社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた妊娠中の女性労働者等への配慮について

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職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた妊娠中の女性労働者等への配慮について

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10656.html

厚生労働省から、経済団体(日本経済団体連合会日本商工会議所全国商工会連合会全国中小企業団体中央会)及び労働団体日本労働組合総連合会)へ、職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた妊娠中の女性労働者等への配慮について要請がありました。
今回の要請は、職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、妊娠中の女性労働者等に配慮した、休みやすい環境整備、テレワークや時差通勤の活用促進等について、各企業における取組が促進されるよう、協力を求めることを目的としたものです。

【要請内容のポイント】
○ 現時点での医学的知見では、妊娠後期に新型コロナウイルス感染症に感染したとしても、経過や重症度は非妊婦と変わらないとされているが、新型コロナウイルスに限らず一般的に、妊娠中に肺炎を起こした場合、妊娠していない時に比べて重症化する可能性があること。また、新型コロナウイルス感染症に係る現状のなかで不安を感じている場合もあること。
○ パートタイム労働者、派遣労働者、有期契約労働者など、多様な働き方で働く人も含めて、妊娠中の女性労働者への配慮がなされるよう、次の取組の促進に向けて協力いただくこと。

 🔴 妊娠中の女性労働者が休みやすい環境の整備
 🔴 感染リスクを減らす観点からのテレワークや時差通勤の積極的な活用の促進
 🔴 妊娠中の女性労働者も含めた従業員の集団感染の予防のための取組実施 など

※ 高齢者や基礎疾患がある方についても、これらの取組の促進に向けた協力を要請。

(全文)
職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた妊娠中の女性労働者等への配慮について

1.従業員の感染予防に努める上での留意事項

新型コロナウイルス感染症対策については、令和2年3月19 日に開催された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議において「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」が示され、今後の見通しとしては、これまでの努力を続けなければ、クラスターの大規模化や感染の連鎖、さらには全国のどこかの地域で患者の急激な増加、いわゆるオーバーシュートが生じる可能性が指摘されています。
また、同提言においては、多様な働き方で働く方も含めて、従業員の感染予防に努めていただく上での留意事項が以下のとおり示されています。

  • 労働者が発熱などの風邪症状が見られる際に、休みやすい環境の整備
  • テレワークや時差通勤の活用推進
  • 同提言の別添「多くの人が参加する場での感染対策のあり方の例」の2)クラスター(集団)感染発生リスクの高い状況の回避のための取組に準じて、

従業員の集団感染の予防にも十分留意 など


2.妊娠中の女性労働者等への配慮
現時点での医学的知見では、妊娠後期に新型コロナウイルス感染症に感染したとしても、経過や重症度は非妊婦と変わらないとされていますが、新型コロナウイルスに限らず一般的に、妊娠中に肺炎を起こした場合、妊娠していない時に比べて重症化する可能性があります。さらに、妊娠中の女性労働者は、新型コロナウイルス感染症に係る現状のなかで不安を感じている場合もあります。
貴団体におかれましては、こうした状況を御理解いただくとともに、パートタイム労働者、派遣労働者、有期契約労働者など、多様な働き方で働く人も含くめて、妊娠中の女性労働者への配慮がなされるよう、

  • 妊娠中の女性労働者が休みやすい環境の整備
  • 感染リスクを減らす観点からのテレワークや時差通勤の積極的な活用の促進
  • 妊娠中の女性労働者も含めた従業員の集団感染の予防のための取組実施

などについて、傘下団体・企業等における取組の促進に向けて、御協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
また、労働者を休ませる場合の賃金の取扱いについては、妊娠中の女性労働者も、労働基準法第26 条において、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に休業手当(平均賃金の100 分の60 以上)を支払わなければならないこととしています。しかし、例えば、新型コロナウイルス感染症に関連して不可抗力により労働者を休業させる場合等で、休業手当の支払いが不要となるときでも、労使の話し合いの上、有給の特別休暇制度を設ける等により、就業規則等において休業させたことに対する手当を支払うことを定めていただくことが望ましいことにご留意ください。この際、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、正規雇用・非正規雇用にかかわらず、妊娠中の女性労働者を休業させた場合、雇用調整助成金の対象になり得ることも踏まえ、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、安心して休ませることができる体制を整えていただくようお願いします。
なお、妊娠中の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた場合には、事業主は、男女雇用機会均等法に基づき、その女性労働者が受けた指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置(通勤緩和、休憩に関する措置、妊娠中の症状等に対応する措置)を講じる必要があります。
こうした措置についても、引き続き、適切に講じていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
(※)このほか、高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患など)を有する方は、重症化するリスクが高いと考えられていますので、休みやすい環
境の整備等の取組の促進に向けて、御協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。