社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



【ハラスメント】川崎市水道局(いじめ自殺)事件(横浜地川崎支判平成14.6.27労判833号61頁、東京高判平成15.3.25労判849号87頁)

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川崎市水道局(いじめ自殺)事件(横浜地川崎支判平成14.6.27労判833号61頁、東京高判平成15.3.25労判849号87頁)

参照法条 : 民法415条、労働基準法2章、民法418条、国家賠償法1条
裁判年月日 : 2002年6月27日
裁判所名 : 横浜地川崎支
裁判形式 : 判決
事件番号 : 平成10年 (ワ) 275 

1.事件の概要

Y1市の水道局職員であった訴外Aは、職場の上司のY2~Y4から、いじめ、いやがらせを受け、精神疾患に罹り、自殺した。そこで、Aの両親XらがY1市及びY2~Y4に対し、損害賠償を請求した。第一審では、Y1市の責任は認められたが、Y2~Y4の行為は職務上のものであるとして個人の責任を否定するとともに、自殺は本人の資質ないし心因的要因も契機であったとして、7割を過失相殺したので、Xらが控訴した。そして、第二審も、この判断を維持した。

2.判決の概要

一般的に、市は市職員の管理的立場に立ち、そのような地位にあるものとして、職務行為から生じる一切の危険から職員を保護すべき債務を負うものというべきである。そして、職員の安全の確保のためには、職務行為それ自体についてのみならず、これと関連して、ほかの職員からもたらされる生命、身体等に対する危険についても、市は、具体的状況下で、加害行為を防止するとともに、生命、身体等への危険から被害職員の安全を確保して被害発生を防止し、職場における事故を防止すべき注意義務(以下「安全配慮義務」という。)があると解される。また、国家賠償法1条1項にいういわゆる「公権力の行使」とは、国又は公共団体の行う権力作用に限らず、純然たる私経済作用及び公の営造物の設置管理作用を除いた非権力的作用をも含むものと解するのが相当であるから、Y市の公務員が故意又は過失によって安全配慮義務に違背し、その結果、職員に損害を加えたときは、同条1条1項の規定に基づき、Y市は、その損害を賠償すべき責任がある。


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