社会保険労務士川口正倫のブログ

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労働者災害補償保険法の重要な通達②

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<h2>労働者災害補償保険法の重要な通達②~社労士試験に出るかも</h2>

労働者災害補償保険法の重要な通達① こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達② こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達③ こちら

労働者災害補償保険法第13条 療養補償給付は、療養の給付とする。*1

2 前項の療養の給付の範囲は、次の各号(政府が必要と認めるものに限る。)による。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
六 移送
 
治癒の解釈(昭和23年基災発3号)
治癒とは、症状が安定し、疾病が固定した状態にあるものをいうのであって、治療の必要がなくなったものをいう。
 
療養補償給付となる温泉療養と、療養補償給付とならない温泉療養(昭和22年基発515号等)
療養を行うべき範囲は、医師が療養上必要と認めたものをいい、現実に必要な療養のために用いた費用はそのまま支給される。ただし、医師が直接の指導を行わない温泉療養には、療養補償給付を支給しないが、病院等の附属施設で医師が直接指導するものについては、この限りではない。
 
労働者災害補償保険法第14条 休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第四日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の百分の六十に相当する額とする。
ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(第八条の二第二項第二号に定める額(以下この項において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額)の百分の六十に相当する額とする。
 
休業最初の3日間の取扱い(昭和40年基発901号)
① 負傷又は疾病が、当日の所定労働時間内に発生し、所定労働時間の一部について労働することができない場合については、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額100分の60以上の金額が支払われているときであっても、休業補償が行われたものとして取扱うこととなるので、その日は「休業する日」とされる(休業補償は賃金に該当しないため、待期期間に算入される)。
② 通院等のため所定労働時間の一部について労働することができない場合で、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の100分の60以上の金額が支払われている場合にも、休業最初3日間について休業補償が行われたものとして取り扱うこととされている(この場合も、待期期間に算入される)。
 
治癒後の療養(昭和24年基収275号・3535号)
治癒した後に行う義肢の装着は療養の範囲に属するものではないから、たとえ義肢装着のため診療所に入所しても、その入所期間中の休業に対して休業補償給付は支給されない。
 
賃金を受けていないこと(昭和40年基災発14号)
事業主から賃金を受けていないこととは、次のような日が該当すると解釈されている。
・全く働けない日で、事業主から平均賃金の60%未満の金額しか受けていない日
・1日の一部しか働けない場合で、その労働できない時間について、賃金を全く受けないか、平均賃金と実際の労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満の金額しか受けない日
 
 
 労働者災害補償保険法第18条第2項 傷病補償年金を受ける者には、休業補償給付は、行わない。

 

療養補償給付と傷病補償年金(昭和52年基発192号)

傷病補償年金と、休業補償給付は併給できないが、傷病が治癒するまで行われる療養補償給付と傷病補償年金は、併給することができる。*3

 

消滅後の該当(昭和52年基発192号)

傷病補償年金の受給権者の障害の程度が傷病等級に該当しなくなったときは、傷病補償年金の受給権は消滅するが、その者の同一の傷病による障害の程度が再び傷病等級に該当するに至った場合には、当然その者に再び傷病補償年金が支給されることとなる。*4

 

 

労働者災害補償保険法第15条の2 障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があつたため、新たに別表第一又は別表第二中の他の障害等級に該当するに至つた場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至つた障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない。

 

障害の程度が自然的に変更した場合(昭和41年基発73号)

障害補償年金の支給事由となっている障害の程度が、自然的に変更した場合(新たな傷病、又は傷病の再発にならない変更)には、職権又は請求により、その変更が障害等級第1級から第7級(年金)の範囲であるときは、その変更のあった月の翌月から障害補償年金の額を改定し、その変更が障害等級第8級以下(一時金)に及ぶときは、その月までで障害補償年金の支給を打ち切り、障害補償一時金を支給する。*5

 

 

労働者災害補償保険法第12条の8第4項 介護補償給付は、障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であつて厚生労働省令で定める程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く。)、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。
一 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設(以下「障害者支援施設」という。)に入所している間(同条第七項に規定する生活介護(以下「生活介護」という。)を受けている場合に限る。)

二 障害者支援施設(生活介護を行うものに限る。)に準ずる施設として厚生労働大臣が定めるものに入所している間
三 病院又は診療所に入院している間
 

労働者災害補償保険法第18条の3の5 障害補償年金を受ける権利を有する者が介護補償給付を請求する場合における当該請求は、当該障害補償年金の請求と同時に、又は請求をした後に行わなければならない。

2 介護補償給付の支給を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

 

傷病補償年金を受ける権利を有する者の介護補償給付の請求(平成8年基発95号)

 介護補償給付の請求は、障害補償年金を受ける権利を有する者については障害補償年金の請求と同時又は請求後に行わなければらないが、傷病補償年金を受ける権利を有する者については、当該傷病補償年金の支給決定を受けた後に行わなければならない。

 

 

労働者災害補償保険法第16条の2 遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であつて、労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していたものとする。ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)以外の者にあつては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

一 夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、父母又は祖父母については、六十歳以上であること。
二 子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること。
三 兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること又は六十歳以上であること。
四 前三号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。
 
婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者(平成10年基発627号)

 遺族補償給付を受けることができる配偶者には「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情があった者」も含まれ、重婚的内縁関係にあった者でも、届出による婚姻関係がその実態を失って形骸化して、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みがなかった場合には、当該事実上の婚姻関係にあった者が、遺族補償給付を受けることできる配偶者となり得る。

 

生計維持の認定基準(昭和41年基本発73号)

「生計を維持していた」とは、専ら又は主として労働者の収入によって生計を維持していることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持していれば足りる。

 

 

労働者災害補償保険法第17条 葬祭料は、通常葬祭に要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める金額とする。

労働者災害補償保険法第12条の8第2項 前項の保険給付(傷病補償年金及び介護補償給付を除く。)は、労働基準法第七十五条から第七十七条まで、第七十九条及び第八十条に規定する災害補償の事由又は船員法(昭和二十二年法律第百号)第八十九条第一項、第九十一条第一項、第九十二条本文、第九十三条及び第九十四条に規定する災害補償の事由(同法第九十一条第一項にあつては、労働基準法第七十六条第一項に規定する災害補償の事由に相当する部分に限る。)が生じた場合に、補償を受けるべき労働者若しくは遺族又は葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて行う。

*10

 

葬祭を行う者(昭和23年基災収2965号)

必ずしも現実に葬祭を行った者であることを要しない。葬祭料は、通常は葬祭を行う遺族に支給されるが、葬祭を行う遺族がない場合において、事業主、友人等が葬祭を行ったときは、当該事業主又は友人等に支給されることとなる。

 

社葬があった場合の葬祭料(昭和23年基災収2965号)

・恩恵的、厚意的性質に基づき社葬が行われた場合、葬祭料は遺族に支給される。
・葬祭を行う遺族がおらず、会社が葬祭を行った場合、葬祭料は当該会社に支給される。
 

労働者災害補償保険法の重要な通達① こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達② こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達③ こちら

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感想(1件)

*1:業務上の傷病が再発した場合は、業務上の疾病として再び療養補償給付等を受けることができる。

*2:休業最初の3日間については、1日のうち一部でも休業していれば待期としてカウントされる。

*3:傷病補償年金を受ける者とは、傷病補償年金の支給決定を受けた者に限らず、傷病補償年金の支給要件を満たすこととなった者をいう。

*4:傷病補償年金の支給は支給事由の生じた月の翌月から初め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるため、傷病補償年金の支給事由が生じた場合にも、その支給事由の生じた月の末日まで、引き続き休業補償給付が行われる。

*5:障害の程度の変更により障害補償給付の変更が行われるのは、障害補償年金を受けている労働者の場合に限られ、障害補償一時金を受けた場合には、変更は行われない。

*6:介護補償給付又は介護給付における介護を要する障害の程度については、労災保険法施行規則別表3の要介護障害区分表によって定めれている。また、第2級以上のすべての障害が対象となるわけではない。

*7:労働者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、受給資格者の規定の適用については、将来に向かって、その子は労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持されていた子とみなされる。この場合、当該子が労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していなかった母(死亡労働者の妻)から出生した場合であっても、当該子は、将来に向かって受給資格者となる。

*8:遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序とされる。

*9:受給資格者の要件は「労働者の死亡の当時」に満たさなければならないため、死亡後に年齢要件、障害要件を満たしても受給資格者とはならない。

*10:葬祭料の支給額は給付基礎日額によって決まるため、支給請求手続において、葬祭に要した費用(領収書)の添付は不要。