社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



「都内企業における兼業・副業に関する実態調査」の結果

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「都内企業における兼業・副業に関する実態調査」の結果

東京都による「都内企業における兼業・副業に関する実態調査」の結果が公表されています。

3年くらい前に厚労省主催の研修で、今後は兼業を推進していく方針だという話を耳にしたときは、事務所に勤めながら、兼業で執筆活動や予備校や研修の講師をして、社会保険労務士として名前を売って行けるようになったらいいな、なんて半信半疑に将来を思い描いていましたが、2020年(令和2年)8月~10月にかけて実施された本調査によると、すでに30%弱の企業が兼業を認めているようです。

いずれブログでも詳細を取り上げたいと思いますが、本業と兼業がともに雇用契約というパターンだと残業時間の管理が煩雑になるのがネックです。それを反映してか、本調査によると「個人事業主として」兼業を認める企業が半数を占めています。

下記に「従業員の兼業・副業の状況」を抜粋しました。
詳細はリンクをご確認ください。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/sodan/chousa/kengyo-fukugyo/index.html

従業員の兼業・副業の状況

(1)兼業・副業の制度・内容についての関心の有無

兼業・副業の制度・内容についての関心の有無を尋ねたところ、「大いにある」が3.8%、「ある」が40.9%と、半数近くが兼業・副業の制度・内容についての関心を持っている。

(2)従業員の兼業・副業を認めている状況

従業員の兼業・副業については、「全面的に認めている」が6.3%、「条件付で一部認めている」が28.6%となっており、約3分の1の企業が認めている。

(3)従業員の兼業・副業についての社内手続

就業規則

従業員の兼業・副業を認めている企業に対し、社内手続きを就業規則に定めているかどうか尋ねたところ、「定めている」企業は31.2%となっており、「就業規則以外に定めている」と回答した企業は3.7%である。

② 社内手続き

従業員の兼業・副業を認めている企業の社内手続きとしては、「届出のみ」が29.5%、「届出と審査を実施」が25.7%、「届出なし」が34.6%などとなっている。

③ 従業員の兼業・副業を認めている形態

従業員の兼業・副業を認めている形態としては、「個人事業主として」が52.7%と最も多く、「他社の社員として」が36.6%、「家業従事者として」が32.0%となっている。

④ 従業員の兼業・副業を認めている理由

従業員の兼業・副業を認めている理由としては、「柔軟な働き方による優秀な人材採用」が38.7%で最も多く、「人材の定着(離職率の低下)」が37.8%、「従業員のモチベーション向上」が35.2%とほぼ肩を並べ、「働き方改革の促進」が28.7%と続いている。

(4)従業員の兼業・副業の効果、課題

① 従業員の兼業・副業の効果の有無

従業員の兼業・副業を認めている企業における効果については、「あった」が6.6%、「ややあった」が26.4%で、効果を認めているのは約3割となっている。

② 従業員の兼業・副業の効果の内容

従業員の兼業・副業を認めている企業の効果の内容としては、「人材の定着(離職率の低下)」が38.1%と最も多く、「従業員のモチベーション向上」が32.6%、「柔軟な働き方による優秀な人材採用」が27.3%と続いている。

③ 従業員の兼業・副業の課題・問題点

従業員の兼業・副業を認めている企業における課題・問題点としては、「従業員の健康管理上の問題」が41.2%、「社内業務への支障」が40.3%と多くなっており、「従業員の労務管理上(労働時間・給与管理等)の問題」が34.7%、「従業員の労務管理上(労働災害等)の問題」が23.3%、「会社のノウハウや機密情報の流出」が22.8%などとなっている。

④ 従業員の兼業・副業の今後の方針

従業員の兼業・副業を認めている企業における今後の方針として、どのように考えているか尋ねたところ、88.8%が「現状を維持する」と回答し、「制度をさらに拡充する」が3.3%、「制度を見直し縮小する」が1.6%などとなっている。

(5)従業員の兼業・副業を認めていない理由(懸念されること)と今後の方針

① 従業員の兼業・副業を認めていない理由(懸念されること)

従業員の兼業・副業を認めていない企業に、その理由(懸念されること)を尋ねたところ、「本業が疎かになる」が67.7%で最も多く、「業務への支障」が63.8%、「従業員の健康管理上の問題」50.9%、「従業員の労務管理上(労働時間・給与管理等)の問題」が45.7%などとなっている。

② 企業における今後の方針

従業員の兼業・副業を認めていない企業における今後の方針としては、「当面取り組む予定はない」が66.3%と最も多く、「従業員の意向によって検討する」が22.4%、「地域や他社の動向を見て検討する」が12.7%、「課題が解消されれば導入する」が10.1%となっている。