内外ゴム事件(神戸地判平成2.12.27労判596号69頁)
参照法条 : 民法415条
裁判年月日 : 1990年12月27日
裁判所名 : 神戸地
裁判形式 : 判決
事件番号 : 昭和62年 (ワ) 1039
1.事件の概要
Xは、各種ゴム製品等の製造・販売等を目的とするY社の従業員であるが、約7年間にわたり有機溶剤を含有するゴム糊を使用する作業に従事し、有機溶剤中毒に罹患したとして、Y社に対し安全配慮義務違反を理由に損害賠償を請求した。これに対してY社は、上記作業は安全衛生法規の基準に適合しており、Xの疾病は有機溶剤中毒によるものではないと主張し、かつ、消滅時効を援用した。
2.判決の概要
Y社は、労働安全衛生法、同規則、有機溶剤中毒防止規則の定める義務を負っているところ、右各規定は、いわゆる行政的な取締規定であって、右各規定の定める義務は、使用者の国に対する公法上の義務と解される。しかしながら、右各規定の究極的目的は労働者の安全と健康の確保にあると解するのが相当であるから、その規定する内容は、使用者の労働者に対する私法上の安全配慮義務の内容ともなり、その規準になると解するのが相当である。Y社はその負っていた具体的安全配慮義務に違反していたから、損害を賠償する責任がある。
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