社会保険労務士川口正倫のブログ

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70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)(令和3年4月1日施行)

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70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)(令和3年4月1日施行)

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000626609.pdf

改正の趣旨

少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図ることが必要。
個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務を設ける。

現行制度

事業主に対して、65歳までの雇用機会を確保するため、高年齢者雇用確保措置(①65歳まで定年引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入、③定年廃止)のいずれかを講ずることを義務付け。
平成24年度の法改正により、平成25年度以降、制度の適用者は原則として「希望者全員」となった。ただし、24年度までに労使協定により制度適用対象者の基準を定めていた場合は、その基準を適用できる年齢を令和7年4月までに段階的に引き上げることが可能。(経過措置)

改正の内容(高年齢者就業確保措置の新設)(令和3年4月1日施行)

○ 事業主に対して、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下の①~⑤のいずれかの措置を講ずる努力義務を設ける。
○ 努力義務について雇用以外の措置(④及び⑤)による場合には、労働者の過半数を代表する者等の同意を得た上で導入されるものとする。
f:id:sr-memorandum:20200508220431p:plain

その他の改正の内容(令和3年4月1日施行)

厚生労働大臣は、高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針を定める。
厚生労働大臣は、必要があると認めるときに、事業主に対して、高年齢者就業確保措置の実施について必要な指導及び助言を行うこと、当該措置の実施に関する計画の作成を勧告すること等ができることとする。
○ 70歳未満で退職する高年齢者(※1)について、事業主が再就職援助措置(※2)を講ずる努力義務及び多数離職届出(※3)を行う義務の対象とする。
※1:定年及び事業主都合により離職する高年齢者等
※2:例えば、教育訓練の受講等のための休暇付与、求職活動に対する経済的支援、再就職のあっせん、教育訓練受講等のあっせん、再就職支援体制の構築など
※3:同一の事業所において、1月以内の期間に5人以上の高年齢者等が解雇等により離職する場合の、離職者数や当該高年齢者等に関する情報等の公共職業安定所長への届出
○ 事業主が国に毎年1回報告する「定年及び継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況」について、高
年齢者就業確保措置に関する実施状況を報告内容に追加する。

高年齢者の活躍を促進するために必要な支援(予算事業等)

<事業主による雇用・就業機会の確保を促進するための支援>
・①高年齢者就業確保措置を講ずる事業主に対する助成措置や相談体制などの充実、②他社への再就職の措置に関する事業主間のマッチングを促進するための受入企業の開拓・確保の支援、③能力・成果を重視する評価・報酬体系の構築を進める事業主等に対する助成、④高年齢者が安心して安全に働ける職場環境の構築の支援等。

<高年齢者の再就職やキャリア形成に関する支援>
・①ハローワークの生涯現役支援窓口や産業雇用安定センターによるマッチング機能の強化、②労働者のキャリアプランの再設計等を支援する拠点の整備、③企業の実情に応じた中高年齢層向け訓練の実施等。
<地域における多様な雇用・就業機会の確保に関する支援>
・①生涯現役促進地域連携事業による地方公共団体を中心とした協議会による取組の推進、②シルバー人材センターの人手不足分野等での就業機会の開拓・マッチング機能や地域ごとの実情を踏まえた取組の強化等。