社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

【ハラスメント】電通事件(最二小判平成12.3.24民集54巻3号155頁)

電通事件(最二小判平成12.3.24民集54巻3号155頁)

参照法条 : 民法709条、民法715条、民法415条、民法722条2項、民法418条
裁判年月日 : 2000年3月24日
裁判所名 : 最高二小
裁判形式 : 判決
事件番号 : 平成10年 (オ) 217 、平成10年 (オ) 218

1.事件の概要

訴外Aは、大学を卒業後、大手広告代理店のY社に就職し、イベントなどの企画立案に従事していたところ、長時間労働が続き、だんだん疲労困憊状態になり、これにAの上司も気づいていたが、増員などの措置は講じなかった。そしてAは、うつ病に罹り、自宅で自殺した。そこで、両親であるXらは、Y社に対し、損害賠償を請求した。なお、Y社の所定労働時間では、1か月147時間、年間1,764時間であったが、Aの年間の労働時間は、3,528時間に相当する長さであった。第一審は、1億2,600万円の損害賠償を認めた。しかし、第二審は、本人の性格(うつ病に親和的)のほか、病院に行かなかった、同居している親にも責任がある、という過失を認め、賠償額を3割減額した。最高裁は、本判決でこの減額した判断を見直すよう原審に破棄差し戻した(なお、その後、高裁で和解が成立した)。

2.判決の概要

労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労心理的負担等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。・・・(中略)労働保護法規は、(中略)・・・右のような危険が発生するのを防止することをも目的とするものと解される。これらのことからすれば、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労心理的負担等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである。


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