社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

ネスレ日本事件(大阪高判平成18.4.14労判915号60頁)

ネスレ日本事件(大阪高判平成18.4.14労判915号60頁)

1.事件の概要

 

Xは、Y社の姫路工場で現地採用され、30年勤務してきた。Y社は、霞ヶ浦工場への転勤を命じられたが、妻が精神病を抱えていたうえ、実母が要介護度2と認定を受け、介護が必要であったため、転勤命令を拒否した。原審(神戸地姫路支判平成17.5.9労判895号5頁)は、当該配転命令は権利の濫用であると判断したため、これに対してYが控訴したのが本件である。

2.判決の概要

 

育児介護休業法26条の配慮の有無の程度は、配転命令を受けた労働者の不利益が、通常甘受すべき程度を著しく超えるか否か、配転命令権の行使が権利の濫用となるかどうかの判断に影響を与えるということはできる。
労働者の不利益が通常甘受すべき程度を超えるか否かについては、その配転の必要性の程度、配転を避ける可能性の程度、労働者が受ける不利益の程度、使用者がなした配慮及びその程度等の諸事情を総合的に検討して判断する。

 

3.解説

 

 

下級審ながら、2001年育児介護休業法改正によって転勤の際の配慮規定(26条)が明記されたが、使用者が配慮を怠れば、配転命令権の権利濫用性を判断する際に考慮されること、及び労働者の不利益が通常甘受すべき程度を超えるか否かについて、配転の必要性の程度、配転を避ける可能性の程度、労働者が受ける不利益の程度、使用者がなした配慮及びその程度等の諸事情を考慮して総合的に判断することが示された判例

 

育児介護休業法第26条 事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。

 

 

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