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雇用調整助成金の緊急事態宣言等対応特例について

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雇用調整助成金の緊急事態宣言等対応特例について

最新情報が出てますのでこちらをご覧ください!!
sr-memorandum.hatenablog.com


すでに発表されている緊急事態宣言等対応特例について、詳細が公表されましたので概要をまとめました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000743294.pdf

1.雇用調整助成金の特例措置に係る大企業の助成率の引き上げ

雇用調整助成金では、これまで大企業の助成率は最大で3/4でしたが、緊急事態宣言に伴い、以下に示す大企業の助成率が最大10/10となります。

(1)特に業況が厳しい全国の事業主

【対象となる事業主】
AとBそれぞれの月平均値の生産指標(売上げ高等)を比較し、Aが30%以上減少している事業主
A:令和3年1月(※)から遡って3か月間の生産指標
※休業の初日が令和3年2月1日以降にある場合においては、休業の初日が属する月
B:Aの3ヶ月間の生産指標に対して、前年同期または前々年同期の生産指標

f:id:sr-memorandum:20210225205332p:plain

【対象となる休業等】
1月8日から4月末までの休業等(短時間休業を含む)

【助成率】
解雇等を行わなかった場合:10/10
解雇等を行った場合:4/5

(2)営業時間の短縮等に協力する事業主

【対象となる事業主】
以下のすべてを満たす飲食店や催物(イベント等)を開催する事業主等
①特定都道府県知事による要請等を受けて、
②緊急事態措置を実施すべき期間を通じ、
③要請等の対象となる施設(要請等対象施設)の全てにおいて、
④営業時間の短縮、収容率・人数上限の制限、飲食物の提供を控えることに協力する

【対象となる休業等】地域により異なります
要請等対象施設における以下の期間(※1)を含む判定基礎期間の休業等(短時間休業を含む)
・埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県:令和3年1月8日~令和3年4月30日(※2)
岐阜県、愛知県、京都府大阪府兵庫県、福岡県:令和3年1月14日~令和3年4月30日(※2)
・栃木県:令和3年1月14日~令和3年3月31日

【助成率】
解雇等を行わなかった場合:10/10
解雇等を行った場合:4/5

※1:各特定都道府県における緊急事態措置を実施すべき期間及びその末日の翌月末までの期間
※2:「緊急事態措置を実施すべき期間」が「3月7日まで」とされていることに伴う期間
(仮に「2月中のいずれかの日」までとされた場合、「4月30日」は「3月31日」となります)

2.雇用維持要件の緩和

【対象となる事業主】①と②は全国・③~⑤は地域毎
①直近3ヶ月の生産指標が前年(又は前々年)同期と比べて30%以上減少している全国の大企業事業主
全国の中小企業事業主
③埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力している大企業事業主
岐阜県、愛知県、京都府大阪府兵庫県、福岡県の知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力している大企業事業主
⑤栃木県の知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力している大企業事業主

【緩和の内容】
上記の【対象となる事業主】について、緊急事態宣言等対応特例の対象となる期間の休業等の雇用維持要件について、
○比較期間が、
「令和2年1月24日から判定基礎期間の末日まで」 から
令和3年1月8日から判定基礎期間の末日まで
に変更されます。
○「判定基礎期間末日の労働者数が各月末の労働者数平均の4/5以上」の要件を適用外となります。

比較期間(令和3年1月8日から判定基礎期間の末日まで)に
 解雇等を行わなかった場合は助成率10/10
 解雇等を行った場合は助成率4/5

(助成率のチェック)
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※3:Ⅰ~Ⅳの分類

①特に業況の厳しい全国の大企業事業主
②全国の中小企業事業主
③埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県で要請を受けて営業時間の短縮等に協力している大企業事業主
 ④岐阜県、愛知県、京都府大阪府兵庫県、福岡県で要請を受けて営業時間の短縮等に協力している大企業事業主
  ⑤栃木県で要請を受けて営業時間の短縮等に協力している大企業事業主
 Ⅰ~Ⅲ以外の事業主

※4:Ⅰ-③・Ⅱの期間については、※1、※2に記載のとおり変動の可能性があります。
※5:Ⅰ-③・Ⅱ・Ⅲの企業における要請等対象施設以外の施設における休業等については、Ⅳの企業と同様です。(雇用維持要件の緩和は適用されません)。
※6:「判定基礎期間末日の労働者数が各月末の労働者数平均の4/5以上」が適用されます。

3.緊急事態宣言等対応特例の支給申請

(1)提出書類

特例の対象となる休業等についてまだ申請していない事業主は、令和3年5月31日までに次の書類を提出します。

①営業時間の短縮等に協力する大企業事業主
「追加支給申請に係る申出書(様式)」、「事業活動の状況に関する申出書(様式)」、「支給要件確認申立書(様式)」、「支給申請書(様式)」、「助成額算定書【要請対象施設/要請対象施設以外】(様式)」、「休業実績一覧表【要請対象施設/要請対象施設以外】(様式)」、「休業協定書」、「生産指標の確認のための書類」、「休業させた日や時間がわかる書類」、「要請対象施設の所在地、その施設における対象労働者を確認できる書類」

②特に業況が厳しい全国の大企業事業主
「追加支給申請に係る申出書(様式)」、「事業活動の状況に関する申出書(様式)」、「支給要件確認申立書(様式)」、「支給申請書(様式)」、「助成額算定書(様式)」、「休業実績一覧表(様式)」、「休業協定書」、「生産指標の確認のための書類(30%以上の減少がわかる書類)」、 「休業させた日や時間がわかる書類」

③中小企業事業主
「追加支給申請に係る申出書(様式)」、「事業活動の状況に関する申出書(様式)」、「支給要件確認申立書(様式)」、「支給申請書(様式)」、「助成額算定書(様式)」、「休業実績一覧表(様式)」、「休業協定書」、「生産指標の確認のための書類」、 「休業させた日や時間がわかる書類」

※:特例の対象となる休業等についてすでに支給申請している事業主の方は、4を参照して下さい。
※:2回目以降の申請では提出が不要な書類もあります。詳しくは雇用調整助成金ガイドブックをご覧下さい。

(2)申請期限

通常は、判定基礎期間の末日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行う必要がありますが、緊急事態宣言等対応特例に係る申請については、令和3年3月31日までに判定基礎期間の末日がある休業等について、令和3年5月31日まで申請を可能とします。
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4.その他

支給申請はお済みでまだ支給決定されていない事業主の方
● 管轄の労働局等にご連絡下さい
● 差額(追加支給分)をどのような形で支払うか、管轄の労働局にお伺いください。
※ 審査の状況によっては、一旦支給決定し、そのあと追加支給申請となる場合があります。

すでに支給決定された事業主の方
● 追加支給のために、追加支給申請の手続きが必要となります
● 令和3年5月31日までに次の書類をご提出ください

①営業時間の短縮等に協力する大企業事業主
「追加支給申請に係る申出書(様式)」、「支給要件確認申立書(様式)」、「支給申請書(様式)」、「助成額算定書【要請等対象施設/要請等対象施設以外】(様式)」、「休業等実績一覧表【要請等対象施設/要請等対象施設以外】(様式)」、「支給決定通知書」、「休業させた日や時間がわかる書類(対象労働者を増やした場合)」「要請等対象施設の所在地、その施設における対象労働者を確認できる書類」

②特に業況が厳しい全国の大企業事業主
「追加支給申請に係る申出書(様式)」、「事業活動の状況に関する申出書(様式)」、「支給要件確認申立書(様式)」、「支給決定通知書」、「生産指標の確認のための書類」、「休業させた日や時間がわかる書類(対象労働者を増やした場合)」

③中小企業事業主
「追加支給申請に係る申出書(様式)」、「支給要件確認申立書(様式)」、「支給決定通知書」、「休業させた日や時間がわかる書類(対象労働者を増やした場合)」

お問い合わせ先

ご不明な点は、下記のコールセンターもしくは最寄りの都道府県労働局およびハローワークまでお問い合わせ下さい。

学校等休業等助成金・支援金、雇用調整助成金コールセンター
0120-60-3999  受付時間9:00~21:00 土日・祝日含む

5.主なQ&A

その他のQ&Aはこちらをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

Q.両方の特例内容に該当するのですが、どちらを選べば良いでしょうか

業況に関する特例は全国で適用されますので、業況に関する特例をお選び下さい。

Q.特例に係る支給申請はどうやって行えばよいですか。

特例用の様式を厚生労働省のホームページに掲載していますので、ダウンロードいただいた上で申請を行ってください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html

Q.既に特例用の様式を使わずに支給申請を行ってしまったのですが、どうしたら良いでしょうか

まずは、管轄の労働局等にご連絡下さい。既に支給決定通知書をお受け取りになっている場合は、所定の様式を用いて追加支給申請を行っていただくことになります。

Qこれまで二若しくは三の連続する判定基礎期間をまとめて支給申請をしてきましたが、本特例が実施された後も特例実施前と実施後の判定基礎期間をまとめて支給申請できるでしょうか。

まとめて支給申請をしていただくことは可能です。その際、緊急事態宣言等対応特例の期間とその前の期間で支給請書類が異なりますので、必ずそれぞれの判定基礎期間ごとに申請書類の作成を行って下さい。

Q.助成率引き上げの対象となる休業等の期間がよくわかりません。

特に業況の厳しい事業主の方については、全国一律で、令和3年1月8日~令和3年4月30日までを1日でも含む判定基礎期間の休業等が対象となります。
・営業時間の短縮等に協力する事業主の方については、各都道府県における緊急事態措置を実施すべき期間及びその翌月末までの期間を1日でも含む判定基礎期間の休業等が対象となります。
例)栃木県の場合:令和3年1月14日~令和3年3月31日までを1日でも含む判定基礎期間

Q特定都道府県以外の都道府県に事業所を設置している事業主が、特定都道府県内の要請等対象施設において要請等に応じて休業等を実施した場合、特例の対象となりますか。

特定都道府県内で要請等対象施設について実施する休業については対象となります。

Q.特定都道府県内で要請等対象施設において休業等を実施している事業主が、要請等対象施設以外の施設についても休業をしています。この場合、要請等対処施設に該当しない施設の助成率はどのようになるでしょうか。また、支給申請はどのように行うのでしょうか。

特定都道府県の知事の要請等の内容(期間、施設の制限等)に応じて協力する店舗で就労する労働者のみが対象になります。そのため、本特例事業主が実施した要請等対象施設以外の施設での休業等には従来の助成率(最大3/4)、及び雇用維持要件(令和2年1月24日からの確認)が適用されます。
支給申請を行う場合は、要請等対象施設、要請等対象施設以外の施設についてそれぞれ所定の様式を作成し、申請を行ってください。