社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



1年単位の変形労働時間制を採用した場合における休日振替(平6.5.31基発330号・平9.3.28基発210号・平11.3.31基発168号)

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1年単位の変形労働時間制を採用した場合における休日振替(平6.5.31基発330号・平9.3.28基発210号・平11.3.31基発168号)


休日の振替を行うことがあっても、1年単位の変形労働時間制を採用することができるか。


1年単位の変形労働時間制は、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することがないことを前提とした制度であるので、通常の業務の繁閑等を理由として休日振替が通常行われるような場合は、1年単位の変形労働時間制を採用できない。
なお、1年単位の変形労働時間制を採用した場合において、労働日の特定時には予期しない事情が生じ、やむを得ず休日の振替を行わなければならなくなることも考えられるが、そのような休日の振替までも認めない趣旨ではなく、その場合の休日の振替は、以下によるものであること。

① 就業規則において休日の振替を必要とする場合に休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えるものであること。この場合、就業規則等において、できる限り、休日振替の具体的事由と振り替えるべき日を規定することが望ましい。

② 対象期間(特定期間を除く。)においては連続労働日数が6日以内となること。

③ 特定期間においては1週間に1日の休日が確保できる範囲内であること。

また、例えば、同一週内で休日をあらかじめ8時間を超えて労働を行わせることとして特定していた日と振り替えた場合については、当初の休日は労働日として特定されていなかったものであり、労働基準法第32条の4第1項に照らし*1、当該日に8時間を超える労働を行わせることとなった場合には、その超える時間については時間外労働となるものである。

例:10月1日 休日  10月2日 所定労働時間10時間
10月1日を出勤として、10月2日を振り替え休日とする場合には、10月1日は8時間を超えると時間外労働になるとの意味。
  (振り替えると、10月1日は労使協定で定めることにより特定された日とはならないため)

労働基準法第32条の4第1項
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

  • 1. この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
  • 2. 対象期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月を超え一年以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
  • 3. 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。第3項において同じ。)
  • 4. 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を一箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下この条において「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)
  • 5. その他厚生労働省令で定める事項

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*1:労使協定で定めることにより、特定された日において法定労働時間を超えて労働させることができるという趣旨