社会保険労務士川口正倫のブログ

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「令和3年版 労働経済の分析」が公表されました

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「令和3年版 労働経済の分析」が公表されました

厚生労働省から、令和3年版の「労働経済の分析(労働経済白書)」が公表されました。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年には「宿泊業, 飲食サービス業」などの産業で雇用者数が減少に転じる一方、休業者数や非労働力人口が増加しました。
同時に、医療、福祉、生活必需品の小売など、感染症の拡大下でも業務継続が求められる分野では、働く環境をめぐる新たな課題が浮き彫りになりました。
さらに、緊急事態宣言を契機に多くの労使がテレワークを初めて経験し、新しい働き方として関心を集める一方で、その定着に向けた課題も明らかとなりました。
 
今般の経験を踏まえ、こうした危機下において働く方々の雇用や生活を守り、誰もが意欲をもって働き続けられる環境整備に向けて、今回の「労働経済白書」では、新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響について、さまざまな観点から分析を行われたようです。

下記に骨子を抜粋しましたが、詳細はリンクをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19846.html


新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響等

○ 「宿泊業,飲食サービス業」など、対人サービスを中心とした産業の雇用者数が減少。
※ 「宿泊業,飲食サービス業」の雇用者数:2020年平均で対前年比25万人減少(2019年364万人→2020年339万人)
リーマンショック期は「製造業」で最大の減少:2009年平均で対前年比60万人減少(2008年1,084万人→2009年1,024万人)

○ 「医療、福祉」等の産業で女性の正規雇用労働者が増加する一方で、特に「宿泊業,飲食サービス業」等で女性の非正規雇用労働者を中心に減少。
リーマンショック期は男性の正規雇用労働者、非正規雇用労働者を中心に減少。

○ 子育て世帯の女性や学生の非労働力人口が増加。
※ 主に2020年第Ⅱ四半期(4-6月)に大きく増加。
※ 2020年12月時点では、非労働力人口の水準は全体としては前年並みに戻っている。

○ 政策の下支え効果もあり、リーマンショック期と比べ、総雇用者所得の減少は小幅。
⇒ 特例を講じた雇用調整助成金等の活用により2020年4~10月の完全失業率は2.6%ポイント程度抑制されたと推計。
※ 一方、雇用調整助成金等の支出は、成長分野への労働移動を遅らせる、雇用保険財政のひっ迫といった影響をもたらしている。

新型コロナウイルス感染症の拡大による影響とは別に、働き方改革の進展を背景として、2019年には、月間総実労働時間や長時間労働者の減少、年次有給休暇の取得率の上昇。また、2020年には、パートタイム労働者の特別給与が増加。

感染拡大下で業務の継続を求められた労働者の分析(新たなアンケート調査による分析)

○ 「医療業」「社会保険社会福祉・介護事業」等の業種において、特に女性の労働者で肉体的負担や精神的負担が増大。
○ 勤め先において、業種別ガイドラインの遵守、人員体制の強化、柔軟な働き方を実施している場合に、「仕事を通じた満足度」が上昇した労働者の割合が高い。

テレワークを活用して働いた労働者の分析(新たなアンケート調査による分析)

○ 感染拡大前からテレワークを実施していた企業や労働者の方が、感染拡大下でテレワークを始めた企業や労働者よりも、テレワークの継続割合が高い。
※ テレワークの継続割合(2020年12月時点):感染拡大前に始めた労働者は82.2%、感染拡大下に始めた労働者は56.7%
(※)川口追記:「テレワーク」自体は、働き方の一つとしてコロナ以前より、研究されており、実施している企業もありました。

○ テレワークで仕事をする際の生産性や満足感は、オフィスで働く場合と比べて一般的に低下するものの、感染拡大前からテレワークを実施していた労働者では低下幅が小さい。
(※)川口追記:生産性と満足感は上がると思っていましたが、意外な結果です。でも、手を動かくことに集中する場合は、いずれも上がると思います。うまく使い分けることが大切ですね

○ 企業において、業務範囲・期限や仕事の評価基準を明確にすること、業務の裁量をもたせること等のマネジメント上の工夫や、テレワークをする際の環境整備に取り組むことで、テレワークをする際の充実感・満足感が高くなっている。


働き方改革に関連した指標の状況(労働時間・休暇取得・賃金の推移)

・労働時間については、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制の導入(大企業:2019年4月、中小企業:2020年4月施行)、年5日の年次有給休暇の確実な取得(2019年4月施行)等を背景に、2019年、2020年と比較的大きく減少。週労働時間60時間以上の雇用者の割合も男性を中心に減少傾向。年次有給休暇の取得率は、2019年(調査年は2020年)に全ての企業規模で大きく上昇。
・賃金については、働き方改革関連法の同一労働同一賃金(雇用形態間の不合理な待遇差の解消)に関する規定の大企業での施行(大企業:2020年4月、中小企業:2021年4月施行)等を背景として、2020年には感染拡大の影響があったにもかかわらず、パートタイム労働者の特別給与が増加。

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テレワークを活用して働いた労働者の分析(新たなアンケート調査による分析)

・テレワークの継続状況をテレワークの開始時期別にみると、感染拡大前からテレワークを実施していた企業や労働者の方が、感染拡大下でテレワークを始めた企業や労働者よりも継続割合が高い。
・テレワークについて労働者に尋ねた指標(オフィスで働く場合を100として0~200の間で回答)をみると、「生産性・効率性」「充実感・満足感」では、指標の平均値はオフィスで働く場合(100)を下回っているものの、感染拡大前からテレワークの活用経験がある労働者の方が、感染拡大下で初めて活用した労働者よりも指標の平均値が高い傾向にあり、低下幅が抑えられている。
※感染拡大期より前からテレワークを活用してきた企業では、業務の性質等によりテレワークに取り組みやすかった結果、生産性や満足感等が高くなっている可能性があることにも一定の留意が必要。
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・労働者がテレワークを実施しなくなった理由をみると、業務の性質や感染の影響などの他律的な理由を除けば、テレワーク時の仕事の進め方やテレワークのための環境整備といった労務管理上の工夫により対応可能な事項(赤囲み箇所)に関する事項が挙げられている。特に2020年4~5月の緊急事態宣言下にテレワークを始めた労働者の方が、それらの回答割合が高い。企業においても、同様の項目を課題として捉えている割合が高い。
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・テレワーク時の仕事の進め方に関し、「業務範囲・期限の明確性」「業務の裁量性」「評価基準の明確性」の設問について、肯定的に回答した労働者の割合は、いずれも、感染拡大前から活用経験がある労働者の方が、感染拡大下で初めて活用した労働者よりも高い。「充実感・満足感」の指標について、上記設問に該当する労働者と該当しない労働者に分けて比較すると、該当する労働者の方が、平均値がやや高い傾向にある。
・テレワークをする際の環境整備の状況について「テレワーク時の設備は充実している」と回答した労働者の割合は、感染拡大前から活用経験がある労働者の方が、感染拡大下に初めて活用した労働者よりも高い。「充実感・満足感」の指標を、上記設問に該当する労働者と該当しない労働者に分けて比較すると、該当する労働者の方が平均値が高い。
(※)川口追記:普段からテレワークを定期的に実施し、従業員がある程度慣れていれば、「充実感・満足感」ともに高くなるものと思われます。
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