社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



出勤途中の労働者が通常より5分遅れて自宅を出て、自転車で急いで駅まで向かう途中ので急性心不全は、通勤災害か(昭50.6.9基収4039号)

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出勤途中の労働者が通常より5分遅れて自宅を出て、自転車で急いで駅まで向かう途中ので急性心不全は、通勤災害か(昭50.6.9基収4039号)

(問)
 被災労働者は、事故当日いつもの起床時刻より遅れたため、朝食もとらずに通常より5分おくれて住居を出て、急いで自転車で約500メートル先の国鉄H駅へ向った。
 その後、被災労働者がH駅構内の下りホームと通ずる階段で倒れているのを発見され、医師により手当を受けたが、そのかいもなく急性心不全により死亡した。


(答)
 通勤災害とは認められない。


(理 由)
 「通勤による疾病」とは、通勤による負傷又は通勤に関連ある諸種の状態(突発的又は異常なできごと等)が原因となって発病したことが医学的に明らかに認められるものをいうが、本件労働者の通勤途中に発生した急性心不全による死亡については、特に発病の原因となるような通勤による負傷又は通勤に関連する突発的なできごと等が認められないことから「通勤に通常伴う危険が具体化したもの」とは認められない。
 従って、本件は、労災保険法第7条第1項第2号の通勤災害には該当しない。