社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の活用状況等に関する調査結果の公表

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「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の活用状況等に関する調査結果の公表

独立行政法人労働政策研究・研修機構により、「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の活用状況等に関する調査結果が公表されています。
本調査は、パートタイム・有期雇用労働法の施行を前に、企業の「パートタイム」「有期雇用」の労働者に対する雇用管理の状況がどのようになっているのか、また、今後の対応の動向を明らかにするため、行われたアンケート調査です。

中小企業でも今年(2021年)4月から施行される(大企業では2020年4月1日施行)パートタイム・有期雇用労働法では、正社員・正職員と「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の間で、職務や人材活用の仕組み、その他の事情に照らして不合理な待遇差等が禁止される(第8条、第9条)とともに、本人からの求めがあれば、待遇差の理由等も説明すべきことが、企業に義務付けています(第14条第2項)。
疑問に思っている従業員に対して、まずは理に適った説明をできることが、その後の不満の解消や紛争の防止、さらに仕事に対する意欲の向上に結びつく第一歩となりますが、「大半の待遇差を、説明できると思う。」と回答した企業は半数程度に留まっています。

結果の詳細はこちらのリンクをご確認ください。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/207-1.html


下記に概要を抜粋します。

調査結果の概要

1.「パートタイム」や「有期雇用」の労働者と正社員・正職員の、職務や人材活用の仕組みの違い

自社の【有期雇用でフルタイム】、【有期雇用でパートタイム】、【無期雇用でパートタイム】の労働者について、正社員・正職員と職務(業務の内容や責任の程度)が同じ者がいるかどうか尋ねたところ、「業務の内容も、責任の程度も同じ者がいる」との回答割合が、【有期雇用でフルタイム】については29.1%とほぼ3割にのぼっている

2.「パートタイム」や「有期雇用」の労働者に支給・適用している制度や待遇

自社の【有期雇用でフルタイム】、【有期雇用でパートタイム】、【無期雇用でパートタイム】の労働者に支給・適用している制度・待遇をあげてもらったところ(複数回答)、「賞与」をあげた企業の割合は【有期雇用でフルタイム】については58.9%と6割近くにのぼる一方、【有期雇用でパートタイム】では4割弱(38.7%)となっている。一方、「退職金」をあげた企業の割合は【有期雇用でフルタイム】でも1割台(14.8%)にとどまる。

3.待遇差の理由等についてどの程度、説明できるか

パートタイム・有期雇用労働法では、正社員・正職員と「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の間で、職務や人材活用の仕組み、その他の事情に照らして不合理な待遇差等が禁止される(第8条、第9条)とともに、本人からの求めがあれば、待遇差の理由等も説明しなければならなくなる(第14条第2項)ことから、待遇差の理由等について、どの程度、説明できると思うか尋ねたところ、「大半の待遇差を、説明できると思う」との回答割合は、パートタイム・有期雇用労働法等について「内容まで知っている」と回答した企業では7割近く(69.3%)にのぼったものの、内容が分からないなどとした企業では、それよりも20ポイント以上低くなっている。

4.ガイドライン案の提示以降での不合理な待遇差をなくす取り組み

政府の働き方改革実現会議において、「同一労働同一賃金ガイドライン案」が提示されて以降(2016年12月20日以降)、これまでに正社員・正職員とそれ以外の労働者との間の不合理な待遇差を無くすための取り組みを行ったか尋ねたところ、「取り組みを行った」は33.2%で、今後については30.2%が「取り組みを行う予定がある」とした。

これまでにどのような取り組みを行ったか、また、今後予定する取り組みをそれぞれ尋ねたところ、これまでの取り組みでは「基本的な賃金の水準の引上げ」(54.9%)が最も回答割合が高く、今後については「退職金の導入や、退職金の算定方法等の見直し」を2割弱(19.6%)の企業が取り組む予定としている。