたことは、作業時間により委託者に支払う報酬が増減する契約であり、そのような契約であることと業務委託であることとは必ずしも矛盾せず、不合理とはいえない。
したがって、Xの主張するところを検討しても、被告CT代表者ないしZ2において、労働者派遣法の規制を免れる目的があったということはできない。
※被告AQと被告CTは派遣業も営んでいながら、「業者に対する指揮命令と業務委託・請負における注文者の指図との区別を適切に判断できない。」ということが許容されるのか疑問です。

(5)以上から、被告CT代表者やZ2において「免れる目的」があったとは認められない。

前記⑤のとおり、「免れる目的」がない以上、被告CTにおいて、労働者派遣法40条の6第1項5号が成立する余地はなく、Xと被告CTとの間で労働契約は成立しない。また、Xと被告CTには契約関係がないから、被告CTがXを解雇することもあり得ない。
したがって、Xの被告CTに対する請求は、その余の点(⑥~⑦)について判断するまでもなく、理由がない。

一般財団法人労務行政研究所による[緊急調査]緊急事態宣言再発令に対する企業対応アンケートの結果概要

一般財団法人労務行政研究所による[緊急調査]緊急事態宣言再発令に対する企業対応アンケートの結果概要

一般財団法人労務行政研究所により、緊急事態再発令に対する企業対応のアンケート調査の結果が公表されています。
緊急事態再発令に対する調査としては、現時点では、これが最新のものになるかと思いますので、ご参考にしてください。
なお、結果の概要を抜粋していますが、詳細は次のリンクをご確認ください。
https://www.rosei.or.jp/research/pdf/000079514.pdf



(結果の概要)

・回答企業の事業所所在地
緊急事態宣言の対象区域の中では「東京都」が56.4%と最も多く、次いで「大阪府」17.5%、「神奈川県」9.0%、「愛知県」6.0%となっている

・2020年12月末時点での感染防止対策
「手洗い、アルコールによる手指消毒の励行」が99.1%と最も高く、以下「事業所内でのマスク着用の義務づけ」93.2%、「咳エチケットの励行」91.5%、「在宅勤務」89.7%、「時差出勤」85.9%と続く。
1000人以上では在宅勤務の割合が90%を超える

・緊急事態宣言を受けて、これまでの取り組みを変更/拡充したもの(予定を含む)
「在宅勤務」が44.0%と最も高く、次いで「あてはまるものはない」31.6%、「国内出張の制限」29.1%、「私的なイベント、飲み会等への参加自粛要請」26.9%の順となっている

・在宅勤務を変更/拡充した(予定を含む)場合の変更点
在宅勤務の見直した内容は「実施頻度(回数・日数)」が85.4%と最も高く、以下「適用対象者」25.2%、「機器の貸与」20.4%と続く

・緊急事態宣言を受けて、新たに取り組んだもの(予定を含む)
「あてはまるものはない」が64.5%と、新たに取り組んだ施策がない企業は約3社に2社に当たる。新たに取り組んだ施策を多い順に見ると「終業時刻以降の勤務抑制(事業継続に必要な場合を除く)7.7%、「私的なイベント、飲み会等への参加自粛要請」4.3%、「国内出張の制限」3.8%となっている

・これまでの取り組みを変更/拡充しない予定がない、新たに取り組まない予定がない理由
「すでにこれまでの取り組みで十分と考えているため」が80.7%と8割を占める

・緊急事態宣言を受けて、勤務体制を変更/拡充した、新たに取り組んだ場合の適用日
いずれの対象区域も緊急事態宣言の実施期間の開始日に約半数が集中。東京、神奈川、埼玉、千葉は1月8日が44.6%、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、栃木、福岡は1月14日が50.0%

・緊急事態宣言を受けた出勤者数の削減目標の設定状況
出勤者数の削減目標を「定めている」のは49.6%と回答企業の約半数。目標値を定めている企業の平均は59.7%。政府が掲げる「出勤者数の7割削減」をクリアしているのは、目標値を定めている企業の約6割(56.9%)

・2020年12月以前における業務運営に関する対応
「全面禁止」と「原則禁止」の合計が50%を超えているのは「社内における会食や懇親会」「参加者多数の集合研修」「取引先や社外関係者との会食」の3項目。
「人数や条件によって制限」の割合が高いは「参加者多数の社内での会議や打ち合わせ」(44.4%)で、人数や条件では「会議室の定員の50%以下、1時間以内」という内容が挙げられる

・緊急事態宣言を受けて、業務運営のこれまでの取り組みを変更/拡充したもの(予定を含む)
「あてはまるものはない」が47.9%と約半数に達する。これまでの取り組みを変更/拡充したものとしては「社内における会食や懇親会」26.9%、「国内出張」24.4%、「取引先や社外関係者との会食」21.4%の順。内容は「自粛から禁止」へと条件を厳しくしたケースが目立つ

労働政策審議会建議「男性の育児休業取得促進策等について」

労働政策審議会建議「男性の育児休業取得促進策等について」

厚生労働省労働政策審議会から、厚生労働大臣に対し、男性の育児休業取得促進策等について建議を行われ、内容が公表されました。
これは、令和2年5月29 日に閣議決定した「少子化社会対策大綱」等において、「男性の育児休業取得や育児参画を促進するための取組を総合的に推進する。」等の記載が盛り込まれたことを踏まえ、昨年9月から、同審議会の雇用環境・均等分科会で検討が行われた結果に基づくので、厚生労働省では、この建議の内容を踏まえて法律案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定のようです。

出産後8週間の間に父親が休暇を取りやすくする新たな制度の創設などが、かなり具体的な内容が記載されており、今後この線に沿って、育児介護休業法の改正が行われるものと思われます。

下記に子の出生直後の休業の取得を促進する枠組み等を抜粋いたしますが、詳細はこちらのリンクをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00007.html

1.男性の育児休業取得促進策について

(1)子の出生直後の休業の取得を促進する枠組み

○制度の必要性

・柔軟で利用しやすい制度として、実際に男性の取得ニーズの高い子の出生直後の時期について、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組み(新制度(普及のための通称について検討))を設けることが適当である。
・新制度はその後の育児への入り口と位置づけ、父親学級の推進等により親となる準備の後押しも行いながら、子の出生直後という重要な時期の休業取得を促進することで、育児の大変さ・喜びを実感し、その後の育児につながると考えられる。
・新制度は、対象として主に男性が念頭に置かれるが、特に男性の取得が進んでない現状を踏まえ、ポジティブ・アクションの考え方等に沿ったものとして、設けることが適当である。これは、一定の範囲で特別な枠組みを設けることにより、男性の育児休業取得を促進するための特別な措置であり、男性の育児休業取得が高水準になり、この仕組みがなくてもその水準を保つことができるようになった場合には見直されるべきものであり、新制度、個別の働きかけ、環境整備等によって男性の育児休業の取得が進むこととなれば、女性の雇用継続や、男女間の育児・家事分担の偏りの是正に資するものである((4)の取得率公表の義務付けについても同様)。
・なお、新制度は、現行の育児休業と同様、労働者の申出により取得できる権利とすることが適当である。
現行のいわゆる「パパ休暇」は、そもそも初回の休業取得が進んでいないという状況を踏まえ、より柔軟で取得しやすい仕組みである新制度と、(3)の育児休業の分割取得化に見直すこととする。

○対象期間、取得可能日数等

・対象期間については、現在育児休業をしている男性の半数近くが子の出生後8週以内に取得していること、出産した女性労働者の産後休業が産後8週であることを踏まえ、子の出生後8週とすることが適当である。
・取得可能日数については、年次有給休暇が年間最長20労働日であること等を参考に、4週間とすることが適当である。なおその際は、各企業の既存の育児目的のための休暇(法定の休暇を除く。)が、新制度の取得日数以外の要件を満たすものであれば、当該休暇の日数も含めて4週間の取得が確保されればよいと解される。

○要件・手続き

(申出期限)
現行の育児休業より短縮し、原則2週間前までとすることが適当である。ただし、職場環境の整備などについて、今回の見直しにより求められる義務を上回るような取組を実施することを過半数組合又は過半数代表との労使協定で定めている(※)事業所においては、現行の育児休業と同様に1か月前までとしてよいこととすることが適当である。

※労使協定で定める事項:

  • 新制度や育児休業の取得率や取得期間に関する目標及び事業主の方針
  • 休業開始予定日の1か月前までに申出が円滑に行われるようにするための職場環境の整備、業務の調整、労働者の配置その他の措置((2)の環境整備の措置義務を上回る措置として、これらのうち複数の措置を実施している場合等)
  • 労働者へ休業取得の個別の働きかけを行うだけでなく、具体的な取得意向の個別の把握まで行うことなお、出生が予定より早まった場合等は、現行の育児休業と同様、1週間前までとすることが適当である。また、円滑な休業の取得のためには、事業主は労働者が申出期限にかかわらず早めに申出しやすいよう工夫するとともに、労働者も早めに申出をすることが望ましい旨、指針において示すことが適当である。新制度については、分割取得する場合は、初めにまとめて申し出ることとすることが適当である。

(分割)
分割して2回取得可能とすることが適当である。
・現行の育児休業制度は申出を撤回したらその後は再度の申出をすることは原則できないが、分割して2回取得可能とすることを踏まえ、一度撤回したらその1回分について申出できないこととすることが適当である。

(休業中の就労)
・出生後8週間以内は、女性の産後休業期間中であり、労働者本人以外にも育児をすることができる者が存在する場合もあるため、労働者の意に反したものとならないことを担保した上で、労働者の意向を踏まえて、事業主の必要に応じ、事前に調整した上で、新制度に限り、就労を認めることが適当である。
具体的には、労働者の意に反したものとならない仕組みとするため、過半数組合又は過半数代表との労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主の合意した範囲内でのみ可能とするとともに、就労可能日数の上限(休業期間の労働日の半分)を設けることが適当である。

また、具体的な流れは、以下とすることが適当である。

  • 労使協定を締結する。
  • 労働者が就労しても良い場合は事業主にその条件(就労しても良い日時や上限日数・時間数)を申し出る。

※休業開始日・終了日と併せて申し出ることが望ましいが、業務状況の見通しが立ったタイミングなど、休業開始前までの任意のタイミングで申し出ることができ、また、休業開始までは、申し出た条件の変更も可能。

  • 事業主が休業期間中に就労させたい場合には、労働者が申し出た条件の範囲内で、就労候補日・時間を提示する。
  • 労働者が同意した範囲で就労させることができる。

※休業開始前までは任意のタイミングで同意を撤回することが可能。また、休業開始後は、配偶者の疾病等やそれに準ずる心身の状態の悪化等の特別な事情がある場合には、同意の撤回が可能。

(対象労働者、休業開始日及び終了日の変更)
・現行の育児休業と同様の考え方で設定することが適当である。