社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



労使協定に関するQ&A【第3集】令和2年10月21日公表

バナー
Kindle版 職場の出産・育児関係手続ガイドブック~令和の常識~
定価:800円で好評発売中!!


にほんブログ村
続き

労使協定に関するQ&A【第3集】令和2年10月21日公表

https://www.mhlw.go.jp/content/000685364.pdf


本Q&Aはこちらの第3集となります。
sr-memorandum.hatenablog.com
sr-memorandum.hatenablog.com

1.労使協定の締結

問1-1
令和3年度通達(※)の一般賃金の額が、前年度適用の一般賃金の額より下がった場合、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることは可能か。
※令和2年10月20日付け職発1020第3号「令和3年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める」」等について

答 一般賃金の額と同等以上であれば、労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに直ちに違反するものではないが、非正規雇用労働者の待遇改善という同一労働同一賃金の趣旨及び派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理の実施という労使協定方式の目的にかんがみて、一般賃金の額が下がったことをもって、協定対象派遣労働者の待遇を引き下げる対応は望ましくなく、見直し前の労使協定に定める協定対象派遣労働者の賃金の額を基礎として、協定対象派遣労働者の公正な待遇の確保について労使で十分に議論することが望まれるものである。
また、派遣労働者の待遇の引き下げ等、労働条件の変更については、労働契約法の規定に従う必要があるとともに、次の点からも問題となり得ることに留意が必要である。
①労使協定に定める昇給規定等の内容によっては、協定対象派遣労働者の待遇を引き下げることが当該昇給規定等を遵守していないことになり、法第30条の4第1項第2号ロ又は第3号に違反する可能性があること。
②待遇を引き下げることを目的に、令和2年度の労使協定から局長通達別添1と別添2の選択を恣意的に変更することなどは認められないこと。


問1-2
職種・地域ごとに令和3年度通達の第1の5に定める「一般賃金の額(令和2年度)」(例外的取扱い)を適用することは可能か。

答 令和3年度通達の第1の5に定める「一般賃金の額(令和2年度)」(以下本Q&Aにおいて「例外的取扱い」という。)については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済・雇用への影響等により、労働者派遣契約数が減少傾向にある職種や地域などにおいて使用されることを想定しているものである。


問1-3
派遣先の状況や派遣先の希望により、個別に例外的取扱いを適用することは可能か。

答 労使協定方式は、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができるようにすることを目的とした待遇決定方式である。そのため、派遣先の変更を理由として、例外的取扱いの対象にするか否かを変更することは、適当ではない。
また、当然のことながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済・雇用への影響等とは関係なく、待遇を引き下げることを目的として、派遣先ごとに例外的取扱いの対象にするか否かを変更することは、法の趣旨に反するものであり、適当ではない。
一方、例外的取扱いの適用の有無を変更しなければ派遣労働者が希望する就業機会を提供できない場合であって当該派遣労働者から合意を得た場合等のやむを得ないと認められる事情がある場合などは、この限りでない。


問1-4
派遣先が、派遣元事業主に例外的取扱いを使用することを希望することは可能か。

答 例外的取扱いの対象にするか否かは、派遣労働者の納得感や雇用の安定、キャリア形成、個々の派遣元事業主における新型コロナウイルス感染症の感染拡大による職種・地域への影響等を考慮しながら、派遣労働者の就業の実態をよく知る派遣元事業主の労使に委ねられているものである。このため、派遣先が「例外的取扱いを使用する派遣元事業主とのみ契約をする」等と派遣元事業主に伝え、受け入れ予定の派遣労働者の例外的取扱いの適用の有無を限定することは、法の趣旨を踏まえると、適当ではない。
また、派遣先が、派遣元事業主に例外的取扱いを使用することを希望することが、待遇を引き下げることを目的としている場合には、法第26条第11項の派遣料金の配慮義務を尽くしたとは解されず、派遣先が指導の対象となり得るものである。


問1-5
「基準値(0年)」は例外的取扱いを用いて、能力・経験調整指数又は地域指数については、原則どおり令和3年度通達に示される数値を使うことは認められるか。

答 同じ職種・地域において、「基準値(0年)と能力・経験調整指数、地域指数ごとに、例外的取扱いの適用の有無を変えること」や、「同じ能力・経験調整指数の中でも、年数(0年目、1年目、2年目、3年目、5年目、10年目、20年目等)によって例外的取扱いの適用の有無を変えること」等は、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることを目的としているものといえ、労使協定方式の趣旨に照らして適切ではなく、認められない。


問1-6
労使協定を派遣元事業主単位で締結する場合についても、令和3年度通達の第1の5(2)②の要件を満たす必要があるか。

答 貴見のとおり。


問1-7
令和3年度通達の第1の5に「④の要件における都道府県労働局への提出方法については、別途通知する」とあるが、具体的にいつ示されるのか。

答 本年末に公表することを予定している。


問1-8
令和3年度通達において、例外的取扱いが示されたが、その後の新型コロナウイルス感染症の雇用への影響等を踏まえ、令和3年度中に当該取扱いが廃止されることはあり得るのか。

答 今後の経済動向によっては、令和3年度中に例外的取扱いを廃止することもあり得るものであるが、経済動向の状況等を踏まえて、検討していくものと考えている。


問1-9
労使協定を締結する過半数代表者の選出の手続きにおいて、ある労働者を過半数代表者として選出することに信任(賛成)するか否かについて、派遣元事業主(所)が全労働者に確認することとなった。その確認方法として、派遣労働者を含む全ての労働者に対してメールで通知し、メールに対する返信のない者を、メールの内容について信任(賛成)したものとみなす取扱いは認められるか。
また、同様の場合に、返信がない場合は信任(賛成)したものとみなす旨をメールに記載している場合は認められるか。

答 過半数代表者の選出には、労働者の過半数が選任を支持していることが明確になるような民主的な手続を経ることが必要である。最終的には個別の事例ごとに判断されるものであるが、一般的には、お尋ねのような取扱いは、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられる。例えば、返信がなかった労働者について、電話や訪問等により、直接意見を確認する等の措置を講じるべきである。
なお、イントラネット等を用いて、労働者の意思の確認を行う場合も同様である。


問1-10
問1-9の方法において、メールの開封者やイントラネット等の閲覧者を派遣元事業主(所)が確認できる場合においては、メールの開封等を行ったものの、意見の表明がない労働者を信任(賛成)したものとみなす取扱いは認められるか。

答 最終的には個別の事例ごとに判断されるものであるが、一般的には、お尋ねのような取扱いは、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられる。意見の表明がなかった労働者について、電話や訪問等により、直接意見を確認する等の措置を講じるべきである。


問1-11
問1-9の方法において、意見の表明がない労働者を全労働者数から除き、残りの労働者の過半数の信任を得た労働者を過半数代表者とする取扱いは認められるか。

答 意見の表明のない者を含む全ての労働者の過半数の信任を得ていない労働者は、過半数代表者とは認められないものである。


2.基本給 ・賞与・手当等

問2-1
労働者派遣契約を締結する派遣先が海外にある場合に、どの地域指数を選べばよいか。

答 当分の間、地域指数は全国計「100.0」の数値を用いる取扱いとする。
なお、派遣元事業主が地域指数を選択する際の「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」の判断については、令和元年11月1日付け「労使協定方式に関するQ&A【第2集】」の問2-2によるものであることに留意すること。


問2-2
令和2年度通達(※)の別添1と別添2から令和3年度通達の別添1と別添2のそれぞれの賃金水準の変動幅が異なっていることから、その動きも踏まえつつ、別添1と別添2の選択を検討し直すことは可能か。
(※) 令和元年7月8日付け職発0708第2号「令和2年度の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第30条の4第1項第2号イに定める「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」」等について

答 可能であるが、労使で十分に議論した上で判断いただくことが必要である。
ただし、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げるなど、別添1と別添2の選択を恣意的に変更することなどは、認められないことに留意すること。


4.退職金

問4-1
令和元年8月19日付け「労使協定方式に関するQ&A」の問4-10において、企業型の確定拠出年金のマッチング拠出は、局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」に算入することは認められないとされているが、事業主が負担する掛金は算入することは認められるか。


貴見のとおり。令和元年8月19日付け「労使協定方式に関するQ&A」の問4-10については、「(マッチング拠出のうち、加入者本人が上乗せして負担する掛金は)事業主が負担する費用に該当しないため、認められない。」という趣旨である。


問4-2
商工会議所の特定退職金共済制度も、局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」として取り扱ってよいか。

答 貴見のとおり。


問4-3
中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)は、企業が上乗せ拠出するものであるため、当該上乗せ拠出部分は、局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」として取り扱ってもよいか。

答 貴見のとおり。


問4-4
令和元年11月1日付け「労使協定方式に関するQ&A【第2集】」の問4-7において、企業が独自に設けている退職一時金の費用を事業主が負担している場合、当該費用を局長通達の第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」として取り扱うことが可能とされている。ここでいう「費用」とは具体的に何か。

答 ①退職一時金を支給するために、事業主が「直近事業年度において積み立てている額」等を時給換算したもの。
②①が算出できない場合には、過去の給付実績に基づいて算出した平均額など、合理的な計算方法により算出した「通常、一年間に支払う退職一時金の給付総額」を時給換算したもの。


sr-memorandum.hatenablog.com
sr-memorandum.hatenablog.com