社会保険労務士川口正倫のブログ

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年次有給休暇の取得に関するアンケート調査

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年次有給休暇の取得に関するアンケート調査

独立行政法人労働政策研究・研修機構より行われた「年次有給休暇の取得に関するアンケート調査」結果が公表されています。
3年前の調査と比較して41.5%の人が年次有給休暇の取得日数が増加しており、また、年次有給休暇の取りやすさに対する認識でも、「取りやすくなった」が52.1%と半数を占めています。
働き方改革の効果か表れているものと思われます。

下記に概要を抜粋します。詳細はリンクをご確認ください。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/211.html


(結果概要)
・企業調査の年休の計画的付与制度の導入状況によれば、「導入されている」とする企業割合は42.8%となっている。
・企業調査では、年休取得率や年休取得日数などの目標設定について、「年休取得日数の目標のみを設定している」で53.6%と半数を占め、「年休取得率の目標のみを設定している」が4.3%、「年休取得率及び取得日数双方について目標を設定している」が4.1%、「上記以外の目標を設定している」が0.9%となっている。その一方で、「何らの目標も設定していない」は34.9%だった。
・労働者調査の2018年度の年次有給休暇の取得日数の3年前と比べての増減状況では、「変化しなかった」が46.4%を占めるが、「増加」(「5日以上増えた」「3~4日増えた」「1~2日増えた」の合計)も41.5%となっている。「減少」(「5日以上減った」「3~4日減った」「1~2日減った」の合計)は4.4%とわずかである。「増加」と回答した者の年次有給休暇の取得日数が増えた理由(複数回答)は、「会社の取組みにより取りやすい就業環境になったから」が37.6%ともっとも高く、次いで、「個人的理由により、有給休暇が必要になったから」(31.3%)、「上司に有給休暇を取得するよう勧められたから」(21.0%)、「法律等の影響もあり年休を取りやすい環境ができた」(20.7%)などとなっている。
・労働者調査の年次有給休暇を取り残す理由では、各項目の肯定割合(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)では、「急な用事のために残しておく必要があるから」が74.1%でもっとも高く、次いで、「病気のために残しておく必要があるから」(70.5%)、「休むと職場の他の人に迷惑になるから」(51.7%)、「休みの間仕事を引き継いでくれる人がいないから」(39.7%)、「仕事の量が多すぎて休んでいる余裕がないから」(38.5%)、「現在の休暇日数で十分だから」(28.2%)、「職場の周囲の人が取らないので年休を取りにくいから」(25.6%)などとなっている。
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年次有給休暇の年5日の取得義務化についての理解度では、企業調査において、「内容を十分に理解している」が64.4%ともっとも割合が高く、次いで、「ある程度理解している」(31.1%)となっており、「聞いたことがある」(3.1%)、「知らない」(0.6%)はわずかである。一方、労働者調査では、年次有給休暇の年5日の取得義務化の認知度について、「内容を含め知っている」が54.9%ともっとも割合が高く、次いで、「聞いたことがある」(29.5%)、「知らない」(14.3%)となっている。
・労働者調査において、3年前と比べての年次有給休暇の取りやすさに対する認識では、「取りやすくなった」(「かなり取りやすくなった」「やや取りやすくなった」の合計)は52.1%と半数を占め、「どちらともいえない」が35.9%であり、「取りにくくなった」(「かなり取りにくくなった」「やや取りにくくなった」の合計)は3.7%と少数である。「取りやすくなった」者の取りやすくなった理由(複数回答)は、「年休の年5日の取得義務化の施行」の割合が67.8%ともっとも高く、次いで、「会社や上司などからの年休取得への積極的な働きかけ」(44.2%)、「自分で積極的に取得するよう心掛けた」(31.4%)、「仕事の内容、進め方の見直し(仕事の効率化等)」(23.2%)、「年休取得のための目標設定(取得率、取得日数等)」(14.6%)、「年休の計画的付与制度の導入・定着」(13.9%)などが続く。
・企業調査での時間単位年休取得制度の導入状況では、「導入している」が22.0%となっている。企業における時間単位年休取得制度の導入理由(複数回答)では、「日単位・半日単位に満たない時間の取得が可能で便利」(70.0%)がもっとも高く、次いで、「個人的な事情に対応した休暇取得が可能になる」(57.3%)、「年休の取得促進のため」(56.5%)、「育児、介護の支援」(49.0%)、「仕事と治療の両立支援」(42.1%)などとなっている。
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・時間単位年休取得制度を導入していない理由(複数回答)は、「勤怠管理が煩雑になる」が50.3%ともっとも高く、次いで、「すでに半日単位の年休取得制度がある」(46.8%)、「給与計算が複雑になる」(39.3%)、「変形労働時間制等のため時間単位の代替要員確保困難」(31.4%)、「導入可能と不可能部署があり平等性から導入しづらい」(29.4%)などとなっている。
・企業調査では、年間を通じて、時間単位で取得できる年次有給休暇(限度日数)は、法定上限日数の「5日」がもっとも割合が高い。時間単位年休の取得できる最小の単位は、「1時間」の割合がもっとも高い。
・労働者調査での時間単位年休取得制度の導入・適用状況では、「時間単位年休制度が導入されており対象労働者である」が22.3%、「時間単位年休制度が導入されてるが対象労働者でない」が1.8%となっており、両者を合わせて、時間単位年休取得制度導入割合をみると、24.1%となっている。一方、「そもそも時間単位年休制度が導入されていない」が39.3%、「わからない」が34.9%となっている。時間単位年休取得制度が適用・導入されていない者(「わからない」を含む)で、勤務先での時間単位年休取得制度の「導入・適用してほしい」とする割合は50.6%となっている。
・労働者調査において、時間単位年休の取得経験については、「取得したことがある」が56.7%となっている。取得者の取得した時間単位年休の総日数は、「2日分以上~3日分未満」が29.1%ともっとも割合が高く、次いで、「1日分未満」(24.1%)、「1日分以上~2日分未満」(15.9%)、「5日分すべて」(9.5%)、「4日分以上~5日分未満」(8.0%)、「3日分以上~4日分未満」(7.6%)となっている。取得者の時間単位年休の用途(複数回答)については、「自身の病気などの通院」をあげる割合が63.7%ともっとも高く、次いで、「家事・育児・子供の行事参加」(32.7%)、「銀行や役所等の手続」(26.1%)、「介護や看護」(13.5%)などとなっている。
・労働者調査において、時間単位年休取得制度取得の満足度は、「満足・計」(「たいへん満足している」「まあ満足している」の合計)の割合は65.4%である一方、「不満・計」(「あまり満足していない」「まったく満足していない」の合計)の割合は4.9%となっている。時間単位年休の取得経験別にみると、「取得したことがない」に比べて「取得したことがある」者の方が「満足・計」の割合が高い。