社会保険労務士川口正倫のブログ

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労働者災害補償保険法の重要な通達①

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労働者災害補償保険法の重要な通達①~社労士試験に出るかも

労働者災害補償保険法の重要な通達① こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達② こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達③ こちら



労働者災害補償保険法第3条 この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。*1

事業とは(昭和62年発労徴6号・基発59号)
事業とは、業として反復継続的に行われているものでなければならないが、営利を目的とするものでなくてもよい。

派遣労働者の扱い(昭和61年基発383号)
派遣労働者に係る労災保険の適用については、派遣元事業主の事業に係る保険関係により取り扱われる。

出向の場合の扱い(昭和35年基発932号)
出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向契約並びに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定される。

労働者災害補償保険法第7条 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
一 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付
二 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付
三 二次健康診断等給付

派遣労働者に係る業務災害の認定について(昭和61年基発383号)
派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある場合及び派遣元事業主と派遣先事業主との間の労働者派遣契約に基づき派遣先の支配下にある場合には、一般に業務遂行性があるものとして取り扱う。
なお、派遣元事業場と派遣先事業場との間の往復の行為については、それが派遣元事業主又は派遣先事業主の業務命令によるものであれば一般に業務遂行性が認められる。

出張途上の事故(昭和34年基収2980号・昭和24年基収3001号)
自宅から出張に赴いて直接自宅に帰る慣行があるときは、自宅を出てから帰るまでが出張とされ、私的行為中の事故を除き、業務災害である。

移動間の災害の保険関係(平成18年基発0331042号)
事業場間移動は当該移動の終点たる事業場において労務の提供を行うために行われる通勤であると考えられ、当該移動の間に起こった災害に関する保険関係については、終点たる事業場の保険関係で行う。

通勤災害とは(平成3年基発75号)
通勤に通常伴う危険が具体化して生じた負傷、疾病、障害又は死亡をいう。*2

労働災害補償保険法第7条第2項 前項第二号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。*3
一 住居と就業の場所との間の往復
二 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
三 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)

労働者災害補償保険法第7条第3項 労働者が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項各号に掲げる移動は、第一項第二号の通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない

(日常生活上必要な行為)
労働者災害補償保険法第8条 法第七条第三項の厚生労働省令で定める行為は、次のとおりとする。
一 日用品の購入その他これに準ずる行為
二 職業訓練、学校教育法第一条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であつて職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
三 選挙権の行使その他これに準ずる行為
四 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
五 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

要介護状態にある夫の父の介護(平成20年基発0401042号)
やむを得ない事情により、就業の場所から帰宅途中に最小限の時間、要介護状態にある夫の父を介護するために夫の父の家に立ち寄っている場合に、介護終了後、合理的な経路に復した後は、再び通勤に該当する。

美容院(昭和50年基収3309号・昭和58年基発420号)
通勤の途中、美容院へ立ち寄る行為は、特段の事情が認められる場合を除き、日常生活上必要な行為である。

労働者災害補償保険法第8条 給付基礎日額は、労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額とする。この場合において、同条第一項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、前条第一項第一号及び第二号に規定する負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によつて同項第一号及び第二号に規定する疾病の発生が確定した日(以下「算定事由発生日」という。)とする。

日雇労働者の給付基礎日額(昭和38年労告52号)
給付基礎日額の算定方法は、負傷もしくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日以前3か月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定することを原則とする*4が、日雇労働者の給付基礎日額の算定は、一般常用労働者の平均賃金と同一に取扱うのは適当でないため、労働基準法12条7項の厚生労働大臣の定める金額に相当する額とする。

労働者災害補償保険法第11条 この法律に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

未支給の保険給付とは(昭和41年基発73号)
・支給事由が生じた保険給付であって、まだ請求されていないもの。
・請求はあったがまだ支給決定がないもの。
・支給決定はあったがまだ支払われていないもの。

未支給の保険給付の請求権者となる者がいないとき(昭和41年基発73号)
未支給の保険給付の請求権者となる者がいないときは、死亡した者の相続人が未支給の保険給付の請求権者となり、また、未支給の保険給付の請求権が、その支給を受けないうちに死亡した場合には、その者の相続人がその支給を受けることとなる。

労働者災害補償保険法第12条の2の2 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。
2 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
*5

故意とは(昭和40年基発901号)
故意とは、自己の行為により一定の結果が生ずることを認識し、かつ、その結果の発生を認容していることをいう。


労働者災害補償保険法 第12条の5 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。
2 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、年金たる保険給付を受ける権利を独立行政法人福祉医療機構法(平成十四年法律第百六十六号)の定めるところにより独立行政法人福祉医療機構に担保に供する場合は、この限りでない。

労働契約の期間終了(昭和23年基収2370号)
業務上の負傷による療養のため労働することができないために資金を受けない労働者として休業補償給付を受けていた者の労働関係が労働契約の期間満了によって解消した場合には、療養のため労働することができないために賃金を受けない状態であっても、引き続いて休業補償給付を受けることはできる。*6

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労働者災害補償保険法の重要な通達② こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達③ こちら

*1:1人でも労働者を使用する事業は、原則としてすべて適用事業となる。

*2:業務上の疾病は別表で例示列挙されているが、通勤による疾病は具体的な疾病の種類が列挙されていない。

*3:「就業に関し」とは、移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要とする趣旨である。つまり、通勤と認められるには、移動行為が業務と密接な関連をもって行われることを要する。

*4:労働基準法12条の平均賃金に相当する額

*5:二次健康診断給付は、この支給制限の対象とはならない。

*6:退職の理由にかかわらず受給権が変更されることはない。