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令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和3年 11 月 30 時点)

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令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和3年 11 月 30 時点

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000860549.pdf

1.全体

(改正内容について)

Q1-1:今回の改正の主な内容と施行日を教えてください。

A1-1:今回の改正は、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、
① 男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(出生時育児休業。(通称:産後パパ育休))
育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
育児休業の分割取得
育児休業の取得の状況の公表の義務付け
⑤ 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
等の措置を講ずるものです。
内容に応じて3段階の施行となり、
②、⑤は令和4年4月1日から、
①、③は令和4年 10 月1日から、
④は令和5年4月1日から
施行されます。
内容等について詳細は、厚生労働省のホームページに掲載されているリーフレット等をご参照ください。

派遣労働者・出向者への法令の適用ついて)

Q1-2:今回の改正で、派遣元・派遣先がそれぞれ行わなければならないことは何ですか。

A1-2:派遣元は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「法」といいます。)で事業主として課せられた義務のすべてを行う必要があります。
派遣元と派遣先の双方に課せられた義務としては、
・ 妊娠又は出産したこと等の申し出を理由とした、解雇その他不利益取扱いの禁止 (法第 21 条第2項)、
・ 職場における育児休業等に関するハラスメントに関する相談等を理由とした解雇その他不利益な取扱いの禁止(法第 25 第2項)
があります。
(令和4年4月1日から施行。労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第 47 条の3。)

Q1-3:出向者については、個別周知・雇用環境整備の措置は、出向元・出向先どちらの事業主が行うべきですか。

A1-3:育児休業に関する雇用管理を行っている事業主が行うべきものです。なお、育児休業の取得についての解釈としては、出向元との間に労働契約関係が存在しない、いわゆ る移籍出向者については、出向先の事業主が該当し、いわゆる在籍出向者については、 賃金の支払、労働時間管理等が出向先と出向元でどのように分担されているかによって、それぞれケースごとに判断されるべきものとしています。

2.妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置(改正内容について)

Q2-1:個別の周知と意向確認の措置として、事業主は、どのような内容をどう実施すればよいですか。

A2-1:労働者から、本人又は配偶者が妊娠又は出産した旨等の申出があった場合に、当該労働者に対して、育児休業制度等(令和4年10月1日からは、出生時育児休業も含みます。)について周知するとともに、制度の取得意向を確認するための措置を実施する必要があります。※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。
周知事項は、
育児休業・出生時育児休業に関する制度
育児休業・出生時育児休業の申し出先
育児休業給付に関すること
④ 労働者が育児休業・出生時育児休業期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
であり、これらの個別周知及び意向確認の措置は、
① 面談
② 書面交付(郵送によることも可能)
③ FAX
④ 電子メール等
のいずれかによって行う必要があります(③・④は労働者が希望した場合のみ)。
なお、個別周知・意向確認の措置に活用できる資料素材を、厚生労働省ホームページの以下のページに掲載しております。
www.mhlw.go.jp 「個別周知・意向確認書記載例」をご参照ください。

(個別周知・意向確認を行わなければならない対象労働者について)

Q2-2:子どもが産まれるすべての労働者に個別の周知・意向の確認の措置を実施する必要がありますか。

A2-2:本人又は配偶者が妊娠又は出産した旨等の申出があった場合に、これらの措置を実施する必要があるものです。

Q2-3:妊娠・出産報告の時に、「育休を取得するつもりはない」「制度周知は不要」と言っていた労働者にも個別周知及び意向確認を行わなければならないのですか。

A2-3:法第21条は事業主に対して、育児休業に関する制度等の周知及び意向確認の措置を講ずることを義務づけているものですので、労働者が周知や意向確認の措置が不要である旨の意思表示をしていた場合であっても、事業主は、当該労働者に対し措置を講ずることが求められます。
周知の方法や意向確認の措置は、FAXや電子メール等を労働者が希望しない限り面談又は書面の交付(労働者が希望した場合にはFAX、電子メール等による方法でも可能)で行うこととなります。(仮に当該労働者が周知及び意向確認を不要とする旨の意思表示をしている場合には、面談を行わず書面の交付(郵送によることも可能)で行うことも対応の一例としてが考えられます。)

Q2-4:個別周知について、次のような場合は、申出時に周知・意向確認措置義務が課されるのですか。それとも取得可能になった時に周知・意向確認措置義務が課されるのですか。

①労働者から妊娠の申出があったが、労使協定で除外している入社1年未満の労働者である場合。
②有期契約労働者から妊娠の申出があったが、雇用契約の更新予定がない場合。
③育休取得できないことが明らかな労働者である場合(入社1年以上経つ時は子が1歳を超える等)


A2-4:いずれの場合も妊娠・出産等の申出があった段階で周知・意向確認の措置の義務が発生するものですが、子の年齢が育児休業の対象年齢を既に超えている場合等、今後育児休業を取得する可能性がない場合については、育児休業の制度の対象とはならない旨の説明を行えば足ります。
①②のように当該労働者にとって後に育児休業申出が可能になる可能性があるケースについては、個別周知の措置は通常どおり行う必要がありますが、意向確認の措置については、その時点では当該労働者は育児休業申出が可能でないことから、措置を実施する必要はありません。

Q2-5:出生時育児休業は令和4年10月から施行されますが、それ以前に妊娠・出産等の申出があり、出産予定日が令和4年10月以降の場合は、個別周知の際に、出生時育児休業についても周知する必要がありますか。

A2-5:出生時育児休業については、令和4年10月以降に労働者から妊娠・出産等の申出が行われた場合に周知しなければならないものです。ただし、妊娠・出産等の申出が令和4年10月より前に行われた場合でも、子の出生が令和4年10月以降に見込まれるような場合には、出生時育児休業制度も含めて周知することが望ましいです。

Q2-6:個別周知・意向確認の措置は、令和4年4月1日以降に妊娠・出産等の申出があった労働者に対して行えばよいですか。

A2-6:そのとおりです。

(妊娠・出産等の申出について)

Q2-7:妊娠・出産等の申出は口頭でよいですか。

A2-7:法令では、申出方法を書面等に限定していないため、事業主において特段の定めがない場合は口頭でも可能です。(※) 事業主が申出方法を指定する場合は、申出方法をあらかじめ明らかにしてください。 仮に、申出方法を指定する場合、その方法については、申出を行う労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、適切に定めることが求められますので、例えば、労働者が当該措置の適用を受けることを抑制するような手続を定めることは、認められません。
また、仮に、その場合に指定された方法によらない申出があった場合でも、必要な内容が伝わるものである限り、措置を実施する必要があります。
(※)口頭による申出の場合でも措置を実施する必要がありますので、円滑な措置の実施のために、例えば、あらかじめ社内で申出先等を決めておき、その周知を行っておくことが望ましいです。

Q2-8:妊娠・出産等の申出があった際に、母子健康手帳等の証明書を提出させてよいですか。

A2-8:労働者から妊娠等の申出があった際に、事業主が当該労働者に対して、労働者又はその配偶者が妊娠、出産したこと等の事実を証明する書類(母子健康手帳等)の提示や、その写しの提出を求めることについては、法令上の規定はありませんが、事業主が労働者に対して提出を依頼し、本人が任意で提出することは可能です。
ただし、仮にその提出を当該労働者が拒んだ場合であっても、当然、当該事実の申出自体の効力には影響はありません。

(個別周知・意向確認の実施について)

Q2-9:個別周知と意向確認は、人事部から行わなければならないのですか。所属長や直属の上司から行わせることとしてもよいですか。

A2-9:現行の育児休業に関する規定と同じく、「事業主」として行う手続きは、事業主又はその委任を受けてその権限を行使する者と労働者との間で行っていただくものです。

Q2-10:妊娠・出産等の申出をした労働者に対する個別周知・意向確認の措置の方法の一つとして、面談によることが定められていますが、ビデオ通話を用いたオンラインによる面談は可能ですか。

A2-10:面談による方法については、直接対面して行うほか、ビデオ通話が可能な情報通信技術を用いたオンラインによる面談を行うことも可能です。(ただし、対面で行う場合と同程度の質が確保されることが必要であり、音声のみの通話などは面談による方法に含まれません。)なお、このほか、書面交付や、FAX・電子メール等の送信により行うことも可能です。(QA2-1参照。)

Q2-11:個別周知・意向確認の措置について、面談による方法の場合、実施した内容を記録する必要はありますか。

A2-11:記録する義務はありませんが、面談の場合は、その他の書面を交付する方法や電子メールの送信方法等と異なり、記録が残らないため、必要に応じて作成することが望ましいです。

Q2-12:個別周知・意向確認の措置については、取得を控えさせるような形で実施することは認められていませんが、具体的にどういった場合が取得を控えさせるような形に該当しますか。

A2-12:取得を控えさせるような形での措置の実施としては、取得の申出をしないよう威圧する、申し出た場合の不利益をほのめかす、取得の前例がないことをことさらに強調するなどの様態が考えられます。
また、仮に一度取得を控えさせるような言動があった後に、個別の周知、意向確認の措置が改めて行われた場合であっても、既に行われた取得を控えさせるような言動を含め、実施された措置全体として取得を控えさせる効果を持つ場合には、措置を実施したものとは認められません。

(意向確認と育児休業申出について)

Q2-13:意向確認の措置に対して労働者から「育児休業の取得の意向はない」と回答があった場合、その後に労働者から育児休業申出が行われても、拒むことができるのですか。

A2-13:法第21条第1項に基づき事業主が労働者に育児休業の意向確認をした際に、労働者が「育児休業の取得の意向はない」旨を示したとしても、労働者は法に基づき育児休業の申出を行うことができ、事業主は適法な労働者の育児休業申出を拒むことはできません。

3.育児休業を取得しやすい雇用環境整備の措置


(改正の概要・出向者への適用について)

Q3-1:育児休業を取得しやすい雇用環境の整備として、事業主は、具体的にどのようなことをすればよいですか。

A3-1:育児休業と出生時育児休業の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。※複数の措置を講じることが望ましいです。
育児休業・出生時育児休業に関する研修の実施
育児休業・出生時育児休業に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の育児休業・出生時育児休業取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・出生時育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

Q3-2:出向者については、個別周知・雇用環境整備の措置は、出向元・出向先どちらの事業主が行うべきですか。(Q1-3再掲)

A3-2:育児休業に関する雇用管理を行っている事業主が行うべきものです。なお、育児休業の取得についての解釈としては、出向元との間に労働契約関係が存在しないいわゆる移籍出向者については出向先の事業主が該当し、いわゆる在籍出向者については、賃金の支払、労働時間管理等が出向先と出向元でどのように分担されているかによってそれぞれケースごとに判断されるべきものとしています。

(対象者について)

Q3-3:育児休業を取得しやすい雇用環境の整備は、男性だけ対象に実施すればよいですか。

A3-3:男女問わず対象とする必要があります。

(雇用環境整備の措置の実施について)

Q3-4:法第22条第1項の雇用環境の整備等の措置のうち、第2号の「育児休業に関する相談体制の整備」について、既に育児休業に関する相談窓口がある場合は、新たに整備をすることなく、同号の措置を講じたものとすることはできますか。

A3-4:法第22条第1項第2号の整備に関する要件は次のとおりですので、これを満たす相談体制であれば新たに整備することなく同号の要件を満たすものとなります。具体的には、
・相談体制の窓口の設置や相談対応者を置き、これを周知すること。
・このことは窓口を形式的に設けるだけでは足らず、実質的な対応が可能な窓口が設けられていることをいうものであり、労働者に対する窓口の周知等により、労働者が利用しやすい体制を整備しておくことが必要です。

Q3-5:育児期の社員がおらず、また、採用する予定もない場合でも、雇用環境整備をする必要はありますか。

A3-5:育児休業の申出対象となる子には、養子縁組等も含まれていることから、特定の年齢に限らず幅広い年齢の労働者が育児休業申出を行う可能性があります。また、雇用環境の整備の措置を求めている法第22条では、義務の対象となる事業主を限定していないことから、全ての事業主が雇用環境の整備をしていただく必要があります。

4.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

(改正内容について)

Q4-1:有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件はどう緩和されるのですか。

A4-1:現行法では、育児休業・介護休業ともに、有期雇用労働者の取得要件として「引き続き雇用された期間が1年以上」が定められていますが、今回の改正で、この点は要件としては廃止されます。これに伴い、無期雇用労働者と同じく、引き続き雇用された期間が1年未満の場合は、労使協定において、対象から除外可能という形になります。
なお、今回の改正後も、有期雇用労働者について以下の要件は残ります。
育児休業:子が1歳6か月に達する日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと
・介護休業:介護休業開始予定日から93日経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと

Q4-2:有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件について、今回の改正後も残る要件の(育児休業であれば「子が1歳6か月に達する日までに」)「労働契約が満了することが明らかではない」とは、具体的にどのようなことですか。

A4-2:休業の申出があった時点で労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断されます。事業主が「更新しない」旨の明示をしていない場合については、原則として、「更新しない」とは判断されず、「労働契約が満了することが明らか」には当たらないこととなります。


(改正法施行前後の労使協定の取扱いについて)

Q4-3:今回の改正で、引き続き雇用された期間が1年未満の有期雇用労働者について、法律上対象外から労使協定除外の対象に変更になりますが、既に締結している労使協定において、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者について有期雇用・無期雇用を問わない形で除外していた場合、労使協定を締結し直さなくとも、改正法の施行後は有期雇用・無期雇用問わず当該労使協定により除外されると解して良いですか。

A4-3:改正前の法第5条第1項ただし書では、引き続き雇用されていた期間が1年未満の有期雇用労働者には育児休業申出の権利が付与されていなかったところ、今回の改正法により、引き続き雇用されていた期間が1年未満の有期雇用労働者についても、育児休業申出の権利が付与されました。
このため、改正法の施行後において、有期雇用労働者も含めて、引き続き雇用されていた期間が1年未満の労働者について、法第6条第1項ただし書に基づき当該申出を拒む場合は、そのことについて、改めて労使協定を締結していただく必要があります。

5.出生時育児休業について

(改正の概要)

Q5-1:出生時育児休業の基本的な内容を教えてください。

A5-1:出生時育児休業は、子の出生後8週以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組みです。現行の育児休業と比べて、
① 申出期限が原則休業の2週間前まで
② 新制度の中で分割して2回取得することが可能
③ 労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主が合意した範囲内で、事前に調整した上で休業中に就業することが可能
という特徴があります。

Q5-2:法改正後は、子の出生後8週以内は4週間までしか休業を取得できなくなるのですか。

A5-2:違います。現行の育児休業は改正後も取得可能です。改正後は、現行の育児休業に加えて、出生時育児休業が創設されるものです。子の出生後8週以内の期間は、労働者の選択により、新制度と通常の育休のいずれも取得可能となります。


(対象者について)

Q5-3:出生時育児休業は、男性だけが取得可能ですか。

A5-2:出生時育児休業の対象期間である子の出生後8週以内は出産した女性は通常産後休業期間中になるため、この新制度の対象は主に男性になりますが、女性も養子の場合などは対象となります。


(出生時育児休業制度に関する改正法の施行前後の取扱いについて)

Q5-4:現行のいわゆる「パパ休暇」(子の出生後8週間以内に父親が育休取得した場合には再度取得可)はどうなりますか。

A5-4:現行のいわゆる「パパ休暇」は、今回の改正に伴いなくなり、出生時育児休業と、育児休業の分割取得化に見直されることとなります。

Q5-5:令和4年10月1日から出生時育児休業を取得したい場合、2週間前に申し出ればよいのですか。

A5-5:改正法のうち、出生時育児休業制度に係る規定は令和4年10月1日から施行されますので、法令上、労働者は令和4年10月1日より前に、事業主に対して出生時育児休業の申出をすることはできません。(※)
なお、事業主が、法を上回る措置として、令和4年10月1日以降の日から開始する出生時育児休業の申出を令和4年10月1日より前に受け、同年10月1日以降、出生時育児休業を取得させることは差し支えません。
(※)労働者は事業主に対して、令和4年10月1日に、その当日を出生時育児休業の開始予定日とする出生時育児休業申出をすることは可能ですが、事業主は、申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日まで(10月1日~10月15日)のいずれかの日を出生時育児休業の開始予定日として指定することができますので、労働者は必ずしも10月1日から出生時育児休業を取得できるとは限りません。

Q5-6:令和4年10月1日より前に育児休業を取得していた場合、施行日後に出生時育児休業を取得することはできるのでしょうか、また、その後育児休業は何回取得可能ですか。 例えば、令和4年9月1日に生まれた子について、同年9月5日から9月14日まで10日間育児休業(子の出生後8週以内の休業なのでパパ休暇に該当)を取得していた場合はどうですか(例①)。

また、例えば令和4年9月1日に、出産予定日である同年10月1日から11月25日まで育児休業の取得を申し出ていた場合は、施行日である同年10月1日以降の育児休業はどうなるのですか(例②)。

A5-6:令和4年10月1日前に開始したパパ休暇については、改正後の法第5条第2項(育児休業の取得可能回数)及び第9条の2第2項(出生時育児休業の取得可能回数・日数等)の規定の適用にあたっては出生時育児休業とみなされます(改正法附則第4条参照)。
このため、例①については、施行日(令和4年10月1日)後については、出生時育児休業を1回・18日の範囲内(出生時育児休業は2回・28日まで取得できるものであるところ、既に取得したのが1回分・10日分であるため)で取得することができ、また、その後育児休業については2回まで分割取得できることとなります。
令和4年10月1日以降に開始した育児休業については経過措置は適用されず、例②については、申出時点で育児休業の申出であったことから、その後変更がなければ令和4年10月1日から同年11月25日までの育児休業(1回目)の取得となりますが、労使で話し合いの上、出生時育児休業4週分、育児休業4週分(どの休業を・いつから・いつまでを明確にすること)と取り扱うことは差し支えありません。
改正法の施行前でも令和4年10月1日以降の期間を含む育児休業申出がなされた場合は、労使双方でいずれの休業であるか、十分に確認し、双方で認識の誤りのないようにしてください。

その他の出生時育児休業等の施行前後に係る事例とその取扱いは以下のとおりです。
(参考)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律(令和3年法律第58号)(抄)
附則(育児休業に関する経過措置)
第四条附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日(附則第七条において「第三号施行日」という。)前の日に開始した育児休業(当該育児休業に係る子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日まで(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して八週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日までとする。)の期間内に、労働者が当該子を養育するためにする最初の育児休業に限る。)は、第二条の規定による改正後の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第五条第二項及び第九条の二第二項の規定の適用については、同条第一項の規定による申出によりした同項に規定する出生時育児休業とみなす。
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(出生時育児休業申出・期間について)

Q5-7:産後7週~10週の休業申出があった。産後7~8週は自動的に出生時育児休業になるのか。または、8週のうち4週までの育児休業は全て出生時育児休業として取り扱うよう労使で取り決めてよいですか。

A5-7:育児休業申出と出生時育児休業申出はそれぞれ別の権利として労働者に付与されているものですので、「産後○週間以内の期間についての休業の申出は出生時育児休業の申出とする」といった自動的・一律の取扱いはできません。また、労使協定等でそのような取扱いとすることを事前に取り決めることもできません。
仮に、労働者から、育児休業申出又は出生時育児休業申出のどちらか不明な申出が行われた場合には、事業主はいずれの申出に対しても、その申出をした労働者にどの申出であるかを確認してください。

Q5-8:

①既に社内に、配偶者の出産時や育児のために、年5日、子が生まれてから小学校を卒業する年度末まで利用できる育児目的休暇がある場合、出生時育児休業については、28日から5日間を引いたうえで、23日間取得できる制度としてよいですか。
②既に社内に、子が生まれる前に5日間休暇を取得できる育児目的休暇制度がある場合、出生時育児休業については、28日から5日間を引いたうえで、23日間取得できる制度としてよいですか。
③①の場合、年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たって、出勤したものとみなすのは、出生時育休として申出された23日以内となるのですか。

A5-8:
①育児のための休暇であり、その内容が法で定める出生時育児休業の要件(申出期限原則2週間前、2回に分割可能、事業主の時季変更権なし等)を満たすものであれば差し支えありません。
②法で定める出生時育児休業の要件を満たすことが必要であり、法第9条の2では、「子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に4週間以内の期間を定めてする休業」とされていることから、当該育児目的休暇の5日間は、法で定める出生時育児休業の要件を満たしていません。
③社内の名称如何に関わらず、事業主は法第9条の2に基づく労働者の申出があった場合は、28日以内の出生時育児休業を取得させなければならず、従前から育児目的休暇として設けられていた5日の部分についても、育児・介護休業法上は、出生時育児休業の扱いとなることから、年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たっては、出勤したとみなされます。

(参考)労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
第39条
⑩労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。

Q5-10:出生時育児休業を2回に分割して取得する場合は、その都度申し出ればよいですか。

A5-10:出生時育児休業を2回に分割して取得する場合は、初回の出生時育児休業の申出の際にまとめて申し出ることが原則であり、まとめて申し出ない場合(1回目の出生時育児休業の申出をした後日に2回目の申出をする場合)には、事業主は2回目以降の出生時育児休業に係る申出を拒むことができます。なお、事業主はこれを拒まないことも可能ですので、この場合は法第9条の2に規定する法定の出生時育児休業を取得することとなります。


(出生時育児休業中の給付金について)

Q5-11:出生時育児休業は、育児休業給付の対象になりますか。

A5-11:なります。(出生時育児休業給付金)

6.出生時育児休業期間における休業中の就業


(改正の概要・派遣労働者への適用について)

Q6-1:休業中の就業は、労働者が希望すればいつでもできるのですか。

A6-1:休業中の就業は、労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主の合意した範囲内で、事前に調整した上で休業中に就業することを可能とするものです。具体的な手続きの流れは以下①~④のとおりです。
① 労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
② 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない(就業させることを希望しない)場合はその旨)
③ 労働者が同意
④ 事業主が通知
なお、就業可能日等には上限があります。
・休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
・休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数 未満
例)所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の労働者が、休業2週間・休業期間中の所定労働日10日・休業期間中の所定労働時間80時間の場合 ⇒就業日数上限5日、就業時間上限40時間、休業開始・終了予定日の就業は8時間未満
(注)以上とは別に、出生時育児休業給付金の対象となるのは、出生時育児休業期間中の就業日数が一定の水準(※)以内である場合です。
※出生時育児休業を28日間(最大取得日数)取得する場合は、10日(10日を超える場合は80時間)。これより短い場合は、それに比例した日数または時間数。(例:14日間の出生時育児休業の場合は、5日(5日を超える場合は40時間))

Q6-2:派遣労働者が出生時育児休業中に就業する場合、就業可能日の申出・変更・撤回、就業日の提示は派遣先と派遣労働者で直接行ってよいのですか。

A6-2:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第2条第2号の派遣労働者については、派遣元と派遣労働者との間に労働契約関係があることから、派遣労働者は派遣元の事業主に対して出生時育児休業中の就業可能日の申出等を行うこととなります。

(出生時育児休業中の就業申出について)

Q6-3:出生時育児休業中に就業する場合、契約上の勤務時間以外の時間を労働者が申し出てもよいのですか。(勤務時間外の夜間の2時間でテレワークであれば勤務可能など。)

A6-3:出生時育児休業期間中の就業可能な時間帯等の申出は、所定労働時間内の時間帯に限って行うことができますので、所定労働時間外の時間帯について、労働者は就業の申出を行うことはできません。

6.出生時育児休業期間における休業中の就業


(改正の概要・派遣労働者への適用について)

Q6-1:休業中の就業は、労働者が希望すればいつでもできるのですか。

A6-1:休業中の就業は、労使協定を締結している場合に限り、労働者と事業主の合意した範囲内で、事前に調整した上で休業中に就業することを可能とするものです。具体的な手続きの流れは以下①~④のとおりです。
① 労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
② 事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない(就業させることを希望しない)場合はその旨)
③ 労働者が同意
④ 事業主が通知
なお、就業可能日等には上限があります。

Q6-4:出生時育児休業中の就業について、労働者から就業可能日等の申出があり、事業主がその範囲内で日時を提示した後に労働者から就業可能日の変更の申出があった場合はどのように対応すればよいですか。

A6-4:出生時育児休業の開始予定日の前日までに労働者から変更の申出があった場合には、事業主は、労働者から再度申出がされた変更後の就業可能日等について、再度就業可能日等のうち、就業させることを希望する日(希望する日がない場合はその旨)及びその時間帯その他の労働条件等を労働者に提示(規則第21条の15第4項)し、労働者の同意を得る必要があります。

Q6-5:休業中の就業について、就業可能日等の申出の際に労働者は従事する業務内容についても申し出ることはできますか。その場合、事業主が労働者を就業させることができるのは、労働者が申し出た業務内容の範囲に限られますか。

A6-5:労働者からの申出可能な内容は「就業可能日」「就業可能日における就業可能な時間帯その他の労働条件」であり、業務内容が「労働条件」の範囲内であれば(例えば、テレワークで実施できる集計業務に限って就業可能と申し出る、等)、労働者から申し出ることができ、事業主は労働者の申出の範囲内で就業させることができることとなります。

Q6-6:派遣元とその事業所の過半数労働組合等との労使協定において出生時育児休業中の就業が可能とされた派遣労働者から申出があった就業可能日について、当該派遣労働者を(派遣元の事業所ではなく)派遣先において就業させる場合、当該派遣労働者が、派遣先とその事業所の過半数労働組合等との労使協定において定められた「出生時育児休業期間中に就業させることができるもの」にも該当している必要があるのですか。

A6-6:派遣元とその事業所の過半数労働組合等との労使協定において定められた「出生時育児休業期間中に就業させることができるもの」に該当していれば足ります。

Q6-7:出生時育児休業開始後、出生時育児休業中の就業日に撤回事由に該当しない事由で休む場合に、年次有給休暇を取得することは可能ですか。また、出生時育児休業開始後に予定していた業務がなくなったため事業主側から就業日を撤回することは可能ですか。

A6-7:出生時育児休業期間中の就業日は労働日であるため、年次有給休暇を取得することは可能です。また、出生時育児休業期間開始後に事業主から当該就業日について撤回をすることはできません。

Q6-8:出生時育児休業中に就業させることができる者について労使協定で定める際、「休業開始日の○週間前までに就業可能日を申し出た労働者に限る」といった形で対象労働者の範囲を規定することは可能ですか。

A6-8:ご指摘のような形で対象労働者の範囲を定めることは可能です。

7.育児休業の分割取得等

Q7-1:育児休業について2回まで分割取得が可能になるとのことですが、出生時育児休業とあわせた場合、1歳までの間に4回まで取得可能になるということですか。

A7-1:そのとおりです。

Q7-2:育児休業が分割取得できるようになると、これまでのいわゆる「パパ休暇」はどうなりますか。

A7-2:現行のいわゆる「パパ休暇」は、今回の改正に伴い廃止され、出生時育児休業と、育児休業の分割取得化に見直されることとなります。

Q7-3:出生時育児休業については、2回に分割して取得する場合には初めにまとめて申し出なければならないとのことですが、通常の育児休業についても、2回に分割して取得する場合にはまとめて申し出ないといけないのですか。

A7-3:通常の育児休業については、まとめて申し出る必要はありません。

Q7-4:育休及び出生時育休を2回分割する場合、繰上げ・繰下げ変更の回数は何回ですか。

A7-4:育児休業や出生時育児休業について、2回に分割して取得する場合は各申出について、育児休業の開始予定日の繰り上げ(出産予定日前に子が出生した場合等について)を1回、終了予定日の繰り下げ(事由を問わない)を1回ずつすることができます。

8.職場における育児休業等に関するハラスメント

Q8-1:出生時育児休業期間中の就業について、事業主が提示した日時で就業することを労働者に強要することはハラスメントに該当しますか。

A8-1:出生時育児休業期間中の就業については、労使協定の締結を前提に、 ①出生時育児休業申出をした労働者が、事業主に対して、当該出生時育児休業期間において就業することができる日等(就業可能日等)を申し出た場合に、 ②事業主が当該申出に係る就業可能日等の範囲内で日時を提示し、当該労働者の同意を得た場合に限り、
当該日時で労働者を就業させることが可能となるものです。
つまり、あくまで出生時育児休業期間中の就業は、労使協定の締結を前提として、労働者側からの就業可能日等の申出と、それを受けた事業主の提示に対する労働者の同意の範囲内で就業させるものです。
そのため、労働者が休業中の就業可能日等の申出を行わない場合や事業主の提示した日時に同意しない場合に、上司等が解雇その他不利益な取扱いを示唆したり、嫌がらせ等をしたりすることは、職場における育児休業等に関するハラスメントに該当し、また、事業主が提示した日時で就業することを労働者に対して強要した場合には法違反にもなります。

Q8-2:妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別周知・意向確認のための措置の実施に際して、上司等が育児休業制度等の利用を控えさせるような対応をすることはハラスメントに該当しますか。

A8-2:そのとおりです。なお、新たに創設される出産時育児休業制度についても、上司等が当該制度の利用を控えさせるような言動等をすることは、職場における育児休業等に関するハラスメントに該当するため、留意する必要があります。

Q8-3:育児休業制度等を利用していない労働者に対して、育児休業等の取得率の向上等を目的として、当該制度の利用を強要することはハラスメントに当たりますか。

A8-3:育児休業等の取得率の向上等を目的とする場合などに、法の趣旨を踏まえて、上司等から育児休業等を利用していない労働者に積極的に育児休業等の取得を勧めること自体は差し支えありませんが、当該制度の利用を強制するために、上司等が当該労働者に対して人格を否定するような言動をするなどの精神的な攻撃等をした場合には、パワーハラスメントに該当すると考えられます。

9.育児休業の取得の状況の公表の義務付け(従業員1000人超の企業が対象)

Q9-1:育児休業の取得の状況の公表は、どのように行うのですか。

A9-1:育児休業の取得の状況の公表(法第22条の2)は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うこととされています。(育児・介護休業法施行規則第71条の3)

Q9-2:育児休業の取得の状況の公表は、どのような内容を公表することが必要ですか。

A9-2:①又は②のいずれかの割合を公表する必要があります。(育児・介護休業法施行規則第71条の4)
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※1公表前事業年度:公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度
※2育児休業等:育児休業及び法第23条第2項又は第24条第1項の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置が講じられた場合の当該措置によりする休業。