新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(労働者派遣について)
<新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や、要請・指示を受けた事業の休止に伴う労働者派遣契約の中途解除等について>
https://www.mhlw.go.jp/content/000620318.pdf
【派遣先の皆様へ】
問1 改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受け、事業を休止したことを理由として、労働者派遣契約を中途解除せざるをえない場合 、派遣先は、労働者派遣法第 29 条の2に基づく措置を講ずる必要はありますか。
○労働者派遣法第29条の2により、派遣先は、自らの都合により労働者派遣契約を解除する場合には、新たな就業の機会の確保や休業手当等の支払に要する費用の負担等の措置を講じなければなりません。
○派遣先の都合によるかどうかについては、個別の事例ごとに判断されるものであり、改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受けて派遣先において事業を休止したことに伴い、労働者派遣契約を中途解除する場合であっても、一律に労働者派遣法第29条の2に基づく措置を講ずる義務がなくなるものではありません。
○なお、労働者派遣契約の中途解除が派遣先の都合によらないものであっても、派遣先は、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第2の6の(3)に基づき、関連会社での就業をあっせんするなどにより、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。
○今回の新型コロナウイルス感染症により、事業の休止等を余儀なくされた場合においても、安易な 労働者 派遣契約の解除は お控えいただくようお願いします。
問2 改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指等を受け、事業を休止したことを理由として、労働者派遣契約の 履行を一時的に停止する場合や、労働者派遣契約の内容の一部を変更する場合に、派遣先は派遣元から派遣料金や金銭補償を求められることになりますか。
○労働者派遣契約の履行を一時的に停止する場合や、労働時間や日数など労働者派遣契約の内容の一部を変更する場合には、それに伴う派遣料金等の取扱いについては、民事上の契約関係の話ですので、労働者派遣契約上の規定に基づき、派遣元と派遣先でよく話し合い、対応してください。
【派遣元事業主の皆様へ】
問3 改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言下における都道府県知事から施設の使用制限や停止等の要請・指示等を受けて事業を休止した派遣先から、労働者派遣契約の中途解除を申し込まれているが、 派遣元としてどのような対応を行うべきか。
○「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」第2の2の(3)及び(4)により、派遣元事業主は、ある派遣先との間で労働者派遣契約が中途解除された場合であって、労働者派遣の終了のみを理由として派遣労働者を解雇してはなりません。
○派遣先とも協力しながら派遣労働者の新たな就業機会の確保を図り、それができない場合はまずは休業等を行い雇用の維持を図るとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすことが必要です。
○また、労働者派遣法第30条に基づき、派遣先の同一の組織単位での派遣就業見込みが一定期間以上である派遣労働者については、派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供などの雇用安定措置の義務が生じます。派遣就業見込みが3年以上の場合は義務、1年以上3年未満の場合は努力義務となります。
○なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀無くされた派遣元事業主が、派遣労働者の雇用の維持のために休業等を実施し、休業手当を支払う場合、雇用調整助成金が利用できる場合がありますので、これを活用すること等により、派遣労働者の雇用の維持を図っていただくようお願いします。
(参考)
◎労働者派遣事業の適正な運営の適正な運営の確保及び派遣労働社の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)
(労働者派遣契約の解除に当たつて講ずべき措置)
第二十九条の二労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その者の都合による労働者派遣契約の解除に当たつては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、労働者派遣をする事業主による当該派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担その他の当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じなければならない。
◎派遣先が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第138号)
第2 派遣先が講ずべき措置
6 派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
(3) 派遣先における就業機会の確保
派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。
(4) 損害賠償等に係る適切な措置
派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、少なくとも当該労働者派遣契約の解除に伴い当該派遣元事業主が当該労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされたことにより生じた損害の賠償を行わなければならないこと。例えば、当該派遣元事業主が当該派遣労働者を休業させる場合は休業手当に相当する額以上の額について、当該派遣元事業主がやむを得ない事由により当該派遣労働者を解雇する場合は、派遣先による解除の申入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことにより当該派遣元事業主が解雇の予告をしないときは30日分以上、当該予告をした日から解雇の日までの期間が30日に満たないときは当該解雇の日の30日前の日から当該予告の日までの日数分以上の賃金に相当する額以上の額について、損害の賠償を行わなければならないこと。その他派遣先は派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。また、派遣元事業主及び派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及び派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮すること。
◎派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第137号)
第2 派遣元事業主が講ずべき措置
2 派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
(3) 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置
派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、当該派遣元事業主において他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。また、当該派遣元事業主は、当該労働者派遣契約の解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働者の雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払等の労働基準法(昭和22年法律第49号)等に基づく責任を果たすこと。さらに、やむを得ない事由によりこれができない場合において、当該派遣労働者を解雇しようとするときであっても、労働契約法(平成19年法律第128号)の規定を遵守することはもとより、当該派遣労働者に対する解雇予告、解雇予告手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすこと。
<派遣労働者に係るテレワークの実施について>
https://www.mhlw.go.jp/content/000620808.pdf
【派遣先の皆様へ】
問1 改正新型インフルエンザ特別措置法に基づく緊急事態宣言が出されたこと等を踏まえ、派遣労働者についてもテレワークの実施を行いたいが、労働者派遣法に関して留意すべきことはありますか。
○ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するためには、テレワークが有効な対策の1つであり、派遣労働者についても、派遣先が自ら雇用する労働者と同様に、積極的なテレワークの活用をお願いいたします(※)。
※ 派遣先での派遣労働者に対する指揮命令は、必ずしも対面で実施しなければならないものではありません。業務の内容を踏まえ、テレワークによっても必要な指揮命令をしながら業務遂行が可能かどうか、個別にご検討ください。
○ 派遣労働者に関しテレワークを実施するためには、就業の場所などについて、労働者派遣契約の一部変更を行うことが必要になる場合があります。
(変更の例)
・ 令和○年○月○日付け労働者派遣契約と同内容で、○○株式会社は、□□株式会社に対し、労働者派遣を行うものとする。ただし、就業の場所は、□□株式会社の△△事業所(テレワークを実施する場合には派遣労働者の自宅)とする。
○ この場合の契約の変更については、緊急の必要がある場合についてまで、事前に書面による契約の変更を行うことを要するものではありません。
ただし、派遣元事業主と派遣先の間で十分話し合い、合意しておくことは必要ですので、ご留意ください。
【派遣元事業主・派遣先の皆様へ】
問2 「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」と「派遣先が講ずべき措置に関する指針」では、派遣元事業主及び派遣先は、派遣労働者の就業の場所を定期的に巡回することとされていますが、派遣労働者が自宅等でテレワークを実施する場合にも、自宅等を巡回する必要がありますか。
○ 「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」及び「派遣先が講ずべき措置に関する指針」においては、派遣元事業主及び派遣先は、定期的に派遣労働者の就業場所を巡回することとしていますが、これは、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認するためのものです。
○ 派遣労働者に対して自宅等でテレワークを実施させるときは、例えば、電話やメール等により、就業状況を確認することができる場合には、派遣労働者の自宅等まで巡回する必要はありません。
○ 派遣元事業主と派遣先との連絡調整も的確に行うことで、派遣労働者のテレワークが労働者派遣契約に反せず適切に実施されるよう、必要な対応をお願いします。
問3 派遣労働者について自宅でのテレワークを実施するに当たって、派遣先として、自宅の住所を把握しておきたいのだが、派遣会社から教えてもらってもいいですか。
○ テレワークの実施に当たって必要な場合には、派遣先が派遣労働者の自宅の住所を把握することは差し支えありません。
○ ただし、派遣先からの求めに応じ、派遣元事業主から派遣先に対し、派遣労働者の自宅の住所に関する情報を提供する場合には、派遣元事業主として、派遣労働者本人に使用目的(テレワークの実施に当たって派遣先が住所を把握することが必要であり、派遣先に提供すること)を示して同意を得ることが必要になります(※)。
※ 「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」において、派遣元事業主による個人情報の使用(提供を含む)は収集目的の範囲内に限られており、派遣元事業主から派遣先に提供できる情報は、労働者派遣法に基づいて派遣先に通知すべき事項のほか、派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られていますが、使用目的を示して本人の同意を得た場合はこの限りでないこととされています。
○ また、派遣先として、直接派遣労働者本人から自宅の住所に関する情報を取得する場合には、あらかじめ派遣元事業主に連絡の上、使用目的を本人に示した上で、本人の同意を得ていただくことが必要です。
○ いずれの方法においても、派遣元事業主及び派遣先の双方が、労働者派遣法や「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」、個人情報保護法の規定を遵守し、派遣労働者の個人情報を適切に取り扱うよう、必要な対応をお願いします。