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『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』(パートタイム有期雇用労働法)の逐条解説③-第3章

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同一労働同一賃金について定めた『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』(パートタイム有期雇用労働法)についてわかりやすく解説します

第1章
『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』の逐条解説①-第1章
第2章
『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』の逐条解説②-第2章

偉そうに断定的な表現で記載していますが「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について(H31.1.30基発0130第1号・H31.1.30職発0130第6号・H31.1.30雇均発0130第1号・H31.1.30開発0130第1号)」という通達を読みやすくアレンジしただけです。

第3章 短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等(第3章)

第3章は、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等として、第1節に事業主等が講ずべきものの具体的内容として雇用管理の改善等に関する措置を、第2節に事業主等に対する国の援助等を規定しています。

3.1 労働条件に関する文書の交付等(第6条)

第六条 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間・有期雇用労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(次項及び第十四条第一項において「特定事項」という。)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項において「文書の交付等」という。)により明示しなければならない。
2 事業主は、前項の規定に基づき特定事項を明示するときは、労働条件に関する事項のうち特定事項及び労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものについても、文書の交付等により明示するように努めるものとする。

(1)労働条件の明示
労働条件の明示については、労働基準法第15条において、賃金、労働時間その他の労働条件について労働契約の締結に際し明示することが使用者に義務付けられていますが、短時間・有期雇用労働者に対する労働条件は、通常の労働者とは別に、かつ、個々の事情に応じて多様に設定されることが多いことから、雇入れ後に疑義が生じやすくなっています。そのため、第6条第1項においては、労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のもののうち、特に短時間・有期雇用労働者にとって重要な事項であるものを厚生労働省令で特定事項として定め、事業主が文書の交付等により明示しなければならないものとし、それ以外の事項は同条第2項において文書の交付等の努力義務を課しています。なお、第6条第1項の文書の交付等の義務に違反した者に対して、都道府県労働局長による助言、指導、勧告を行っても履行されない場合には、公表の対象となるとともに、第31条に基づき、10万円以下の過料に処するものとされています。

(2)特定事項
「特定事項」とは、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無及び短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口をいいます。(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第2条第1項)なお、事業主は、短時間・有期雇用労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならないとされています。(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第2条第2項)

【短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則】
(法第六条第一項の明示事項及び明示の方法)
第二条 法第六条第一項の厚生労働省令で定める短時間労働者に対して明示しなければならない労働条件に関する事項は、次に掲げるものとする。
 一  昇給の有無
 二  退職手当の有無
 三  賞与の有無
 四  短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
2 法第六条第一項の厚生労働省令で定める方法は、前項各号に掲げる事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを当該短時間労働者が希望した場合における当該方法とする。
 一  ファクシミリを利用してする送信の方法
 二  電子メールの送信の方法(当該短時間労働者が当該電子メールの記録を出力することによる書面を作成することができるものに限る。)
3 前項第一号の方法により行われた法第六条第一項に規定する特定事項(以下本項において「特定事項」という。)の明示は、当該短時間労働者の使用に係るファクシミリ装置により受信した時に、前項第二号の方法により行われた特定事項の明示は、当該短時間労働者の使用に係る通信端末機器により受信した時に、それぞれ当該短時間労働者に到達したものとみなす。

(3)その他各用語の意義
なお、「昇給」等については、これらの要件に該当するものであれば、その名称は問われません。

① 昇給
「昇給」とは、一つの契約期間の中での賃金の増額をいいます。したがって、有期労働契約の契約更新時の賃金改定は、「昇給」に該当しません。

② 退職手当
「退職手当」とは、労使間において、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確になっており、退職により支給されるものであればよく、その支給形態が退職一時金であるか、退職年金であるかは問われません。

③ 賞与
「賞与」とは、定期又は臨時に支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないものをいいます。
 ④ 短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
「短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」(以下「相談窓口」という。)とは、事業主が労働者からの苦情を含めた相談を受け付ける窓口をいいます。

(4)明示の程度
昇給及び賞与が業績等に基づき実施されない又は支給されない可能性がある場合や、退職手当が勤続年数等に基づき支給されない可能性がある場合には、制度としては「有」と明示しつつ、あわせて、昇給及び賞与が業績等に基づき実施されない又は支給されない可能性がある旨や、退職手当が勤続年数等に基づき支給されない可能性がある旨についても明示しなければなりません。
また、「昇給」に係る文書の交付等に当たって、「賃金改定(増額)有」等「昇給」の有無が明らかである表示をしている場合には第6条第1項の義務の履行といえるが、「賃金改定:有」と表示し、「賃金改定」が「昇給」のみであるか明らかでない場合等「昇給」の有無が明らかでない表示にとどまる場合には、同項の義務の履行とはいえません。
「相談窓口」は第16条に基づき相談のための体制として整備することとされているものをいい、「相談窓口」の明示の具体例としては、担当者の氏名、担当者の役職又は担当部署等があります。


(5)明示の方法
「文書の交付等」の「等」には、ファクシミリを利用してする送信、電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(以下「電子メール等」という。)の送信のいずれかの方法によることを当該短時間・有期雇用労働者が希望した場合には、その方法が含まれます。ただし、労働条件の明示の趣旨を鑑みると、事業主が短時間・有期雇用労働者に対し確実に労働条件を明示するとともに、その明示された事項を当該短時間・有期雇用労働者がいつでも確認することができるよう、当該短時間・有期雇用労働者が保管することのできる方法により明示する必要があることから、電子メール等の送信の方法による場合には、短時間・有期雇用労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができる場合に限られるものに限られます。(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第2条第3項)。
この場合、「出力することにより書面を作成することができる」とは、当該電子メール等の本文又は当該電子メール等に添付されたファイルについて、紙による出力が可能であることを指しますが、これは事業主が送信した労働条件の明示に係る事項の全文が出力されることが必要です。また、労働条件の明示を巡る紛争の未然防止及び書類管理の徹底の観点から、労働条件通知書に記入し、電子メール等に添付し送信する等、可能な限り紛争を防止しつつ、書類の管理がしやすい方法とすることが望ましいです。
なお、これらの方法による場合を短時間・有期雇用労働者が希望した場合に限定した趣旨は、これらの方法が文書の交付に比べて簡便な側面がある一方で、誤送信等のリスクも高く、労働条件が不明確なことによる紛争を未然に防止するという労働条件の明示の趣旨に反する可能性があるためです。
この「希望した場合」とは、短時間・有期雇用労働者が事業主に対し、口頭で希望する旨を伝達した場合を含むと解されますが、事業主から電子メール等の送信等による方法もあることを提示して、短時間・有期雇用労働者がそれを選択した場合も含まれます。ただし、言うまでもなく、選択を強制することになってはなりません。また、紛争の未然防止の観点からは、労使双方において、短時間・有期雇用労働者が希望したか否かについて個別に、かつ、明示的に確認することが望ましいです。

(6) 相談窓口
第16条に基づき相談のための体制として整備することとされているものをいいます。

(7)相談窓口の明示
「相談窓口」の明示は、担当者の氏名、担当者の役職又は担当部署等を示すこと等が具体例です。

(8)文書の交付等
「文書の交付等」の「等」とは、当該短時間・有期雇用労働者が希望した場合は、ファクシミリを利用してする送信、電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法第2条第1号に規定する電気通信をいう。以下「電子メール等」という。)の送信のいずれかの方法によることを含んでいます。
ただし、労働条件の明示の趣旨を鑑みると、事業主が短時間・有期雇用労働者に対し確実に労働条件を明示するとともに、その明示された事項を当該短時間・有期雇用労働者がいつでも確認することができるよう、当該短時間・有期雇用労働者が保管することのできる方法により明示する必要があることから、電子メール等の送信の方法による場合には、短時間・有期雇用労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができる場合に限られます(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第2条第3項)。
この場合、「出力することにより書面を作成することができる」とは、当該電子メール等の本文又は当該電子メール等に添付されたファイルについて、紙による出力が可能であることを指していますが、これは事業主が送信した労働条件の明示に係る事項の全文が出力されることが必要となります。また、労働条件の明示を巡る紛争の未然防止及び書類管理の徹底の観点から、労働条件通知書に記入し、電子メール等に添付し送信する等、可能な限り紛争を防止しつつ、書類の管理がしやすい方法とすることが望ましいです。
また、これらの方法による場合を短時間・有期雇用労働者が希望した場合に限定したのは、これらの方法が文書の交付に比べて簡便な側面がある一方で、誤送信等のリスクも高く、労働条件が不明確なことによる紛争を未然に防止するという労働条件の明示の趣旨に反する可能性があるためです。この「希望した場合」とは、短時間・有期雇用労働者が事業主に対し、口頭で希望する旨を伝達した場合を含むと解されますが、事業主から電子メール等の送信等による方法もあることを提示して、短時間・有期雇用労働者がそれを選択した場合も含まれます。ただし、選択を強制することになってはいけません。
いずれにせよ紛争の未然防止の観点からは、労使双方において、短時間・有期雇用労働者が希望したか否かについて個別に、かつ、明示的に確認することが望ましいです。

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第2条第3項
3 前項第一号の方法により行われた法第六条第一項に規定する特定事項(以下本項において「特定事項」という。)の明示は、当該短時間労働者の使用に係るファクシミリ装置により受信した時に、前項第二号の方法により行われた特定事項の明示は、当該短時間労働者の使用に係る通信端末機器により受信した時に、それぞれ当該短時間労働者に到達したものとみなす。

(9)電子メール
「電子メール」とは、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第2条第1号の電子メールと同様であり、特定の者に対し通信文その他の情報をその使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の影像面に表示させるようにすることにより伝達するための電気通信(有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう(電気通信事業法第2条第1号)。)であって、①その全部若しくは一部においてSMTP(シンプル・メール・トランスファープロトコル)が用いられる通信方式を用いるもの、又は②携帯して使用する通信端末機器に、電話番号を送受信のために用いて通信文その他の情報を伝達する通信方式を用いるものをいいます。
①にはパソコン・携帯電話端末によるEメールのほか、Yahoo!メールやGmailといったウェブメールサービスを利用したものが含まれ、②にはRCS(リッチ・コミュニケーション・サービス。+メッセージ(プラス・メッセージ)等、携帯電話同士で文字メッセージ等を送信できるサービスをいう。)や、SMS(ショート・メッセージ・サービス。携帯電話同士で短い文字メッセージを電話番号宛てに送信できるサービスをいう。)が含まれます。
「その受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信」とは、具体的には、LINEやFacebook等のSNSソーシャル・ネットワーク・サービス)メッセージ機能等を利用した電気通信が該当します。なお、上記②の例えばRCSやSMSについては、PDF等の添付ファイルを送付することができないことや、送信できる文字メッセージ数に制限等があること、また、原則である書面作成が念頭に置かれていないサービスであることから、労働条件明示の手段としては例外的なものであり、原則として上記①の方法やSNSメッセージ機能等による送信の方法とすることが望ましいと考えられます。短時間・有期雇用労働者が開設しているブログ、ホームページ等への書き込みや、SNSの短時間・有期雇用労働者のマイページにコメントを書き込む行為等、特定の個人がその入力する情報を電気通信を利用して第三者に閲覧させることに付随して、第三者が特定個人に対し情報を伝達することができる機能が提供されるものについては、「その受信する者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信」には含まれないことに注意してください。
上記のサービスによっては、情報の保存期間が一定期間に限られている場合があることから、短時間・有期雇用労働者が内容を確認しようと考えた際に情報の閲覧ができない可能性があるため、事業主が短時間・有期雇用労働者に対して、短時間・有期雇用労働者自身で出力による書面の作成等により情報を保存するように伝えることが望ましいです。

(10)ファクシミリ
ファクシミリを利用してする送信の方法により行われた明示は、短時間・有期雇用労働者が使用するファクシミリ装置により受信した時に、電子メール等の送信の方法により行われた明示は、短時間・有期雇用労働者が使用する通信端末機器等により受信した時に、それぞれ当該短時間・有期雇用労働者に到達したものとみなされます(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第2条第4項)。この場合の「通信端末機器」には、パソコンのほか、携帯電話等も含まれますが、基本的に、POPサーバーや携帯電話会社のメールセンター等、事業主と短時間・有期雇用労働者の間で行われる電気通信の途中に介在する場所に到達しただけではこの要件を満たしません。ただし、Yahoo!メールやGmailといったウェブメールサービス、SNSメッセージ機能等を利用した電気通信など、必ずしも通信端末機器に到達しない方法による場合には、受信履歴等から電子メール等の送信が行われたことを受信者が通常であれば認識しうる状態となった時に到達したものとみなされます。なお、ファクシミリ装置及び電子メール等に係る通信端末機器は、短時間・有期雇用労働者が所有しているものに加え、短時間・有期雇用労働者以外の者が所有しているものも、短時間・有期雇用労働者がその利用を希望している場合には含まれます。
また、事業主はファクシミリを利用してする送信の方法又は電子メール等の送信の方法により明示を行う場合には、短時間・有期雇用労働者との間で明示がなされたかどうか争いが起こることを避けるため、後日、短時間・有期雇用労働者に受信したかどうかを確認しなければなりません。短時間・有期雇用労働者が電子メール等を受信した後に電子メール等を返信させること等によりその到達状況を確認しておくことが望ましいです。

(11)特定事項の明示
第6条第2項は、特定事項を明示するときは、労働条件に関する事項のうち特定事項及び労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外の事項についても文書の交付等により明示するよう努めるものとされています。

(12)主な明示すべき事項
第6条第2項により明示するよう努めるべき事項のうち、主要なものとしては、以下のような事項が挙げられます。
① 昇給(特定事項を除く。)
② 退職手当(特定事項を除く。)、臨時に支払われる賃金、賞与(特定事項を除く。)、1か月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当、1か月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当及び1か月を超える期間にわたる事由によって算定される奨励加給又は能率手当
③ 所定労働日以外の日の労働の有無
④ 所定労働時間を超えて、又は所定労働日以外の日に労働させる程度
➄ 安全及び衛生
⑥ 教育訓練
⑦ 休職

(13)労働基準法第15条第1項に基づく明示との関係等
労働基準法第15条第1項に基づく明示については、「労働契約の締結に際し」履行することが求められている一方、第6条に基づく明示については、「短時間・有期雇用労働者を雇い入れたとき」が履行時点でありますが、第6条に基づく明示については、労働基準法第15条第1項に基づく明示の履行に併せて行うことによっても、履行したものとなります。また、第6条に基づく明示事項が、労働基準法第15条第1項に基づく明示により、又は就業規則を交付することにより明らかにされている場合には、当該措置で代用できます。
有期雇用労働者が更新をするときは、労働契約の更新をもって「雇い入れる」こととなるため、その都度第6条の明示が必要となります。

3.2 就業規則の作成の手続(第7条)

就業規則の作成の手続)
第七条 事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。
2 前項の規定は、事業主が有期雇用労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとする場合について準用する。この場合において、「短時間労働者」とあるのは、「有期雇用労働者」と読み替えるものとする。

(1)就業規則の作成・変更
短時間・有期雇用労働者を含め常時10人以上の労働者を使用する使用者は、労働基準法第89条の定めるところにより、就業規則を作成する義務がありますが、その作成又は変更に当たっては、同法第90条において、使用者は事業場の労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければならないこととされています。短時間労働者又は有期雇用労働者に適用される就業規則についてもこの手続がとられなければならないことはもちろんですが、短時間労働者又は有期雇用労働者に適用される就業規則の作成又は変更に当たっては、これに加えて、就業規則の適用を受ける短時間労働者又は有期雇用労働者の意見が反映されることが望ましいです。
そのため、事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとし、また、有期雇用労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときも同様に、当該事業所において雇用する有期雇用労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとされています。

(2)短時間労働者の過半数代表者
「短時間労働者の過半数を代表すると認められるもの」は、事業所の短時間労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は短時間労働者の過半数を代表する者が考えられます。
この場合の過半数代表者の適格性としては、次の全てに該当する必要があります。
① 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
② 就業規則の作成又は変更に係る意見を事業主から聴取される者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものではないこと。

(3)過半数代表者の選出方法
(2)②の選出方法については、(1)その者が短時間労働者の過半数を代表することの適否について判断する機会が当該事業所の短時間労働者に与えられており、すなわち、使用者の指名などその意向に沿って選出するようなものであってはならず、かつ、(2)当該事業所の過半数の短時間労働者がその者を支持していると認められる民主的な手続がとられていること、すなわち、短時間労働者の投票、挙手等の方法により選出されること等が考えられます。
なお、短時間労働者の意見の聴取は要請されていますが、就業規則労働基準監督署に届け出る際に意見書の添付を義務付けるもものではありません。

(4)その他
(2)及び(3)については、有期雇用労働者についても同様です。

3.3 不合理な待遇の禁止(第8条)

(不合理な待遇の禁止)
第八条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

(1)第8条の趣旨
有期雇用労働者については、平成25年の労働契約法の改正により、無期雇用労働者と比較して、雇止めの不安があることによって合理的な労働条件の決定が行われにくいことや、待遇に対する不満が多く指摘されていることを踏まえ、整備法による改正前の労働契約法第20条において、無期雇用労働者との間の労働条件の相違は、不合理と認められるものであってはならないこととされました。
また、短時間労働者については、短時間労働者の働き方が一層多様化してきている中で、依然として、その待遇が必ずしも働きや貢献に見合ったものとなっていない場合もあること、また上記の労働契約法の改正により、いわゆる均衡待遇規定が設けられたこと等を踏まえ、整備法による改正前の労働契約法第20条の規定にならい、平成26年の改正により、整備法による改正前の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第8条において、短時間労働者と通常の労働者との間の待遇の相違は、不合理と認められるものであってはならないことされました。
こうして、いわゆる均衡待遇規定が整備されてきましたが、待遇の相違が不合理と認められるか否かの解釈の幅が大きく、労使の当事者にとって予見可能性が高いとは言えない状況にあったことから、第8条において、待遇差が不合理と認められるか否かの判断は、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる考慮要素で判断されるべき旨を明確化したものです。
また、有期雇用労働者を法の対象とすることとしたことに伴い、労働契約法第20条は削除されます。

(2)「不合理と認められる相違」の意味
第8条は、事業主が、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けることを禁止したものです。
したがって、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で待遇の相違があれば直ちに不合理とされるものではなく、当該待遇の相違が法第8条に列挙されている要素のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、不合理と認められるかどうかが判断されることになります。
また、第8条の不合理性の判断の対象となる待遇の「相違」は、「短時間・有期雇用労働者であることに関連して生じた待遇の相違」を意味します。この法律は短時間・有期雇用労働者について通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ろうとするものですので、第8条の不合理性の判断の対象となる待遇の相違は、「短時間・有期雇用労働者であることに関連して生じた」待遇の相違であることが自明なため、条文上明記はされていません。

(3)禁止される「不合理と認められる待遇の相違」の範囲
第8条は、事業主が、短時間・有期雇用労働者と同一の事業所に雇用される通常の労働者や職務の内容が同一の通常の労働者との間だけでなく、その雇用する全ての通常の労働者との間で、不合理と認められる待遇の相違を設けることを禁止するものです。

(4)異同の判断方法
短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との「職務の内容」及び「職務の内容及び配置の変更の範囲」の異同の判断は、第11.4.2②及び③に従い行われます。

(5)「その他の事情」の趣旨
「その他の事情」については、職務の内容並びに職務の内容及び配置の変更の範囲に関連する事情に限定されるものではありません。
具体例としては、職務の成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、事業主と労働組合との間の交渉といった労使交渉の経緯などの諸事情が「その他の事情」として想定されるものであり、考慮すべきその他の事情があるときには考慮されます。
また、ガイドラインにおいて「有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることは、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かを判断するに当たり、短時間・有期雇用労働法第8条のその他の事情として考慮される事情に当たりうる。定年に達した後に有期雇用労働者として継続雇用する場合の待遇について、様々な事情が総合的に考慮されて、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かが判断されるものと考えられる。したがって、当該有期雇用労働者が定年に達した後に継続雇用された者であることのみをもって、直ちに通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理ではないと認められるものではない」とされていることには注意が必要です。
さらに、第14条第2項に基づく待遇の相違の内容及びその理由に関する説明については労使交渉の前提となりうるものであり、事業主が十分な説明をせず、その後の労使交渉においても十分な話し合いがなされず、労使間で紛争となる場合があると考えられます。「その他の事情」に労使交渉の経緯が含まれると解されることを考えると、このように待遇の相違の内容等について十分な説明をしなかったと認められる場合には、その事実も「その他の事情」に含まれ、不合理性を基礎付ける事情として考慮されうると考えられます。

(6)「待遇」の意味
「待遇」には、基本的に、全ての賃金、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等の全ての待遇が含まれます。
一方、短時間・有期雇用労働者を定義付けるものである労働時間及び労働契約の期間については、ここにいう「待遇」に含まれません。なお、事業主ではなく、労使が運営する共済会等が実施しているものは、対象となりません。

(7)第8条の効果
第8条は、(1)のとおり、整備法による改正前の労働契約法第20条を統合しつつ、その明確化を図った規定です。第8条については、私法上の効力を有する規定であり、短時間・有期雇用労働者に係る労働契約のうち、同条に違反する待遇の相違を設ける部分は無効となり、故意・過失による権利侵害、すなわち不法行為として損害賠償が認められ得ると解されます。
なお、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との待遇の相違が第8条に違反する場合であっても、同条の効力により、直ちに当該短時間・有期雇用労働者の待遇が比較の対象である通常の労働者の待遇と同一のものとなるものではありません。ただし、個々の事案に応じては、就業規則の合理的な解釈により、就業規則の直律的効力が生じて、通常の労働者の待遇と同一の待遇が認められる場合もあり得ます。

(8)司法における挙証責任
第8条に基づき民事訴訟が提起された場合の裁判上の主張立証については、待遇の相違が不合理であるとの評価を基礎付ける事実については短時間・有期雇用労働者が、当該相違が不合理であるとの評価を妨げる事実については事業主が主張立証責任を負うものと解され、同条の司法上の判断は、短時間・有期雇用労働者及び事業主双方が主張立証を尽くした結果が総体としてなされるものであり、立証の負担が短時間・有期雇用労働者側に一方的に負わされることにはならないと解されます。
※これはあくまでも行政解釈ですので、司法では解釈されるかは現時点では不明です。

(9)ガイドライン
ガイドラインは、第8条及び第9条等に定める事項に関し、雇用形態又は就業形態に関わらない公正な待遇を確保し、我が国が目指す同一労働同一賃金の実現に向けて定められるものです。我が国が目指す同一労働同一賃金は、同一の事業主に雇用される通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の不合理と認められる待遇の相違及び差別的取扱いの解消等を目指すものです。
また、ガイドラインは、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に待遇の相違が存在する場合に、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものであり、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものでないのか等の原則となる考え方及び具体例を示したものです。事業主が、この原則となる考え方等に反した場合、当該待遇の相違が不合理と認められる等の可能性があります。
なお、ガイドラインに原則となる考え方が示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められます。このため、各事業主において、労使により、個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望ましいです。
なお、ガイドライン第3の1(注)1において、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間に賃金の決定基準・ルールの相違がある場合の考え方が記載されていますが、この考え方は基本給に限られたものではありませんが、賃金の決定基準・ルールが異なるのは、基本的に、基本給に関する場合が多いと考えられることから、ガイドライン第3の1において規定されているものです。

(10)短時間・有期雇用者である派遣労働者
短時間・有期雇用労働者である派遣労働者については、この法律及び労働者派遣法の両方が適用されます。このため、基本的に、この法律において、派遣元事業主に雇用される通常の労働者との間の待遇の相違が問題になるとともに、労働者派遣法において、派遣先に雇用される通常の労働者との間の待遇の相違(協定対象派遣労働者(労働者派遣法第30条の5に規定する協定対象派遣労働者をいう。以下同じ。)にあっては、労働者派遣法第30条の4第1項の協定が同項に定められた要件を満たすものであること及び当該協定に沿った運用がなされていることの有無をいう。以下同じ。)が問題となります。
このことから、短時間・有期雇用労働者である派遣労働者の待遇については、職務の内容に密接に関連する待遇を除き、短時間・有期雇用労働者である派遣労働者と派遣元事業主に雇用される通常の労働者及び派遣先に雇用される通常の労働者との間の待遇の相違が問題になると考えられます。一般に、ガイドライン第3の3(7)及び第4の3(7)の通勤手当及び出張旅費、ガイドライン第3の3(8)及び第4の3(8)の食事手当、ガイドライン第3の3(9)及び第4の3(9)の単身赴任手当、ガイドライン第3の4及び第4の4並びに第5の2の福利厚生(ガイドライン第3の4(1)及び第4の4(1)並びに第5の2(1)の福利厚生施設を除く。)については、職務の内容に密接に関連するものに当たらないと考えられます。
一方で、職務の内容に密接に関連する待遇については、派遣労働者が派遣先の指揮命令の下において派遣先の業務に従事するという労働者派遣の性質から、特段の事情がない限り、派遣元事業主に雇用される通常の労働者との待遇の相違は、実質的に問題となりません。職務の内容に密接に関連する待遇に当たるか否かは、個々の待遇の実態に応じて判断されるものですが、例えば、ガイドライン第3の1及び第4の1の基本給、ガイドライン第3の2及び第4の2の賞与、ガイドライン第3の3(1)及び第4の3(1)の役職手当、ガイドライン第3の3(2)及び第4の3(2)の特殊作業手当、ガイドライン第3の3(4)及び第4の3(4)の精皆勤手当、ガイドライン第3の3(5)及び第4の3(5)の時間外労働手当、ガイドライン第3の3(6)及び第4の3(6)の深夜労働手当及び休日労働手当、ガイドライン第3の5(1)、第4の5(1)及び第5の3(1)の教育訓練、ガイドライン第3の5(2)、第4の5(2)及び第5の3(2)の安全管理に関する措置及び給付については、一般に、職務の内容に密接に関連するものと考えられます。
なお、これらの点については、協定対象派遣労働者であるか否かによって異なるものではないと考えられます。
ただし、職務の内容に密接に関連する待遇であっても、派遣先に雇用される通常の労働者との均等・均衡とは異なる観点から、短時間・有期雇用労働者ではない派遣労働者に対して、短時間・有期雇用労働者である派遣労働者よりも高い水準の待遇としている場合には、短時間・有期雇用労働者ではない派遣労働者と短時間・有期雇用労働者である派遣労働者との間の待遇の相違について、法において問題となることがあると考えられます。
また、職務の内容に密接に関連する待遇以外の待遇であっても、短時間・有期雇用労働者である派遣労働者と短時間・有期雇用労働者でない派遣労働者が異なる派遣先に派遣されている場合において、待遇を比較すべき派遣先に雇用される通常の労働者が異なることにより待遇に相違がある場合には、当該待遇の相違は、この法律において問題になるものではないと考えられます。

3.4 通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止(第9条)

(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
第九条 事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

(1)第9条による差別的取扱いの禁止
短時間・有期雇用労働者の職務の内容や職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)といった就業の実態が通常の労働者と同様であるにもかかわらず賃金などの取扱いが異なるなど、短時間・有期雇用労働者の待遇は就業の実態に見合った公正なものとなっていない場合があります。就業の実態が通常の労働者と同じ短時間・有期雇用労働者については、全ての待遇について通常の労働者と同じ取扱いがなされるべきですので、第9条において、そのような場合の差別的取扱いの禁止が規定されたものです。

(2)「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」の意味
第9条は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(以下「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならないものとしています。

(3)第9条の判断基準
第9条の判断に当たっては、具体的には、以下の①及び②の事項について、(4)から(9)までにより行うこととなります。
① 職務の内容が通常の労働者と同一であること。
② 職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)が、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、通常の労働者と同一であること。

(4)職務の内容が通常の労働者と同一とは
(3)①の「職務の内容が通常の労働者と同一であること」とは、その業務の内容や当該業務に伴う責任の程度が同一であるかを判断することとなります。その判断に当たっては、第1の4.2②に従い行います。

(5)職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)が同一とは
(3)②の「職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)」が、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、通常の労働者と同一であること」とは、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものであることであり、職務の内容や配置が将来にわたって通常の労働者と同じように変化するかについて判断することになります。これは、我が国における雇用管理が長期的な人材育成を前提になされていることが多い現状に鑑み、差別的取扱いの禁止の規定の適用に当たっては、ある一時点において短時間・有期雇用労働者と通常の労働者が従事する職務が同じかどうかだけでなく、長期的な人材活用の仕組み、運用等についてもその同一性を判断する必要があるためです。
具体的には、第1章1.4.2(6)③で示したとおり同一であるかどうかを判断するものです。

(6)「当該事業所における慣行」の意味
「当該事業所における慣行」とは、当該事業所において繰り返し行われることによって定着している人事異動等の態様を指すものであり、「その他の事情」とは、例えば人事規程等により明文化されたものや当該企業において、当該事業所以外に複数事業所がある場合の他の事業所における慣行等が含まれます。
なお、ここでいう「その他の事情」とは、職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)を判断するに当たって、当該事業所における「慣行」と同じと考えられるべきものを指すものであり、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者の待遇の相違の不合理性を判断する考慮要素としての第8条の「その他の事情」とは異なるものです。

(7)「当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間」の意味
「当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間」とは、当該短時間・有期雇用労働者が通常の労働者と職務の内容が同一となり、かつ、職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)が通常の労働者と同一となってから雇用関係が終了するまでの間を意味します。すなわち、事業主に雇い入れられた後、上記要件を満たすまでの間に通常の労働者と職務の内容が異なり、また、職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)が通常の労働者と異なっていた期間があっても、その期間まで「全期間」に含めるものではなく、同一となった時点から将来に向かって判断されることになります。

(8)「見込まれる」の意味
「見込まれる」とは、将来の見込みも含まれます。したがって、有期雇用労働者の場合にあっては、労働契約が更新されることが未定の段階であっても、更新をした場合にはどのような扱いがされるかということを含めて判断されます。

(9)第9条と査定・業績評価との関係
第9条の要件を満たした場合については、事業主は短時間・有期雇用労働者であることを理由として、全ての賃金、教育訓練、福利厚生施設、休憩、休日、休暇、安全衛生、災害補償、解雇等の全ての待遇(労働時間及び労働契約の期間を除く。)について差別的取扱いをしてはなりません。
この場合、待遇の取扱いが同じであっても、個々の労働者について査定や業績評価等を行うに当たり、意欲、能力、経験、成果等を勘案することにより個々の労働者の賃金水準が異なることは、通常の労働者間であっても生じうることであって問題とはなりませんが、当然、当該査定や業績評価は客観的かつ公正に行われる必要があります。また、労働時間が短いことに比例した取扱いの差異として、査定や業績評価が同じである場合であっても賃金が時間比例分少ないといった合理的な差異は許容されることは、言うまでもありません。
なお、経営上の理由により解雇等の対象者の選定をする際は、通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者については、労働時間が短いことのみをもって通常の労働者より先に短時間労働者の解雇等をすることや、労働契約に期間の定めのあることのみをもって通常の労働者よりも先に有期雇用労働者の解雇等をすることは、解雇等の対象者の選定基準において差別的取扱いがなされていることとなり、第9条違反となります。

3.5 賃金(第10条)

(賃金)
第十条 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。次条第二項及び第十二条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。

(1)第10条の対象となる短時間・有期雇用労働者
第10条については、第9条の対象となる短時間・有期雇用労働者以外の全ての短時間・有期雇用労働者が対象となります。(※第9条の対象となる短時間・有期雇用労働者の賃金は第9条の待遇に含まれます。
これは、短時間・有期雇用労働者が勤続年数を重ねてもほとんど賃金に反映されないことや昇給が最低賃金の改定に応じて決定されるなど、働きや貢献とは関係のない要素で賃金が決定されることが多いことから、職務の内容、成果等に応じて短時間・有期雇用労働者の賃金を決定するよう努めることされたものです。
ただし、通勤手当、家族手当、住宅手当、別居手当、子女教育手当その他名称の如何を問わず支払われる賃金(いずれも職務の内容に密接に関連して支払われるものを除く。)については、本条の対象外となります。(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第3条)

【短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則】
(法第十条の厚生労働省令で定める賃金)
第三条 法第十条の厚生労働省令で定める賃金は、次に掲げるものとする。
通勤手当(職務の内容(法第八条に規定する職務の内容をいう。以下同じ。)に密接に関連して支払われるものを除く。)
二 退職手当
三 家族手当
四 住宅手当
五 別居手当
六 子女教育手当
七 前各号に掲げるもののほか、名称の如何を問わず支払われる賃金のうち職務の内容に密接に関連して支払われるもの以外のもの

なお、手当について職務の内容に密接に関連して支払われるものに該当するか、名称のみならず、支払い方法、支払いの基準等の実態を見て判断されます。
例えば、通勤手当について、現実に通勤に要する交通費等の費用の有無や金額如何にかかわらず、一律の金額が支払われている場合など、名称は「通勤手当」であるが、実態として基本給などの一部として支払われているものや、家族手当について、名称は「家族手当」であるが、家族の有無にかかわらず、一律に支払われているものについては、職務の内容に密接に関連して支払われるものに該当する可能性があります。

(2)「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し」の意味
短時間・有期雇用労働者の「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し」とは、短時間・有期雇用労働者の働きや貢献に見合った賃金決定がなされるよう、働きや貢献を評価する要素である職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験を勘案要素の例示として挙げられたものです。勘案要素のうち、どの要素によることとするかは各企業の判断に委ねられますが、その勘案については、第14条第2項による説明を求められることを念頭に、どの要素によることとしたのか、また、その要素をどのように勘案しているのかについて客観的かつ具体的な説明ができるようにする必要があります。
「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項」を勘案した措置の例としては、職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を踏まえた①賃金水準の見直し、②昇給・昇格制度や成績等の考課制度の整備、③職務手当、役職手当、成果手当の支給等が考えられます。例えば、職務の内容を勘案する場合、責任の重さや業務の困難度で賃金等級に差を設けることなどが考えられるが、本条の趣旨は、この措置の結果として短時間・有期雇用労働者の集団の中で賃金の差を生じさせることにあるのではなく、職務の内容、職務の成果等を適切に賃金に反映させることにより、結果として通常の労働者の待遇との均衡を図っていくことにある点に注意が必要です。
なお、「その他の就業の実態に関する事項」としては、例えば、勤続年数が考えられます。

(3)「通常の労働者との均衡を考慮しつつ」の意味
「通常の労働者との均衡を考慮しつつ」とは、短時間・有期雇用労働者と職務の内容が同一である通常の労働者だけでなく、職務の内容が異なる通常の労働者との均衡も考慮することを意味しています。具体的には、通常の労働者の賃金決定に当たっての勘案要素を踏まえ、例えば職務の内容が同一の通常の労働者の賃金が経験に応じて上昇する決定方法となっているならば、短時間・有期雇用労働者についても経験を考慮して賃金決定を行うこととする等、「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項」に応じた待遇に係る措置等を講ずる必要があります。

(4)第10条の措置を講ずる時期
第10条の措置を講ずる時期については、通常の労働者の定期昇給や賃金表の改定に合わせて実施すること等が考えられますが、例えば、期間の定めのある労働契約を締結している場合においては、当該契約を改定する際又は更新する際に、あわせて賃金の決定方法について均衡を考慮したものとなるよう見直すことも考えられます。

3.6 教育訓練(第11条)

(教育訓練)
第十一条 事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。以下この項において同じ。)が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間・有期雇用労働者に対しても、これを実施しなければならない。
2 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験その他の就業の実態に関する事項に応じ、当該短時間・有期雇用労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。

(1)第11条第1項の趣旨
第11条第1項は、職務の内容が通常の労働者と同じ短時間・有期雇用労働者について、事業主が通常の労働者に対して職務の遂行に必要な能力を身に付けさせるための教育訓練を実施している場合には、既にそのような能力を有している場合を除き、当該短時間・有期雇用労働者に対しても実施されなければならないものであることを定めています。
これは、短時間・有期雇用労働者の職務の内容が通常の労働者と同じである場合は、短時間・有期雇用労働者に対しても職務の遂行に必要な能力を身に付けさせるための教育訓練を実施することは当然であることから、そのような場合の事業主の教育訓練の実施義務が定められています。

(2)「既に当該職務に必要な能力を有している場合」の意味
「既に当該職務に必要な能力を有している場合」とは、短時間・有期雇用労働者が以前同業他社に勤務し、当該教育訓練と同様の内容の教育訓練を受講している場合など職務の遂行に必要な知識や技術を身に付けている場合を指しています。
なお、本条の規定は、他の法律において、教育訓練等を受講することが義務付けられている場合についてまで、その義務を免除する趣旨ではありません。
また、教育訓練を実施する場合には、短時間・有期雇用労働者の勤務時間帯など短時間・有期雇用労働者側の事情も考慮して実施する必要があります。

(3)第11条第2項の趣旨
第11条第2項は、当然の措置を求めている第1項の規定に加えて、事業主は、職務の遂行に必要な能力を身に付けさせるための教育訓練以外の教育訓練及び職務の内容が通常の労働者と異なる短時間・有期雇用労働者に対する職務の遂行に必要な能力を身に付けさせるための教育訓練についても、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験その他の就業の実態に関する事項に応じて、短時間・有期雇用労働者に対して実施するよう努める必要があることが定められています。
これは、労働力人口が減少する中で、我が国の経済の活力を維持するためには、短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することが重要であるところ、短時間・有期雇用労働者がキャリアアップするための企業内での教育訓練の機会が乏しく、通常の労働者との待遇の格差の原因となっている現状を改善するため、短時間・有期雇用労働者に対しても積極的な教育訓練の実施を求める趣旨です。したがって、この教育訓練は、事業主が中長期的な視点から行うキャリアアップのための教育訓練などを指すものですが、幹部候補生の養成のために実施するような、長期の研修や海外留学等の実施までを求める趣旨はありません。なお、企業内における中長期的な人材育成システムからは外れがちである短時間・有期雇用労働者についても、その職務の内容、職務の成果等に応じた教育訓練を行い、活用を図っていくことは、言うまでもなく企業においてもメリットがあります。
なお、「通常の労働者との均衡を考慮しつつ」とは、第10条の場合と同様、短時間・有期雇用労働者と職務の内容が同一である通常の労働者及び職務の内容が異なる通常の労働者の双方との均衡を考慮することになります。

(4)その他
教育訓練の実施に当たって、通常の労働者との均衡を考慮した結果、実施内容やカリキュラム等が異なることもあり得ます。

3.7 福利厚生施設(第12条)

(福利厚生施設)
第十二条 事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならない。

(1)第12条の趣旨
事業主が実施する福利厚生の内容は多様でありますが、職務の遂行に関連の深い福利厚生施設の利用については、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で差を設けるべきではありません。このため、第12条は、事業主が、健康を保って働くための施設や業務を円滑に遂行するための施設である給食施設、休憩室及び更衣室(以下「3施設」という。)について通常の労働者に対して利用の機会を与える場合に、短時間・有期雇用労働者に対しても利用の機会を与えなければならないことを明らかにしたものです。
第12条における「通常の労働者」には、基本的に事業所における全ての通常の労働者が含まれることから、短時間・有期雇用労働者と職務の内容が同一の通常の労働者のみならず、職務の内容が異なる通常の労働者との関係も考慮する必要があります。
ただし、短時間・有期雇用労働者の従事する業務には更衣室が必要でなく、当該業務に従事している通常の労働者も同様の実態にある場合には、他の業務に従事している通常の労働者が更衣室を利用しているからといって当該短時間・有期雇用労働者に更衣室の利用の機会を与える必要はないのは言うまでもありません。

(2)「利用の機会を与えなければならない」の意味
「利用の機会を与えなければならない」とは、施設の定員の関係等でその雇用する労働者全員が施設を利用できないような場合に、増築等により結果として労働者全員が利用できるようにすることまでは求められていませんが、通常の労働者と同じ利用規程を適用したり、利用時間帯に幅を設けたりすること等により、全ての短時間・有期雇用労働者に対して、通常の労働者と同様に利用する権利が確保される措置が求められます。すなわち、施設の定員の関係等で利用が制限されている場合においても、定員を理由としてその利用を通常の労働者に限定することは本条に違反することになります。
ただし、短時間・有期雇用労働者が雇用される事業所には給食施設がなく、当該事業所に雇用される通常の労働者にも給食施設の利用の機会が付与されていない場合には、給食施設がある他の事業所に雇用される通常の労働者にはその利用の機会が付与されているからといって、当該短時間・有期雇用労働者に給食施設の利用の機会を与える必要はないことは言うまでもありません。

(3)その他
本条の対象となる3施設の運営を、事業主ではなく、労使が運営する共済会等が実施している場合には、本条により事業主が講じなければならない措置の対象外となります。ただし、共済会で運営している場合でも、会員からの出資がなく、運営について事業主の負担で運営されている場合には本条の対象となります。

3.8 高年齢者雇用確保措置の適用との関係

高年齢者の継続雇用制度の導入等が行われる事業主において、当該制度の対象となる高年齢者が短時間・有期雇用労働者である場合に第9条の適用関係が問題となります。
継続雇用制度が講じられた事業主においては、再雇用等により定年年齢を境として、短時間・有期雇用労働者となった場合、職務の内容が比較対象となる通常の労働者と同一であったとしても、職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)が異なっている等の実態があれば、第9条の要件に該当しませんが、第8条の対象となることに注意が必要です。
また、定年の引上げ等により、60歳を超えた定年の定めを行っている事業主においては、短時間・有期雇用労働者とならない高年齢者についてはこの法律の適用はありませんが、短時間・有期雇用労働者となる場合には、職務の内容が比較対象となる通常の労働者と同一であり、特段職務の内容及び配置の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)も異ならないのであれば、第8条の対象となるだけでなく、第9条の要件に該当することになります。
なお、第10条から第12条までに規定する措置については、それぞれの規定の適用要件に応じて講じる必要があります。

3.9 通常の労働者への転換(第13条)

(通常の労働者への転換)
十三条 事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間・有期雇用労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。
一 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に周知すること。
二 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に対して与えること。
三 一定の資格を有する短時間・有期雇用労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

(1)第13条の趣旨
短時間・有期雇用労働者の中には、通常の労働者として働くことを希望していても、その雇用の機会がないためにやむを得ず短時間・有期雇用労働者として働いている者もいるほか、現状では一度短時間・有期雇用労働者になると通常の労働者としての就業に移ることが困難な状況となります。そのような状況は、労働者個人の働く意欲の維持、キャリア形成の観点から問題であるだけでなく、社会の活力・公正の観点からみても問題であるため、第13条は、通常の労働者への転換を推進する措置を事業主に義務付けたものです。
本条の「通常の労働者への転換」については、短時間・有期雇用労働者の中には、他の事業所における通常の労働者への転換を希望しない者も少なくないと考えられることから、短時間・有期雇用労働者が雇用される事業所において通常の労働者として雇い入れられることを意味します(第3条第1項)。したがって、(2)以下で解説する措置は、当該事業所における通常の労働者への転換を推進する措置であることが求められます。ただし、短時間・有期雇用労働者の通常の労働者としてのキャリア形成を支援する等の観点から、他の事業所における通常の労働者への転換を推進する措置を併せて実施することは望ましいです。

(2)「措置」の意味
本条の措置としては、短時間・有期雇用労働者から通常の労働者への転換を直接図ることが可能となる措置が望ましいことは言うまでもありませんが、例えば、短時間労働者から有期雇用フルタイム労働者など、通常の労働者以外のフルタイム労働者への転換制度を設け、さらに有期雇用労働者には通常の労働者への転換制度が設けられているような、複数の措置の組み合わせにより通常の労働者への転換の道が確保されている場合も本条の義務の履行となります。
なお、本条は、多様な雇用形態間の移動の障壁を除去する政策をとるものであることから、当該事業所においていわゆる正規型の労働者と正規型以外の無期雇用フルタイム労働者が通常の労働者として存在する場合に、事業主が講ずる措置が正規型以外の無期雇用フルタイム労働者への転換を推進するものにとどまる場合は、雇用形態間の障壁が残ることになることから、本条の義務の履行とはいえません。
他方、勤務地、職務内容又は勤務時間が限定され、ライフスタイル等に応じた働き方が可能ないわゆる「多様な正社員」については、一般的に、時間や配置転換等の制約が比較的大きい短時間・有期雇用労働者であっても就業しやすい形態であることから、多様な正社員への転換を推進する措置が講じられている場合には、本条の義務の履行となります。

(3)「措置」の具体的な例
具体的には以下に例示された措置のいずれかを講ずることが求められます。
① 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に関する事項を当該事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に周知すること。
② 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間・有期雇用労働者に対して与えること。
③ 一定の資格を有する短時間・有期雇用労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けること。
④ ①から③までに掲げるもののほか、通常の労働者として必要な能力を取得するための教育訓練を受ける機会を確保するための必要な援助を行う等、通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

(4)第1号の「周知すること」意味
(3)①は、事業主は、通常の労働者を募集しようとするときに、企業外からの募集と併せて、その雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても募集情報を周知することにより、通常の労働者への応募の機会を付与する趣旨です。最終的に採用するかどうかは、公正な採用選考である限り事業主の判断に委ねられますが、周知したのみで、応募を受け付けないなど実際に応募の機会を付与しない場合は、本条を満たしたものとはなりません。「その他の当該募集に係る事項」とは、求人者が求人の申込みに当たり明示することとされている労働契約期間や就業の場所等の事項を指しています。例えば、事業主は公共職業安定所に求人票を出す場合、併せてその募集案内を社内掲示板に掲示することにより、当該事業所で雇用する短時間・有期雇用労働者にも応募の機会を与えることなどが考えられます。また、周知の方法としては、事業所内の短時間・有期雇用労働者が通常目にすることができる場所に設置されている掲示板への掲示のほか、回覧による方法や電子メールによる一斉送信等が考えられますが、募集期間終了までに希望者が見ることのできる状態にあることが必要です。また、募集する求人の業務内容が専門的資格を必要とするものであって当該事業所に有資格である短時間・有期雇用労働者が存在しないことが明らかである場合については、募集に係る事項を周知しなくても、本条違反とはなりません(そのような事情がなければ周知することとされていることが前提です。)。
なお、他の企業で実績を有する者等をヘッドハンティングする場合など、個人的資質に着目して特定の個人を通常の労働者として採用する場合は、(3)①の「通常の労働者の募集を行う場合」には該当しません。

(5)第2号の「配置の希望を申し出る機会」の意味
(3)②は、企業外に通常の労働者に係る募集を出す前に、企業内の短時間・有期雇用労働者に配置の希望を申し出る機会を与えるものであり、いわゆる優先的な応募機会を付与することをいいます。
また、社内から通常の労働者のポストへの応募を積極的に受け付ける「社内公募」制度のようなものも(3)②に該当します。
なお、この優先的な応募機会の付与は、優先的な採用まで義務付けるものではありません。

(6)第1号・第2号についてその他
(3)①及び②については、通常の労働者の募集の必要がないときにまで募集を行うことを求めるものではありませんが、(10)にあるとおり、そのような措置を講ずる予定であるとしてあらかじめ周知することが求められます。

(7)第3号の「一定の資格」の意味
(3)③は、その雇用する短時間・有期雇用労働者を通常の労働者へ登用するための制度として、一定の資格を有する短時間・有期雇用労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を事業所内に設けるものとする趣旨です。「一定の資格」としては、例えば勤続年数やその職務に必要な資格等が考えられます。ただし、当該「一定の資格」として著しく長い勤続期間を要することとするなど、当該事業所の雇用管理の実態から見ても制限的なものと考えられ、対象者がほとんど存在しないようなものは、(3)③の措置を行ったとは言えません。

(8)第3号の「措置」の例
(3)④は、通常の労働者への転換を推進するための措置としては、(3)①から③までに掲げる措置以外のものでも差し支えない旨を明らかにしたもので、一例として、通常の労働者として必要な能力を取得するための教育訓練を受ける機会を確保するための必要な援助を行うことが挙げられています。この「必要な援助」としては、自ら教育訓練プログラムを提供することのほか、他で提供される教育訓練プログラムの費用の経済的な援助や当該訓練に参加するための時間的な配慮を行うこと等も考えられます。

(9)第3号の「試験制度」の意味
本条の措置は、制度として行うことを求めているものであり、合理的な理由なく事業主の恣意により通常の労働者の募集情報を周知するときとしないときがあるような場合や、転換制度を規程にするなど客観的な制度とはせずに事業主の気に入った人物を通常の労働者に転換するような場合には、本条の義務の履行とはいえません。

(10)第3号についてその他
本条の趣旨を踏まえると、当該事業所において講じられている通常の労働者への転換を推進するための措置が短時間・有期雇用労働者に対して周知されていることが求められ、(3)①や②の措置のように、一定の機会が到来したときに初めて措置を講ずることとなるものについても、そのような措置を講ずる予定であるとしてあらかじめ周知することが求められます。

(11)第13条についての注意点
本条においては、通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずることが求められているのであって、その結果として短時間・有期雇用労働者を通常の労働者に転換することまで求められるものではありませんが、長期間にわたって通常の労働者に転換された実績がない場合については、転換を推進するための措置を講じたとはいえない可能性があり、周知のみで応募はしにくい環境になっているなど、措置が形骸化していないか注意する必要があります。

3.10 事業主が講ずる雇用管理の改善等の措置の内容等の説明(第14条)

(事業主が講ずる措置の内容等の説明)
第十四条 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、第八条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除く。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。
2 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。
3 事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(1)第14条の趣旨
短時間・有期雇用労働者は、通常の労働者に比べ労働時間や職務の内容が多様であり、その労働条件が不明確になりやすいことなどから、通常の労働者の待遇との違いを生じさせている理由がわからず、不満を抱く場合も少なくない状況にあります。また、そもそも事業主が短時間・有期雇用労働者についてどのような雇用管理の改善等の措置を講じているのかについて、短時間・有期雇用労働者が認識していない場合も多いと考えられ、こうしたことが、短時間・有期雇用労働者の不安や不満につながっていると考えられます。そこで、短時間・有期雇用労働者がその有する能力を十分に発揮するためには、このような状況を改善し、その納得性を高めることが有効であり、さらには、短時間・有期雇用労働者が通常の労働者との間の待遇の相違について納得できない場合に、まずは労使間での対話を行い、不合理な待遇差の是正につなげていくとともに、事業主しか持っていない情報のために、労働者が訴えを起こすことができないといったことがないようにすることが重要となります。このため、第6条の文書の交付等による労働条件の明示と併せて、事業主に対し、短時間・有期雇用労働者の雇入れ時に当該事業主が講ずる雇用管理の改善等の措置の内容について説明しなければならないこととするとともに、短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに待遇の決定に当たって考慮した事項について説明しなければならないこととされたものです。

(2)第14条第1項の趣旨
第14条第1項は、事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、第8条から第13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除く。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないことを定めています。
労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び法第6条第1項の特定事項については、労働基準法又はこの法律により、別途、文書等の交付等による明示が義務付けられていることから、本項による説明義務の対象とはされていません。
なお 、本項により事業主に説明義務が課されている事項には、法第10条及び第11条第2項の規定により努力義務が課されているものも含まれます。

(3)第14条第1項の「説明」の趣旨
第14条第1項による説明については、事業主が短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときに、個々の短時間・有期雇用労働者ごとに説明を行うほか、雇入れ時の説明会等において複数の短時間・有期雇用労働者に同時に説明を行う等の方法によっても、差し支えありません。
また、本項による説明は、短時間・有期雇用労働者が、事業主が講ずる雇用管理の改善等の措置の内容を理解することができるよう、資料を活用し、口頭により行うことが基本となります。ただし、説明すべき事項を全て記載した短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合には、当該資料を交付する等の方法でも差支えありません。
資料を活用し、口頭により行う場合において、活用する資料としては、就業規則、賃金規程、通常の労働者の待遇の内容のみを記載した資料が考えられます。また、事業主が講ずる雇用管理の改善等の措置を短時間・有期雇用労働者が的確に理解することができるようにするという観点から、説明に活用した資料を短時間・有期雇用労働者に交付することが可能な場合には、当該資料を交付することは望ましいです。
説明すべき事項を全て記載した短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合において、当該資料には、待遇の内容の説明に関しては、就業規則の条項を記載し、その詳細は、別途就業規則を閲覧させるという方法も考えられます。ただし、事業主は、就業規則を閲覧する者からの質問に、誠実に対応する必要があります。
有期雇用労働者については、労働契約の更新をもって「雇い入れ」ることとなるため、その都度本項による説明が必要となる点に注意が必要です。

(4)第14条第1項の「説明」の内容
本条第1項の説明内容としては、法に基づき事業主が実施している各種制度等について説明することが考えられます。第8条については、雇い入れる短時間・有期雇用労働者の待遇について、通常の労働者の待遇との間で不合理な相違を設けていない旨を説明する必要があります。
また、各条項に次のような説明が必要となります。

  • 雇い入れる短時間・有期雇用労働者が通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者の要件に該当   する場合、通常の労働者との差別的な取扱いをしないこと。(第9条)
  • 職務の内容、職務の成果等のうちどの要素を勘案した賃金制度となっていること。(第10条)
  • 短時間・有期雇用労働者に対してどのような教育訓練が実施されるか。(第11条)
  • 短時間・有期雇用労働者がどのような福利厚生施設を利用できるか。(第12条)
  • どのような通常の労働者への転換推進措置を実施しているか。(第13条)

なお、 本項による説明は、同項による説明義務に係る各条項の規定により求められている措置の範囲内で足りますので、第11条及び第12条に関し、通常の労働者についても実施していない又は利用させていない場合には講ずべき措置がないことから、本項により説明する内容は「ない」旨を説明しなくとも同項に違反とはなりません。

(5)第14条第2項の趣旨
第14条第2項は、事業主は、雇い入れた後、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第6条から第13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならないことが定められています。
なお、本項により事業主に説明義務が課されている事項には、第6条第2項、第7条、第10条及び第11条第2項の規定により努力義務が課されているものも含まれます。

(6)第14条第2項で比較する「通常の労働者」
第14条第2項の説明内容のうち、待遇の相違の内容及び理由に関する説明をする際に比較の対象となる通常の労働者は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等が、短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等に最も近いと事業主が判断する通常の労働者となります(短時間・有期雇用労働指針第3の2(1))。
「職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等に最も近い」通常の労働者を選定するに当たっては、
①「職務の内容」並びに「職務の内容及び配置の変更の範囲」が同一である通常の労働者
②「職務の内容」は同一であるが、「職務の内容及び配置の変更の範囲」は同一でない通常の労働者
③「職務の内容」のうち、「業務の内容」又は「責任の程度」が同一である通常の労働者
④「職務の内容及び配置の変更の範囲」が同一である通常の労働者
➄「職務の内容」、「職務の内容及び配置の変更の範囲」のいずれ も同一でない通常の労働者
の順に「近い」と判断することが基本となります。
その上で、同じ区分に複数の労働者が該当する場合には、事業主が更に絞り込むことが考えられますが、その場合には、

  • 基本給の決定等において重要な要素(職能給であれば能力・経験、成果給であれば成果など)における実態
  • 説明を求めた短時間・有期雇用労働者と同一の事業所に雇用されるかどうか

等の観点から判断することが考えられます。
いずれの観点から絞り込むかは事業主の判断となりますが、その選択した観点において、短時間・有期雇用労働者と最も近いと考える者を選定することとなります。
また、「通常の労働者」に関しては、例えば、

  • 一人の通常の労働者
  • 複数人の通常の労働者又は雇用管理区分
  • 過去1年以内に雇用していた一人又は複数人の通常の労働者
  • 通常の労働者の標準的なモデル(新入社員、勤続3年目の一般職など)

を比較対象として選定することが考えられます。
また、事業主は、待遇の相違の内容及び理由の説明に当たり、比較対象として選定した通常の労働者及びその選定の理由についても、説明を求めた短時間・有期雇用労働者に説明する必要があります。
なお、個人情報の保護の観点から、事業主は、説明を受けた短時間・有期雇用労働者において、比較対象となった通常の労働者が特定できることにならないように配慮する必要があります。

(7)第14条第2項の「待遇の相違」の説明内容
待遇の相違の内容の説明については、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の待遇に関する基準の相違の有無を説明するほか、通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の待遇の個別具体的な内容又は待遇に関する基準を説明する必要があります(短時間・有期雇用労働指針第3の2(2))。
「待遇の個別具体的な内容」は、比較の対象となる通常の労働者の選び方に応じ、

  • 比較対象として選定した通常の労働者が一人である場合には、例えば、賃金であれば、その金額
  • 比較対象として選定した通常の労働者が複数人である場合には、例えば、賃金などの数量的な待遇については平均額又は上限・下限、教育訓練などの数量的でない待遇については標準的な内容又は最も高い水準・最も低い水準の内容

を説明する必要があります。
「待遇に関する基準」を説明する場合、例えば賃金であれば、賃金規程や等級表等の支給基準の説明をする必要があります。ただし、説明を求めた短時間・有期雇用労働者が、比較の対象となる通常の労働者の待遇の水準を把握できるものである必要がありますので、「賃金は、各人の能力、経験等を考慮して総合的に決定する」等の説明では十分ではありません。
待遇の相違の理由の説明については通常の労働者及び短時間労働者の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質及び待遇を行う目的に照らして適切と認められるものに基づき説明する必要があります(短時間・有期雇用労働指針第3の2(3))。
具体的には、

  • 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で待遇に関する基準が同一である場合には、同一の基準のもとで違いが生じている理由(成果、能力、経験の違いなど)
  • 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で待遇に関する基準が異なる場合には、待遇の性質・目的を踏まえ、待遇に関する基準に違いを設けている理由(職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲の違い、労使交渉の経緯など)、及びそれぞれの基準を通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者にどのように適用しているか

を説明しなければなりません。
また、待遇の相違の理由として複数の要因がある場合には、それぞれの要因について説明する必要があります。

(8)「通常の労働者との待遇の相違の内容及び理由」以外の事項の説明内容
第14条第2項の説明内容のうち、通常の労働者との待遇の相違の内容及び理由以外の事項に関しては、法各条の観点から、事業主が実施している各種制度等がなぜそのような制度であるのか、又は事業主が実施している各種制度等について説明を求めた短時間・有期雇用労働者にどのような理由で適用され若しくは適用されていないかを説明しなければなりません。第10条については、職務の内容、職務の成果等のうちどの要素を勘案しているか、なぜその要素を勘案しているか、また、当該説明を求めた短時間・有期雇用労働者について当該要素をどのように勘案しているかを説明する必要があります。
なお、本項による説明は、同項による説明義務に係る各条項の規定により求められている措置の範囲内で足りるものですが、第11条及び第12条に関し、通常の労働者についても実施していない又は利用させていない場合には、講ずべき措置がないためであることを説明する必要があります。

(9)第14条第2項の説明の方法
第14条第2項に基づく説明は、短時間・有期雇用労働者がその内容を理解することができるよう、資料を活用し、口頭により行うことが基本となります。ただし、説明すべき事項を全て記載した短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合には、当該資料を交付する等の方法でも差し支えありません(短時間・有期雇用労働指針第3の2(4))。
資料を活用し、口頭により行う場合において、活用する資料としては、就業規則、賃金規程、通常の労働者の待遇の内容のみを記載した資料が考えられます。なお、説明の際に、活用した資料を併せて交付することは、事業主が講ずる雇用管理の改善等の措置を短時間・有期雇用労働者が的確に理解することができるようにするという観点から、望ましいです。
説明すべき事項を全て記載した短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合において、当該資料には、待遇の相違の内容の説明に関しては、就業規則の条項を記載し、その詳細は、別途就業規則を閲覧させるという方法も考えられます。ただし、事業主は、就業規則を閲覧する者からの質問に、誠実に対応する必要があります。

(10)第14条第2項の義務履行
本条の規定による説明により短時間・有期雇用労働者が納得することについては、本条の義務の履行とは関係ありません。

(11)第14条第3項の趣旨
第14条第3項は、事業主は、短時間・有期雇用労働者が同条第2項の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことを定めたものです。さらに、第16条に基づく相談のための体制の整備を適切に実施すること等により、短時間・有期雇用労働者が不利益な取扱いを受けることへの危惧を持つことなく説明を求めることができるような職場環境としていくことが望ましいです。
なお、説明を求めた短時間・有期雇用労働者に対して事業主が第14条第2項により求められる範囲の説明を行ったにもかかわらず、繰り返し説明を求めてくるような場合に、職務に戻るよう命じ、それに従わない場合に当該不就労部分について就業規則に従い賃金カットを行うようなこと等まで、不利益な取扱いとして禁止する趣旨ではありません。

(12)第14条第3項の「理由として」「不利益な取扱い」の意味
「理由として」とは、短時間・有期雇用労働者が待遇の相違の内容及び理由並びに第6条から第13条までの措置に関する決定をするに当たって考慮した事項の説明を求めたことについて、事業主が当該短時間・有期雇用労働者に対して不利益な取扱いを行うことと因果関係があることをいいます。
「不利益な取扱い」とは、解雇、配置転換、降格、減給、昇給停止、出勤停止、労働契約の更新拒否等がこれに当たります。なお、配置転換等が不利益な取扱いに該当するかについては、給与その他の労働条件、職務内容、職制上の地位、通勤事情、当人の将来に及ぼす影響等諸般の事情について、旧勤務と新勤務とを総合的に比較考慮の上、判断されます。

3.11 指針(第15条)

(指針)
第十五条 厚生労働大臣は、第六条から前条までに定める措置その他の第三条第一項の事業主が講ずべき雇用管理の改善等に関する措置等に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この節において「指針」という。)を定めるものとする。
2 第五条第三項から第五項までの規定は指針の策定について、同条第四項及び第五項の規定は指針の変更について、それぞれ準用する。

第15条第1項は、第6条から第14条までに定める措置その他の第3条第1項の事業主が講ずべき雇用管理の改善等に関する措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めることとしたものです。
指針の策定については第5条第3項から第5項までの規定が、指針の変更については第5条第4項及び第5項の規定が準用されます。したがって、指針は短時間・有期雇用労働者の労働条件、意識及び就業の実態等を考慮して定めなければならず、指針の策定及び変更に当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければなりません。
第15条第1項に基づき、短時間・有期雇用労働指針及びガイドラインが定められています。(ガイドラインについては3.3(9)を参照)。

3.12 相談のための体制の整備(第16条)

(相談のための体制の整備)
第十六条 事業主は、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に関し、その雇用する短時間・有期雇用労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならない。

(1)第16条の趣旨
短時間・有期雇用労働者は、就業の実態が多様であり、通常の労働者と待遇が異なる理由が分かりにくく、これが不満につながることがあります。このため、法においては、雇入れ時に雇用管理の改善等の措置の内容について説明しなければならないことされるとともに、短時間・有期雇用労働者から求めがあったときには、通常の労働者との待遇の相違の内容及び理由並びに待遇の決定に当たって考慮した事項を説明しなければならないこととされています(3.10参照)。
しかしながら、その待遇に係る疑義等について相談する体制が各事業所において十分に整っていなければ、短時間・有期雇用労働者に対する説明を契機とする不合理な待遇の相違の是正や、説明による納得性の向上の実効性は確保されません。このため、事業主は、雇用管理の改善等に関する事項に関し、その雇用する短時間・有期雇用労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととしたものとされています。

(2)「必要な体制」の整備の意味
「必要な体制」の整備とは、短時間・有期雇用労働者からの苦情を含めた相談に応じる窓口等の体制を整備することをいいます。苦情を含めた相談に応じることができる窓口等であれば、その名称を問うものではなく、また、窓口等は組織であるか、個人であるかを問われません。例えば、雇用する労働者の中から相談担当者を決め、相談に対応させること、短時間・有期雇用管理者を選任している事業所において、短時間・有期雇用管理者を相談担当者として定め、短時間・有期雇用労働者からの相談に対応させること、事業主自身が相談担当者となり、相談に対応すること、外部専門機関に委託し、相談対応を行うこと等が考えられます。
なお、本条においては、相談に応じる窓口等を設置すること自体が義務の対象となっていますが、上記の相談に応じる窓口等においては、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応することが求められます。

(3)「相談窓口」の明示
相談窓口は、第6条第1項の特定事項であり、雇入れ時の文書等による明示事項とされています(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第2条第1項4号)。また、雇入れ時の文書等による明示のほか、事業所内の短時間・有期雇用労働者が通常目にすることができる場所に設置されている掲示板への掲示等により、短時間・有期雇用労働者に周知することが望ましいです。

【短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則】
(法第六条第一項の明示事項及び明示の方法)
第二条 法第六条第一項の厚生労働省令で定める短時間労働者に対して明示しなければならない労働条件に関する事項は、次に掲げるものとする。
 一  昇給の有無
 二  退職手当の有無
 三  賞与の有無
 四  短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口
2 法第六条第一項の厚生労働省令で定める方法は、前項各号に掲げる事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを当該短時間労働者が希望した場合における当該方法とする。
 一  ファクシミリを利用してする送信の方法
 二  電子メールの送信の方法(当該短時間労働者が当該電子メールの記録を出力することによる書面を作成することができるものに限る。)
3 前項第一号の方法により行われた法第六条第一項に規定する特定事項(以下本項において「特定事項」という。)の明示は、当該短時間労働者の使用に係るファクシミリ装置により受信した時に、前項第二号の方法により行われた特定事項の明示は、当該短時間労働者の使用に係る通信端末機器により受信した時に、それぞれ当該短時間労働者に到達したものとみなす。

3.13 短時間・有期雇用管理者(第17条関係)

(短時間・有期雇用管理者)
第十七条 事業主は、常時厚生労働省令で定める数以上の短時間・有期雇用労働者を雇用する事業所ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、指針に定める事項その他の短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間・有期雇用管理者を選任するように努めるものとする。

(1)第17条の趣旨
短時間・有期雇用労働者については、通常の労働者と異なる雇用管理が行われていることに加えて、個々の短時間・有期雇用労働者の間でも個別多様に労働条件が設定されることが多く、多くの短時間・有期雇用労働者を雇用する事業主は自らが全ての短時間・有期雇用労働者についてきめ細かな管理を行うことは困難です。そこで、事業所における短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等を図るための体制を整備するために、事業主は、短時間・有期雇用労働者を常時厚生労働省令で定める数(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第6条により10人と定められている。)以上雇用する事業所ごとに、短時間・有期雇用管理者を選任するように努めるものとされています。
【短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則】
(法第十七条の厚生労働省令で定める数)
第六条 法第十七条の厚生労働省令で定める数は、十人とする。

(2)短時間・有期雇用管理者に求められる能力
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第7条においては、短時間・有期雇用管理者は、短時間・有期雇用労働指針及びガイドラインに定める事項その他の短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから事業主が選任することとされています。この「必要な知識及び経験を有していると認められる者」とは、短時間・有期雇用管理者の職務を遂行するに足る能力を有する者をいい、事業所の人事労務管理について権限を有する者が望ましいです。
【短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則】
(短時間雇用管理者の選任)
第七条 事業主は、法第十七条に定める事項を管理するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから当該事項を管理する者を短時間雇用管理者として選任するものとする。

(3)短時間・有期雇用管理者の業務
短時間・有期雇用管理者が担当すべき業務としては次のものが含まれています。
① 法に定める事項は言うまでもなく、短時間・有期雇用労働指針及びガイドラインに定める事項その他の短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項について、事業主の指示に従い必要な措置を検討し、実施するとともに、必要に応じ、関係行政機関との連絡を行うこと。
② 短時間・有期雇用労働者の労働条件、就業環境に係る事項等に関し、短時間・有期雇用労働者の相談に応ずること。

3.14 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告等(第18条)

(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告等)
第十八条 厚生労働大臣は、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、短時間・有期雇用労働者を雇用する事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、第六条第一項、第九条、第十一条第一項、第十二条から第十四条まで及び第十六条の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
3 前二項に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。

3.14.1 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告(第18条第1項)

(1)第18条第1項の趣旨
第18条第1項は、本法の目的を達成するため、厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等を図るために必要があると認めるときは、事業主に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告を行うことができることを定めています。

(2)厚生労働大臣等の権限
本項の厚生労働大臣等の権限は、労働者からの申立て、第三者からの情報、職権等その端緒を問わず、必要に応じて行使できるものです。

(3)「短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるとき」の意味
「短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるとき」とは、法、短時間・有期雇用労働指針及びガイドラインによって事業主が講ずべき措置について、事業主の実施状況を確認するときや、その措置が十分に講じられていないと考えられる場合において、その措置を講ずることが雇用管理の改善等を図るため必要であると認められるとき等をいいます。
なお、第8条については、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情の違いではなく、短時間・有期雇用労働者であることを理由とする不支給など、同条に違反することが明確な場合を除き、第18条第1項に基づく助言、指導及び勧告の対象とされたものです。(第8条は、原則として私法上の効力を有するに留まります)

(4)報告の徴収並びに助言、指導及び勧告の実施
報告の徴収並びに助言、指導及び勧告は、おおむね①から④までのとおり実施されるものです。
① 報告の徴収
報告の徴収は、第18条第1項の助言、指導、勧告のために行う事実の調査として、文書の提出の要請、出頭を求めての事情聴取、事業所への現地実情調査等を行うことのほか、法の施行に関し必要な事項につき事業主から報告を求めることをいうものです。
② 助言
法、短時間・有期雇用労働指針及びガイドラインの規定に違反する状況を解消するために、事業主に対して口頭又は文書により行うものです。
③ 指導
助言の対象となった事案のうち是正のためには強い要請が必要であると認められるものについて、事業主に対して文書の手交又は郵送の方法により行うものです。
④ 勧告
指導の対象となった事案のうち是正のためには更に強い要請が特に必要であると認められるものについて、事業主に対して文書の手交又は郵送の方法により行うものです。
また、勧告を行う場合であって、事業主が当該勧告に係る必要な是正措置を講じるまでに一定の期間を要すると認められるときは、必要に応じて、当該事業主に対し、当該勧告において是正措置の実施に至るまでのスケジュール等を明記した措置計画の作成を求めるものです。
なお、③の「是正のためには強い要請が必要であると認められるもの」とは、具体的には助言を行っても事業主に是正措置を講ずる意向が確認できないものを、また④の「是正のためには更に強い要請が特に必要であると認められるもの」とは、指導を行っても事業主に是正措置を講ずる意向が確認できないものをいいます。

3.14.2 公表(第18条第2項)

短時間・有期雇用労働者について、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図り、当該短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置を推進するためには、通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いを禁止する等、事業主に一定の措置を義務付けるとともに、法違反の速やかな是正を求める行政指導の効果を高め、法の実効性を確保することが必要となります。
このような観点から、厚生労働大臣は、第6条第1項、第9条、第11条第1項、第12条から第14条まで及び第16条の規定に違反している事業主に対し自ら勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができることとされたものです。

3.14.3 権限の委任(第18条第3項関)

(1)「厚生労働大臣が全国的に重要であると認めた事案に係るもの」の意味
第18条第3項及び短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第8条の規定に基づき、厚生労働大臣の権限の一部を都道府県労働局長に委任することができるものとされています、委任することができる事案から除かれる「厚生労働大臣が全国的に重要であると認めた事案に係るもの」とは、おおむね以下のいずれかに該当する事案をいうものをいいます。
① 広範囲な都道府県にまたがり、事案の処理に当たり各方面との調整が必要であると考えられる事案
② 事案の性質上広範な社会的影響力を持つと考えられる事案
③ 都道府県労働局長が勧告を行っても是正の意向がみられず、悪質かつ重大な事案
なお、②については、企業の規模、事案に係る短時間・有期雇用労働者の数等が考慮されます。また、③における「悪質」とは、度重なる説得に応じない等遵法意識の見られない場合を、「重大」とは、事業主の措置により不利益を被る短時間・有期雇用労働者が多数いる場合や社会的影響が大きい場合をいいます。

(2)その他
第18条第2項の規定に基づく厚生労働大臣による公表については、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則第8条において、都道府県労働局長に権限の委任がなされていません。
【短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則】
(権限の委任)
第八条 法第十八条第一項に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働大臣が全国的に重要であると認めた事案に係るものを除き、事業主の事業所の所在地を管轄する都道府県労働局の長が行うものとする。

3.15 事業主等に対する援助(第19条)

(事業主等に対する援助)
第十九条 国は、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等の促進その他その福祉の増進を図るため、短時間・有期雇用労働者を雇用する事業主、事業主の団体その他の関係者に対して、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項についての相談及び助言その他の必要な援助を行うことができる。

(1)第19条の趣旨
短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等の促進その他その福祉の増進を図るためには、事業主に対する短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等の義務付け等の制度とあいまって、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等の措置等を図る事業主等に対し、国が必要な援助を行うことが有効であると考えられています。
このため、国は、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等の促進その他その福祉の増進を図るため、短時間・有期雇用労働者を雇用する事業主、事業主の団体その他の関係者に対して、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項についての相談及び助言その他の必要な援助を行うことができることとされています。

(2)「その他の関係者」
「その他の関係者」とは、事業主団体のほか、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等の支援を行っている団体を広く指しています。

(3)「その他の必要な援助」
「その他の必要な援助」としては、短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての好事例等の情報提供や助成金の支給などが想定されています。

3.16 職業訓練の実施等(第20条)

職業訓練の実施等)
第二十条 国、都道府県及び独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、短時間・有期雇用労働者及び短時間・有期雇用労働者になろうとする者がその職業能力の開発及び向上を図ることを促進するため、短時間・有期雇用労働者、短時間・有期雇用労働者になろうとする者その他関係者に対して職業能力の開発及び向上に関する啓発活動を行うように努めるとともに、職業訓練の実施について特別の配慮をするものとする。

(1)第20条の趣旨
短時間・有期雇用労働者の中には、主要な仕事、高度な技術・技能が必要な仕事、責任のある仕事をしたいと希望する者がいるにもかかわらず、企業の対応は、教育訓練の実施率が低い等短時間・有期雇用労働者の能力をより有効に活用するための環境整備が十分になされているとはいえません。また、短時間・有期雇用労働者になろうとする者の中には、職業生活を一定期間中断していたこと等により、職業能力の減退、かつて習得した知識、技能の陳腐化等、就業しようとする職業に必要な能力に欠けるために希望する職業に従事できない人もいます。
このようなことから、国、都道府県及び独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、短時間・有期雇用労働者及び短時間・有期雇用労働者になろうとする者がその職業能力の開発及び向上を図ることを促進するため、職業能力の開発及び向上に関する啓発活動を行うように努めるとともに、職業訓練の実施について特別の配慮をすることとしたものです。

(2)「特別の配慮」
「特別の配慮」とは、職業能力開発促進センター、都道府県立職業能力開発校における短時間・有期雇用労働者及び短時間・有期雇用労働者になろうとする者等に対する普通職業訓練(短期課程)等の推進をいいます。

3.17 職業紹介の充実等(第21条)

(職業紹介の充実等)
第二十一条 国は、短時間・有期雇用労働者になろうとする者がその適性、能力、経験、技能の程度等にふさわしい職業を選択し、及び職業に適応することを容易にするため、雇用情報の提供、職業指導及び職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めるものとする。

短時間・有期雇用労働者になろうとする者については、職業生活を一定期間中断していた者が多く、職業に関する知識、自らの適性・能力等についての客観的な理解、就労に対する心構えが不十分であることや、労働市場に関する知識・情報が不足している場合があることなどからきめ細かな配慮が必要とされる者が多いことに鑑み、特に、その適性、能力、経験及び技能の程度等にふさわしい職業を選択し、並びに職業に適応することを容易にするため、国は、雇用情報の提供、職業指導及び職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めることとされたものです。

続き

第1章
『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』の逐条解説①-第1章
第2章
『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』の逐条解説②-第2章