社会保険労務士川口正倫のブログ

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健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります

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健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります


mainichi.jp

本日、こんな記事を見かけましたが、改正労働安全衛生関係法令が令和2年8月28日に施行されたことに伴い、健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要になりました。
個人の認印や会社の代表印もしくは職印は、誰でも任意の姓・氏名・商号の印鑑を注文することができます。従って、銀行のように相手方が使用できる印鑑の印影を登録している場合や相手方が印鑑証明書の添付を求めているような場合を除き、印鑑の押印に実質的な意味がありません。
なお、刑法159条の私文書偽造等罪の量刑において、単なる私文書偽造等の場合は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金であるのに対して、有印私文書偽造等の場合3月以上5年以下の懲役となっているので、印鑑を使用することは偽造を抑制する効果があるという人もいるかも知れません。
しかし、ここでいう「有印」というのは、「他人の印章もしくは署名」のことですので、他人の印鑑を偽造しても、他人の署名を模しても、罪の重さに違いはありません。実際に適用される量刑で差異が生じるかどうかはさておき、むしろ刑法は、印鑑と署名の価値を同等と考えていると思います。ちなみ、「署名」とは手書きで書いた氏名のことをいい、ワード等で打って印字したものは署名ではなく「記名」といいます。「署名または記名・捺印」とは、「手書きで氏名を記入する」か「ワードやエクセルで作成して氏名を記入し印字したうえで、捺印」のいずれかを求められています。(かといって、署名・捺印したとしても問題とされることはまずないでしょう)

私文書偽造等)
第159条
1.行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2.他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3.前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

1.健康診断個人票について

・これまで必要だった医師や歯科医師の押印(電磁的記録で保存する場合は電子署名)が不要となり、記名のみでよいこととなります。
・定期健康診断、特定化学物質健康診断やじん肺健康診断等の特殊健康診断等の全ての健康診断における取扱いとなります。

2.定期健康診断結果報告書等について

・これまで必要だった産業医の押印(電子申請する場合は電子署名)が不要となり、記名のみでよいこととなります。
・定期健康診断、特定化学物質健康診断やじん肺健康診断等の特殊健康診断等の全ての健康診断とストレスチェックにおける取扱いとなります。


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