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健康保険法についての重要通達①

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健康保険法についての重要通達①~社労士試験に出るかも

健康保険法についての重要な通達① こちら
健康保険法についての重要な通達② こちら
健康保険法についての重要な通達③ こちら
健康保険法についての重要な通達④ こちら
健康保険法についての重要な通達⑤ こちら


(定義)
健康保険法第3条 この法律において「被保険者」とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。

会社等法人の理事、監事、取締役員等(昭和24年保発74号)
健康保険の適用については、法人から労働の対償として報酬を受けている者は、その法人に使用される者として被保険者の資格を取得する。個人経営の事業の事業主は、使用される者には該当しないため、被保険者とはならない。

労働組合の専従役職員(昭和24年職発921号)
被保険者が、使用される事業所の労働組合の専従役職員となり、その職務に従事するときは、従前の事業主との関係では被保険者資格を喪失することになり、労働組合に使用される者としてのみ被保険者となる。

外国人(平成4年保険発38号・庁文発1244号)
外国人であっても適法に就労し、適用事業所と実態的かつ常用的な使用関係のある被用者は、被保険者の資格を取得する。

短時間労働者への適用に関する経過措置(平成24年健康保険法附則46条)
当分の間、特定適用事業所(事業主が同一である一又は二以上の適用事業所であって、当該一又は二以上の適用事業所に使用される通常の労働者及びこれに準ずる者(1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であり、かつ、その1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3以上である短時間労働者という。)の総数が常時500人を超えるものの各適用事業所をいう。)以外の適用事業所にしようされる者であって、その1週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満である短時間労働者又はその1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の1月間の所定労働日数の4分の3未満である短時間労働者に該当するものについては、改正後の健康保険法3条1項の規定にかかわらず、健康保険の被保険者としない。*1

登録型派遣労働者(平成14年保保発0424001号・庁保険発24号)
労働者派遣事業の事業所に雇用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者(「登録型派遣労働者」という)の適用については、派遣就業に係る一の雇用契約の終了後、最大1か月以内に、同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業に係る次回の雇用契約(1か月以上のものに限る。)が確実に見込まれるときは、使用関係が継続しているものとして取扱い、被保険者資格は喪失させないこととして差し支えない。

日々雇い入れられる者(昭和3年保理302号)
日々雇い入れられる者が、連続して30日間労務に服し、なお引き続き労務に服したときは被保険者資格を取得する。この場合、当該事業所の公休日は、労務に服したものとみなし、日数の計算に加える。

2か月以内の期間を定めて使用される者(昭和5年保規344号)
2か月以内の期間を定めて雇用される者が、その期間中に負傷し休業のまま引き続き2か月を超えて使用関係が存続するときは、61日目から被保険者資格を取得するが、将来労務に服することができず、単に健康保険の給付を受けるために使用関係を継続する場合は、被保険者資格を取得しない。

(資格取得の時期)
健康保険法第35条 被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この条から第三十八条までにおいて同じ。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は第三条第一項ただし書の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。

在学中の職業実習生(昭和16年社発1580号)
就職の決定した者が在学のまま就職先において職業実習をする場合、これは事実上の就職とも解され、卒業後の就職予定先である職業実習をする場合には被保険者として取り扱う。*2

その適用事業所に使用されるに至った日(昭和16年保発480号)
健康保険法第35条にいう「使用されるに至った日」とは、事実上の使用関係が発生した日とされる。この事実上の使用関係が発生した日は、労務の提供、報酬の支払い等の有無により、総合的に判断されるため、雇用契約が締結された日と被保険者資格を取得する日とは一致しないことがある。*3

自宅待機の場合(昭和50年保険発25号・庁保険発8号)
当初から自宅待機とされた場合の被保険者資格については、雇用契約が成立しており、かつ、休業手当等が支払われているときは、その休業手当等の支払いの対象となった日の初日に被保険者の資格を取得することとなる。

臨時又は試みに使用される者(昭和26年保文発5177号)
事業所の内規等により一定期間は臨時又は試みに使用すると称し、又は雇用者の出入頻繁で永続するか否か不明であるという理由で取得届の提出を遅らせる者は臨時使用と認めず、雇い入れの当初より被保険者とする。

事業主の変更(昭和3年保理1370号)
工場の譲渡等により事業主に変更があった場合であっても、旧事業主が当該事業に使用される被保険者を解雇しないときは、当該被保険者は新事業主にそのまま使用されるため、被保険者の資格の取得及び喪失の届出は不要である。*4

本社一括取扱い(平成18年庁保険発0315002号)
人事異動により勤務地が本社から支店になる場合であっても、その者の人事や給与等の管理を引き続き本社で一括して行っているときは、本社の被保険者として取り扱うため、本社での資格喪失届と支社での資格取得届の提出は不要となる。

(資格喪失の時期)
健康保険法第36条 被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 その事業所に使用されなくなったとき。
三 第三条第一項ただし書の規定*5に該当するに至ったとき。
四 第三十三条第一項*6の認可があったとき。

解雇についての係争中の被保険者(昭和25年保文発68号)
解雇について係争中の場合であっても、事業主から被保険者資格喪失届の提出があったときは、一応被保険者の資格を喪失したものとして取り扱われる。*7

任意適用事業所に使用される被保険者の資格喪失(昭和25年保文発571号)
任意適用事業所に使用される被保険者は、健康保険法第33条又は第36条の規定により資格を喪失するのであり、事業主による悪質な保険料の滞納があったとしても、その資格は取り消せない。*8

健康保険法第3条第4項 この法律において「任意継続被保険者」とは、適用事業所に使用されなくなったため、又は第一項ただし書に該当するに至ったため被保険者(日雇特例被保険者を除く。)の資格を喪失した者であって、喪失の日の前日まで継続して二月以上被保険者(日雇特例被保険者、任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であったもののうち、保険者に申し出て、継続して当該保険者の被保険者となった者をいう。ただし、船員保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等である者は、この限りでない。

任意継続被保険者の申出期間を経過しても当該申請が受理される「正当な理由」(昭和24年保文発1400号)
正当な理由とは、天災地変、交通、通信関係のスト等により法定期間内に届出ができなかった場合をいう。任意継続被保険者制度があることを、資格喪失日から20日を経過した後に知ったという場合は、正当な理由とはならない。

任意適用事業所の取消の認可によって資格を喪失し場合(昭和3年保理2059号)
任意適用事業所の取消の許可によって被保険者が資格を喪失した場合は任意継続被保険者にはなれない。

健康保険法第3条第7項 この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者をいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者は、この限りでない。
一 被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。以下この項において同じ。)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
二 被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
三 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
四 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの

被扶養者の生計維持要件に係る「主として」その被保険者により生計を維持するとは(昭和27年保文発3533号)
「主として」とは、生計依存の程度を示し、「その被保険者により生計を維持する」とは、その生計の基礎を被保険者に置くという意味である。

夫婦共働きの場合の被扶養者(昭和60年保険発66号・平成16年庁保険発061700号)
① 被扶養者となるべき者の人数に関係なく、原則として年間収入の多い方の被扶養者となる。
② 夫婦双方の年収が同程度である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者となる。
③ 夫婦の双方又は一方が共済組合の組合員であって、その者の扶養家族に関して、扶養手当又はこれに相当する手当が支給されている場合には、その支給を受けている者の被扶養者となる。
④ 夫婦双方が全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者である場合において、夫婦いずれの被扶養者とするかについては、年間収入の多少のみをもって画一的に判断するのではなく、被保険者である夫婦いずれかの届出に基づき当該家計の実態等に即して認定を行う(年収の少ない方の被扶養者として認定しても差し支えない)。

被扶養者の同一世帯要件に係る「同一の世帯に属する」とは(昭和27年保文発3533号)
被保険者と住居及び家計を共同することをいい、同一戸籍内にあることを必ずしも必要とせず、また、被保険者が必ずしも世帯主であることも必要としない。

被扶養者の同一世帯要件に係る入院した場合の取扱い(昭和18年保発1044号・昭和27年保文発3533号)
疾病のため入院しているが、主として被保険者によって生計を維持し、入院前において被保険者と同一世帯にあった者は、被保険者と同一世帯に属するものとみなされる。

被扶養者としての認定を受けるための具体的な認定基準(平成5年保険発15号・庁保発4号)
① 認定対象者が被保険者と同一世帯にある場合
認定対象者の年収*9が130万円未満で、かつ、被保険者の年収の2分の1未満であれば被扶養者となる(年収が被保険者の2分の1以上であっても、その額が130万円未満で、総合的に被保険者の収入によって生計を維持していると認められる場合には、被扶養者と認定されることがある。)
② 認定対象者が被保険者と同一世帯にない場合
認定対象者の年収が130万円未満で、かつ、被保険者からの援助額(仕送り額等)より少ない場合は、原則として被扶養者となる。

16歳以上60歳未満の者の認定基準(昭和24年保文発1444号・昭和27年保文発3533号)
被扶養者となるためには、一定の要件を満たし、一定の親族に該当すれば、何らの年齢的制限はないが、被扶養者の認定に際して、16歳以上60歳未満の者については、通常就労できる状態にあるため、特例的に被扶養者に認定するか否かの事実(就労の有無、収入の有無等)を確認する必要がある。

60歳以上の者又は身体障害者の場合の認定基準(平成5年保険発15号・庁保発4号)
認定対象者が60歳以上又は厚生年金保険の障害厚生年金を受給できる程度の障害者の場合は、認定基準のうち「130万円未満」は「180万円未満」と読み替えて認定する。また、年収には年金収入も含む(老齢給付だけではなく、障害、死亡に係るもの、失業等給付も含まれる)。

健康保険法第3条第3項 この法律において「適用事業所」とは、次の各号のいずれかに該当する事業所をいう。
一 次に掲げる事業の事業所であって、常時五人以上の従業員を使用するもの
二 前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの

事業所(昭和18年保発905号)
工場、事業場、店舗その他事業の行われる一定の場所をいう。

常時5人以上(昭和18年保発905号)
その事業所に常時使用されるすべての者(適用除外者も含む。)について計算する。

法人(昭和18年保発905号、昭和23年保発1号)
公法人、私法人、公益法人、社団法人であるかの別を問わない。

日本にある外国大使館に勤務している者(昭和30年保発123号の2)
日本にある外国の大使館に勤務している者は、健康保険の強制適用の対象にはならないが、大使館が任意適用事業所として認可されると健康保険の被保険者として取り扱われる。


健康保険法についての重要な通達① こちら
健康保険法についての重要な通達② こちら
健康保険法についての重要な通達③ こちら
健康保険法についての重要な通達④ こちら
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感想(1件)

*1:特定事業所は、AかつBで、経過措置はA¬またはB¬とド・モルガンの定理の関係にある。

*2:雇用保険及び厚生年金保険についても同様の規定がある。

*3:被保険者資格を取得する日の例 ア 適用事業所に使用されるようになった者:初めてその仕事に就いた日 イ 使用されている事業所が新たに適用事業所となったとき:その日 ウ 事業所が任意適用の認可を受けたとき:その認可の日 エ 適用除外になっていた者について、その適用除外の事由がなくなったとき:その日

*4:事業主変更届の届出が必要となる。

*5:適用除外事由

*6:任意適用事業所の取消

*7:解雇係争中の被保険者については、一旦喪失したものとして取扱いをし、その後に解雇が成立した場合はそのまま喪失となり、解雇が不成立となった場合は遡って喪失させない取扱いをする。

*8:事業主による保険料の滞納があったとしても、それにより資格を喪失させることにより、被保険者に不利益が生じることがあってはならないため。

*9:「年収」とは認定対象者が被扶養者に該当する時点での「恒常的な収入」の状況により算定される。これは老齢、障害、死亡に係る年金収入、給与所得、傷病手当金、失業給付等を含む。