社会保険労務士川口正倫のブログ

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改正労働者派遣法にかかる労使協定方式に関するQ&A【第2集】

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労使協定方式に関するQ&A【第2集】

こちらの第2集となります。
sr-memorandum.hatenablog.com

1.労使協定の締結

問1-1
現在、協定協定対象対象派遣労働者の賃金派遣労働者の賃金の額の額がが一般賃金の額を上回るものとなっている場合一般賃金の額を上回るものとなっている場合、、
賃金の額の水準に変更するの水準に変更する対応対応はは可能か。可能か。


協定対象派遣労働者の賃金の額については、一般賃金の額と比較し「同等以上」であることを求めるものであることから、現在、協定対象派遣労働者の賃金の額が一般賃金の額を上回るものとなっていることを理由に、賃金を引き下げることは、派遣労働者の待遇改善を図ることを目指す改正労働者派遣法の目的に照らして問題であること。


問1-2
現在、協定対象派遣労働者の基本給等が一般賃金の額を上回るものとなっている場合に、通勤手当等を新たに支給する一方で、基本給を引き下げ、派遣労働者の賃金の総額を実質的に引き下げることは可能か。


通勤手当等を支給する一方で、基本給を引き下げ、派遣労働者の賃金の総額を実質的に引き下げることは、改正労働者派遣法の目的に照らして問題であること。


問1-3
労使協定を締結する際に協定対象労働者の範囲を定めることとなっているが、派遣先の希望等により、個別に、協定対象派遣労働者の待遇決定方式を派遣先均等・均衡方式に変更することとしてもよいか。


労使協定方式は、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができるようにすることを目的としたものである。そのため、派遣先の変更を理由として、協定対象派遣労働者であるか否かを変更することは、その趣旨に反するおそれがあり、適当ではない。
また、当然のことながら、待遇を引き下げることを目的として、派遣先ごとに待遇決定方式を変更することは、改正労働者派遣法の趣旨に反するものであり、適当ではない。
一方、待遇決定方式を変更しなければ派遣労働者が希望する就業機会を提供できない場合であって当該派遣労働者から合意を得た場合等のやむを得ないと認められる事情がある場合などは、この限りでない。


問1-4
「協定対象派遣労働者の範囲」について、一の事業所において、原則はその全ての派遣労働者に「労使協定方式」を採用するが、紹介予定派遣の対象者のみ、派遣先均等・均衡方式とすることは問題ないか。


紹介予定派遣とそれ以外の派遣労働者との間で、待遇決定方式を分けることは、合理的な理由があれば、労働者派遣法上直ちに否定されるものではない。
なお、単に賃金水準を引き下げることを目的に、紹介予定派遣とそれ以外の派遣労働者で待遇決定方式を変えることは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではない。

2.基本給 ・賞与・手当等

問2-1
固定残業代は、一般賃金と同等以上を確保する協定対象派遣労働者の賃金の対象としてよいか。


局長通達第1の2(2)のとおり、協定対象派遣労働者の賃金の対象に時間外、休日及び深夜の労働に係る手当等が含まれないことを踏まえ、固定残業代についても協定対象派遣労働者の賃金の対象とすることは適当ではない。
一方で、直近の事業年度において、実際の時間外労働等に係る手当を超えて支払われた固定残業代については、協定対象派遣労働者の賃金の対象とすることが可能であるが、労使で十分に議論した上で判断いただくことが望まれる。
なお、固定残業代を採用する場合、基本給等の金額が労働者に明示されていることを前提に、割増賃金に当たる部分の時間外労働の時間数又は金額を書面等で明示するなどして、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に区別できるようにするとともに、固定残業代に含まれた時間を超える時間外・休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払う必要がある点に留意すること。


問2-2
派遣元事業主が地域指数を選択する際、「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」は具体的にどのように判断すればよいか。


「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」については、 工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断する こととなり、常に雇用保険の適用事業所と同一であるわけではない 。


問2-3
協定対象派遣労働者が複数の地域に派遣される可能性がある場合、一の労使協定において、複数の地域指数を乗じた一般賃金の額を記載するとともに、それぞれの一般賃金の額に対応する協定対象派遣労働者の賃金の額を記載し、同等以上であることを確認する必要があるのか。


原則は、派遣される可能性のある派遣先事業所の所在地を含む地域の地域指数を乗じた各一般賃金の額と、それに対応する協定対象派遣労働者の賃金の額を記載し、同等以上であることが客観的に明らかになっていることが必要である。
ただし、最も高い地域指数を乗じた一般賃金の額と、全ての協定対象派遣労働者に適用される賃金の額が同等以上であることを確認できる場合は、この限りでない。


問2-4
賃金テーブル上、職務のレベルに応じて等級を設けるとともに、昇給レンジとして号俸を設けている。その際の能力・経験調整指数の当てはめ方はどうなるのか。


基本的に労使で議論し決定するものであるが、例えば、各等級に属する派遣労働者が従事する業務の内容、難易度等が、一般の労働者の勤続何年目に相当するかを判断していただいたうえで、法第30条の4第1項第2号ロ(※)の対応として、号俸の中で賃金を向上させることが考えられる。
そのほか、号俸の中で、業務の内容、難易度等のレベルに差がある場合は、例えば、1級1号俸~5号俸の派遣労働者を基準値(0年目)とし、1級6号俸~10号俸の派遣労働者を1年目相当とするように、同じ等級の中で能力・経験調整指数の当てはめ方を変えることも考えられる。
派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものであること。


問2-5
令和元年8月19日付けのQ&A問2-7において、能力・経験調整指数が「4年」、「8年」、「15年」などになった場合の取扱いが整理されているが、例えば、労使で議論した結果、協定対象派遣労働者の業務の内容、難易度等が一般の労働者の勤続「0.5年(半年)」目相当に該当すると判断した場合、年数より更に細かく区切った能力・経験調整指数を使うことは可能か。


労使で十分に議論した上で決定するものである。仮に「0.5年(半年)」目の能力・経験調整指数を当てはめることとなった場合の一般基本給・賞与等の計算方法等は、令和元年8月19日付けのQ&A問2-7の取扱いによる。
なお、待遇を引き下げることなどを目的として、低い能力・経験調整指数を使用することは、労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではなく、認められない。


問2-6
協定対象派遣労働者の賃金について、月給から時給に換算する際の計算方法が令和元年8月19日付けのQ&A問2-1に示されているが、1円未満の端数が生じた場合はどのように処理すればよいか。


一般賃金の額と同等以上であることが必要であるため、算出した結果、1円未満の端数が生じた場合には、当該端数は切り捨てて、切り捨て後の協定対象派遣労働者の賃金の額と一般賃金の額を比較することとなる。

4.退職金

問4-1
局長通達第3の3(1)「退職手当制度で比較する場合」について、協定対象派遣労働者の勤続期間の通算方法は、どのように定めればよいか。


特段の定めはない。労使で十分に議論した上で退職手当の支給要件である勤続期間の通算方法を決定することが求められる。
ただし、例えば、有期雇用の派遣労働者について、待遇を引き下げることを目的として、期間が通算されないよう契約終了後に一定期間を空け、実質的に派遣労働者が退職手当制度の対象とならないような運用を行っている場合などは、法の趣旨に反するものであり、適当ではない。
また、派遣元事業主が施行日前から退職手当制度を有しており、既に協定対象派遣労働者にも当該制度が適用されている場合においては、改正労働者派遣法の施行に合わせて勤続期間の通算方法を変更することは、労働条件の不利益変更となり得ることに留意すること。


問4-2
一つの労使協定で、「退職手当制度で比較する場合」と「一般の労働者の退職金に相当する額と「同等以上」を確保する場合」の両方式を定める予定であるが、局長通達第3の3(1)では、退職手当制度は「全ての協定対象派遣労働者に適用されるものであること」とされている。
これについては、局長通達第2の3(1)「退職手当制度で比較する場合」で支払うことを選択した協定対象労働者全員に適用されていればよいという解釈か。


貴見とおり


問4-3
局長通達第2の3(1)「退職手当制度で比較する場合」で支払うことを選択した場合、一般退職金と協定対象派遣労働者の退職金を比較する際は、モデル退職金やモデルの所定内賃金で比べればよいか。


退職金テーブル ・モデル退職金 やモデル所定内賃金で算出した支給月数と、一般退職金の支給月数を比較し、同等以上であればよい。


問4-4
令和元年8月19日付けのQ&A問4-3では、一般退職金と比較する場合、協定対象派遣労働者の支給月数は協定対象派遣労働者の退職時の「所定内賃金」額を用いるとあるが、この所定内賃金に含まれる賃金は何か。


所定内賃金は、所定労働時間に対し支払われる賃金で、基本給、業績給、勤務手当、奨励手当(精皆勤手当)、生活手当、その他の諸手当等をいい、通勤手当、所定外賃金(時間外手当、深夜手当、休日出勤手当等)及び賞与は除かれる。


問4-5
令和元年8月19日付けのQ&A問4-3では、一般退職金と比較する場合、協定対象派遣労働者の支給月数は協定対象派遣労働者の退職時の「所定内賃金」額を用いるとあるが、派遣元事業主の退職手当制度の算定基礎となる賃金と一致していない(基本給を算定基礎としている場合など)こともある。その際はどのように一般退職金の支給月数と比較すればよいか。


各派遣元事業主の退職手当制度の算定基礎については、必ずしも所定内賃金にする必要はないが、一般退職金の支給月数と比較する際は、所定内賃金額に置き換えた上で、比較していただくことが必要である。

(例)
・一般退職金:3年勤続⇒2.5ヵ月分支給
・事業主の退職手当制度:3年勤続⇒基本給(モデルは25万円)×3.0ヵ月=75万円支給
⇒この場合「基本給×3.0ヵ月」の合計額(75万円)を所定内賃金額(モデルは28万円)で割り、退職手当制度の支給月数を算出(75万円÷28万円≒2.7ヵ月分)し、そのうえで一般退職金(2.5ヵ月)と比較。


問4-6
局長通達の別添4に「退職給付等の費用」のデータが載っているが、どのように使うことを想定しているか。


「退職給付等の費用」は、協定対象派遣労働者の退職手当制度の給付水準を労使でご検討いただく際の参考データとしてお示ししているもの。例えば、現金給与以外の労働費用に占める退職給付等の費用の割合などをご参考にしていただきたい。


問4-7
局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」について、「この「等」には、例えば、派遣元事業主が独自に設けている企業年金制度が含まれるものであること」とされている。企業が独自に設けている退職一時金の費用を事業主が負担している場合、局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」として取り扱うことは可能か。


貴見のとおり。


問4-8
局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」について、確定給付企業年金等と併用して、企業が独自に設けている退職一時金を協定対象派遣労働者に支給しているが、両者の掛金等を合算して、一般退職金(一般基本給・賞与等に6%を乗じた額)と比較することは可能か。


貴見のとおり。


問4-9
局長通達第3の3(3)「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」については、協定対象派遣労働者の一般基本給・賞与等の総額の6%と同等以上の掛金拠出であればよいか。


貴見のとおり


問4-10
退職金を支払っていない場合に、一般賃金の額と同等以上の額を確保するためには、どうすればよいか。


退職金を支払っていない場合には、協定対象派遣労働者の賃金(通勤手当を除く。)の額が、一般基本給・賞与等の額に「一般基本給・賞与等に6%を乗じた額(1円未満は切り上げ)」を加えた額と同等以上であることが必要(例えば、一般基本給・賞与等が1,000円の場合は、協定対象派遣労働者の賃金の額が、「1,000円+(1,000円×6%)=1,060円」と同等以上であることが必要)。
なお、このほか、通勤手当も含めて合算して比較する方法もあるため、合算の取扱いは、局長通達第3の4「「基本給・賞与・手当等」、「通勤手当」、「退職金」の全部又は一部を合算する場合の取扱い」をご参照いただきたい。

(参考)
sr-memorandum.hatenablog.com

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