社会保険労務士川口正倫のブログ

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労働者災害補償保険法の重要な通達③

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労働者災害補償保険法の重要な通達③~社労士試験にでるかも

労働者災害補償保険法の重要な通達① こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達② こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達③ こちら

労働者災害補償保険法第29条第1項 政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。
一 療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害及び通勤災害を被つた労働者(次号において「被災労働者」という。)の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
二 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業
三 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業

労災就学援護費(昭和45年基発774号・平成6年基発403号)
・重度障害者とは、障害等級第1級から第3級までの障害補償年金又は障害年金を受けているものであり、傷病補償年金又は傷病年金を受けている労働者にあっては、傷病の程度が特に重い者に限られる。
・労災就学援護費の支給者対象者は、小学生から大学生で、在学者等が婚姻したときその他の欠格事由に該当したときは、原則として、その該当する月の翌月以降、当該在学者等に係る労災就学援護費の支給は行わない。
・労災就学援護費は、その支給要件を満たす者で申請があったものに支給される。また、返還を要しない。

傷病特別支給金の支給手続(昭和56年基発393号)*1
・当分の間、事務処理の便宜を考慮し、傷病補償年金又は傷病年金の支給の決定を受けた者は、傷病特別支給金の申請を行ったものとして取り扱って差し支えない。


労働者災害補償保険法第12条の4 政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2 前項の場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。
*2

三者の行為によって生じた事故(平成25年基発0329第11号)
政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価値の限度で保険給付を行わないことができる。この場合において、対象となる保険給付は、災害発生後7年以内に支給事由が生じた保険給付(年金たる保険給付については、この7年間に係るものと限る。)とされている。
政府は、第三者の行為によって生じた事故を原因とする業務災害について保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度で、受給者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。この 場合において、対象となる保険給付は、災害発生後3年以内に支給事由が生じた保険給付(年金たる保険給付については、この3年間に係るものに限る。)とされている。


労働者災害補償保険法附則第64条 労働者又はその遺族が障害補償年金若しくは遺族補償年金又は障害年金若しくは遺族年金(以下この条において「年金給付」という。)を受けるべき場合(当該年金給付を受ける権利を有することとなつた時に、当該年金給付に係る障害補償年金前払一時金若しくは遺族補償年金前払一時金又は障害年金前払一時金若しくは遺族年金前払一時金(以下この条において「前払一時金給付」という。)を請求することができる場合に限る。)であつて、同一の事由について、当該労働者を使用している事業主又は使用していた事業主から民法その他の法律による損害賠償(以下単に「損害賠償」といい、当該年金給付によつててん補される損害をてん補する部分に限る。)を受けることができるときは、当該損害賠償については、当分の間、次に定めるところによるものとする。
一 事業主は、当該労働者又はその遺族の年金給付を受ける権利が消滅するまでの間、その損害の発生時から当該年金給付に係る前払一時金給付を受けるべき時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該前払一時金給付の最高限度額に相当する額となるべき額(次号の規定により損害賠償の責めを免れたときは、その免れた額を控除した額)の限度で、その損害賠償の履行をしないことができる。
二 前号の規定により損害賠償の履行が猶予されている場合において、年金給付又は前払一時金給付の支給が行われたときは、事業主は、その損害の発生時から当該支給が行われた時までの法定利率により計算される額を合算した場合における当該合算した額が当該年金給付又は前払一時金給付の額となるべき額の限度で、その損害賠償の責めを免れる。

2 労働者又はその遺族が、当該労働者を使用している事業主又は使用していた事業主から損害賠償を受けることができる場合であつて、保険給付を受けるべきときに、同一の事由について、損害賠償(当該保険給付によつててん補される損害をてん補する部分に限る。)を受けたときは、政府は、労働政策審議会の議を経て厚生労働大臣が定める基準により、その価額の限度で、保険給付をしないことができる。ただし、前項に規定する年金給付を受けるべき場合において、次に掲げる保険給付については、この限りでない。
一 年金給付(労働者又はその遺族に対して、各月に支給されるべき額の合計額が厚生労働省令で定める算定方法に従い当該年金給付に係る前払一時金給付の最高限度額(当該前払一時金給付の支給を受けたことがある者にあつては、当該支給を受けた額を控除した額とする。)に相当する額に達するまでの間についての年金給付に限る。)
二 障害補償年金差額一時金及び第十六条の六第一項第二号の場合に支給される遺族補償一時金並びに障害年金差額一時金及び第二十二条の四第三項において読み替えて準用する第十六条の六第一項第二号の場合に支給される遺族一時金
三 前払一時金給付

民事損害賠償と遺族補償年金との支給調整(昭和56年基発60号・平成5年発基29号)
遺族補償年金の先順位の受給権者が遺族補償年金前払一時金を受けた後失権した場合に、後順位の受給権者が遺族補償年金を受けることとなったときには、後順位の受給権者について、民事損賠賠償と遺族補償年金との支給調整は行われない。

事業主の民事損害賠償の調整(昭和56年基発696号)
事業主が遺族補償年金に相応する民事損害賠償を免れることができる場合にもかかわらず、事業主が損害賠償を行ったときは、前払い一時金給付の最高限度額に達するまでの間の年金給付については、調整されず支給される。

企業内労災補償の支給調整(平成5年発基29号)
企業内労災補償は、一般的に労災保険給付が支給されることを前提としながら上積みして給付する趣旨のものであるので、企業内労災補償については、その制度を定めた労働協約就業規則その他の規程の文面上労災補償給付相当分を含むことが明らかである場合を除き、労災保険給付の支給調整は行わない。

労働者災害補償保険法第31条第1項 政府は、次の各号のいずれかに該当する事故について保険給付を行つたときは、厚生労働省令で定めるところにより、業務災害に関する保険給付にあつては労働基準法の規定による災害補償の価額の限度又は船員法の規定による災害補償のうち労働基準法の規定による災害補償に相当する災害補償の価額の限度で、通勤災害に関する保険給付にあつては通勤災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。
一 事業主が故意又は重大な過失により徴収法第四条の二第一項の規定による届出であつてこの保険に係る保険関係の成立に係るものをしていない期間(政府が当該事業について徴収法第十五条第三項の規定による決定をしたときは、その決定後の期間を除く。)中に生じた事故
二 事業主が徴収法第十条第二項第一号の一般保険料を納付しない期間(徴収法第二十七条第二項の督促状に指定する期限後の期間に限る。)中に生じた事故
三 事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故

事業主の故意又は重大な過失(昭和47年基発643号)
事業主が故意又は重大な過失により業務災害を生じさせ、政府により、保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収されるのは、事業主が法令に規定された危害防止のための措置に違反した場合に限らず、法令に規定されていないが、事故発生の危険が明白かつ急迫であるため、事業主が監督行政庁より直接的かつ具体的な措置について指示を受け、その措置を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められるときにも費用徴収が行われる。*3



一人親方等の特別加入の要件
一人親方等が特別加入するためには、次の要件を満たしていることが必要である。
① 一人親方等の団体又は特定作業従事者の団体が、その構成員又はその構成員が行う事業に従事する者の業務災害及び通勤災害*4に関して労災保険の適用を受けることについての申請*5をし、政府の承認を受けること。
② 家族従事者等があるときは、それらの者すべてを包括して加入すること。

特別加入者の通勤災害に関する保険給付(平成13年基発233号)
「通勤災害に関する保険給付」を受けることができないのは、一人親方等の特別加入者のうち一定の者だけである。

一人親方等又は特定作業従事者として特別加入している者(平成3年基発259号9)*6
いわゆる一人親方等又は特定作業従事者として特別加入している者は、その特別加入に係る団体の解散があったときは、その解散の日の翌日にその特別加入者たる地位が自動的に消滅する。
いわゆる一人親方等として特別加入している者は、同一の種類の事業又は同一の種類の作業に関しては、当該特別加入に係る団体以外の団体を通じたとしても重ねて特別加入をすることができない。

労働者災害補償保険法第42条 療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び二次健康診断等給付を受ける権利は、二年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、五年を経過したときは、時効によつて消滅する。*7

傷病補償年金(昭和52年基発192号)
傷病補償年金については、労働者の請求によらず、政府の職権によって支給決定がなされるため、時効の規定は適用されない。


労働者災害補償保険法の重要な通達① こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達② こちら

労働者災害補償保険法の重要な通達③ こちら



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感想(1件)

*1:社会復帰促進等事業の中で被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業として行われるものの一つがこの特別支援支給金である。

*2:被災労働者又はその遺族が保険給付の受給権を有し、かつ、同一の事由について、第三者からも損害賠償を受けることができる場合には、二重のてん補を受ける可能性があるため、調整の規定が設けられている。

*3:療養(補償)給付、介護(補償)給付、二次健康診断等給付、特別支給金に係る保険給付については、費用徴収は行われない。

*4:一定の者については、通勤災害が非適用とされる。

*5:特別加入の申請をしようとする団体(家内労働者等の団体、船員法1条に規定する船員が行う事業に従事する一人親方の団体を除く。)は、あらかじめ、特別加入する者の業務災害の防止に関し、当該団体が講ずべき措置及びこれらの者が守るべき事項を定めなければならない。

*6:個別に特別加入の申請を行うことはできない。必ず団体を通じて特別加入することになる。

*7:療養の給付(療養の費用の支給に係るものを除く。)については、時効の規定は適用されない。