社会保険労務士川口正倫のブログ

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育児介護休業法改正のポイント

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育児介護休業法改正のポイント

男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度(出生時育児休業制度、P2参照) の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正が行われました。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

令和4年4月1日施行

1.雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下の いずれかの措置を講じなければなりません。
※複数の措置を講じることが望ましいです。
育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

● 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する 個別の周知・意向確認の措置

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する 以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。
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※雇用環境整備、個別周知・意向確認とも、産後パパ育休については、令和4年10月1日から対象。

2.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

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令和4年10月1日施行

3.産後パパ育休(出生時育児休業)の創設 4.育児休業の分割取得

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※1 雇用環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で 定めている場合は、1か月前までとすることができます。
※2 具体的な手続きの流れは以下①~④のとおりです。
①労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
②事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨) ③労働者が同意
④事業主が通知
なお、就業可能日等には上限があります。
●休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
●休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
例)所定労働時間が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の労働者が、 休業2週間・休業期間中の所定労働日10日・休業期間中の所定労働時間80時間の場合
⇒ 就業日数上限5日、就業時間上限40時間、休業開始・終了予定日の就業は8時間未満
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産後パパ育休も育児休業給付(出生時育児休業給付金)の対象です。休業中に就業日がある場合は、就業日数が最大 10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間)以下である場合に、給付の対象となります。
注:上記は28日間の休業を取得した場合の日数・時間。休業日数が28日より短い場合は、その日数に比例して短くなります。
育児休業給付については、最寄りのハローワークへお問い合わせください。

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育児休業等を理由とする不利益取り扱いの禁止・ハラスメント防止

育児休業等の申し出・取得を理由に、事業主が解雇や退職強要、正社員からパートへの契約変更等の不利益な取 り扱いを行うことは禁止されています。今回の改正で、妊娠・出産の申し出をしたこと、産後パパ育休の申し 出・取得、産後パパ育休期間中の就業を申し出・同意しなかったこと等を理由とする不利益な取り扱いも禁止さ れます。
また、事業主には、上司や同僚からのハラスメントを防止する措置を講じることが義務付けられています。
ハラスメントの典型例
育児休業の取得について上司に相談したら「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」と言われ、 取得を諦めざるを得なかった。
・産後パパ育休の取得を周囲に伝えたら、同僚から「迷惑だ。自分なら取得しない。あなたもそうすべき。」 と言われ苦痛に感じた。

令和5年4月1日施行

5.育児休業取得状況の公表の義務化

従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表すること が義務付けられます。
公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」と省令で定められる予定です。