社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

ゴールド・マリタイム事件(大阪高判平成2.7.26労判572号114頁)

ゴールド・マリタイム事件(大阪高判平成2.7.26労判572号114頁)

1.事件の概要

XはY社の管理責任者の地位にあったが、Y社は、Xがしばしば無断早退や職場離反があり管理者としての責任を全うしないとして、懲戒解雇処分に処した。しかし、この解雇について、裁判所で地位保全仮処分申請が認容されると、Y社はXを職場に復帰させ配置を検討した。しかし、各部署で受け入れを拒否されたため、XをY社の下請け先であるA社に出向させることとした。しかし、Xは、この出向に撤回を求め、面談においても承諾をしなかった。そこで、Y社はXが出向先に着任しなかったことを理由に解雇の意思表示をした。

2.判決の概要

Y社のなした本件出向命令には、その業務上の必要性、人選上の合理席があるとは到底認められず、むしろ、協調性を欠き勤務態度が不良で管理職としての適性を欠くと認識していたXを、出向という手段を利用してY社の職場から放逐しようとしたものと推認せざるを得ない。
そうすると、本件出向命令は業務上の必要があってなされたものではなく、権利の濫用に当たり、同命令は無効というべきである。

3.解説
使用者が出向命令権を有する場合でも、出向の必要性や人選における合理性を欠く場合には、出向命令権の濫用として無効となるという、出向命令権の濫用という考え方を、下級審ながら、労働契約法の制定前に示した判例

労働契約法14条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

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