社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

【有給休暇】林野庁高知営林局事件(最二小判平成2.4.20労判561号6頁)

林野庁高知営林局事件(最二小判平成2.4.20労判561号6頁)

1.事件の概要

Xらは林野庁営林署の作業員であったこと、チェンソーおよびブッシュクリーナー(枝刈込機)の使用により振動障害(白ろう病)に罹患したとして、公務災害の認定に基づく補償で補填されない損害について、安全配慮義務違反を理由に被告の国Yに対して損害賠償を請求した。第一審は、これを認容したが、第二審は、労働に支障が生ずる程度以上の人身障害の発症は予見できなかったなどとして同義務違反を否定したので、Xらが上告した。

2.判決の概要

社会、経済の進歩発展のための必要性、有益性が認められるがあるいは危険の可能性を内包するかもしれない機械器具については、その使用を禁止するのではなく、その使用を前提として、その使用から生ずる危険、損害の発生の可能性の有無に留意し、その発生を防止するための相当の手段方法を講ずることが要請されているというべきであるが、社会通念に照らして相当と評価される措置を講じたにもかかわらずなおかつ損害の発生をみるに至った場合には、結果回避義務に欠けるものとはいえないというべきである。本件の場合、昭和40年より前にはチェンソー等の振動障害の予見可能性はなく、昭和40年以降は、国は振動障害発症の結果を回避するにつき社会通念上相当な措置を講じているので、安全配慮義務違反はない。

3.奥野裁判官の反対意見

使用者としては、(1)先ず新規の機械を導入するに当たっては、作業の心身に障害を発生させるおそれの有無、程度及び安全使用基準についてあらかじめ調査、確認することを必要とし、(2)導入後不幸にして作業員の心身に障害を生ぜしめることが判明し、もしくはこれを予見し得ることとなった場合には、その障害の内容、程度並びにその機械の有用性及び必要性の程度に応じ、その機械の使用を廃し、あるいはその機械の使用を一時休止もしくは制限するなど、とりあえず障害の続発ないし増悪を防止すべき措置を講じつつ、その障害の態様及び原因を究明して当該機械の改良、使用基準の改善を図り、障害発生の防止並びに障害の被害を受けた者の救済につき、有効適切な対策を構ずべき義務があるものといわなければならない。

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