社会保険労務士川口正倫のブログ

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新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金Q&A(令和2年12月31日版)

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新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金Q&A

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000645307.pdf


新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置とは】
妊娠中の女性労働者が、母子保健法の保健指導・健康診査(妊婦健診等)を受けた結果、その作業等における新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じることが、男女雇用機会均等法に基づき義務付けられています。(適用期間:令和2年5月7日から令和4年1月31日)

(職場における妊娠中の女性労働者等への配慮について(厚労省HP))
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11067.html

(女性にやさしい職場づくりナビ)
https://www.boseinavi.mhlw.go.jp


【基本事項Q1】

Q1-1  本助成金の概要を教えてください。

厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が、安心して休暇を取得して出産し、出産後も継続して活躍できる職場環境を整備するため、
○令和2年5月7日から令和3年3月31日までの間に、
❶有給の休暇(年次有給休暇を除き、年次有給休暇について支払われる賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る。)を与えるための制度を設け、
❷当該制度と新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容を労働者に周知させるための措置を講じている事業主であって、
❸当該女性労働者に対して、当該休暇を合計して5日以上取得させた事業主
に対して、助成金を支給することとしています。
助成金に関する詳細な内容や申請手続、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容等については、厚生労働省のHPに掲載しているリーフレット等をご覧ください。

(本助成金のHP)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11686.html

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置等のHP)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11067.html

また、本助成金の内容や申請手続、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置等のお問い合わせは、事業所の所在する各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の相談・申請窓口まで御連絡ください。
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の相談・申請窓口)
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index_00004.html



【対象となる有給休暇制度Q2】

Q2-1 どのような有給休暇制度が対象になりますか。

対象となる有給休暇制度は、
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師等の指導を受け休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得でき、
年次有給休暇について支払われる賃金相当額の6割以上が支払われる
有給の休暇制度です。(年次有給休暇は除きます。)

Q2-2 新たな休暇制度を設けるのではなく、既存の特別休暇制度の対象に含めることで、有給の休暇を付与した場合、対象になりますか。

対象となります。ただし、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とともに、同母性健康管理措置として休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が当該休暇制度の対象になる旨を明示して労働者に周知を図り、休業が必要な妊婦の方が有給の休暇取得を申し出やすい環境を整備することが必要です。

Q2-3 対象となる有給休暇制度について、就業規則に定めていなくても本助成金の対象になりますか。

休暇制度の就業規則への規定は本助成金の要件ではありませんが、当該休暇制度について、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とともに労働者に周知を図っていただくことが必要です。
なお、新たな休暇制度を設けた場合は、常時10人以上の労働者を使用している事業主においては、労働基準法に基づき、遅滞なく、就業規則を変更し所轄の労働基準監督署に届け出ていただく必要がありますので留意してください。

Q2-4 いつまでに有給休暇制度を設ける必要がありますか。

令和3年3月31日までに、有給休暇制度を整備して新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とともに労働者に周知する必要があります。

Q2-5 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置で休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が有給休暇を取得した後に、有給休暇制度を設けて周知した場合も対象になりますか。

休暇取得後であっても、令和3年3月31日までに、有給休暇制度を整備して新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とともに、労働者に周知すれば対象になります。

Q2-6 非正規雇用の労働者は対象外として良いですか。

正規雇用・非正規雇用を問わず、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として医師等の指導を受け休業が必要とされたその雇用する妊娠中の女性労働者が取得できる制度とすることが必要です。

Q2-7 取得の上限日数を定めても良いですか。

上限日数を定めることはできません。新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として医師等の指導に基づき必要な期間取得できる休暇制度とすることが必要です。

Q2-8 年次有給休暇の賃金相当額の6割以上とはどのように計算すれば良いですか。

当該労働者が労働基準法上の年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金額の6割以上の額を支払う制度としてください。



【有給休暇制度の周知Q3】

Q3-1 有給休暇制度についてどのように周知すれば良いですか。

有給休暇制度と新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容について、非正規雇用の労働者を含めた全ての労働者がその内容を知ることができるよう
①事業所の見やすい場所に制度の内容を掲示する
②制度の内容を記載した書面を労働者へ交付する
③電子メールを利用して労働者に制度の内容を送信する 等
適切な方法により周知を行うことが必要です。

Q3-2 いつまでに周知が必要ですか。

令和3年3月31日までに、有給休暇制度を整備して新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とともに労働者に周知する必要があります。


【対象となる有給休暇の取得Q4】

Q4-1 対象となる有給休暇の取得期間を教えてください。

令和2年5月7日から令和3年3月31日までに取得した有給休暇が対象となります。
※令和3年3月31日までに、有給休暇制度を整備して新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とともに労働者に周知することが必要です。

Q4-2 5月6日以前に取得した休暇は対象となりますか。

対象となりません。

Q4-3 連続した期間に取得した休暇でなくても支給対象になりますか。

対象になります。連続して休暇を取得していない場合でも、令和2年5月7日から令和3年3月31日までの合計の休暇取得日数に応じて支給額が決定されます。

Q4-4 対象となる有給休暇の日数の数え方を教えてください。

年次有給休暇の取得日数の数え方と同じです。労働義務がない休日は対象となる有給休暇の日数にはカウントされません。

Q4-5 シフト制の労働者が、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として休業するために、ある特定の月について全く勤務できない状態となり、その月の勤務予定表が作成されていない場合、その月の内の一定日数分を 本助成金の対象となる有給休暇を取得した扱いとして賃金を支払った場合、助成金の対象となりますか。

対象となります。通常のシフトがわかる書類や労働条件通知書等労働契約を確認できる書類に記載されている労働日数を基本とし、対象となる有給休暇の日数を計算してください。

Q4-6 欠勤などを、事後的に本助成金の対象となる有給休暇 に 変更した場合は対象にな りますか。

助成金においては対象になります。 なお、事後的に本助成金の対象となる有給休暇に変更する場合には、労働者本人に説明し、同意を得ていただくことが必要です。

Q4-7 欠勤や無給の休暇を、事後的に本助成金の対象となる有給休暇に変更しましたが、賃金締切日を過ぎていたため、有給休暇日の賃金を、翌月の賃金で支払いました。この場合でも助成金の対象となりますか。

翌月の賃金で支払った場合でも対象となりますが、その旨がわかる確認書類(翌月分の給与明細等)を添付して申請を行ってください。

Q4-8 半日単位や時間単位の休暇、勤務時間の短縮は対象になりますか。

対象とはなりません。

Q4-9 母性健康管理指導事項連絡カードの提出がない場合でも、新型コロナウイルスの母性健康管理措置として、医師等の指導により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者に取得させた休暇は対象となりますか。

対象となります。
その場合は、申請に当たって、医師等の指導事項が記載された他の書類の写しを添付いただくか、当該書類もない場合には、母性健康管理指導事項確認書(様式2)を提出してください。

Q4-10 女性労働者が労働基準法上の年次有給休暇を取得した場合は対象になりますか。

対象になりません。女性労働者が、労働基準法上の年次有給休暇とは別の有給の休暇を取得した日が対象です。


【対象となる労働者Q5】

Q5-1 非正規雇用の労働者でも対象になりますか。

対象になります。

Q5-2 会社の役員は対象になりますか。

対象になりません。ただし、役職名ではなく、実態として、労働基準法上の労働者に当たらない者かどうかで判断します。

Q5-3 同居の親族で経営する事業に従事する者(家族従事者)は対象になりますか。

原則対象になりません。
ただし、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業において一般事務又は現場作業等に従事し、かつ、次の⑴及び⑵の条件を満たすもの(労働基準法上の労働者に当たる者)については、例外的に対象になります。
⑴業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
⑵就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、①始業及び就業の時刻、休憩時間、休日、休暇等及び②賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期等について、就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様にされていること。

Q5-4 船員は対象になりますか。

対象になります。

Q5-5 地方公務員や国家公務員は対象になりますか。

対象になりません。
※例外的に、地方公営企業の非常勤職員で雇用保険の被保険者である者は対象となります。

Q5-6 性風俗関連の労働者は対象になりますか。

性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれら営業の一部を受託する営業を行う事業主に雇用される労働者も対象になります。


【対象となる事業主Q6】

Q6-1 国や地方公共団体助成金の支給対象になりますか。

助成金は、現在、雇用関係助成金の支給対象とされていない国、地方公共団体地方公営企業を含む。)、行政執行法人及び特定地方独立行政法人に対しては支給されません。
※例外的に、地方公営企業の非常勤職員で雇用保険の被保険者である者については、地方公営企業も対象となります。

Q6-2 個人事業主でも対象になりますか。法人格が必要ですか。

労働者を雇用している個人事業主の方も対象になります。(法人格は不要です。)
なお、雇用保険又は労働者災害補償保険の適用を受ける事業主であることが必要です。

Q6-3 性風俗関連の事業主は対象になりますか。

性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれら営業の一部を受託する営業を行う事業主も対象になります。


【他の助成金育児休業給付金との関係Q7】

Q7-1 他の助成金との併給はできますか。

同一の対象労働者の同一の期間について、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)、中途採用等支援助成金中途採用拡大コース)、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース、生涯現役コース、被災者雇用開発コース、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース、安定雇用実現コース、就職氷河期世代安定雇用実現コース、生活保護受給者等雇用開発コース)、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース、障害者トライアルコース、障害者短時間トライアルコース、若年・女性建設労働者トライアルコース)、地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)、通年雇用助成金(新分野進出除く)及び両立支援等助成金(出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース(育休取得時、復帰時、代替要員確保時、復帰後支援(子の看護休暇制度制度)、新型コロナウイルス感染症小学校休業等対応コース))との併給はできません。
また、同一の者の同一の日(期間)に係る措置に対して、障害者雇用安定助成金、人材確保等支援助成金及び人材開発支援助成金の賃金助成に係る支給との併給はできません。

Q7-2 働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)との併給は可能ですか。

可能です。

Q7-3 雇用調整助成金との併給は可能ですか。

雇用調整助成金の対象事業主が妊娠中の女性労働者を休業させ休業期間中に手当を支払った場合には雇用調整助成金の対象になる場合もありますが、この場合、同一の労働者について同一の日に、本助成金の対象となる「休暇」と雇用調整助成金の対象となる「休業」が重なることはないため、これらの助成金を重複して受給することはできません。

Q7-4 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置により有給の休暇を取得した場合、育児休業給付金の休業開始時賃金日額の算定での取扱いはどのようになりますか。

(受給に必要な保険期間)
育児休業給付金を受給するためには、当該休業を開始した日前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上必要となります。
この「被保険者期間」とは雇用保険の被保険者であった期間のうち、休業開始日から1ヶ月ごとに区切っていった期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1ヶ月と計算し、当該賃金支払いの基礎となる日数には有給休暇も含みます。
(賃金日額の算定)
育児休業給付金の給付額の基礎となる休業開始時賃金日額の算定は、原則として休業開始日の直近6か月の賃金を180で除して算定することとなり、当該賃金には有給休暇を取得して支払われた賃金も含みます(以下の【一般的な例】)。
※実際の給付額はこの賃金日額の67%(7か月目以降は50%)となります。
○ただし、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として有給の休暇を取得している場合、従来の母性健康管理措置による休業の場合と同様に、一定以上の休業がある月は当該月を6か月に含めないこととします(以下の【今般の特例】)。
○当該特例は、助成金の対象となる令和2年5月7日から令和3年3月31日までの間の新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による有給の休暇が対象となります。


【申請手続等Q8】

Q8-1 事業所ごとの申請ですか。あるいは法人ごとの申請ですか。

事業所ごとの申請になります。

Q8-2 申請先はどこになりますか。

事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に申請書を提出してください。

 

Q8-3 申請期間はいつからいつまでですか。

令和2年6月15日から令和3年5月31日までです。

 

Q8-4 対象労働者をまとめて申請してよいですか。

複数の対象労働者をまとめて申請いただくことが可能です。

Q8-5 同一の労働者について複数回の申請は可能ですか。

可能です。2回目以降の申請では、その申請時点での合計の休暇取得日数に応じて支給すべき金額と前回までの申請で支給された金額の差額があれば、差額を支給します。

Q8-6 助成金を申請する上でどのような書類を用意すればよいですか。

以下の厚生労働省のHPに掲載している申請様式に必要事項をご記入の上、各種添付書類をご用意いただく必要があります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11686.html

詳細は、厚生労働省のHPに掲載されている支給要領をご参照ください。

Q8-7 申請の際に必要な書類(休暇簿、賃金台帳、タイムカード等)は、原本の提出が必要ですか。写しでも良いですか。

所定の支給申請書については、原本を提出してください。その他、提出が必要な添付書類(休暇簿、賃金台帳、タイムカード等)については、写しの提出で差し支えありません。

Q8-8 支給決定はいつ頃になりますか。

可能な限り速やかに支給決定ができるよう努めてまいります。 

Q8-9 会社が今回の助成金の対象になるような有給休暇を設けてくれません。どうすればよいですか。

事業主が助成金の対象となるような有給休暇を設けることは義務ではありませんが、政府としては、妊娠中の女性労働者の方々が、新型コロナウイルス感染症による母性健康管理措置に基づき休業する際に、有給の休暇を取得できるよう、本助成金制度の周知、活用促進に努めております。
御質問のような場合には、本助成金リーフレット等をご活用いただきながら、再度、労使で十分話し合いをしていただくことが考えられます。
また、都道府県労働局では、お勤めになっている方から「企業が有給休暇制度を導入してくれない」等のご相談があった場合、状況を把握し、お勤めになっている方の意向を踏まえた上で、事業場に対して働きかけを行っています。
働く妊婦の皆さまが相談しやすいよう、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置及び当該措置による休暇取得支援助成金に係る相談に対応する窓口として、各都道府県労働局に「母性健康管理措置等に係る特別相談窓口」を開設しておりますので、お勤め先の事業場を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の特別相談窓口に御相談ください。
(母性健康管理措置等に係る特別相談窓口)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000677252.pdf