社会保険労務士川口正倫のブログ

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健康保険法についての重要な通達⑤

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健康保険法についての重要な通達⑤~社労士試験に出るかも

健康保険法についての重要な通達① こちら
健康保険法についての重要な通達② こちら
健康保険法についての重要な通達③ こちら
健康保険法についての重要な通達④ こちら
健康保険法についての重要な通達⑤ こちら


(家族埋葬料)
健康保険法第113条 被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対し、第百条第一項の政令で定める金額を支給する。*1

死産児(昭和23年保文発898号)
死産児は被扶養者に該当しないので、家族埋葬料は死産児については支給されない。

(高額療養費)
第百十五条 療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。次項において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額(次条第一項において「一部負担金等の額」という。)が著しく高額であるときは、その療養の給付又はその保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額療養費を支給する。
2 高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。*2

多回数該当(平成19年保保発0307007号)
協会管掌健康保険の被保険者であった者が、転職等で都道府県支部が変わっても、同じ協会管掌健康保険の被保険者であれば通算される。しかし、健康保険組合から協会管掌健康保険に変わった場合等、「保険者が変わった」場合には、支給回数は通算されない。また、特定疾病に係る高額療養費の支給回数は、その他の傷病に係る高額療養費と世帯合算された場合を除き、通算されない。

特定疾病に係る高額療養費算定基準額(平成18年厚労告489号)
70歳未満の者で標準報酬月額が53万円以上であるものが人工透析治療を受けた場合の高額療養費算定基準額(自己負担限度額)は2万円となる。

健康保険法第55条第2項 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

介護保険適用訪問看護を受けていた者が急性増悪等による特別指示書で指定訪問介護を受けた場合(平成18年保医発0428001号)
介護保険における訪問看護ステーションから訪問看護を受けている者の急性増悪等により、特別指示書に係る指定訪問看護を受ける場合の給付は、医療保険から行われる。

介護保険適用病床に入院している要介護者が急性増悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合(平成18年保医発0428001号)
介護保険適用病床に入院している要介護者である患者が、急性増悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合については、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則であるが、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により、患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行なう必要のあることが想定され、このような場合については、当該病床において療養の給付が行われることは可能であり、この場合の当該緊急に行われた療養に係る給付については、医療保険から行う。

健康保険法第116条 被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わない。

処罰されるべき行為中に起こした事故による死亡(昭和36年保険発63号)
道路交通法規に違反するなど、処罰されるべき行為中に起こした事故により死亡した場合は、自殺の場合と同様に、給付制限は行われず埋葬料が支給される。

(損害賠償請求権)
健康保険法第57条 保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額。次条第一項において同じ。)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。次項において同じ。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2 前項の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。

損害賠償請求権の代位取得の要件(昭和31年保文発9218号)
保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合に保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。)が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得するが、その損害賠償請求権は当然に移転するものであり、第三者に対する通知又はその承諾を要件とするものではない。

被保険者の重過失が認められ、保険金額の減額が行われた場合(昭和49年保険発10号・庁保発1号)
三者の行為によって給付事由が生じた被保険者の傷病について保険者が損害賠償の請求権を代位取得した際、自動車損害賠償保障法による自動車損害賠償責任保険において被保険者の重過失が認められ、保険金額の減額が行われた場合には、過失により減額された割合で減額した額でもって求償して差し支えない。
三者行為によって生じた事故に関し、保険者が損害賠償請求権を代位取得する場合において、加害者が未成年者でその行為を弁識できる知能を備えていないときは、その者の監督義務者に対して損害賠償を求めることができる。
・示談
保険給付が行われている間に示談が成立したような場合、示談の内容はそれ以前の保険給付について保険者が代位取得している損賠賠償請求権を左右することはない。
・同一事由について既に第三者から損害賠償を受けたとき
同一事由について既に第三者から損害賠償を受けたときは、その価額の限度で、保険給付を行わない。



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感想(1件)

*1:家族埋葬料に限ったことではないが、被扶養者に関する給付はすべて「被保険者」に対して支給される。

*2:被保険者又はその被扶養者が療養を受けた場合において、当該療養があった月以前の12か月以内に、既に3回以上の高額療養費が支給されているときは、当該療養に係る一部負担金等の額が、次の高額療養費算定基準額(70歳未満の高額療養費算定基準額(多数回該当の場合)を超えたときは、その超えた額が支給される。 標準報酬月額が83万円以上:140,100円  同53万円以上83万円未満:93,000円  同28万円以上53万円未満:44,400円  同28万円未満:44,400円  低所得者:24,600円