社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令の施行について(保発0813第1号 令和3年8月13日)

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健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令の施行について(保発0813第1号 令和3年8月13日)

2021年(令和3年)より、健康保険証、高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証及び限度額適用・標準負担額減額認定証について、会社を経由せずに直接本人の自宅に郵送し受け取ることが可能になります。一方で、返納についてこれまでと同様に、事業主を経由しなければならないようです。
具体的にどのように申し出るか等は、今後、公表されると思われます。

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210816S0020.pdf


今般、健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第140号)が本日公布され、令和3年10月1日より施行することとされたため、通知する。
改正の趣旨及び内容等については下記のとおりであるので、その内容について御了知いただくとともに、その実施に遺漏なきようお願いする。

                記

第一 改正の趣旨

健康保険制度における被保険者証等については、保険者から事業主に送付し、事業主から被保険者に交付すること等が義務付けられているが、テレワークの普及等に対応した柔軟な事務手続を可能とするため、保険者が支障がないと認めるときは、保険者から被保険者に対して被保険者証等を直接交付すること等が可能となるよう、所要の改正を行うもの。

第二 改正の内容

1.健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号)の一部改正
①被保険者証の交付について、保険者が支障がないと認めるときは、保険者が被保険者に直接送付することができることとする。
②被保険者証の情報を訂正した場合における被保険者証の返付について、保険者が支障がないと認めるときは、事業主を経由することを要しないこととする。
③被保険者証の再交付について、保険者が支障がないと認めるときは、事業主を経由することを要しないこととする。
④被保険者証の検認又は更新等を行った場合における被保険者証の交付について、保険者が支障がないと認めるときは、保険者が被保険者に直接送付することができることとする。
⑤高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証及び限度額適用・標準負担額減額認定証の交付方法等について、①~④に準じた改正を行う。
⑥その他所要の改正を行う。

2.船員保険法施行規則(昭和15年厚生省令第5号)の一部改正
船員保険における被保険者証等の交付方法等について、1に準じた改正を行う。

第三 施行期日

 令和3年10月1日

健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令の施行に関する留意事項等について

今般、健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第140号。以下「改正省令」という。)が本日公布され、令和3年10月1日から施行することとされたところである。
今般の改正により、健康保険制度における被保険者証等の交付事務(返付及び再交付に係る事務を含む。以下同じ。)について、保険者が支障がないと認めるときは、被保険者に直接交付することが可能とされたところであるが、改正省令の施行に当たりた り、別紙「被保険者証等の直接交付に関するQ&A」により、その具体的な取扱いを整理したので、関係者に周知いただくとともに、適切に御対応いただきたい。

別紙

被保険者証等の直接交付に関するQ&A

Q1 「保険者が支障がないと認めるとき」とは、どのような状況を想定しているのか。

A 事務負担や費用、住所地情報の把握等を踏まえた円滑な直接交付事務の実現可能性や、関係者(保険者・事業主・被保険者)間での調整状況等を踏まえ、保険者が支障がないと認める状況を想定している。


Q2 全ての事業所又は一部の事業所等の被保険者について直送することとする場合、健康保険組合においては組合会の議決は必要か

A 原則として全ての事業所又は一部の事業所(一定の条件下又は特定の期間中のみ直送する場合も含む。)の被保険者について直送する場合、保険者財政への影響があること及び事務運用に大きな変更が生じることから、原則として、直送の具体的な取扱いを記載した規程を整備し、組合会の議決を得ることが必要となる。
当該規程については事務取扱に関するものであり、被保険者の権利義務を規定するものではないため、地方厚生(支)局への届出は不要である。なお、理事長において緊急を要すると認めるときは、理事長専決が可能であるが、次の組合会においてこれを報告し、その承認を求めなければならないことに留意されたい。


Q3 原則として事業主に被保険者証を送付する保険者が、特別な事情等により保険者がやむを得ないと認めた場合には直送することは想定されるが、その場合、組合会の議決は必要か。

A 個別対応については、財政(予算)及び事務運用に与える影響が極めて小さいと認められる場合は、原則として組合会の議決は不要である。


Q4 直送の具体的な運用について、留意すべき点はあるか。例えば、事業所ごとの状況に応じて、取扱いを変えることは可能か。

A 運用について特段の制限はないが、直送に要する費用は、被保険者・事業主全体が負担する保険料等を原資としていることから、公平性の確保に留意する必要がある。被保険者・事業所間における不公平が生じないよう留意した上で、具体的運用を各保検者の実情に応じて決めることが可能である。


Q5 テレワークの普及等に対応した事務の簡素化を図るため、被保険者証等の返納についても、事業主経由を省略してよいか。

A 省略できない。改正省令による改正後の健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号。以下「施行規則」という。)においても、被保険者が資格を喪失したとき、その保険者に変更があったとき、又はその被扶養者が異動したときは、事業主は遅滞なく被保険者証を回収して保険者に返納しなければならないこととされている。


Q6 被保険者証を直接交付する場合であっても、交付した旨を事業主に通知する必要があるか。

A 施行規則第46条において、厚生労働大臣又は健康保険組合は、被保険者の資格の取得の確認を行ったとき、又は事業所整理記号及び被保険者整理番号を変更したときは、遅滞なく、事業所整理記号及び被保険者整理番号を事業主に通知しなければならないとされているため、引き続き事業所整理記号及び被保険者整理番号を通知する必要はあるが、交付した旨の通知は必須ではない。また、事業主においても、通知された事業所整理記号及び被保険者整理番号を適切に管理することが必要である。


Q7 送付方法に制限等はあるか。

A 送付方法は、紛失リスク等を考慮した上で各保険者の実情に応じて適正に判断いただくこととなる。


Q8 直送に要する費用を事業主負担とすることが考えられるが、具体的な取扱いはどのようにすべきか。

A 直送に要する費用については、具体的な取扱いについて規程を定め、組合会の議決を得ること。なお、当該規程については、地方厚生(支)局への届出は不要である。