社会保険労務士川口正倫のブログ

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令和元年度雇用均等基本調査・企業調査の結果概要

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令和元年度雇用均等基本調査・企業調査の結果概要

詳細はこちら
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r01.html

1 職種別正社員・正職員の状況

(1) 正社員・正職員の男女比率

正社員・正職員に占める女性の割合は25.7%と、前回調査(平成31 年度26.0%)より0.3ポイント低下した。
これを職種別にみると、総合職20.1%、限定総合職32.5%、一般職32.3%、その他24.1%となっている(図1)。

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(2) 正社員・正職員の構成比

女性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、一般職が42.3%と最も高く、次いで総合職38.8%、限定総合職12.7%の順となっている。
男性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、総合職が53.4%と最も高く、次いで一般職30.7%、限定総合職9.1%の順となっている(図2)。

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2 正社員・正職員の採用状況

(1) 採用状況

平成31 年春卒業の新規学卒者を採用した企業割合は21.2%と、前回調査(平成30 年度22.2%)より1.0 ポイント低下した。このうち、男女とも採用した企業が42.1%(同42.2%)と最も多くなっている。
採用した企業について採用区分ごとにみると、総合職については「男女とも採用」した企業が52.0%(同49.3%)と最も高く、次いで「男性のみ採用」した企業が32.2%(同32.4%)、「女性のみ採用」した企業が15.8%(同18.2%)となっている。限定総合職については「男性のみ採用」した企業の割合が52.9%(同48.5%)と最も高く、次いで「男女とも採用」した企業は24.9%(同23.3%)、「女性のみ採用」した企業は22.2%
(同28.2%)となっている。
一般職については「男性のみ採用」した企業が40.4%(同30.5%)と最も高く、次いで「男女とも採用」した企業が29.8%(同32.3%)、「女性のみ採用」した企業が29.8%(同37.2%)となっている(図3)。

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(2) 新規学卒者を採用した企業の女性の採用状況

新規学卒者の採用を行った企業を規模別にみると、企業規模が大きいほど女性を採用した企業割合が高い傾向にあり、5,000 人以上規模では100.0%、1,000~4,999 人規模では93.6%となっている。
女性を採用した企業を採用者に占める女性の割合別にみると、「80%以上」の企業割合が36.2%と最も高く、次いで「40%以上60%未満」23.5%、「20%以上40%未満」20.8%の順となっている。


3 管理職について

(1) 女性管理職を有する企業割合

女性管理職を有する企業割合についてみると、課長相当職以上の女性管理職(役員を含む。以下同じ。)を有する企業割合は51.9%(平成30 年度56.3%)、係長相当職以上の女性管理職(役員を含む。以下同じ。)を有する企業割合は59.4%(同63.2%)となっている。
また、女性管理職を有する企業割合を役職別にみると、部長相当職ありの企業は11.0%(同10.7%)、課長相当職は18.4%(同19.0%)、係長相当職は19.5%(同21.7%)となっている(図4)。

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規模別にみると、規模が大きくなるほど、各管理職の女性を有する企業割合が高くなり、5,000 人以上規模では、部長相当職の女性管理職を有する企業が70.0%、課長相当職の女性管理職を有する企業が90.3%、1,000~4,999 人規模では、部長相当職の女性管理職を有する企業が40.1%、課長相当職の女性管理職を有する企業が76.0%となっている。

(2) 管理職に占める女性の割合

課長相当職以上の管理職に占める女性の割合(以下、「女性管理職割合」という。)は11.9%と、前回調査(平成30 年度11.8%)より0.1 ポイント上昇、係長相当職以上の女性管理職割合は13.7%と、前回調査(同13.5%)より0.2 ポイント上昇した。
それぞれの役職に占める女性管理職割合は、部長相当職では6.9%(同6.7%)、課長相当職では10.9%(同9.3%)、係長相当職では17.1%(同16.7%)となっており、役員を除く各管理職で調査開始以来最も高くなっている。(図5)。

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規模別にみると、いずれの管理職割合においても10~29 人規模が最も高く、部長相当職の女性管理職割合が12.3%、課長相当職が16.3%、係長相当職が22.8%となっている(図6)。

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課長相当職以上の女性管理職割合を産業別にみると、医療,福祉(54.4%)が突出して高くなっており、教育,学習支援業(19.2%)、生活関連サービス業,娯楽業(18.1%)、宿泊業,飲食サービス業(16.9%)と続いている(図7)。

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4 昇進について

(1) 女性昇進者がいた企業割合

平成30 年10 月1日から令和元年9月30 日の間に、各役職に新たに就いた女性がいたかをみると、課長相当職以上(役員を含む。以下同じ。)への女性昇進者がいた企業割合は6.8%と、前回調査(平成27 年度7.3%)より0.5 ポイント低下、係長相当職以上への女性昇進者がいた企業割合は11.2%と、前回調査(同12.5%)より1.3 ポイント低下した。これを役職別にみると、部長相当職へは1.7%(同1.6%)、課長相当職へは4.4%(同3.8%)、係長相当職へは6.0%(同6.6%)となっている(図8)。

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規模別にみると、おおむね規模が大きくなるほど各役職とも女性昇進者を有する企業割合が高くなり、5,000 人以上規模では、部長相当職へが37.0%、課長相当職へは66.5%、係長相当職へは66.3%、1,000~4,999 人規模では、部長相当職へが16.4%、課長相当職へは39.5%、係長相当職へは54.4%であった。

(2) 昇進者に占める女性の割合

平成30 年10 月1日から令和元年9月30 日の間に、新たに役職についた昇進者に占める女性割合(以下、「女性昇進者割合」という。)は、課長相当職以上では12.0%と、前回調査(平成27 年度12.4%)より0.4 ポイント低下、係長相当職以上では16.3%と、前回調査(同15.8%)より0.5 ポイント上昇した。これを役職別にみると、部長相当職では7.6%(同8.0%)、課長相当職では13.6%(同12.1%)、係長相当職では23.1%(同20.6%)となっている(図9)。

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課長相当職以上への女性昇進者割合を産業別にみると、医療,福祉(48.6%)、生活関連サービス業,娯楽業(25.3%)、教育,学習支援業(19.3%)の順で高くなっている(図10)。

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企業規模別にみると、課長相当職以上への女性昇進者割合は、5,000 人以上規模で11.1%、1,000~4,999 人規模で8.8%、300~999 人規模で8.7%、100~299 人規模で10.5%、30~99人規模で13.9%、10~29 人規模で19.8%となっている(図11)。

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セクシュアルハラスメント防止対策について

(1) セクシュアルハラスメントを防止するための対策の取組の有無

セクシュアルハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業割合は80.2%と、前回調査(平成31 年度64.3%)より15.9 ポイント上昇した。
規模別にみると、企業規模が大きいほど割合が高く、5,000 人以上では100.0%、1,000~4,999 人では99.8%、300~999 人では99.3%、100~299 人では94.9%、30~99 人では89.2%、10~29 人では73.7%となっている(図12)。

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(2) セクシュアルハラスメントを防止するための対策の取組内容

セクシュアルハラスメントを防止するための対策に取り組んでいる企業の取組内容(複数回答)をみると、「就業規則労働協約等の書面で内容及び、あってはならない旨の方針を明確化し、周知している」が64.8%と最も高く、次いで、「当事者等のプライバシー保護に必要な措置を講じ、周知している」が53.2%、「相談・苦情対応窓口を設置している」が52.7%、「行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、周知している」が51.8%となっている(図13)。

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(3) セクシュアルハラスメントに関する事案への対応状況

過去3年間に、セクシュアルハラスメントに関する相談実績又は事案のあった企業は5.1%であった。
規模別にみると、企業規模が大きいほど割合が高く、5,000 人以上規模では90.1%、1,000~4,999 人規模では59.1%となっている。
相談実績又は事案のあった企業のうち、その事案にどのように対応したかをみると(複数回答)、「事実関係を確認した」が90.4%であった。


6 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント防止対策について

(1) 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策の取組の有無
妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業割合は75.7%と、前回調査(68.8%)より6.9 ポイント上昇した。
規模別にみると、企業規模が大きいほど割合が高く、5,000 人以上では100.0%、1,000~4,999 人では99.6%、300~999 人では96.3%、100~299 人では89.7%、30~99 人では81.8%、10~29 人では70.3%となっている(図14)。

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(2) 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策の取組内容

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策に取り組んでいる企業の取組内容(複数回答)をみると、「就業規則労働協約等の書面で方針を明確化し、周知している」が57.9%と最も高く、次いで、「相談・苦情対応窓口を設置している」が50.5%、「当事者等のプライバシー保護に必要な措置を講じ、周知している」が50.1%となっている(図15)。

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(3) 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに関する事案への対応状況

過去3年間に、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに関する相談実績又は事案のあった企業は0.5%であった。
規模別にみると、企業規模が大きいほど割合が高く、5,000 人以上規模では29.3%、1,000~4,999 人規模では11.5%となっている。
相談実績又は事案のあった企業のうち、その事案にどのように対応したかをみると(複数回答)、「事実関係を確認した」が85.6%であった。


パワーハラスメント防止対策について

パワーハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業割合は37.9%、「取組を予定又は検討している」企業割合は34.0%、「取り組んでいない」とする企業割合は28.1%であった。
規模別にみると、企業規模が大きいほど取り組んでいる企業割合が高く、5,000 人以上では87.9%、1,000~4,999 人では87.4%、300~999 人では81.4%、100~299 人では58.8%、30~99 人では42.2%、10~29 人では31.2%となっている。(図16)。

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