社会保険労務士川口正倫のブログ

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令和2年6月12日付け特例措置に関する雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)FAQ(6月15日掲載)

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令和2年6月12日付け特例措置に関する雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)FAQ(6月15日掲載)

https://www.mhlw.go.jp/content/000640014.pdf


川口補足:上限引き上げとなっても、労働保険の申告に係る賃金総額を基に計算した雇用調整助成金の受給額が休業手当の支給総額を超える場合は、休業手当の支給総額が限度になるのではと思っていましたが、計算方法は変らないようです。(雇用調整助成金の受給額が休業手当の支給総額を超えることもあります)
従って、小規模事業主は小規模事業主の特例を用いると、助成金支給額が少なくなることがありますので、次の場合は、令和1年度に年度更新に用いる雇用保険の算定に係る賃金総額を用いた助成金額も試算してみてください。

 15,000円 > 休業手当の支給総額 ÷ 休業延べ日数


(共通)

問1 令和2年6月12日付けの特例措置の主な内容を教えてください。

(答)
○令和2年6月12日付けの特例措置では、新型コロナウイルス感染症の影響により休業等を実施する事業主を支援するため、令和2年4月1日から令和2年9月30日に行われる休業及び教育訓練について、雇用調整助成金の1人1日当たり助成額の上限を8,330円から15,000円まで特例的に引き上げます。また、解雇等を行わない(※1)中小企業の助成率を10/10に引き上げ(※2)、緊急対応期間を9月末まで延長することとしています。

※1以下、①~③に該当せず、④を満たすことを指します。
①事業主に直接雇用される期間の定めのない労働契約を締結する労働者の場合、事業主都合による解雇により離職をさせること
②事業主に直接雇用される期間の定めのある労働契約を締結する労働者の場合、解雇と見なされる労働者の雇止め、事業主都合による中途契約解除となる離職をさせること
③対象事業主の事業所に役務の提供を行っている派遣労働者の場合、契約期間満了前の事業主都合による契約解除を行うこと
④雇用されている労働者(雇用保険未加入者を含む)及び派遣労働者の数が、令和2年1月24日から判定基礎期間の末日までの各月末の事業所労働者数の平均の5分の4以上であること
なお、①~③については、コロナウイルス感染症を理由とする解雇も含みます。
※2これまで解雇等を行わない中小企業の助成率は9/10(ただし、①休業等要請を受けた中小企業が一定の要件を満たす場合の助成率、②賃金の60%を超えて休業手当を支給する部分に係る助成率は10/10)


問2 令和2年6月 12 日付けの特例措置は、雇用調整助成金だけでなく、緊急雇用安定助成金も対象ですか。

(答)
○対象となります。 ただし、緊急雇用安定助成金は、 北海道 を 除き、令和2年4月1日以降 に開始された 休業が対象 となっているので、注意が必要です。


問3 令和2年6月 12 日付けの特例措置のうち、上限額の引き上げ( 8,330 円⇒15,000 円)と中小企業の助成率の拡充( 9/10 10/10 )は、いつから適用されますか。

(答)
○令和2年6月 12 日に施行され 、令和2年4月1日 から 適用されます。


問4 賃金締切期間(判定基礎期間)が、令和2年3月中に始まり令和2年4月中に末日があるような場合(例:令和2年3月16日から令和2年4月15日)は、上限額の引き上げ及び中小企業の助成率の拡充の対象になりますか。

(答)
○対象となります。令和2年6月12付けの特例措置による上限額の引上げ及び中小企業の助成率の拡充は、令和2年4月1日から令和2年9月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間(判定基礎期間)が対象です。なお、緊急雇用安定助成金は、北海道を除き、令和2年4月1日以降に開始された休業が対象となっているので、注意が必要です。


問5 賃金締切期間(判定基礎期間)が、令和2年9月中に始まり令和2年10月中に末日があるような場合(例:令和2年9月16日から令和2年10月15日)は、上限額の引き上げ及び中小企業の助成率の拡充の対象になりますか。

(答)
○対象となります。令和2年6月12日付の特例措置による上限額の引上げ及び中小企業の助成率の拡充は、令和2年4月1日から令和2年9月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間(判定基礎期間)が対象です。なお、緊急雇用安定助成金は、令和2年9月30日までに終了する休業が対象となっているので、注意が必要です。


問6 既に支給決定されている分について、追加の支給は発生するのか。

(答)
○既に雇用調整助成金を支払った分について、追加の支給が発生する場合(※)があります。
※①従前の上限額(8,330円)を超える場合(問16参照)
 ②解雇等をしていない中小企業であって、助成率引き上げの対象になる場合(問20参照)、等


問7 令和2年6月 12 日以前に雇用調整助成金を申請し、既に支給決定を受けています。令和2年6月12日付けの特例措置による上限額の引き上げ又は中小企業の助成率の拡充あるいはその両方により、差額(追加支給分)が見込まれる場合、手続きは必要でしょうか。

(答)
手続きは不要です。都道府県労働局・ハローワークで算定しなおし、既に支給した額との差額(追加支給分)を後日支給いたします。


問8 問7の場合、差額(追加支給分)はいつ頃支給されますか。

(答)
○差額(追加支給分)は令和2年7月以降順次にお支払しますので、今しばらくお待ちください。


問9 令和2年6月12日以前に雇用調整助成金を申請しましたが、まだ支給決定は受けていません。令和2年6月12日付の特例措置による上限額の引上げ又は中小企業の助成率の拡充あるいはその両方により、差額(追加支給分)が見込まれる場合、再度の手続きは必要でしょうか。

(答)
○手続きは不要です。都道府県労働局・ハローワークで算定しなおし、差額(追加支給分)を含めて一度に支給します。
※審査の状況によっては、差額(追加支給)を令和2年7月以降順次お支払いする場合があります。


問10 上限額が引き上がったため、既に雇用調整助成金の支給を受けた休業について、遡って労働者に休業手当を増額して支払った場合に、その追加で支払った休業手当について、再度支給申請することはできますか。

(答)
○令和2年9月30日までは、遡って休業等協定を締結し、休業手当を見直して(増額して)支払った場合は、再度申請していただくことは可能です。専用の様式がありますので、厚労省ホームページからダウンロードいただくとともに必要書類を添付して、管轄の労働局・ハローワークに提出(※)をお願いいたします。
(※)提出書類は以下のとおりです。
・再申請書(様式)・支給要件確認申立書(様式)
・支給決定通知書の写し・増額した休業手当・賃金の額がわかる書類
・休業させた日や時間がわかる書類(対象労働者を増やした場合)


問11 令和2年5月19日からの特例措置により「源泉所得税」の納付書等を用いた申請が認められていますが、「源泉所得税」の納付書等を用いて平均賃金額を改めて算定し、追加支給の再申請をすることはできますか。

(答)
○令和2年6月12日付けの特例措置は、企業の金銭面の負担を軽減し、高い休業手当支払率の休業手当の支給を促し、長期休業に対応した労働者の生活の安定を図るためのものです。
○一方、令和2年5月19日から「源泉所得税」の納付書等(※)を用いた平均賃金額の算定を認めていますが、これは算定方法を簡素化することを目的としたものです。
○したがって、両者はその目的が異なることから、令和2年6月12日付けの追加支給の再申請においては、平均賃金額の算定方法は前回の申請時と同様でお願いします。
※この他、確定保険料申告書による計算方法、所定労働日数の簡単な選択・算定方法、複数の休業手当支払い率に係る算定方法がありますが、いずれの場合も同様です。


問12 令和2年6月12日以降、支給申請の手続きは、どのように変わりますか。

(答)
○引上げ後の上限額により自動で計算する機能が付いた支給申請書の様式を厚生労働省ホームページに掲載します。こちらをご利用いただく他は、事業主の手続きは変わりません。


問13  問7又は問9において、差額(追加支給分)の支給を希望しない場合、どうすればよいですか。

(答)
○お手数ですが、 こちら の 様式 に 必要事項を記載いただき、 管轄の労働局・ハローワークにご連絡ください。

(上限額の引き上げ)

問14 上限額引き上げの対象は、解雇等を行っていない企業に限定されますか。

(答)
○ 解雇等の有無にかかわらず、対象になります。なお、その他、雇用調整助成金を受給するための要件もありますので、厚生労働省ホームページ又は労
働局・ハローワークまでご確認ください。


問15 上限額引き上げの対象は、中小企業に限定されますか。

(答)
○企業規模にかかわらず、対象になります。なお、その他、雇用調整助成金を受給するための要件もありますので、厚生労働省ホームページ又は労働局・ハローワークまでご確認ください。


問16 これまで新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業以外の事業主として従前の上限額(8,330円)で支給決定され、雇用調整助成金が振り込まれています。引き上げ後の上限額(15,000円)が適用され、追加の支給が行われる具体例を教えてください。

(答)
○例えば、1人日当たりの平均賃金が12,000円、休業手当支払率90%、助成率4/5の場合で、既に8,330円(従前の上限)を1人日当たりの支給額として支給決定されていた場合であっても、上限額の引き上げが適用されることにより、1人日当たりの支給額が8,640円となる場合があります。
○その場合、8,640円と8,330円の差額である310円(×従業員を休業させた休業延べ日数)が追加支給の対象となります(ただし、令和2年4月1日から令和2年9月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間(判定基礎期間)に限ります。)。


(中小企業の助成率の拡充)

問17 令和2年6月12日付けの特例措置により、令和2年5月1日付けの特例措置の拡大は、どのような取扱いになりますか。

(答)
○令和2年5月1日付けで特例措置の拡大(※)を行いましたが、令和2年度第2次補正予算案に係る特例措置については、当該特例措置を上回る措置であるため、当該特例措置は廃止しました。
※①都道府県知事による休業等の要請を受けた中でも、中小企業が解雇等を行わず雇用を維持し、かつ、100%の休業手当を支払っているなど一定の要件を満たす場合には、休業手当全体の助成率を特例的に10/10とすること。
②中小企業が解雇等を行わず雇用を維持している場合、賃金の60%を超えて休業手当を支給する部分に係る助成率を特例的に10/10とすること。


問18 10/10 への助成率の拡充の対象企業を教えてください。

(答)
○解雇等を行っていない中小企業が対象となります。なお、その他、雇用調整助成金を受給するための要件もありますので、厚生労働省ホームページ又は労働局・ハローワークまでご確認ください。


問19 大企業と中小企業の判断は、いつ時点で行うものですか。

(答)
○企業規模については対象期間の初日時点で判断するものです(初回の支給申請時に確認します。)。期間の途中で資本金等の増減があったとしても、対象期間中の企業規模の変更は行いません。


問20 これまで新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業事業主として従前の助成率(9/10)で支給決定され、雇用調整助成金が振り込まれています。拡充後の助成率(10/10)が適用され、追加の支給が行われる具体例を教えてください。

(答)
○例えば、賃金が8,000円、休業手当支払率60%、助成率9/10の場合で、既に4,320円を1人日当たりの支給額として支給決定されていた場合であっても、助成率の拡充が適用されることにより、1人日当たりの支給額が4,800円となる場合があります。
○その場合、4,800円と4,320円の差額である480円(×従業員を休業させた休業延べ日数)が追加支給の対象となります(ただし、令和2年4月1日から令和2年9月30日までの期間を1日でも含む賃金締切期間(判定基礎期間)に限ります。)。

(緊急対応期間)

問21 緊急対応期間は、なぜ令和2年4月1日から令和2年9月30日までなのですか。

(答)
○全国的に広く企業の休業が求められるようになった緊急事態宣言が発令された令和2年4月を起点とした上で、宣言が解除された後であっても、消費活動や経済情勢への影響を考慮し、雇用調整助成金の特例を一定期間続ける必要があると考えられることから、令和2年9月30日までとしております。


問22 緊急対応期間の延長により、これまで緊急対応期間の特例としていたものは、すべて延長されますか。

(答)
○貴見のとおりです。具体的には、以下のものが延長されます。
①生産指標要件の緩和(1ヶ月10%以上低下→5%以上低下)
②雇用指標要件の撤廃
雇用調整助成金の連続使用を不可とする要件(クーリング期間)の撤廃
雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成の対象に含める(緊急雇用安定助成金
⑤被保険者期間要件の撤廃(継続して雇用された期間が6ヶ月未満の者も対象とする)
⑥助成率を4/5(中小企業)、2/3(大企業)(解雇等を行わない場合は3/4(大企業))とする(従前は2/3(中小企業)、1/2(大企業)
⑦教育訓練の加算額を2,400円(中小企業)、1,800円(大企業)とする(従前1,200円)
⑧過去の受給日数に関わらず支給限度日数まで受給可能
⑨支給限度日数とは別に緊急対応期間中の休業等の日数を使用できる
⑩事業所設置後1年未満の事業所についても助成対象とする。
⑪計画届(2回目以降のものを含む。)を令和2年6月30日まで事後提出することができる※令和2年5月19日以降の申請では計画届の提出は不要。
⑫短時間一斉休業の要件の緩和
⑬自宅での教育訓練等を可能とする
⑭残業相殺は行わない
⑮半日教育訓練と半日就業を可能とする
⑯休業等規模要件の緩和(大企業1/30、中小企業1/40(従前は大企業1/15、中小企業1/20))
⑰風俗関連事業者も限定なく対象とする
⑱生産指標要件の判断期間の弾力化(雇用調整助成金FAQ(令和2年5月29日現在版問27参照
労働保険料の滞納に係る不支給要件は適用しないこととする
⑳労働関係法令違反に係る不支給要件は適用しないこととする


(出向)

問23 出向期間の要件「3ヵ月以上1年以内」が「1ヵ月以上1年以内」に見直されましたが、どの時点の出向から適用となるのでしょうか。また、遡及はされないのですか。

(答)
○この措置については、令和2年4月1日に遡ります。具体的には、令和2年4月1日から令和2年9月30日までの期間に開始する出向に適用することとします。


問24 新型コロナウイルス感染症の影響により、出向で雇用の維持を図りたいが、どこに相談したらよいか。

(答)
○(公財)産業雇用安定センターでは、各都道府県に設置した地方事務所による企業間の出向斡旋を行っています。
○今般、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に雇用過剰となった企業が、従業員の雇用を守るために人手不足等の企業との間で雇用シェア(在籍型出向)を活用しようとする場合に、双方の企業に対して出向のマッチング(「雇用を守る出向支援プログラム2020」)を無料で行っています。詳しくは、http://www.sangyokoyo.or.jp/をご覧ください。


(不正受給)

問25 不支給措置がとられている事業主でも、緊急対応期間内にある判定基礎期間に限り、雇用調整助成金を申請できることになりましたが、いつから適用されますか。

(答)
○この措置については、令和2年6月12日に施行され、令和2年4月1日から適用されます。ただし、本特例により受給した期間について、令和2年10月1日以降に不支給措置期間として追加する等の措置も同時に行われますので、詳しくは厚生労働省のホームページ又は労働局・ハローワークまでご確認ください。

(令和2年5月19日付特例措置:生産指標要件)

問26 これまで生産指標要件の確認のため、「計画届を提出する月の前月の生産量」が必要でしたが、令和2年5月19日からは計画届の提出が不要となりました。生産指標要件はどのように比較すればいいですか。

(答)
○まず売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近1ヵ月間の値で判断します。具体的には、「①休業した月」、「②休業した月の前月」、「③休業した月の前々月」のうち、いずれかの売上高などをご確認ください。
○そのうえで、「A.1年前の同じ月」の売上高などを比較し5%以上減少していることをご確認ください。1年前が適当でない場合には、「B.2年前の同じ月」又は「C. 1か月~1年前の間のいずれかの月」の売上高などと比較し、5%以上減少していることを確認する方法でも差し支えありません。
※いずれの場合も、比較する月は1か月間を通して雇用保険適用事業所であり、かつ、1か月を通して雇用保険被保険者を雇用している月である必要があります。
厚生労働省ホームページ
「雇用調整助成金の生産指標が比較しやすくなりました」R02.6.12掲載


問27 生産指標として、売上高や生産量のほか、どのようなものが該当しますか。

(答)
○生産指標は、雇用の変動と密接に結びつく指標が含まれ、個別に判断するものです。例えば、宿泊業であれば「客室の稼働率」「客数」、建設業であれば「工事請負契約数」、労働者派遣事業であれば「労働者派遣契約の件数」や「就業中の派遣労働者の数(休業中の者を除く)」なども含まれますので、管轄の労働局やハローワークにお問い合わせください。


(その他)

雇用調整助成金等の追加支給」をかたる詐欺にご注意ください!
○令和2年6月12日付け特例措置による雇用調整助成金等の追加支給に関して、厚生労働本省、都道府県労働局、ハローワーク公共職業安定所)以外から直接お電話や訪問をすることはありません。
厚生労働省都道府県労働局、ハローワーク公共職業安定所)から電話があった場合でも、事業主の金融機関の暗証番号を聞くことはありませんし、手数料などの金銭を求めることもありません。
○不審な電話・訪問があった場合はご注意ください。