社会保険労務士川口正倫のブログ

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入国できず、国外で在宅勤務する外国人の社会保険手続

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入国できず、国外で在宅勤務する外国人の社会保険手続

2020年12月26日より、全世界からの日本への外国人の新規入国が停止されました。なお、中国や韓国など11カ国・地域と合意した2国間のビジネス往来など入国は認められていましたが、これも停止になる見込みです。 これに伴い、日本に入国できず、当面の間は国外で在宅勤務(テレワーク)をすることとなった、外国人について、社会保険の資格取得届を電子申請した事例を紹介します。

なお、管轄する年金事務所によって判断が異なることもありますので、あくまで参考程度にしてください。

概要 ・入社日:2021年1月1日(役員ではなく従業員として採用) ・住所:転居届をまだ提出しておらず国外(当然、マイナンバーも発行されていない) ・就労期間:5年以上(社会保障協定は、利用しない)

まだ、日本国内に住所がなく、マイナンバーも交付されていないという、かなり特殊な事例でしたので年金事務所に問い合わせました。

年金事務所に問い合わせた内容

社会保険の加入義務について 国外でテレワークをしていても、日本国内の会社と雇用契約を締結し、日本国内の会社から給料が支払われえるのであれば加入義務がある。 国外にいる間は、海外の関係会社に在籍し、海外の会社から給料が支払われるのであれば加入義務はない。(関係会社とはいえ、国外の会社なので当たり前の話です)

②資格取得届の提出期限について 通常どおり、入社日から5日以内 ※ただし、事情があって遅れて提出するのは差し支えない。

③手続 通常どおり、資格取得届を提出するが次の書類を添付する。  ・ローマ字氏名届   ※こちらを参照https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/sonota/20150204.html  ・パスポートのコピー

④特別な記載 資格取得届の住所欄に次の事項を記載する。  ・新型コロナウイルスで入国できない旨  ・国外での住所 ※電子申請だったので、「備考」というPDFファイルを添付しました。

これらに基づいて、無事に提出することができました。

その他雇用保険については、提出期限が入社日の属する月の翌月10日ですので、今後の状況に応じて問い合わせることになりそうです。 ・労災保険については、日本の会社からの指揮命令により、テレワーク勤務することになるため、海外出張者と同様に適用されるとは思われます。(断言できる根拠もないので、年度更新が近くなったら、労基署に問い合わせます。) ・源泉所得税については、非居住者のため、国外での就労による給与は非課税となるようです。(役員の場合は、課税されます)