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説明会「同一労働同一賃金に係る改正労働者派遣法への対応」開催後に寄せられた質問および回答

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説明会「同一労働同一賃金に係る改正労働者派遣法への対応」開催後に寄せられた質問および回答

質問1
労使協定方式における福利厚生・教育訓練について、「福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)及び現在の業務の遂行に必要な技能・知識を付与するための教育訓練は、 労使協定方式であっても、労使協定の対象とはならない」と記載がある。当該施設や訓練プログラムは、派遣先のコントロール下にあるため 、派遣元と派遣労働者間の労使協定での取り決めは強制力がないいということか。

回答
法第 40 条第 2項の教育訓練と同条第3項の福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)については、 労使協定方式であっても、労使協定の内容に基づき決定するのではなく、 派遣先の通常の労働者との間で均等・均衡待遇を確保する必要があります。


質問2
同一の派遣元において、例えば、技術系は「派遣先均等・均衡方式」、事務系は「労使協定方式」のように、従事する業務別に、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」とを採用することは可能か

回答
可能です。
・ ただし、職種等の客観的な基準により、労使協定に労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を明確に定めることが必要です。


質問3
上記 2の質問について “可能 ”の場合 、派遣社員ごとに待遇決定方式を変えることも可能か。

回答
・ 基本的には、派遣社員ごとに待遇決定方式を変更することは想定しておりません。
・ なお、待遇決定方式は、労使協定に定める派遣労働者の範囲に含まれるか否かで変わることになりま す(含まれない場合は派遣先均等・均衡方式、含まれる場合は労使協定方式)。
・ また、労使協定に、「特段の事情がない限り、一の労働契約の契約期間中に、当該労働契約に係る派遣労働者について、派遣先の変更を理由として、協定対象派遣労働者であるか否かを変更しないこと」を記載することとしており、特段の事情があれば、待遇決定方式の変更も可能です。
ただし、その場合の「特段の事情」とは、「労使協定の対象となる派遣労働者の範囲が職種によって定められている場合であって派遣労働者の職種の転換によって待遇決定方式が変更される場合、待遇決定方式を変更しなければ派遣労働者が希望する就業機会を提供できない場合であって当該派遣労働者から合意を得た場合等のやむを得ないと認められる事情がある場合」が想定されます。


質問4
労使協定方式の場合、以下の①~③は、派遣元の就業規則に従う必要があるのか。それとも、派遣元・派遣先間にて契約書を締結することで、個別規定を定めることは可能か。また、契約書ではなく、派遣先の社内規定で定めることは可能か。
① 派遣労働者の出張に伴う日当
② 派遣労働者の勤務認定条件(出張時の移動時間、天災発生時)
③ 働き方(フレックス制、振替休日制度)

回答
・ 労使協定方式の場合、ご指摘の①~③の待遇が賃金に該当しないのであれば(賃金以外の待遇であれば)、その決定方法(派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)との間で均衡待遇が確保されているもの)を労使協定に定め、定めた内容に基づきこれらの待遇を確保する必要があります
・ なお、これらの待遇の決定方法について、労使協定には、就業規則等により決定すると定め、具体的な内容については、派遣元事業主の就業規則等に定めることは差し支えありません。ただし、この場合も賃金以外の待遇は派遣元の労使協定・就業規則等で規定されるものであり、派遣契約や派遣先の規程で規律されるものではないと考えられます。


質問5
同一労働同一賃金の取組み対象者に「他社からの出向者」は含まれない、という理解でよいか。

回答
出向は、労働者派遣に該当せず、労働者派遣法の対象とはならないため、ご指摘の「他社からの出向者」については、いわゆる派遣労働者同一労働同一賃金の対象にはなりません
なお、「他社からの出向者」が短時間・有期労働者で移籍型出向の場合には、出向先の通常の労働者との均等待遇・均衡待遇を確認することが必要です。


質問6
派遣元労使協定方式における退職金の扱いについて、「退職金制度の方法」とした場合に、退職金の算出方法としては、勤続年数と、会社都合か自己都合かによって、「 1.0 か月分」などと定めることとなるが、この際に基準となる「か月分」の賃金は、退職時点での賃金額でよいか。
例えば、偶々、1年前までは月の賃金が30万円だったものの、退職時には25万円だった者については、25万円×1.0 か月=25万円を退職金額としてよいか。また、この際、退職する派遣労働者の賃金設定が時給制であった場合、基準となる月の賃金の額は、どのように定めるべきか。

回答
・ 局長通知で示す一般退職金の支給月数については、退職時の(モデル)所定内賃金に対する退職給付額の割合で算出しています。
(支給月数=退職給付額/退職時の所定内賃金)
・ このため、一般賃金と同等以上の賃金を確保するため、協定対象派遣労働者に支給する退職金については、 労使協定に定めた支給月数に退職時の所定内賃金額を乗じたものを支給することとしています。
・ また、所定内賃金(時給)から、月給換算に置き換える際は、1か月の所定内労働時間を活用して算出してください。


質問7
派遣元労使協定方式における退職金の扱いについて、「退職金制度の方法」とした場合に、有期派遣労働者の場合は、「自己都合退職」と「会社都合退職」の解釈は、どのように考えるべきか? ある派遣先Aでの派遣契約が終了したことで、派遣元との雇用契約も終了した派遣労働者について、同一派遣元で、次の派遣先での就業を希望するものの、派遣先が決まらなかった等の理由から、一定期間(例えば1か月)次の
就業が決まらなかった場合は、会社都合退職となり、反対に、同一派遣元での継続就業を派遣労働者が希望しなかった場合は、自己都合退職となる、と解釈、整理するべきか。

回答
比較する一般退職金の調査の定義((※)や自社の退職金規程等を踏まえ、ご判断ください
※就労条件総合調査
「会社都合には定年退職も含みます。」
※中小企業の賃金・退職金事情(東京都)
「自己都合退職とは、依願退職および一方的な辞職(任意退職)を指します。早期または希望退職制度適用者も含まれます。会社都合退職とは、整理解雇および普通解雇を指します。退職勧奨に応じた場合も含まれます」


質問8
派遣労働者の採用時、派遣する時の派遣法31条の2第2項、第3項に基づく説明義務について( (※2020 年4月~ の業務取扱要領205頁ヘ 説明の方法)、「一方、説明すべき事項を全て記載した派遣労働者が容易に理解できる内容の書面を用いる場合には、当該書面を交付する等の方法でも差し支えない」とある際の「説明すべき事項を全て記載した・・・書面」とは、何をどの程度記載すべきか 。記載例の公表予定はあ
るか 。
また、「なお、待遇の内容の説明に関しては、就業規則の条項を書面に記載し、その詳細は、別途就業規則を閲読させるという方法も考えられますが・・・質問に、誠実に対応する必要がある」とあり、この際、就業規則の条項を記載する代わりに、WEBサイト(会社 HP またはスタッフマイページなどを想定)上の掲載箇所を書面に記載し、 WEBサイト上に詳細の説明を記載する上、派遣労働者からの質問に誠実に対応する、という方法を採用することは可能か。

回答
(前段)
・ 法第31条の2第2項及び第3項に基づく説明については、 労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月版。p.204-205)の「説明すべき措置の内容」を説明いただく必要があるため、これらの内容が全て記載され、容易に理解できるものであれば、書面を交付する等の方法でも差し支えないこととなります。
・ 現時点で記載例の公表予定はありませんが、必要に応じてQ&Aにより周知してまいります。
(後段)
・ 労働条件の根拠となる就業規則を引用することが必要であるため、webサイト上に就業規則の条項等が記載されているのであれば、ご指摘の方法でも差し支えありません


質問9
2020年4月の施行後、就業条件明示書には、労働者派遣契約の法定記載事項である「労使協定方式の対象となる派遣労働者にか否か」について、記載は必要ない、との理解でよいか 。
その場合、法的な理解としては、労働者派遣法3 条1項2号には、「第26条第1項各号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項であって当該派遣労働者に係るもの」とあるが、「労使協定方式の対象となる派遣労働者に限るか否か」の事項については、「第26条第1項各号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項」には該当するものの、「当該派遣労働者に係るもの」には該当しないことから、就業条件明示事項には含まれない、ということになるか。

回答
貴見のとおりです。
・ なお、改正法の施行後は、労働者派遣時に、法第34条に基づく就業条件明示等に加えて、法第31条の2第3項に基づく労働条件に関する事項の明示・待遇に関し講ずることとしている措置の内容の説明を行わなければならないことにご留意ください。


質問10
労働者派遣契約締結前になされるべき、派遣先からの情報提供(派遣法26条7項、規則24条の4第2号)で、教育訓練の内容は、具体的に何まで書くべきか。オン・ザ・ジョブ・トレーニングを予定している場合は、「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」と記載するので足りるか。

回答
・ 派遣先から派遣元に提供する比較対象労働者の待遇等に関する情報のうち、労使協定方式の場合における法第40条第2項の教育訓練の情報については、教育訓練の実施の有無及び具体的な内容であることが必要です。
・ また、ご指摘の「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」では、具体的な内容が明らかではないため、「ビジネスマナー研修( OJT )」、「●●業務に関する研修(OFF-JT )」 など、研修の内容が具体的に明らかになるような情報を提供していただくことが必要です。


質問11
毎年6月頃の局長通達により職業安定業務統計の数値が修正・変更されたすぐ後から、労使協定で定める賃金テーブルは、新統計に合わせて、変更の上、労使協定を再締結しなければならないか。それとも、次の労使協定改定時に新統計の数値を反映すればよいか?例えば、労使協定のサイクルを2年サイクルとした場合は、労使協定の有効期間が残り1年6カ月などある場合、1年6カ月は、旧統計数値に従った賃金テーブルに基づき、派遣労働者の賃金決定を行うことでよいか。

回答
・ 毎年6から7月に発出する一般賃金は、次年度からの適用となりま す。(例えば、令和元年6月から7月に発出される局長通知の適用日は、令和2年4月1日から令3年31日)。
・ 労使協定の有効期間中に一般賃金の額が変更された(される)場合には、 有効期間中であっても、労使協定に定める派遣労働者の賃金額が 一般賃金の額と同等以上の額であるか否か確認することが必要です。
・ 仮に派遣労働者の賃金額が次年度の一般賃金の額と同等以上の額でない場合には、労使協定に定める賃金の決定方法を変更するために労使協定を締結し直す必要があります。
(一方、派遣労働者の賃金額が新たな一般賃金の額と同等以上の額である場合には、派遣元事業主は、同等以上の額であることを確認した旨の書面を労使協定に添付する必要があります。)


質問12
上記11の質問について、労使協定を例えば1月1日に変えて、新しい賃金テーブルが派遣元として適用されることとなった場合、ある派遣労働者(有期雇用)との雇用契約が、前年12月1日~翌2月末までというように、1月1日をまたぐ場合であっても、1月1日(労使協定及び新賃金テーブルが有効になった日付)の即日から、新賃金テーブルを充たした賃金設定としなければ違法となるか 。それとも、労使協定等において、「有期雇用派遣労働者については、次の雇用契約締結時から新賃金テーブルを適用する。」などの文言を入れることで、適用猶予を設けることは可能か。

回答
・ 前提として、毎年6から7月に発出する一般賃金は、次年度から適用となります。 (例えば、令和元年6月から7月に発出される局長通知の適用日は、令和2年4月1日から3月31日)。
・ そのうえで、仮に雇用契約期間が4月1日を跨ぐ場合には、その時点で、4月1日から適用される新たな一般賃金の額と同等以上とすることが必要になります。


質問13
派遣先均等・均衡方式において賃金を決定した派遣労働者が、賃金に見合った能力が発揮されていない状況となった場合、どのように賃金の見直しを図るべきか。労働者が賃金に見合った能力が発揮されてないケースで改善が図られない場合、一般的には降給・降格を行うことが考えられるが、派遣先均等 ・均衡方式によって賃金を決定してるため、比較対象労働者の待遇を下回る降給は行えないのではと理解している。その場合、改めて派遣先で比較対象労働者を決定して、情報提供を受けることで待遇の見直しを図ることになるか。

回答
・ 「均等待遇」の場合、「正当な理由」なく、待遇について、通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはなりません。能力の差に応じた賃金差であれば、問題ありません。
・ 「均衡待遇」の場合、派遣労働者と派遣先の通常の労働者との間で、賃金に差を設けている場合は、それぞれの職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、賃金の性質及び支給する目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理でないことが求められます。この「その他の事情」には、能力等が想定されます。
・ 「均等待遇」、「均衡待遇」のいずれの場合にも、能力の違いに応じた降給・降格自体を否定するものではないですが、その結果生ずる待遇差が不合理でないことが必要であり、その是非は最終的には司法判断となります。
・ なお、降給・降格により、比較対象労働者の待遇等に関する情報が変更される場合には、派遣先は派遣元に対し、変更時の情報提供を行わなければなりません。


質問14
派遣先が精皆勤手当や寮費(住宅手当)を負担している案件が多数あり、これまではその分を派遣元から派遣労働者に還元していたが、改正法施行後はどのように取り扱えばよいか。従前どおり、当該案件についてのみ、手当として派遣労働者に支給しても問題ないか
(当該派遣先の労働者では差はなくとも、ほかの派遣先の短期・有期と無期の労働者と比較すると待遇差ができてしまうことにならないか)。

回答
派遣労働者間の待遇差については、労働者派遣法上では、特段問題となるものではありません
・ なお、派遣労働者がパート又は有期雇用である場合には、パート有期雇用労働法が適用され、職務の内容に密接に関連する待遇以外の待遇については、派遣元の通常の労働者との不合理な待遇差を設けることは禁止されます。ただし、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を図ったことにより生じた差については、法において問題になるものではないと考えられます。具体的には、労働者派遣事業関係業務取扱要領( 2020 年4月版。p.185-186)や不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(p.14-16)をご参照ください。


質問15
派遣について、入社祝金(繁忙期に人を集めるため、派遣先から派遣元経由で派遣労働者に支給)のようなキャンペーンを行っている派遣先があり、派遣法改正後はどのように対応すればよいか。派遣先によって入社祝金の有無や支給金額に違いが生じても問題ないか。

回答
・ 派遣先均等・均衡方式の場合は 、特段の問題となるものではないため、改正前後で対応を変えていただく必要はありません 。
・ 労使協定の方式の場合は、同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準と同等以上であり、かつ公正な評価に基づき賃金額が決定されることが求められ、同等以上であり、かつ公正な評価に基づき賃金額が決定されることが求められ、その趣旨に沿った運用をすることが必要です。


質問16
比較対象労働者と取組対象労働者をどこまで細分化すればよいか。派遣先ごとに業務内容は全く異なることも多く、派遣先 Aに派遣される有期社員と派遣先Bに派遣される無期フルタイム社員とを検討し、他方で派遣先の通常の社員とも比較していくことは現実的に不可能であり、どのような括りで振り分けて検討したらよいか(取組手順書等を参照した際の、業務内容(職種や中核的業務)をあてはめることが困難な状況にある)。

回答
派遣労働者が有期雇用労働者である場合には、労働者派遣法に加えて、 パート有期雇用労働法が適用されます。
・ このため、ご指摘の「派遣先Aに派遣される有期社員」については、労働者派遣法に基づき、派遣先均等・均衡方式又は労使協定方式により待遇を決定するとともに、ご指摘の「派遣先Bに派遣される無期フルタイム社員」との間で均等・均衡待遇を確保しなければならず、 職務の内容に密接に関連する待遇以外の待遇については、「派遣先Bに派遣される無期フルタイム社員」との不合理な待遇差は禁止されます。ただし、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を図ったことにより生じた差については、法において問題になるものではないと考えられます。
・ 一方、比較対象労働者については、業務内容や責任の程度、職務の内容及び配置の変更の範囲などを基に、労働者派遣事業関係業務取扱要領で示された順位により、適切な者を選定いただく必要があります。その際、どこまで細分化するかについては、一義的には派遣先に委ねられます。
・ 具体的には、労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月版。p.185-186 )や不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(p.14-16 )をご参照ください。


質問17
極端な話だが、①派遣先均衡・均等方式の場合、待遇を派遣先に合わせれば、賃金については派遣元の基準を全く検討しなくてよいか。②労使協定方式の場合、労使間の合意があり、局長通達の統計金額に従えば、賃金については派遣元の正社員との均等均衡は全く検討しなくてよいという認識でよいか。

回答
労働者派遣法上は貴見のとおりです 。ただし、派遣労働者がパート又は有期雇用である場合には、パート有期雇用労働法が適用されるため、派遣元の通常の労働者との均等均衡も必要であり、職務の内容に密接に関連する待遇以外の待遇については、「派遣先Bに派遣される無期フルタイム社員」との不合理な待遇差は禁止されます。ただし、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を図ったことにより生じた差については、法において問題になるものではないと考えられます。
・ なお、②について、賃金を除く待遇のうち派遣元が実施すべきものについては、労働者派遣法に基づき、派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)との間において、不合理でないことが求められます。


質問18
派遣社員は、派遣先によって業務内容が変わり、派遣される地域が変わることがある。労使協定方式の場合、例えば、北海道の派遣先に就業していた派遣社員が、翌月から東京の派遣先で就業する場合、東京の事業所の労使協定の内容に合わせて、賃金等を変更する必要があるか。
また、東京の派遣先Aから東京の派遣先 Bへ派遣社員の就業先が変わった際に、業務内容や責任の程度が変更された場合は、その都度賃金も変更しなければならないか。

回答
(前段)貴見のとおりです。
(後段)
・ 派遣先均等・均衡方式の場合には、貴見のとおりです。待遇のそれぞれについて、派遣労働者と派遣先の通常の労働者との間で、それぞれの職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理でないこと等が求められます。
・ 労使協定方式の場合、派遣先が変わった場合であっても、法第30条の4第1項の労使協定に定める内容を遵守していれば、その都度、賃金を変更する必要はありません。ただし、協定に定めた派遣労働者の職種が変わる場合は、賃金等の変更が必要になることもあります。


質問19
派遣先によって制服代が有償・無償の場合があるが、それは派遣先によって異なる取扱い(有償・無償の違い、支給数の違い等)をしてもよいか。
例えば、①派遣元では制服が無償の場合、有期パートに係る派遣労働者が派遣元との比較では制服が無償、②派遣先では制服が有償の場合、派遣労働者が派遣先との比較では有償、①②の取扱いの差異はやむを得ないという認識でよいか。

回答
・ 制服の支給について、派遣先均等・均衡方式の場合は、派遣労働者と派遣先の通常の労働者との間における不合理な待遇差は禁止されます。
労使協定方式の場合は、派遣元の通常の労働者との均衡が確保された労使協定に基づく待遇が確保されていれば、 派遣先によって制服代の取扱いに差があることは、労働者派遣法上は必ずしも否定されるものではないと考えています。
・ ただし、派遣元の通常の労働者である派遣労働者に対して、無償で制服を提供している場合は、派遣元のパート又は有期雇用の労働者についてパート・有期雇用労働法が適用されることに留意が必要です。このとき、職務の内容に密接に関連する待遇以外の待遇については、派遣元の通常の労働者との不合理な待遇差を設けることは禁止されます。ただし、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を図ったことにより生じた差については、法において問題になるものではないと考えられます。


質問20
派遣元から派遣労働者への諸手当について整理を行う予定だが、廃止することになった手当がある場合、それを受給していた者に対してその分を調整手当として支給し続ける取扱いをしてもよいか。(調整手当がある者とない者が発生し、継続的に待遇差が生じてしまうことになる。調整手当を付与しないとその者の給与額が減ってしまうので、それを避けたいと考えている。)

回答
派遣労働者間の待遇差については、労働者派遣法上は、 特段問題となるものではありません
・ なお、派遣労働者がパート又は有期雇用である場合には、パート有期雇用労働法が適用され、当該派遣労働者と派遣元の通常の労働者の間での不合理な待遇差は禁止されます。具体的には、労働者派遣事業関係業務取扱要領( 2020 年4月版。p.185-186 )や不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル( p.14-16 )をご参照ください。


質問21
比較対象者が派遣先の新入社員であった場合、新入社員のみを対象とするなど、社員区分を限定したイベント(例えば、新入社員向けの交流会や見学会等。福利厚生に該当するのではないかと考えている)を開催する際には、派遣労働者に対しても当該イベントに参加する機会を与えるべきか。

回答
・ 派遣先均等・均衡方式の場合、対象となる待遇には、全ての賃金、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償等の全ての待遇(福利厚生も含む)が含まれます。
新入社員向けの交流会や見学会等についても、派遣先の通常の労働者との間で均等・均衡を確保する待遇の対象となります。
・ 新入社員向けの交流会や見学会等の有無が不合理な待遇差であるか否かは、派遣労働者と派遣先の通常の労働者のそれぞれの職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、新入社員向けの交流会や見学会等の性質及び目的を照らして適切と認められるものを考慮して判断されます。
・ 労使協定方式の場合、賃金を除く待遇については 派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)との間において、不合理でないことが求められます。


質問22
派遣元労使協定方式にて、退職手当は別途設けず基準賃金に6%加算する方法を取った場合、就業規則上で「退職金相当額、賞与相当額は、基本時間給に含む。」と規定する想定だが 、これは問題ないか。

回答
・ 労使協定方式においては、協定対象派遣労働者の賃金の額について、「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金」(一般賃金)の額と同等以上としなければなりません。
・ したがって、退職手当制度を別途設けない場合であっても、協定対象派遣労働者の賃金について、一般賃金(一般退職金相当分を含む。)と同等以上を確保していれば、問題はありません


質問23
上記が問題ないとした場合、改正派遣法やパート有期法で義務付けられる、賞与や退職手当の有無の明示については、「 なし」でいいか 。または、「あり」や、「基本時間給に含め相当額支給」などと表記するのか 。なお、表示が「 なし」でよいとしても、基本時間給の中に「退職金相当額、賞与相当額」を含んで支払っていれば、つまり、職安統計等を基準として算出された比較対象となる賃金総額を上回る基本時間給であれば、派遣法の同一労働同一賃金は適法に対応していると考えてよいか。

回答
・ ご指摘の場合には、改正派遣法等で義務付けられている「賞与の有無」及び「退職手当の有無」の明示については 「無」で問題ありませんが、賞与及び退職手当以外の賃金として、雇入れ時や派遣時に明示しなければならないことに留意が必要です。
・ 退職手当制度を別途設けない場合であっても、協定対象派遣労働者の賃金について、一般賃金(一般退職金相当分を含む。)と同等以上を確保していれば、問題はありません。

(参考)
sr-memorandum.hatenablog.com

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