社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインが改定されました!!

テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインが改定されました!!


概要を抜粋しますので、詳細はリンクをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000758976.pdf


テレワークガイドラインの改定の主な概要

○テレワークの推進を図るためのガイドラインであることを明示的に示す観点から、ガイドラインのタイトルを「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に改定。

テレワークの導入に際しての留意点

○テレワークの推進は、労使双方にとってプラスなものとなるよう、働き方改革の推進の観点にも配意して行うことが有益であり、使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことのできる良質なテレワークとすることが求められる。
○テレワークを推進するなかで、従来の労務管理の在り方等について改めて見直しを行うことも、生産性の向上に資するものであり、テレワークを実施する労働者だけでなく、企業にとってもメリットのあるものである。
○テレワークを円滑かつ適切に導入・実施するに当たっては、あらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定めておくことが重要である。

テレワークの対象業務

○一般にテレワークを実施することが難しい業種・職種であっても個別の業務によっては実施できる場合があり、管理職側の意識を変えることや、業務遂行の方法の見直しを検討することが望ましい。
○オフィスに出勤する労働者のみに業務が偏らないよう、留意することが必要である。

テレワークの対象者等

○テレワークの対象者を選定するに当たっては、正規雇用労働者、非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由としてテレワーク対象者から除外することのないよう留意する必要がある。
○在宅での勤務は生活と仕事の線引きが困難になる等の理由から在宅勤務を希望しない労働者について、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務の利用も考えられる。
○特に新入社員、中途採用の社員及び異動直後の社員は、コミュニケーションの円滑化に特段の配慮をすることが望ましい。

導入に当たっての望ましい取組

○不必要な押印や署名の廃止、書類のペーパーレス化、決裁の電子化等が有効であり、職場内の意識改革をはじめ、業務の進め方の見直しに取り組むことが望ましい。
○働き方が変化する中でも、労働者や企業の状況に応じた適切なコミュニケーションを促進するための取組を行うことが望ましい。
○企業のトップや経営層がテレワークの必要性を理解し、方針を示すなど企業全体として取り組む必要がある。

労務管理上の留意点

テレワークにおける人事評価制度

○人事評価は、企業が労働者に対してどのような働きを求め、どう処遇に反映するかといった観点から、企業がその手法を工夫して、適切に実施することが基本である。
○人事評価の評価者に対しても、訓練等の機会を設ける等の工夫が考えられる。
○時間外等のメール等に対応しなかったことを理由として不利益な人事評価を行うことは適切な人事評価とはいえない。
○テレワークを行う場合の評価方法を、オフィスでの勤務の場合の評価方法と区別する際には、誰もがテレワークを行えるようにすることを妨げないように工夫を行うことが望ましい。
○テレワークを実施せずにオフィスで勤務していることを理由として、オフィスに出勤している労働者を高く評価すること等も、労働者がテレワークを行おうとすることの妨げになるものであり、適切な人事評価とはいえない。

テレワークに要する費用負担の取扱い

○テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない。
○個々の企業ごとの業務内容、物品の貸与状況等により、費用負担の取扱いは様々であるため、労使のどちらがどのように負担するか等についてはあらかじめ労使で十分に話し合い、企業ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則等において規定しておくことが望ましい。
○在宅勤務に伴う費用について、業務に要した実費の金額を在宅勤務の実態を踏まえて合理的・客観的に計算し、支給することも考えられる。

テレワーク状況下における人材育成・テレワークを効果的に実施するための人材育成

○オンラインでの人材育成は、オンラインならではの利点を持っているため、その利点を活かす工夫をすることも有用である。
○テレワークを導入した初期あるいは機材を新規導入したとき等には、必要な研修等を行うことも有用である。
○自律的に働くことができるよう、管理職による適切なマネジメントが行われることが重要であり、管理職のマネジメント能力向上に取り組むことも望ましい。

テレワークのルールの策定と周知

労働基準法上の労働者については、テレワークを行う場合においても、労働基準法最低賃金法、労働安全衛生法労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用される。
○テレワークを円滑に実施するためには、使用者は労使で協議して策定したテレワークのルールを就業規則に定め、労働者に適切に周知することが望ましい。

様々な労働時間制度の活用

労働時間の柔軟な取扱い

労働基準法上の全ての労働時間制度でテレワークが実施可能。このため、テレワーク導入前に採用している労働時間制度を維持したまま、テレワークを行うことが可能。一方で、テレワークを実施しやすくするために労働時間制度を変更する場合には、各々の制度の導入要件に合わせて変更することが可能。
○通常の労働時間制度及び変形労働時間制においては、始業及び終業の時刻や所定労働時間をあらかじめ定める必要があるが、必ずしも一律の時間に労働する必要がないときには、テレワークを行う労働者ごとに自由度を認めることも考えられる。
フレックスタイム制は、労働者が始業及び終業の時刻を決定することができる制度であり、テレワークになじみやすい。
事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定することが困難なときに適用される制度であり、テレワークにおいて一定程度自由な働き方をする労働者にとって、柔軟にテレワークを行うことが可能となる。(※このほか、事業場外みなし労働時間制を適用するための要件について明確化)

テレワークにおける労働時間管理の工夫

テレワークにおける労働時間管理の把握

○労働時間の管理については、本来のオフィス以外の場所で行われるため使用者による現認ができないなど、労働時間の把握に工夫が必要となる一方で、情報通信技術を活用する等によって、労務管理を円滑に行うことも可能となる。
○労働時間の把握については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を踏まえ、次の方法によることが考えられる。
パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として、始業及び終業の時刻を確認すること(テレワークに使用する情報通信機器の使用時間の記録等や、サテライトオフィスへの入退場の記録等により労働時間を把握)
・労働者の自己申告により把握すること(※労働時間の自己申告に当たっては、自己申告制の適正な運用等について十分な説明を行うこと、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと等の留意点を記載)。

テレワークに特有の事象の取扱い

○中抜け時間把握する際の工夫方法として、例えば一日の終業時に、労働者から報告させることが考えられることや、中抜け時間について、休憩時間として取り扱い終業時刻を繰り下げたり、時間単位の年次有給休暇として取り扱うことも、始業及び終業の時刻の間の時間について、休憩時間を除き労働時間として取り扱うことも可能であることを記載)。

長時間労働対策
テレワークによる長時間
労働等を防ぐ手法としては、次のような手法が考えられる。
・メール送付の抑制等やシステムへのアクセス制限等
・時間外・休日・所定外深夜労働についての手続
:労使の合意により、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数をあらかじめ使用者が設定する等

テレワークにおける安全衛生の確保

○テレワークでは、労働者が上司等とコミュニケーションを取りにくい、上司等が労働者の心身の変調に気づきにくいという状況となる場合が多く、事業者は、「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」を活用する等により、健康相談体制の整備や、コミュニケーションの活性化のための措置を実施することが望ましい。
○自宅等については、事務所衛生基準規則等は一般には適用されないが、安全衛生に配慮したテレワークが実施されるよう、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」を活用すること等により、作業環境に関する状況の報告を求めるとともに、必要な場合には、労使が協力して改善を図る又はサテライトオフィス等の活用を検討することが重要である。

テレワークにおける労働災害の補償

○労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じたテレワークにおける災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となる。
○使用者は、情報通信機器の使用状況などの客観的な記録や労働者から申告された時間の記録を適切に保存するとともに、労働者が負傷した場合の災害発生状況等について、使用者や医療機関等が正確に把握できるよう、当該状況等を可能な限り記録しておくことを労働者に対して周知することが望ましい。

テレワークの際のハラスメントへの対応

○事業主は、職場におけるパワーハラスメントセクシュアルハラスメント等(以下「ハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられており、テレワークの際にも、オフィスに出勤する働き方の場合と同様に、関係法令・関係指針に基づき、ハラスメントを行ってはならない旨を労働者に周知啓発する等、ハラスメントの防止対策を十分に講じる必要がある。

テレワークの際のセキュリティへの対応

○情報セキュリティの観点から全ての業務を一律にテレワークの対象外と判断するのではなく、関連技術の進展状況等を踏まえ、解決方法の検討を行うことや業務毎に個別に判断することが望ましい。

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脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について(基発第1063号平成13年12月12日・改正基発0507第3号平成22年5月7日・改正基発0821第3号令和2年8月21日)

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について

標記については、平成7年2月1日付け基発第38号(以下「38号通達」という。)及び平成8年1月22日付け基発第30号(以下「30号通達」という。)により示してきたところであるが、今般、「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」の検討結果を踏まえ、別添の認定基準を新たに定めたので、今後の取扱いに遺漏のないよう万全を期されたい。

なお、本通達の施行に伴い、38号通達及び30号通達は廃止する。


脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210325K0040.pdf

第1 基本的な考え方

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。以下「脳・心臓疾患」という。)は、その発症の基礎となる動脈硬化等による血管病変又は動脈瘤、心筋変性等の基礎的病態(以下「血管病変等」という。)が長い年月の生活の営みの中で形成され、それが徐々に進行し、増悪するといった自然経過をたどり発症に至るものとされている。
しかしながら、業務による明らかな過重負荷が加わることによって、血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合があり、そのような経過をたどり発症した脳・心臓疾患は、その発症に当たって、業務が相対的に有力な原因であると判断し、業務に起因することの明らかな疾病として取り扱うものである。
このような脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷として、発症に近接した時期における負荷のほか、長期間にわたる疲労の蓄積も考慮することとした。
また、業務の過重性の評価に当たっては、労働時間、勤務形態、作業環境、精神的緊張の状態等を具体的かつ客観的に把握、検討し、総合的に判断する必要がある。

第2 対象疾病

本認定基準は、次に掲げる脳・心臓疾患を対象疾病として取り扱う。

1 脳血管疾患

2 虚血性心疾患等

第3 認定要件

次の(1)、(2)又は(3)の業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、労働基準法施行規則別表第1の2第8号に該当する疾病として取り扱う。

(1) 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事(以下「異常な出来事」という。)に遭遇したこと。
(2) 発症に近接した時期において、特に過重な業務(以下「短期間の過重業務」という。)に就労したこと。
(3) 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務(以下「長期間の過重業務」という。)に就労したこと。

第4 認定要件の運用

1 脳・心臓疾患の疾患名及び発症時期の特定について

(1) 疾患名の特定について

脳・心臓疾患の発症と業務との関連性を判断する上で、発症した疾患名は重要であるので、臨床所見、解剖所見、発症前後の身体の状況等から疾患名を特定し、対象疾病に該当することを確認すること。
なお、前記第2の対象疾病に掲げられていない脳卒中等については、後記第5によること。

(2) 発症時期の特定について

脳・心臓疾患の発症時期については、業務と発症との関連性を検討する際の起点となるものである。
通常、脳・心臓疾患は、発症(血管病変等の破綻(出血)又は閉塞した状態をいう。)の直後に症状が出現(自覚症状又は他覚所見が明らかに認められることをいう。)するとされているので、臨床所見、症状の経過等から症状が出現した日を特定し、その日をもって発症日とすること。
なお、前駆症状(脳・心臓疾患発症の警告の症状をいう。)が認められる場合であって、当該前駆症状と発症した脳・心臓疾患との関連性が医学的に明らかとされたときは、当該前駆症状が確認された日をもって発症日とすること。

2 過重負荷について

過重負荷とは、医学経験則に照らして、脳・心臓疾患の発症の基礎となる血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ得ることが客観的に認められる負荷をいい、業務による明らかな過重負荷と認められるものとして、「異常な出来事」、「短期間の過重業務」及び「長期間の過重業務」に区分し、認定要件としたものである。
ここでいう自然経過とは、加齢、一般生活等において生体が受ける通常の要因による血管病変等の形成、進行及び増悪の経過をいう。

(1) 異常な出来事について

ア 異常な出来事
 異常な出来事とは、具体的には次に掲げる出来事である。
(ア) 極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす突発的又は予測困難な異常な事態
(イ) 緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的又は予測困難な異常な事態
(ウ) 急激で著しい作業環境の変化

イ 評価期間
 異常な出来事と発症との関連性については、通常、負荷を受けてから24時間以内に症状が出現するとされているので、発症直前から前日までの間を評価期間とする。

ウ 過重負荷の有無の判断
異常な出来事と認められるか否かについては、①通常の業務遂行過程においては遭遇することがまれな事故又は災害等で、その程度が甚大であったか、②気温の上昇又は低下等の作業環境の変化が急激で著しいものであったか等について検討し、これらの出来事による身体的、精神的負荷が著しいと認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断すること。

(2) 短期間の過重業務について

ア 特に過重な業務
特に過重な業務とは、日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうものであり、日常業務に就労する上で受ける負荷の影響は、血管病変等の自然経過の範囲にとどまるものである。
ここでいう日常業務とは、通常の所定労働時間内の所定業務内容をいう。

イ 評価期間
発症に近接した時期とは、発症前おおむね1週間をいう。

ウ 過重負荷の有無の判断

(ア) 特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同僚労働者又は同種労働者(以下「同僚等」という。)にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断すること。
ここでいう同僚等とは、当該労働者と同程度の年齢、経験等を有する健康な状態にある者のほか、基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できる者をいう。

(イ) 短期間の過重業務と発症との関連性を時間的にみた場合、医学的には、発症に近いほど影響が強く、発症から遡るほど関連性は希薄となるとされているので、次に示す業務と発症との時間的関連を考慮して、特に過重な業務と認められるか否かを判断すること。

① 発症に最も密接な関連性を有する業務は、発症直前から前日までの間の業務であるので、まず、この間の業務が特に過重であるか否かを判断すること。
② 発症直前から前日までの間の業務が特に過重であると認められない場合であっても、発症前おおむね1週間以内に過重な業務が継続している場合には、業務と発症との関連性があると考えられるので、この間の業務が特に過重であるか否かを判断すること。
なお、発症前おおむね1週間以内に過重な業務が継続している場合の継続とは、この期間中に過重な業務に就労した日が連続しているという趣旨であり、必ずしもこの期間を通じて過重な業務に就労した日が間断なく続いている場合のみをいうものではない。したがって、発症前おおむね1週間以内に就労しなかった日があったとしても、このことをもって、直ちに業務起因性を否定するものではない。

(ウ) 業務の過重性の具体的な評価に当たっては、以下に掲げる負荷要因について十分検討すること。

a 労働時間
労働時間の長さは、業務量の大きさを示す指標であり、また、過重性の評価の最も重要な要因であるので、評価期間における労働時間については、十分に考慮すること。
例えば、発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められるか、発症前おおむね1週間以内に継続した長時間労働が認められるか、休日が確保されていたか等の観点から検討し、評価すること。

b 不規則な勤務
不規則な勤務については、予定された業務スケジュールの変更の頻度・程度、事前の通知状況、予測の度合、業務内容の変更の程度等の観点から検討し、評価すること。

c 拘束時間の長い勤務
拘束時間の長い勤務については、拘束時間数、実労働時間数、労働密度(実作業時間と手待時間との割合等)、業務内容、休憩・仮眠時間数、休憩・仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)等の観点から検討し、評価すること。

d 出張の多い業務
出張については、出張中の業務内容、出張(特に時差のある海外出張)の頻度、交通手段、移動時間及び移動時間中の状況、宿泊の有無、宿泊施設の状況、出張中における睡眠を含む休憩・休息の状況、出張による疲労の回復状況等の観点から検討し、評価すること。

e 交替制勤務・深夜勤務
交替制勤務・深夜勤務については、勤務シフトの変更の度合、勤務と次の勤務までの時間、交替制勤務における深夜時間帯の頻度等の観点から検討し、評価すること。

f 作業環境
作業環境については、脳・心臓疾患の発症との関連性が必ずしも強くないとされていることから、過重性の評価に当たっては付加的に考慮すること。

(a) 温度環境
温度環境については、寒冷の程度、防寒衣類の着用の状況、一連続作業時間中の採暖の状況、暑熱と寒冷との交互のばく露の状況、激しい温度差がある場所への出入りの頻度等の観点から検討し、評価すること。
なお、温度環境のうち高温環境については、脳・心臓疾患の発症との関連性が明らかでないとされていることから、一般的に発症への影響は考え難いが、著しい高温環境下で業務に就労している状況が認められる場合には、過重性の評価に当たって配慮すること。

(b) 騒音
騒音については、おおむね80dBを超える騒音の程度、そのばく露時間・期間、防音保護具の着用の状況等の観点から検討し、評価すること。

(c) 時差
飛行による時差については、5時間を超える時差の程度、時差を伴う移動の頻度等の観点から検討し、評価すること。

g 精神的緊張を伴う業務
精神的緊張を伴う業務については、別紙の「精神的緊張を伴う業務」に掲げられている具体的業務又は出来事に該当するものがある場合には、負荷の程度を評価する視点により検討し、評価すること。
また、精神的緊張と脳・心臓疾患の発症との関連性については、医学的に十分な解明がなされていないこと、精神的緊張は業務以外にも多く存在すること等から、精神的緊張の程度が特に著しいと認められるものについて評価すること。

(3) 長期間の過重業務について

疲労の蓄積の考え方
恒常的な長時間労働等の負荷が長期間にわたって作用した場合には、「疲労の蓄積」が生じ、これが血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ、その結果、脳・心臓疾患を発症させることがある。
このことから、発症との関連性において、業務の過重性を評価するに当たっては、発症前の一定期間の就労実態等を考察し、発症時における疲労の蓄積がどの程度であったかという観点から判断することとする。

イ 特に過重な業務
特に過重な業務の考え方は、前記(2)のアの「特に過重な業務」の場合と同様である。

ウ 評価期間
発症前の長期間とは、発症前おおむね6か月間をいう。
なお、発症前おおむね6か月より前の業務については、疲労の蓄積に係る業務の過重性を評価するに当たり、付加的要因として考慮すること。

エ 過重負荷の有無の判断
(ア) 著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同僚等にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断すること。
(イ) 業務の過重性の具体的な評価に当たっては、疲労の蓄積の観点から、労働時間のほか前記(2)のウの(ウ)のbからgまでに示した負荷要因について十分検討すること。
その際、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところであり、具体的には、発症日を起点とした1か月単位の連続した期間をみて、
 ① 発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
 ② 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること。
※36協定や時間外労働の上限と概ね同じです。あのわかりにくい上限設定は、この基準に拠ったものと思われます。(川口補足)


ここでいう時間外労働時間数は、1週間当たり40時間を超えて労働した時間数である。
また、休日のない連続勤務が長く続くほど業務と発症との関連性をより強めるものであり、逆に休日が十分確保されている場合は、疲労は回復ないし回復傾向を示すものである。

第5 その他

脳卒中について

脳卒中は、脳血管発作により何らかの脳障害を起こしたものをいい、従来、脳血管疾患の総称として用いられているが、現在では、一般的に前記第2の1に掲げた疾患に分類されている。
脳卒中として請求された事案については、前記第4の1の(1)の考え方に基づき、可能な限り疾患名を確認すること。

その結果、対象疾病以外の疾病であることが確認された場合を除き、本認定基準によって判断して差し支えない。

2 急性心不全について

急性心不全(急性心臓死、心臓麻痺等という場合もある。)は、疾患名ではないことから、前記第4の1の(1)の考え方に基づき、可能な限り疾患名を確認すること。
その結果、急性心不全の原因となった疾病が、対象疾病以外の疾病であることが確認された場合を除き、本認定基準によって判断して差し支えない。

不整脈について

平成8年1月22日付け基発第30号で対象疾病としていた「不整脈による突然死等」は、不整脈が一義的な原因となって心停止又は心不全症状等を発症したものであることから、「不整脈による突然死等」は、前記第2の2の(3)の「心停止(心臓性突然死を含む。)」に含めて取り扱うこと。

第6 複数業務要因災害

労働者災害補償保険法第7条第1項第2号に定める複数業務要因災害による脳・心臓疾患に関しては、本認定基準を下記1のとおり読み替えるほか、本認定基準における過重性の評価に係る「業務」を「二以上の事業の業務」と、また、「業務起因性」を「二以上の事業の業務起因性」と解した上で、本認定基準に基づき、認定要件を満たすか否かを判断する。
その上で、上記第4の2に関し下記2に規定した部分については、これにより判断すること。

1 認定基準の読み替えについて

上記第3の「労働基準法施行規則別表第1の2第8号に該当する疾病」を「労働者災害補償保険法施行規則第18条の3の6に規定する労働基準法施行規則別表第1の2第8号に掲げる疾病」と読み替える。

2 二以上の事業の業務による過重負荷の有無の判断について

(1)上記第4の2(1)の「異常な出来事」に関し、これが認められる場合には、一の事業における業務災害に該当すると考えられることから、一般的には、異なる事業における負荷を合わせて評価することはないものと考えられる。
(2)上記第4の2(2)の「短期間の過重業務」及び同(3)の「長期間の過重業務」に関し、業務の過重性の検討に当たっては、異なる事業における労働時間を通算して評価する。また、労働時間以外の負荷要因については、異なる事業における負荷を合わせて評価する。

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5月以降の雇用調整助成金の特例措置等の方針が公表されました!!

5月以降の雇用調整助成金の特例措置等の方針が公表されました!!


基本的な方針は、変わらないのかと思ったら・・・・

一定の大企業及び全ての中小企業を対象として、解雇等を行わない場合の助成率10/10については、5月・6月については、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業に係る特例の対象となるものに対してのみ、引き続き、2021年(令和3年)1月8日以降の解雇等の有無により、適用する助成率を判断することになりますが、該当しない企業については、令和2年1月24日以降の解雇等の有無により、適用する助成率を判断されるようになるようです。

2020年(令和2年)1月25日以降に、コロナに関係なくたまたま解雇を行っていた不運な中小企業は、2021年(令和3年)1月7日以前は8/10の助成率で、年明けにようやく10/10が適用されるようなったと思ったら、特に業況が厳しい企業等に該当しないかぎり、5月1日以降は再び8/10に戻ってしまうことになります。

なお、5月・6月における、感染が拡大している地域及び特に業況が厳しい企業の要件は次のとおりです。

感染が拡大している地域
まん延防止等重点措置実施地域において、知事による、新型インフルエンザ対策等特別措置法第18条に規定する基本的対処方針に沿った要請を受けて同法施行令第11条に定める施設における営業時間の短縮等に協力する事業主(まん延防止等重点措置実施地域については、知事が定める区域・業態に係る事業主が対象。まん延防止等重点措置の解除月の翌月末まで適用。)

※まん延防止等重点措置実施地域にあるすべての業種が対象となるのではなく、新型インフルエンザ対策等特別措置法施行令第11条に定める施設が都道府県知事の要請を受けて、営業時間の短縮等に協力したとき場合に特例を受けることができます。
※同法施行令第11条に定める施設については、こちらのQ&Aをご参照ください。
https://sr-memorandum.hatenablog.com/entry/2021/01/23/221013


特に業況が厳しい企業
生産指標が最近3か月の月平均で前(々)年同期比30%以上減少の全国の事業主



(注)以下は、事業主の皆様に政府としての方針を表明したものです。施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定となります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/r305cohotokurei_00004.html

1.5月以降の雇用調整助成金の特例措置等について

 雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金(以下「雇用調整助成金等」という。)、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下「休業支援金等」という。)については、先般(令和3年2月12日)公表した「新たな雇用・訓練パッケージ」を踏まえ、別紙のとおり、5月・6月の2か月間、原則的な措置を縮減するとともに、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業について特例が設けられる予定です。

 そのうえで、7月以降については、雇用情勢が大きく悪化しない限り、上記の原則的な措置及び感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業への特例措置をそれぞれ更に縮減する予定です。

2.雇用調整助成金等の雇用維持要件について

 現在、一定の大企業及び全ての中小企業を対象として、解雇等を行わない場合の助成率を10/10されており、これらの企業の2021年(令和3年)1月8日以降4月末までの休業等については、2021年(令和3年)1月8日以降の解雇等の有無により、適用する助成率が判断されています。(※)

(※)雇用維持要件が緩和されていない企業は、2020年(令和2年)1月24日以降の解雇等の有無で適用する助成率を判断。

 5月・6月の休業等については、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業に係る特例の対象となるものに対し、引き続き、2021年(令和3年)1月8日以降の解雇等の有無により、適用する助成率を判断することなる予定です。
(上記に該当しない企業については、令和2年1月24日以降の解雇等の有無により、適用する助成率を判断。

別紙
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「新たな雇用・訓練パッケージ」はこちらを参照
https://sr-memorandum.hatenablog.com/entry/2021/02/15/205958

2021年(令和3年)4月改定|障害者介助等助成金・職場適応援助者助成金の変更

2021年(令和3年)4月改定|障害者介助等助成金・職場適応援助者助成金の変更

https://www.jeed.go.jp/disability/topics/q2k4vk000003fogh-att/q2k4vk000003pyrj.pdf

1.障害者介助等助成金・職場適応援助者助成金の所管変更

現在労働局及びハローワークで支給されている「障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース(一部)、障害者職場適応援助コース)」は、2021年(令和3年)4月1日から当機構に申請先が変わり「障害者雇用納付金制度に基づく助成金(障害者介助等助成金、職場適応援助者助成金)」として、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が支給審査等を行うようになります。

なお、2021年(令和3年)3月までに労働局またはハローワークに提出された職場定着支援計画に基づく措置(障害者職場定着支援コース)、2021年(令和3年)3月までに地域障害者職業センターが作成または承認した支援計画に基づく職場適応援助(障害者職場適応援助コース)については、障害者雇用安定助成金として2021年(令和3年)4月以降も引き続き労働局またはハローワークで支給審査等が行われます。

障害者介助等助成金とは

【職場支援員の配置助成金
雇用する障害者の職場定着を図るために職場支援員を配置・委嘱した事業主に対して助成

【職場復帰支援助成金
中途障害等により1ヶ月以上の療養のための休職を余儀なくされた者の職域開発その他職場復帰のために必要な措置を講じた事業主に対して助成

職場適応援助者助成金

訪問型職場適応援助者助成金・企業在籍型職場適応援助者助成金
職場適応に特に課題を抱える障害者に対して、訪問型・企業在籍型職場適応援助者による支援を実施した事業主に対して助成

2.障害者職場実習支援事業の終了

障害者職場実習支援事業は、2021年(令和3年)3月末をもって終了となります。
当該事業を予定されている場合は、2021年(令和3年)3月31日までに障害者職場実習実施計画認定申請書を提出してください。


助成金を受給するためには、助成金ごとに定められた要件を満たす必要があります。
助成金の詳しい内容につきましては、所在する都道府県支部高齢・障害者業務課(東京、大阪は、高齢・障害者窓口サービス課)へお問い合わせいただくか、機構ホームページでご確認ください。
https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html

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2021年(令和3年)4月改正|障害者雇用納付金制度に基づく助成金の取扱いの変更について

2021年(令和3年)4月改正|障害者雇用納付金制度に基づく助成金の取扱いの変更について

https://www.jeed.go.jp/disability/topics/q2k4vk000003pyrl-att/q2k4vk000003pysn.pdf

1.支給要件・支給額等に関するもの

〇同一の障害者において整備等を行った施設又は設備の2回目及び3回目の支給について、「障害の重度化又は人事異動等により整備等を行う施設又は設備」のほか、「法定耐用年数を経過した支給対象設備の更新」についても支給対象に追加【第1種作業施設助成金

〇支給対象費用の算定に当たり、1暦月のうち支給対象障害者が出勤した日が1日以上ある場合の「出勤した日とみなすことができる対象として「事業主の方針により一時的なテレワークを行った場合」を追加【住宅の賃借、駐車場の賃借助成金

助成金の支給決定額について、「千円単位」から「1円単位」に変更【第1種作業施設、福祉施設、通勤用バス、通勤用自動車、重度多数助成金

〇支給対象となった施設・設備・車両等について、事業主等の資産として計上する必要のある取得価額を「30万円以上」から「50万円以上」に変更【第1種作業施設、福祉施設、通勤用バス、通勤用自動車、重度多数助成金

2.申請・支給手続きに関するもの

〇事前着手が可能となる日について、「機構の認定申請書受理日以降」から「事業主の認定申請書提出日以降」に変更【第1種作業施設、福祉施設、通勤用バス、通勤用自動車】

〇作業施設等の賃借、住宅又は駐車場の賃借、住宅手当の支払の助成金の認定申請期限について、「契約の締結日の翌日から起算して3か月後まで」から「契約の締結日の翌日から起算して6か月後まで」に変更【第2種作業施設、住宅の賃借、住宅手当の支払、駐車場の賃借助成金

〇委嘱に係る支給請求書の提出について、奇数回目の支給額が1年の期間ごとの支給限度額に達した場合は、その直後の偶数回目の支給請求は不要【職場介助者(継続を含む)、手話通訳等担当者の委嘱助成金

〇職場介助者の変更及び手話通訳等担当者の変更に係る事業計画の変更手続について、事前承認制から届出制(事後提出可)に変更【職場介助者(継続を含む)、手話通訳等担当者の委嘱助成金

助成金を受給するためには、助成金ごとに定められた要件を満たす必要があります。
助成金の詳しい内容につきましては、所在する都道府県支部高齢・障害者業務課(東京、大阪は、高齢・障害者窓口サービス課)へお問い合わせいただくか、機構ホームページでご確認ください。
https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html


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国土交通省による令和2年度「テレワーク人口実態調査」の結果概要

国土交通省による令和2年度「テレワーク人口実態調査」の結果概要

国土交通省では、テレワーク関係府省(内閣官房内閣府総務省厚生労働省経済産業省)と連携して、テレワークの普及促進に取り組んでおり、今後の促進策に役立てることを目的として、「テレワーク人口実態調査」を毎年実施しています。

「毎年実施」と言われると不思議に思う方もいるかもしれませんが、「テレワーク」というのは新型コロナウイルスの影響で行われるようになったものではなく、将来あるべき効率的な働き方の一つとして、コロナ以前から研究されていました。
新型コロナウイルスの影響により、「テレワーク」の需要が急激に増えましたが、元々効率的な働き方と考えられていたのですから、効率がよくなるというのはもっともな話なのです。
ポストコロナにおいて、テレワークがある程度縮減するのは仕方がないことですが、やってみて効果的であった領域まで縮減して元に戻そうというのは、時代に逆行することだと私は考えます。

それはさておき、概要を抜粋しましたのでご確認ください。
詳細は、リンクをご確認ください。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001391381.pdf

〇テレワーカーの割合

・テレワーカーの割合は、全就業者(雇用型、自営型)のテレワーカーの割合は22.5%で、前年度から約7ポイント増加し、過去5年間で最高値を記録。
・地域別では、雇用型就業者・自営型就業者ともに、相対的に首都圏が高く、地方都市圏で低い。雇用型就業者のテレワーカーの割合は、どの地域も前年度より上昇し、特に首都圏で大幅に上昇。また、どの地域でも、通勤時間が長い人ほど、テレワーカーの割合が高い。
・通勤交通手段別では、鉄道・バス利用者の在宅型テレワーカーの割合が高く、どの地域でも、前年度に比べて3倍程度上昇。

〇勤務先のテレワーク制度等の導入割合

・雇用型就業者における、勤務先にテレワーク制度等が導入されていると回答した人の割合は38.8%と、前年度19.6%に比べ大幅に上昇。
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〇テレワーク制度等に基づく雇用型テレワーカーの割合(政府KPI)

・雇用型就業者における、勤務先にテレワーク制度等が導入されていると回答した雇用型テレワーカーの割合は、19.7%※(前年度9.8%)。 ※政府KPIの目標:15.4%。

〇テレワークの実施場所・平均仕事時間

テレワーカーの実施場所としては、在宅型が約90%と最も多く、サテライト型・モバイル型と比べて突出して多い。

〇テレワーク実施場所としての考え方(希望する使い方)

自宅は「主な実施場所として利用」が約84%と最も多い。
・共同利用型オフィス等は「主な実施場所として利用」が約7%、「条件が合えば主な実施場所として利用」が約18%、「都合により時々利用」が約14%であり、利用意向のある人は、テレワーク実施者のうちの約38%。

〇テレワークの開始時期・満足度・実施意向等

・雇用型テレワーカーのうち、約6割が緊急事態宣言の発令された4月以降に開始。約64%がテレワークに満足し、約82%がテレワークの継続意向がある。

〇テレワークを実施していない(実施したくない)理由(非テレワーカー)

・雇用型非テレワーカーのうち、約6割が仕事内容がテレワークになじまないと回答し、その大部分がテレワークを認められていない(不明含む)。
・約14%が、テレワークを認められていないためにテレワークを実施していない。残り約24%の人は、テレワークを実施していない理由として、テレワークの必要性がない(約40%)、職場の勤務環境(約27%)、テレワーク実施場所の執務環境(約23%)、仕事関係(約21%)などに課題があるとしている。

〇テレワークを実施してよかった点、悪かった点

・よかった点は、「通勤が不要、または、通勤の負担が軽減された」の約74%が最も多く、次いで「時間の融通が利くので、時間を有効に使えた」の約59%、「新型コロナウイルスに感染する可能性がある中で出勤しなくても業務を行えた」の約43%。
・悪かった点は、「仕事に支障が生じる(コミュニケーションのとりづらさや業務効率低下など)、勤務時間が長くなるなど、勤務状況が厳しくなった」が約47%と最も高く、次いで「仕事をする部屋や机・椅子、インターネット環境や、プリンター・コピー機などの環境が十分でなく不便だった」の約35%が高くなっているが、他の項目はいずれも2割に満たない。

〇テレワークによる労働時間変化、業務効率向上要因・低下要因

・テレワーク実施により労働時間が減った人は約35%、変化しなかった人は約39%、増えた人は約26%。労働時間が減った人の減少時間は、平均約80分で、「1時間~1時間30分未満」減少した人が約13%と多かった。労働時間が増えた人の増加時間は、平均約60分。
・また、テレワーク実施による業務効率向上要因は、「問い合わせ、雑用、会議等が減り、業務に集中することができたから」が約35%と多かった。
・業務効率低下要因は、「特になし」が最も多いが、それ以外では「口頭で確認すれば簡単に済むことでも、メール等でやり取りしなければならないから」が約24%と多かった。

複数事業労働者の休業(補償)等給付に係る部分算定日等の取扱いについて(基管発0318第1号・基補発0318第6号・基保発0318第1号)

複数事業労働者の休業(補償)等給付に係る部分算定日等の取扱いについて(基管発0318第1号・基補発0318第6号・基保発0318第1号)

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210319K0010.pdf


労働者災害補償保険法(昭和22 年法律第50 号。以下「労災法」という。)第14 条に新設した部分算定日等の取扱いについては、令和2年8月21 日付け基発0821 第1号「雇用保険法等の一部を改正する法律等の施行について(労働者災害補償保険法関係部分)」等の関係通達により示されているところであるが、この取扱いに係る疑義等が複数の都道府県労働局から寄せられていることから、その取扱いを整理したので、下記の事項に留意し、事務処理に遺憾なきを期されたい。

1.複数事業労働者に係る休業(補償)等給付の支給要件について

(1)給付事由

休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付(以下「休業(補償)等給付」という。)は、①「療養のため」②「労働することができない」ために③「賃金を受けない日」という3要件を満たした日の第4日目から支給される(労災法第14 条第1項本文)。

(2)「労働することができない」

上記(1)②の「労働することができない」とは、必ずしも負傷直前と同一の労働ができないという意味ではなく、一般的に働けないことをいう。したがって、軽作業に就くことによって症状の悪化が認められない場合、あるいはその作業に実際に就労した場合には、給付の対象とはならない。
このため、複数事業労働者については、複数就業先における全ての事業場における就労状況等を踏まえて、休業(補償)等給付に係る支給の要否を判断する必要がある。例えば、複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労した場合には、原則、「労働することができない」とは認められないことから、下記(3)の「賃金を受けない日」に該当するかの検討を行う必要はなく、休業(補償)等給付に係る保険給付については不支給決定となる。
ただし、複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労しているものの、他方の事業場において通院等のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない場合には、労災法第14 条第1項本文の「労働することができない」に該当すると認められることがある。

(3)「賃金を受けない日」

上記(1)③の「賃金を受けない日」には、賃金の全部を受けない日と一部を受けない日とを含むが、賃金の一部を受けない日については、昭和40年7月31 日付け基発第901 号「労働者災害補償保険法の一部を改正する法律の施行について」及び昭和40 年9月15 日付け基災発第14 号「労災保険法第12 条第1 項第2号の規定による休業補償費の支給について」に基づき、次の日であると解される。

① 所定労働時間の全部について「労働することができない」場合であって、平均賃金(労働基準法(昭和22 年法律第49 号)第12 条の平均賃金をいう。以下同じ。)の60%未満の金額しか受けない日
② 通院等のため所定労働時間の一部について「労働することができない」場合であって、当該一部休業した時間について全く賃金を受けないか、又は「平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満の金額」しか受けない日

ここで、複数事業労働者については、複数の就業先のうち、一部の事業場において、年次有給休暇等により当該事業場における平均賃金相当額(複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した平均賃金に相当する額をいう。以下同じ。)の60%以上の賃金を受けることにより賃金を受けない日に該当しない状態でありながら、他の事業場において、傷病等により無給での休業をしているため、賃金を受けない日に該当する状態があり得る。
したがって、複数事業労働者の休業(補償)等給付に係る「賃金を受けない日」の判断については、まず複数就業先における事業場ごとに行うこと。その結果、一部の事業場でも賃金を受けない日に該当する場合には、当該日は労災法第14 条第1項の「賃金を受けない日」に該当するものとして取り扱うこと。
一方、全ての事業場において賃金を受けない日に該当しない場合は、当該日は労災法第14 条第1項の「賃金を受けない日」に該当せず、保険給付を行わないこと。

2.部分算定日における休業(補償)等給付の額について

(1)一の事業場のみに使用される労働者に係る部分算定日の取扱い

従来から、休業日であっても平均賃金の60%以上の賃金を年次有給休暇等により受ける場合は、「賃金を受けない日」に該当せず、休業(補償)給付の支給対象ではなかったが、時間単位の年次有給休暇等により休業日の所定労働時間のうち一部分について平均賃金の60%未満の賃金を受ける場合には、「賃金を受けない日」に該当し、休業(補償)給付の支給対象となっていた。
その際、このような休暇に対する賃金に関してはこれまで控除に係る規定がなく、所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働し、賃金を一部受ける場合との不均衡が生じていたことから、年次有給休暇等により賃金が支払われる場合は、雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)による改正後の部分算定日に係る労災法第14 条第1項但書きの規定に基づき、給付基礎日額から実際に支払われた賃金を控除することとされたものである。
また、当該控除に際して、月単位で支給される賃金について、日割り計算による減額がなされず、当該休業日についても支給される場合は日割計算した金額(昭和45 年5 月14 日付け基発375 号に準じ30 で除した金額)を控除すること。
なお、本取扱いの適用を受けるのはあくまで「賃金」が支払われる場合であることから、「賃金」(労働の対価)ではない見舞金等は対象とならない。
例えば、部分算定日に係る給付額の算定に際しては、労災保険給付が支給されることを前提としながらこれに上積みして給付する趣旨のもの(いわゆる企業内労災補償等)、及び日割計算することができない傷病手当等(1事故に対し1回のみ支給するもの)は控除対象から除くこと。(下記(2)エにおいて同じ。)。
また、所定労働時間のうちその一部についてのみ労働する日に係る取扱いに変更はないこと。

(2)複数事業労働者に係る取扱い

上記1(3)のとおり、「賃金を受けない日」の判断は、まず複数就業先における事業場ごとに行う。このため、一部の事業場で賃金を受けない日に該当し、一部の事業場で賃金を受けない日に該当しない場合及び全ての事業場で賃金を受けない日に該当する場合は、労災法第14 条第1項の「賃金を受けない日」に該当するものとして、休業(補償)等給付の支給対象となる。
このうち、一部の事業場で賃金を受けない日に該当し、一部の事業場で賃金を受けない日に該当しない場合又は全ての事業場で賃金を受けない日に該当しているものの、平均賃金相当額の60%未満の賃金を受けている場合の保険給付額は、下記ア又はイに基づき給付基礎日額から実際に支払われる賃金(平均賃金相当額を上限とする。)を控除した額をもとに保険給付を行うこと。

ア 「賃金が支払われる休暇」(労災法第14 条第1項但書き)に係る保険給付額

上記1(3)により「賃金を受けない日」に該当すると判断される場合であって、一部賃金が年次有給休暇等により支払われる場合は、部分算定日に係る労災法第14 条第1項但書きの規定に基づき、給付基礎日額から実際に支払われた賃金(平均賃金相当額を上限とする。)を控除した金額をもとに、当該日についての保険給付を行うこと。
その際、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を給付基礎日額とした場合のほか、当該額が適当でないと認められ、令和2年8月21 日付け基発0821 第2号「複数事業労働者に係る給付基礎日額の算定について」記第1の3(2)又は(3)に基づき算定した額を給付基礎日額とした場合についても、給付基礎日額から実際に支払われた賃金(平均賃金相当額を上限とする。)を控除すること。

イ 「所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日」(労災法第14条第1項但書き)に係る保険給付額

所定労働時間とは、就業規則や労働契約等において、労働者が契約上、労働すべき時間として定められた時間を指すため、「所定労働時間のうちの一部分についてのみ労働する日」に該当するかについても、複数の就業先における事業場ごとに判断すること。「所定労働時間の一部分についてのみ労働する日」に該当する場合は、部分算定日に係る労災法第14 条第1項但書きの規定に基づき、給付基礎日額から実際に支払われた賃金(平均賃金相当額を上限とする。)を控除した金額をもとに、当該日についての保険給付を行うこと。
なお、一部の事業場において所定労働時間のうちその全部を労働し、他の事業場において通院等で労働することができず、所定労働時間のうちその全部について休業している場合もあり得るところ、この場合も「所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日」に準じて取り扱うこと。

ウ 端数処理について

部分算定日に係る処理により円未満の端数が生じる場合は、国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和25 年法律第61 号)第2条に基づき、その確定金額から端数金額を切り捨てること。

エ 休業特別支給金

休業特別支給金においても、上記と同様の処理によること。

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3.メリット制における取扱いについて

複数事業労働者に係る休業補償給付のメリット制における取扱いについては、原則として、災害発生事業場に係る平均賃金相当額を平均賃金とみなして労災法第8条第1項及び第2項並びに同法第8条の2を適用したとする場合の休業給付基礎日額(以下「災害発生事業場に係る休業給付基礎日額」という。)の100 分の60 に相当する額(1円未満の端数が生じる場合は切り捨て。)を、休業補償給付の額として災害発生事業場のメリット収支率の算定基礎に算入する。
ただし、上記2(2)ア又はイに該当する場合であって、給付基礎日額から実際に支払われた賃金(平均賃金相当額を上限とする。)を控除した金額をもとに休業補償給付を支給する場合は、その控除した額のうち災害発生事業場に係る額(災害発生事業場から実際に受けた賃金)を「災害発生事業場に係る休業給付基礎日額」から除いた額の100 分の60 に相当する額(1円未満の端数が生じる場合は切り捨て。)を災害発生事業場のメリット収支率の算定基礎に算入する。
また、災害発生事業場について「賃金を受けない日」に該当しない場合は、災害発生事業場のメリット収支率に算入しないこと。
なお、自動変更対象額の適用等があいまって、上記の取扱いによる災害発生事業場のメリット収支率の算定基礎に含める額が、実際に支給する休業補償給付の額を上回る場合については、実際に支給する休業補償給付の額を災害発生事業場のメリット収支率に算入すること。
休業補償給付に付帯する休業特別支給金の取扱いについても上記と同様とすること。

4.給付額のシステム処理について

部分算定日等を含む保険給付のシステム処理については、上記2に基づき算出した給付基礎日額により、保険給付額及び特別支給金額の各日の合計額を算定し、給付別項目修正帳票(署用)(帳票種別34503)により保険給付額及び特別支給金額の各合計額を実額入力処理すること。
なお、統計・メリットに係るシステム処理については、令和2年8月21 日付け基保発0821 第1号「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う労働基準行政システム労災サブシステムの改修について」及び令和2年10 月6日付け事務連絡「複数事業労働者の労災保険給付に係る機械処理の留意事項について」を参照すること。

大学生の就職内定率は89.5%|令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況(2月1日現在)

大学生の就職内定率は89.5%|令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況(2月1日現在)

令和2年度の大学等卒業予定者の内定状況が公表されました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、各学校ともに内定率が低下しております。
しかし、末尾に掲載しましたように、平成9年以降の時系列で見るとリーマンショック等と比較するとそれほど大きくは下がってはいません。

下記に概要を抜粋しましたので、ご確認ください。
詳細は、こちらのリンクを参照:
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00011.html

調査結果の主な概要

【全体の概要】

○ 大学の就職内定率は89.5%(前年同期比2.8ポイント低下)。このうち国公立大学の就職内定率は、92.3%(同1.2ポイント低下)、私立大学は、88.6%(同3.3ポイント低下)。
○ 短期大学の就職内定率は、82.7%(前年同期比6.6ポイント低下)。
高等専門学校及び専修学校(専門課程)の就職内定率は、それぞれ97.1%(前年同期比2.9ポイント低下)、76.7%(同10.2ポイント低下)。
○ 大学等(大学、短期大学、高等専門学校)を合わせた就職内定率は89.3%(前年同期比 3.1ポイント低下)。専修学校(専門課程)を含めると88.0%(同3.8ポイント低下)。

【男女別の概要】

○ 男女別では、男子大学生の就職内定率は88.1%(前年同期比2.9ポイント低下)、女子は91.2%(同2.6ポイント低下)。
また、国公立大学では、男子:89.7%、女子:95.1%、私立大学では、男子:87.6%、女子:89.9%となっている。

【文系・理系別の概要】※大学のみ
○ 文系・理系別では、文系の就職内定率は88.9%(前年同期比3.3ポイント低下)、理系の就職内定率は92.1%(同0.9ポイント低下)となっている。

【地域別の概要】※大学のみ
○ 地域別では、北海道・東北地区の就職内定率が最も高く、90.9%(前年同期比1.7ポイント低下)となっている。

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※相変わらず、高専の内定率は格別です。高専出身の私としては鼻が高いです(笑)

一般財団法人労務行政研究所による「職場のハラスメント言動に関する調査」結果の概要

一般財団法人労務行政研究所による「職場のハラスメント言動に関する調査」結果の概要

一般財団法人労務行政研究所から「職場のハラスメント言動に関する調査」の結果が公表されました。
職場のハラスメントについて「被害認識」「加害認識」の観点から調査が行われました。
これによると、周囲からの被害行為の認識は31.9%に対し、当人による加害行為の認識は22.2%にとどまるようです。
また、被害認識が最も高い年代は30代前半で41.5%。30代前半より若い層では被害認識・加害認識がともに高い一方で、45歳以降では当人の加害認識が低くなる傾向にあります。

なんとなく、普段から感じている被害認識と加害認識に近い結果ではないかと思われます。
45歳以降の方は、要注意ですね。

これは私の全くの個人的な見解ですが、関西等の口調のきつい地方出身の方は、そうでない地方で仕事をする際には、要注意です。
暮らしてきた環境の違いなので、加害認識を持ちにくいと思いますので。

それはさておき、下記に結果の概要を抜粋いたしました。
詳細はこちらのリンクをご参照ください。
https://www.rosei.or.jp/research/pdf/000079854.pdf


結果の概要

1. 予備調査より17項目のハラスメント言動を導出。特に見られる言動は「相手が嫌がるような皮肉や冗談を言う」「陰口を言ったり、悪い噂を広めたりする」で、これらは被害認識・加害認識ともに高い。

2. 職場におけるハラスメント言動の現状に関して、全項目平均で見ると、周囲からの被害行為の認識は31.9%となり、約3人に1人がハラスメントの被害を目の当たりにしている。

3. 当人がハラスメント言動を行っている認識は22.2%で約4~5人に1人という割合にとどまっている。

4. 年代別で見ると、被害認識が最も高い年代は30代前半で41.5%。

5. 30代前半より若い層では被害認識・加害認識がともに高い一方で、45歳以降では当人の加害認識が低くなる傾向。特に50代前半の層に関しては、周囲への認識は高いものの、当人がハラスメント言動を行ったという認識は小さく、そのギャップが大きい。

6. 当人と周囲のあいだにある認識上のギャップは、職種やチームの人数、企業規模などによって大きくなる場合もあり、こうしたギャップがハラスメントという問題をより深刻にしていると考えられる。

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2021年度(令和3年度)両立支援等助成金のご案内(新型コロナウイルス感染症対応特例等)

2021年度(令和3年度)両立支援等助成金のご案内(子育てパパ支援助成金等)

2021年度(令和3年度)の「両立支援等助成金」では、職業生活と家庭生活が両立できる“職場環境づくり”のために、以下の取組が支援されます。
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※女性活躍加速化コース、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース、不妊治療両立支援コースについては別の機会にご説明します。

それぞれについて、概要をご案内します。
詳細はこちらをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html

1.出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金

性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、育児休業や育児目的休暇を取得した男性労働者が生じた事業主に支給されます。

(1)支給額

※ 支給額< >内は、生産性要件を満たした場合の支給額です。
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(2)主な要件

性労働者の育休取得(上図の①②)
●男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りのため、次のような取組を行うこと。
全労働者に対して男性労働者の育児休業取得に関する管理職や労働者向けの研修を実施する
全労働者に対して男性の育児休業制度の利用を促進するための資料配布等を行う

●男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続14日(中小企業は連続5日)以上の育児休業を取得すること。
(※育児休業期間が5日以上14日未満の場合は所定労働日が4日以上、育児休業期間が14日以上の場合は所定労働日が9日以上含まれていることが必要です。)

<個別支援加算>
●男性労働者の育児休業取得前に個別面談を行う等、育児休業の取得を後押しする取組を実施
した場合に支給されます。


育児目的休暇の導入・取得(上図の③)
●育児目的休暇制度を新たに導入し、就業規則等への規定、労働者への周知を行うこと。
●男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りのため、次のような取組を行うこと。
全労働者に対して男性労働者の育児休業取得に関する管理職や労働者向けの研修を実施する
全労働者に対して男性の育児休業制度の利用を促進するための資料配布等を行う

●上記の新たに導入した育児目的休暇を、男性労働者が、子の出生前6週間から出生後8週間の期間中に、合計して8日(中小企業は5日)以上所定労働日に対して取得すること。

2.介護離職防止支援コース(中小企業事業主のみ対象)

「介護支援 プラン★」 を作成し 、 プランに沿って労働者の円滑な介護休業の取得 ・ 職場復帰に取り組み 、 介護休業を取得した労働者が生じた 、 または介護のための柔軟な就労形態の制度 介護両立支援制度 の利用者が生じた 中小企業事業主に支給されます。

★介護支援プランとは
介護支援プラン」とは、介護に直面した従業員が、仕事と介護を両立しながら安心して働くことができる雇用環境の整備に向けて、個々の従業員の状況に応じた支援の取組を行うために、企業が策定するプランのことです。
具体的な作成方法等はこちらをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/model.html
介護支援プランは原則として対象労働者の介護休業開始前または介護両立支援制度利用開始前に作成する必要がありますが、介護休業 開始後また は介護両立支援制度の利用 期間中に作成してもかまいません。 (※介護休業終了後または介護両立支援制度利用終了後に作成された場合は支給対象となりません

(1)支給額

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(2)主な要件

A:介護休業

<休業取得時>
●介護休業の取得、職場復帰について、プランにより支援する措置を実施する旨を、あらかじめ労働者へ周知すること。
●介護に直面した労働者との面談を実施し、面談結果を記録した上で介護の状況や今後の働き方についての希望等を確認のうえ、 介護支援プランを作成すること。
●プランに基づき、業務の引き継ぎを実施し、対象労働者が合計5日(所定労働日)以上の介護休業を取得すること 。<職場復帰時>
休業取得時と同一の対象介護休業取得者である(休業取得時を受給していない場合申請不可)と ともに、休業取得時の要件かつ以下を満たすことが必要です。
●「休業取得時」の受給対象である労働者に対し、介護休業終了前にその上司又は人事労務担当
者が面談を実施し、面談結果を記録すること。
●対象労働者を、面談結果を踏まえ原則として原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として3か月以上継続雇用していること。

B:介護両立支援制度(介護のための柔軟な就労形態の制度)
●介護両立支援制度の利用について、プランにより支援する措置を実施する旨を、あらかじめ労働者へ周知すること。
●介護に直面した労働者との面談を実施し、面談結果を記録した上で介護の状況や今後の働き方についての希望等を確認のうえ、介護支援プランを作成すること。
●プランに基づき業務体制の検討を行い、以下のいずれか1つ以上の介護両立支援制度を対象労働者が合計20日以上(*1,2を除く)利用し、支給申請に係る期間の制度利用終了後から申請日までの間、雇用保険被保険者として継続雇用していること。
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C:新型コロナウイルス感染症対応特例
●介護のための有給休暇(新型コロナウイルス感染症対応)について、所定労働日を前提として、20 日以上取得できる制度及びその他就業と介護の両立に資する制度を設け、あらかじめ労働者に周知すること。
●対象労働者が介護のための有給休暇(新型コロナウイルス感染症対応)を合計5日以上取得す
ること。
●対象労働者を休暇取得日から申請日までの間、雇用保険被保険者として継続雇用していること。

3.育児休業等支援コース(Ⅰ~Ⅲは中小企業事業主のみ

Ⅰ.育休取得時・職場復帰時

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主な要件

A:育休取得時
育児休業の取得、職場復帰について育休復帰支援プランにより支援する措置を実施する旨を、あらかじめ労働者へ周知すること。
●育児に直面した労働者との面談を実施し、面談結果を記録した上で育児の状況や今後の働き方についての希望等を確認のうえ、育休復帰支援プランを作成すること。★
●育休復帰支援プランに基づき、対象労働者の育児休業(産前休業から引き続き産後休業及び育児休業をする場合は、産前休業。)の開始日の前日までに、育休復帰支援プランに基づいて業務の引き継ぎを実施し、対象労働者に、連続3か月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業を含む)を取得させること。

育休復帰支援プランとは
育休復帰支援プラン」とは、中小企業が、自社の従業員の円滑な育休の取得及び育休後の職場復帰を支援するために策定するプランです。
プランを策定・実施することで、従業員は安心して育休を取得し復職でき、他方、制度利用者の所属する職場では、快く休業に送り出すことができます。また、プランを実行し、職場のマネジメントが改善されることは、職場全体の業務の効率化につながる可能性があります。
具体的な作成方法等はこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000067027.html

B:職場復帰時
「A:育休取得時」の助成金支給対象となった同一の対象労働者について、以下の全ての取組を行うことが必要です。
●対象労働者の育児休業中に育休復帰支援プランに基づく措置を実施し、職務や業務の情報・資料の提供を実施すること。
●育休取得時にかかる同一の対象労働者に対し、育児休業終了前にその上司又は人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録すること。
●対象労働者を、面談結果を踏まえ原則として原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること。
●「職場支援加算」は、代替要員を確保せずに、業務の効率化、周囲の社員により対象労働者の業務をカバーした場合に支給します。(「Ⅱ 代替要員確保時」との併給はできません。)

Ⅱ.代替要員確保時

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主な要件

育児休業取得者を、育児休業終了後、原職等に復帰させる旨を就業規則等に規定すること。
●対象労働者が3か月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業を含む)を取得し、事業主が休業期間中の代替要員を新たに確保すること。
●対象労働者を上記規定に基づき原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6か月以上継続雇用していること。

Ⅲ.職場復帰後支援

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主な要件

●育児・介護休業法を上回る「A:子の看護休暇制度(有給、時間単位)」または「B:保育サービス費用補助制度」を導入していること。
●対象労働者が1か月以上の育児休業(産後休業を含む。)から復帰した後6か月以内において、導入した制度の一定の利用実績(A:子の看護休暇制度は10時間以上(有給)の取得またはB:保育サービス費用補助制度は3万円以上の補助)があること。

Ⅳ.新型コロナウイルス感染症対応特例

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主な要件

●小学校等が臨時休業等になり、それに伴い子どもの世話を行う必要がある労働者が取得できる特別有給休暇制度(賃金が全額支払われるもの)について、労働協約または就業規則に規定していること。
●小学校等が臨時休業等した場合でも勤務できる両立支援の仕組み(次のいずれか)を社内に周知していること。
・テレワーク勤務
・短時間勤務制度
・フレックスタイムの制度
・始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)
・ベビーシッター費用補助制度等
●労働者一人につき、特別有給休暇を4時間以上取得させたこと。
※特別有給休暇を取得した日付に応じて申請期間が異なります。
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中小企業の範囲はこちらになります。
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