社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



【配転】C株式会社事件(大阪地判平23.12.16労判1043号15頁)

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C株式会社事件(大阪地判平23.12.16労判1043号15頁)

1.事件の概要

Xは、平成18年11月に世界各国に支社・営業所を置き国際的な運送業務を行う訴外A社の日本法人であるY社に入社し、大阪営業所の営業担当として勤務していた。Y社は、親会社から人件費削減の指示を受け、Xと平成21年3月25日以降4回にわたり退職勧奨に応じるよう面談したが、これに応じなかったXに対し、4月16日付解雇予告通知書により5月16日付で解雇する旨通知した。
Xは、地位保全賃金仮払仮処分を申立て、平成21年12月に、解雇無効として賃金仮払を命じる決定が出された。
Y社は、賃金仮払を行った後、平成22年2月22日、Xに対し、本件解雇を撤回すること、平成22年3月1日より名古屋営業所の輸入カスタマーサービススタッフとしての勤務を命じる旨の辞令を出した。
Xは、異議を留めたうえで3月1日以降、大阪の自宅から新幹線通勤で名古屋営業所において就労していた。
その後、Xが、Y社に対し、名古屋営業所で勤務する義務のないことの確認等を求めて提訴したのが本件である。

2.判決の要旨

本件解雇を撤回し、Xが職場復帰するという平成22年3月時点において、あえてXを輸出案件に特化した、あるいは輸出案件もできるカスタマーサービススタッフとして名古屋営業所に配転する必要性及び合理性があったとまでは認め難い。本件配転命令については、Xを名古屋営業所に配転する業務上の必要性及び合理性があることは認め難く、その余の点について判断するまでもなく、本件配転命令は、配転命令権を濫用したものであって、無効といわざるを得ない。本件配転命令は、業務上の必要性及び合理性がないにもかかわらず、本件仮処分決定を契機とした原告の復職に当たって、不当が動機目的をもってなされたものと推認することができ、かかる経緯等にかんがみると、損害賠償請求権を発生させるに足りる違法性を有しているといえ、不法行為に該当すると認められるのが相当である。

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