社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



解雇の予告とその取消し(昭25.9.21基収2824号、昭33.2.13基発90号)

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続き

問1
解雇予告を受けた労働者が他の職場と雇用契約を行うことができるのは、その予告期間が満了した後であるか、又は他の職場で勤務を開始するのが予告期間満了後であるとすれば予告期間中に他の職場と雇用契約を行うことができるか。

答1
解雇の予告を受けた労働者が解雇予告期間中に他の使用者と雇用契約を結ぶことはできるが、自ら契約を解除した場合を除き予告期間満了までは従来の使用者のもとで勤務する義務がある。


問2
解雇予告期間中に他の職場と雇用契約を行い勤務を開始しようとする場合に、そのむねを現雇用主に申し出た時、

(イ) 現雇用主はその労働者に対して、予告期間のうち勤務しない日数についても解雇手当を支払って解雇しなければならないか。

(ロ) 現雇用主がその労働者に対し予告期間の満了するまで勤務することを要求することができるとすれば、それに従わない労働者は自己退職となるか。

(ハ) 現雇用主がその申出に対しその場で予告の取消しをなし得るか。
 もしなし得るとすればその時にそれに対して労働者が辞退の意思表示をすれば、自己退職として取り扱われるか。

問3
解雇予告の取消し以前(予告期間満了以前)に他の職場と雇用契約をなし就職の準備を行っていたとしても、予告取消し通告後にその旨申出たとすれば自己退職の形でなければ退職することができないのか。

問4
前期問2の(ハ)の場合と異なり、解雇予告期間中に他の職場に就職することを決定した旨現雇用主に申出て予め了解を得ておいたが、その予告期間の満了しないうちにその予告の取消しが通告されたとすれば、その場合

(イ) この予告の取消しは有効であるか。

(ロ) 有効であるとすれば、予告期間満了によって解雇は成立するものと解釈してよいか。

答2、3及び4
労働者が解雇予告期間中に他の使用者と雇用契約を結び、その契約に基く勤務を開始しようとして使用者に申出た時は、一般には使用者は予告期間の満了するまでの期間勤務することが要求できるものと考えられる。
ただし、労働者の当該申出が自らの意思により雇用関係を終了させようとする自己退職の意思表示と認められる場合及び前述の使用者の要求に従わないで、他の使用者との新しい契約に基いて現実に勤務を開始した場合には、労働者より退職の意思表示があったものと考えられるので、労働者の退職の意思表示によって使用者の解雇予告期間満了時前に雇用関係が終了することもあるから、この場合にはそれまでの期間に限り使用者は労働者の勤務を要求できる。
なお、使用者が行った解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことを得ないが、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができるものと解すべきである。解雇予告の意思表示の取消しに対して、労働者の同意がない場合は、自己都合の問題は生じない。