社会保険労務士川口正倫のブログ

横浜市の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ

青少年雇用対策基本方針(厚生労働省告示第百十四号)

青少年雇用対策基本方針(厚生労働省告示第百十四号)

厚生労働省より、今後5年間にわたる青少年の適職の選択ならびに職業能力の開発や向上に関する施策の基本となる方針を示した「青少年雇用対策基本方針※」が公表されました。 ※「青少年雇用対策基本方針」とは、青少年の雇用の促進等に関する法律第8条第1項の規定に基づくものです。

https://www.mhlw.go.jp/content/11804000/000759745.pdf

【青少年雇用対策基本方針のポイント】 今後の若年者雇用施策の柱の一つとして以下の点を位置づける。 ・ 様々な事由により早期に離転職する場合でも長期的・安定的に職業人生を歩めることが重要であることから、入職後早期に離転職する青少年に対するキャリア自律に向けた支援

・ 青少年の主体的なキャリア形成を促進する必要があるため、キャリア形成サポートセンターやオンラインの活用によるキャリアコンサルティングをより身近に受けられる環境整備  など

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響も含め、経済社会情勢の変化などに伴い、新たな施策が必要な場合には、本基本方針の趣旨などを踏まえて機動的に対応する。

今後の基本方針の概要だけででなく、現在の雇用の状況をざっと把握することができ、一読に値する方針であると考え全文抜粋いたしました。

*はじめに 青少年雇用対策基本方針(以下「本方針」という。)では、青少年の職業生活に関する動向を明らかにするとともに、経済・社会の変化、少子高齢化の進行や青少年に求められる社会の期待等を踏まえ、青少年が、仕事・人・社会への積極的な関わりを通じて自信と意欲を備え、適職の選択並びに職業能力の開発及び向上を通じて継続的なキャリア形成を図り、社会の構成員として自立して健全に成長することを促すため、また、これを支える関係機関の連携による社会的ネットワークの整備を図るため、施策の基本となるべき事項を示すこととする。 本方針において「青少年」とは、35歳未満の者をいう。ただし、個々の施策・事業の運用状況等に応じて、おおむね「45歳未満」の者についても、その対象とすることは妨げないものとする。 また、青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和45年法律第98号。以下「法」という。)第2条及び第3条に規定するとおり、青少年雇用対策は、青少年が、その意欲や能力に応じて、有為な職業人として成育するよう、就職支援、職業生活における自立促進等の必要な支援を行うこととしている。なお、法第3条の「青少年である労働者」は、現に働いている者に限らず、求職者やいわゆるニート等の青少年も含まれるものである。 本方針の運営期間は、令和3年度から令和7年度までの5か年とする。 なお、令和2年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を含め、経済社会情勢の変化等に伴い、本方針の運営期間中に新たな施策が必要となる場合は、本方針の趣旨等を踏まえて機動的に対応するものとする。

*第1 青少年の職業生活の動向 **1 青少年を取り巻く環境の変化 我が国の経済・社会をめぐる環境は、Society5.0(必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会)の実現に向け、第4次産業革命を背景とする産業構造の急激な変化など、近年目まぐるしく変化しており、新型コロナウイルス感染症の影響の下で、社会全体のデジタルトランスフォーメーションの加速化が促進されるものとみられる。また、人生100年時代の到来による労働者の職業人生の長期化や働き方の多様化の進展を受け、新卒一括採用や長期雇用等に特徴付けられる日本型の雇用慣行も徐々に変化している。 このような経済・社会環境を前提として、青少年の雇用動向を見ると、青少年の人口が減少しているにもかかわらず、若年層の完全失業率は他の年齢層と比較しても高い水準にある。 こうした中、学校等の新規卒業予定者(以下「学校卒業見込者」という。)の就職環境はいわゆるリーマンショック後の不況に伴う悪化から回復し、いわゆるフリーターと呼ばれる不安定就労を繰り返す者が減少傾向にある一方で、いわゆるニートと呼ばれる若年無業者の数は高水準で推移しており、ニートの該当年齢層人口に対する比率(無業率)も高止まりしている。 また、高等学校卒業者の大学への進学率は、引き続き上昇傾向にあり、平成21年以降はおおむね50%を超える水準にある。その一方で、各学校段階での中途退学者が相当程度の頻度で発生し、これらの者がその後、いわゆる非正規雇用となる割合が高くなるとともに、就職先が決まらないまま卒業した者や卒業後に非正規雇用となる者も一定数存在しており、継続的なキャリア形成を実現することが困難な状況となっている。 以下、これらの青少年の職業生活の動向について、より具体的なデータに基づき概観する。

2 青少年等の現状 *⑴ 若年労働力人口の動向 少子化が進展する中で、15歳から34歳までの若年労働力人口は減少が続き、平成29年で1,711万人、総労働力人口に占める割合は25.5%となっている。労働参加が現状のままである等と仮定すると、令和22年には1,364万人(ピーク時(昭和43年)の57.4%)にまで減少することが見込まれている。このように、中長期的に社会の支え手である若年労働力人口の減少は避けられず、これに伴い、経済・社会システムの維持のための青少年1人当たりの負担はますます大きくなると見込まれる。

***⑵ 青少年をめぐる雇用情勢 青少年の完全失業率は、平成21年をピークに低下傾向にある。令和2年における全体の完全失業率は2.8%である一方で、若年層の完全失業率も15歳から24歳までは4.6%、25歳から34歳までは3.9%と、他の年齢層に比べてなお高水準にある。 また、学校卒業見込者の就職状況についても、リーマンショック後の不況に伴う悪化から回復したことに加え、人手不足も影響して大学・高等学校ともに学校卒業見込者の求人倍率や就職(内定)率が上昇し、令和2年3月卒業者の就職(内定)率は大学で98.0%と調査開始以降最高となったほか、高等学校でも98.1%と高水準となっている。 一方、学校等を卒業後、就職して3年以内に離職する者の割合は近年おおむね横ばいで推移しており、平成29年3月卒業者については、中学校卒業者で59.8%、高等学校卒業者で39.5%、大学卒業者で32.8%となっている。ただし、足下では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が青少年を取り巻く雇用情勢に大きな影響を与えており、今後も引き続き、その動向に注視が必要である。

***⑶ 就業構造の変化及び就業形態の多様化並びに自立に困難を抱える青少年の増大 青少年の就業状況について、産業別の就業者数の構成割合を見ると、令和2年では「卸売業、小売業」が17.1%と最も多く、次いで「製造業」が15.6%、近年労働市場における需要が高まっている「医療、福祉」が13.0%と続いている。同じく職業別の就業者数の構成割合を見ると、「専門的・技術的職業従事者」が21.3%と最も多く、次いで「事務従事者」が18.4%、「販売従事者」が15.7%、「サービス職業従事者」が14.8%と続いている。 学校卒業見込者の就職状況に改善が見られる一方で、学校等から職業生活への円滑な移行ができず、キャリア形成に課題を抱える青少年の存在が見られる。 就職を希望しつつも就職先が決まらないまま卒業した者を含め、卒業後に進学も就職もしない学校等の卒業者は、高等学校卒業者で約4万8千人、大学卒業者で約4万1千人(令和2年3月卒業者)となっている。また、非正規雇用労働者のうち、不本意ながら非正規雇用で働いている青少年の割合は11.2%(令和元年)となっている。 非正規雇用労働者の給与は、ほぼ全ての世代で正規雇用労働者の給与を下回り、年齢による変化がほとんどないことから、就業年数を重ねても増加することなく固定化していることがうかがえる。 フリーター数は、平成15年の217万人をピークに5年連続で減少した後、平成21年以降は180万人前後で推移していたが、平成26年以降は7年連続で減少し、令和2年は136万人となっている。フリーター期間が長くなるほど、正規雇用への移行が難しくなる傾向が見られる。 また、ニート数は、若年労働力人口が減少傾向にあるにもかかわらず、平成27年から令和元年まで50万人台と横ばいで推移し、令和2年には前年比で13万人増の69万人となっている。 高等学校・大学等の中途退学者については、高等学校で約4万3千人(令和元年度)、大学等で約7万9千人(平成24年度)となり、中途退学後に就職した者の就業状況を見ると、正規雇用の比率が各学校を卒業した者に比べて著しく低く、約6割(平成29年)がアルバイト・パートの形態で働いており、安定的な仕事に就くことが困難な状況が見られる。 このような状況の下で、キャリア形成の初期段階において基本的な職業能力の修得がなされないことにより、将来的に人的資本の質が低下し、労働力人口が減少する中での経済・社会への影響が懸念される。

***⑷ 働くことに関する青少年の意識 「新入社員「働くことの意識」調査」(平成31年)によると、青少年の働く目的については、「楽しい生活をしたい」とする者が39.6%と最も多く、「経済的に豊かになる」とする者が28.2%と高水準を維持する一方で、「社会に役立つ」とする者が9.3%と引き続き横ばいとなっており、経済的・物質的な豊かさだけでなく、楽しさ、やりがい等の精神的な豊かさを重視する傾向が見られる。 また、同調査によると、仕事と生活のバランスについては、「両立」を志向する者が約8割と大多数を占め、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を重視する傾向がうかがえる。 また、厚生労働省の「能力開発基本調査」(令和元年度)によると、職業生活設計について、会社に提示してもらうのではなく自分で考えていきたいとする20歳から29歳までの労働者は「正社員」では65.7%、「正社員以外」でも55.0%に達する。一方、職業生活を継続するため、職業に関する能力を自発的に開発し、向上させるための活動である自己啓発を行った20歳から29歳までの労働者は、「正社員」では43.2%であるのに対し、「正社員以外」では13.6%にとどまっている。 さらに、初めて勤務した会社の主な離職理由は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」及び「人間関係がよくなかった」との回答が多く、次いで「賃金の条件がよくなかった」及び「仕事が自分に合わない」との回答が多くなっており、労働条件への不満、職場環境及び仕事内容が大きな要因となっていることがうかがえる。

*第2 青少年について適職の選択を可能とする環境の整備並びに職業能力の開発及び向上を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項等

**1 青少年雇用対策の方向性 若年期は、生涯にわたるキャリア形成のスタートとして重要な時期であり、青少年が安定した雇用の中で経験を積みながら職業能力を向上させていくことが必要である。 しかしながら、第1のとおり、学校等から職業生活への円滑な移行ができず、キャリア形成の初期の段階でつまづき、基本的な職業能力の修得に困難を抱える青少年が存在するなど、将来を担う青少年のキャリア形成に大きな課題が見られる。 青少年は心身ともに成長過程にあり、一般的に人生経験や職業経験が少ないため、自らの適性等を理解した上で適職の選択を行うことについても他の年齢層に比べて未熟な面があることから、マッチングの向上等のための積極的な支援が求められる。 具体的には、学校等から職業生活への移行を円滑にするために在学段階から職業意識の形成を行うとともに、就職活動段階においては、マッチングの向上等を図り、学校卒業見込者等が早期に離職することなく、最初の職場で集中的に職業経験を積んで、その後のキャリア形成のための基盤となる職業能力を培うことができるよう支援を行う。また、様々な事由により入職後早期に離職する青少年が早期に再就職し、その持てる能力を発揮できるようキャリア自律に向けた支援を行う。その際、青少年が多種多様な情報から必要な情報を取捨選択して判断することに課題が見られることから、情報面での支援に留意する。 また、中途退学や就職先が決まらないまま学校等を卒業したことにより、学校等とのつながりがなくなり、適切な就職支援が受けられずに不安定な就業を繰り返す者や就職への意欲を失ってニートとなる者が一定数存在するといった課題を踏まえ、個人の事情に配慮した支援を行う。 青少年雇用対策の推進に当たっては、事業主、学校等、地方公共団体、労働行政機関等関係行政機関、職業紹介事業者、募集情報提供事業者、職業訓練機関、地域の青少年支援機関等の関係者が連携・協力し、社会全体で取組を進めていくという観点が不可欠である。 以下、施策分野ごとに、重点的に取り組む事項を掲げることとする。

2 学校卒業見込者等の就職活動、マッチング、職場定着等に向けた支援 *⑴ 在学段階からの職業意識等の醸成 在学段階は、社会・職業生活への移行の前段階であり、職業人生における初期キャリアの形成に向け、勤労観、職業観等の職業意識といった将来の進路決定・就職に向けた基盤が形成される重要な時期である。 文部科学行政においても、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(平成23年1月中央教育審議会答申)により、「キャリア教育は、キャリアが子ども・若者の発達の段階やその発達課題の達成と深くかかわりながら段階を追って発達していくことを踏まえ、幼児期の教育から高等教育に至るまで体系的に進めること」、「職業能力の開発・向上の促進等を担う厚生労働省や、企業やNPO等の民間主体の組織・人材の育成等を担う経済産業省等の関係府省間での連携・協力を図ること」等の方針が示されるとともに、大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)等が改正され、全ての大学等に社会的・職業的自立に関する指導等の実施のための体制整備が求められることとなった。 また、学校等の卒業者の早期離職や一定数の青少年がフリーター、ニート等になっていることなど、学校等から社会・職業生活への移行が必ずしも円滑に行われていない状況が見られる中、社会に出てから顕在化するこれらの問題に対する事後的な対応にとどまらず、未然に防止するための対策としても、在学段階から次の①から③まで等の体系的なキャリア形成支援の充実が求められる。

①キャリア教育の推進を通じた職業意識の形成支援 青少年が適職の選択を行うためには、自らの適性や興味・関心、職業との関わり等に対する理解が前提となることから、在学段階から職業意識の形成支援を行うことが重要である。 学校等におけるキャリア教育の推進に当たり、公共職業安定所は、職場体験・インターンシップの受入企業の開拓、地域の様々な産業で働いている社会人を講師とした職業講話、自己や仕事に関する理解を深める授業・ガイダンスの実施、青少年が希望する地域の職業情報・雇用情報の提供等、積極的な協力に努める。 なお、職場体験・インターンシップは、キャリア教育の一環として行われることが基本であり、その趣旨に沿った適正な形で実施されるよう、事業主等への周知徹底を図っていく。 キャリア教育の推進に当たっては、学生が、インターンシップ、キャリア教育等の状況、自らの目標等を記入するキャリア・プランニングのツールとしてジョブ・カードを活用することが求められている。このため、関係各府省と連携して、在学段階からジョブ・カードが活用されるよう、利用の促進・周知を図っていく。 ものづくり分野をはじめとする幅広い職業について理解を深め、就職前段階で適切な職業意識を持てるよう学校等と公共職業能力開発施設の連携により、学生、生徒等に対するものづくり体験、技能講習会等の実施を進める。 保護者に対しても、保護者が時代に合った職業観を持ち、学校等におけるキャリア教育や学生・生徒自身の主体的な職業意識の確立について理解・協力してもらうことが望まれる。

②関係者の連携によるキャリア教育推進の基盤整備 初等中等教育及び高等教育の各学校等による主体的な取組がより効果的に推進されるよう、その基盤として、各地域の地方公共団体、労使団体、企業、労働行政機関等関係機関の連携・協力が不可欠である。 その際、職業適性や興味に関する各種検査の活用、詳細な職場情報や地域の企業情報の提供、キャリアコンサルタント等の専門人材の活用、ジョブ・カードの普及等、労働行政機関の有するキャリア形成に資する資源や手法、人材等を広く提供し、活用の促進を図ることも重要である。

③労働関係法令に関する知識等の周知啓発 青少年の就職活動時や就職後のトラブルの防止のためには、労働関係法令に関する理解を深めることが重要であり、都道府県労働局等と学校等との連携・協力により、学生・生徒に対して労働関係法令に関する知識等の周知を図ることが求められる。 このため、法において、学生・生徒に対する職業生活において必要な労働に関する法令に関する知識の付与に係る国の努力義務を規定していることも踏まえ、国は、都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所による講師の派遣、労働関係法令に関する基礎的な知識をまとめた冊子の提供等を積極的に行うとともに、学校等に対しては、職場体験・インターンシップの実施の前後や学生・生徒の進路決定の際など、適切な機会を捉えた労働関係法令に関する知識等の付与に係る取組の周知を図る。 さらに、都道府県労働局、労働基準監督署及び公共職業安定所は、労働に関するトラブルに適切に対処できるよう、都道府県労働局等に設置されている総合労働相談コーナー等の相談窓口を周知する。

***⑵マッチングの向上等による学校卒業見込者等の職業生活への円滑な移行、適職の選択、職場定着等のための支援 我が国の若年失業率は、国際的に見て相当低い水準にとどまっているが、その背景には、学校等の卒業前に就職先が決定し、企業で継続的に人材育成を行う学校卒業見込者の一括採用があると考えられる。この仕組みは、事業主にとっても学校卒業見込者にとってもメリットがあり、一定の合理性を持つ雇用慣行として我が国で広く定着してきたところである。 したがって、青少年の円滑なキャリア形成のためには、特に学校等の新規卒業時の職業選択が重要であり、次の①から⑥までの適職の選択を行うことができる環境の整備が必要である。

①学校等から職業生活への円滑な移行のための支援 学校等から職業生活への円滑な移行のため、公共職業安定所が学校等と連携・協力し、就職支援ナビゲーターによる大学等への出張相談、就職支援セミナー等、地域の学校等や学生・生徒等のニーズに応じた支援を行う。 特に、採用意欲が高く、青少年の雇用管理が優良な中小企業と、大企業志向の強い学校卒業見込者等との間にミスマッチが存在している状況等を踏まえ、青少年の募集等に関する取組の実施状況が優良である等の事業主を法の規定に基づき認定する制度(以下「ユースエール認定制度」という。)により、中小企業の情報発信を支援し、企業規模等にとらわれない職業選択を促す。その際、大企業や知名度の高い企業を子どもに推奨する傾向があると言われる保護者の意識への働きかけも求められる。 卒業間近になっても内定を得られていない学生・生徒に対しては、卒業までに内定を得られるよう、関係省庁との連携の下で、新卒応援ハローワーク等において毎年1月から3月までの期間に集中的に就職支援を行うとともに、就職先が決まらないまま卒業した者に対しても、新卒応援ハローワーク等において継続して就職支援を行う。 公共職業安定所は、学校卒業見込者等に対して就職支援を行う際に、トラブルに巻き込まれた際の相談窓口(都道府県労働局等に設置されている総合労働相談コーナー等)について周知啓発を図る。

既卒者の応募機会の拡大に向けた取組の促進 学校卒業見込者の一括採用の仕組みについては、事業主にとっては、職業経験のない学校卒業見込者を集団的かつ集中的に正規雇用労働者として採用し、長期雇用の下でOJT等の企業内での訓練を実施しながら必要な知識・技能を習得させていくこと等が効率的であること、学校卒業見込者にとっても、失業状態を経ることなく円滑に社会・職業生活に移行できること等のメリットがあり、一定の合理性を持つ雇用慣行として広く定着してきたところである。 一方、経済・社会環境及び労働市場の構造の変化の下、急激な雇用情勢の悪化等の影響により、就職先が決まらないまま卒業した者、次年度の就職活動のために学校等を留年した者、不本意ながら非正規雇用に就いた者、ミスマッチにより早期の離職を余儀なくされた者等が存在し、さらに、フリーター等の不安定な就業形態に就くことで、その後正規雇用に移行することがより困難となる状況が生じている。 こうしたことから、青少年の募集及び採用に当たって、卒業後の経過期間にとらわれることなく人物本位による正当な評価が行われるよう、法の規定に基づき厚生労働大臣が定める「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第406号)において、学校卒業見込者の採用枠について、既卒者が学校等を卒業後少なくとも3年間は応募できるものとすること、できる限り年齢の上限を設けないようにすること等を定めたところである。この指針を活用し、事業主への周知啓発、指導を着実に実施することにより、学校等を卒業後の一定期間は「新卒」扱いとする、通年採用を拡大するなど、既卒者が正規雇用に応募する機会を広げる取組を促す必要がある。

③マッチングの向上に資するための労働条件等の明示の徹底及び積極的な情報提供の促進 事業主から示される労働条件等は、学校卒業見込者等が就職先を決定する際の重要な情報であるが、募集時に示された労働条件等と労働契約の締結時に明示された労働条件等が異なるなど、労働条件等をめぐるトラブルが発生している現状に鑑み、職業安定法(昭和22年法律第141号)、労働基準法(昭和22年法律第49号)等の労働条件等の明示に関する規定等の周知徹底を図る。 また、労働条件等をめぐるトラブル等に対し、法令等に基づく行政指導を実施してもなお、個々の労働者と事業主との間の紛争が解決しない場合には、都道府県労働局による個別労働紛争解決制度等が利用できることを周知するとともに、公共職業安定所は必要に応じて相談等に適切に対応する。 さらに、マッチングの向上のためには、労働条件等に加えて、職場の就労実態に係る情報が提供される環境の整備が重要である。このため、法第13条及び第14条に規定する青少年雇用情報の提供について履行の確保を図るとともに、公共職業安定所が学校卒業見込者等求人(法第11条に規定する学校卒業見込者等求人をいう。以下同じ。)の申込みを受理するに当たっては、求人者に対し、青少年の雇用の促進等に関する法律施行規則(平成27年厚生労働省令第155号)第5条第1項に定める青少年雇用情報の全ての事項の提供を求めていく。 また、公共職業安定所においては、青少年雇用情報の求めを行ったことを理由とした不利益取扱いに係る相談への対応、学校卒業見込者等が具体的な情報の求めを行った場合の事業主への対応その他青少年雇用情報の提供の仕組みが学校卒業見込者等の適職の選択に有効に機能するために必要な取組を進める。 なお、青少年雇用情報の提供は、学校卒業見込者等の適職の選択のための措置であり、事業主及び学校卒業見込者等の双方に適正な対応が求められることについて周知を図っていく。

④労働関係法令違反が疑われる企業への対応 労働基準法等の労働関係法令違反が疑われる事業場については、労働基準監督機関等による監督指導等を行っていくほか、社会的に影響力の大きい企業において違法な長時間労働等が複数の事業場で認められた場合には、都道府県労働局長から経営トップに対し全社的な是正を図るよう指導を行うとともに、その事実を公表するなど、実効性のある取組を行っていく。 また、公共職業安定所において、労働基準監督機関等との連携の下、職業安定法第5条の5に規定する求人不受理の措置を着実に実施していく。

⑤就職後の職場適応・職場定着のための支援 公共職業安定所は、学校卒業見込者等について就職後においてもその状況把握に努め、職場適応のための相談対応等、職場定着に向けた支援を行うとともに、事業主に対し、個々の状況に応じて助言・指導等により雇用管理の改善を促していく。 青少年の早期離職の防止・職場定着の促進を図る観点からも、入職後早期におけるキャリアコンサルティングの機会の提供を行うとともに、メンタルヘルス不調の発生の防止、不調者への適切な対応、職場復帰の支援等、職場におけるメンタルヘルス対策の充実を図り、青少年が心身ともに充実した状態で意欲と能力を十分に発揮できる職場環境を整備していく。

⑥入職後早期に離転職する青少年に対するキャリア自律に向けた支援 様々な事由により早期に離転職する青少年もいることから、そのような場合であっても、長期的・安定的に職業人生をより豊かに送ることができるよう、新卒応援ハローワーク等における職業相談の実施に加え、入職後早期におけるキャリアコンサルティングの機会の提供等により、キャリア自律に向けた支援を行う。 また、ユースエール認定制度をはじめとした雇用管理の状況等が優良な企業の認定・表彰に関する状況や時間外労働の状況等の企業の職場情報を青少年がワンストップで閲覧できる職場情報総合サイト(しょくばらぼ)等を通じて、職場情報の見える化を促進する。 さらに、青少年が持つ職業スキルや経験等を生かした就職活動や企業の採用活動が行えるように職業情報の見える化を進めるため、職業情報提供サイト(日本版O-NET)において、広く求人企業・求職者等に職業情報を提供することにより、効果的なマッチングを図る。

**3 中途退学者・就職先が決まらないまま卒業した者に対する支援 学校等を中途退学し、又は就職先が決まらないまま卒業したこと等を理由として、学校等から社会・職業生活への円滑な移行ができなかった者等については、個々の事情に配慮しつつ、希望に応じた就職支援等を行っていくことが必要である。 中途退学者の中には安定的な就労に困難を抱える者が多い状況に鑑み、就職を希望する中途退学者に対しては、中途退学後に各支援機関の支援の谷間に陥ることのないよう、中途退学に際して、学校等、公共職業安定所、地域若者サポートステーション等が連携して、就職支援機関、職業訓練機関等に関する情報を提供し、継続的に支援を行っていく。 また、就職先が決まらないまま卒業した者については、卒業から就職までの期間が短いほど正規雇用労働者として就職する割合が高まる傾向がみられるなど、早期の就職実現が重要となっていることから、学校等、新卒応援ハローワーク等が連携し、公共職業安定所における個別支援や面接会の集中的な開催等により、卒業直後の支援の充実を図っていく。

**4 フリーターを含む非正規雇用で働く青少年の正規雇用化に向けた支援 非正規雇用労働者の現状等に関する情報を青少年に提供することも含め、主体的に職業選択やキャリア形成を行えるように支援していく。 不本意ながら非正規雇用で働いている青少年も多いことを踏まえ、わかものハローワーク等において、個々のニーズや課題に応じて、的確な就職支援を行うためのキャリアコンサルティング、就職活動の方法に関する助言・指導のほか、職業相談・職業紹介、職場定着、適切な職業訓練への誘導等の支援を行い、正規雇用への移行を促進していく。 また、地域のニーズに応じた多様な就職支援メニューをワンストップで提供する取組(ジョブカフェ)など、都道府県等が中心となって、地域の関係機関との連携の下で青少年が利用しやすいサービスの提供を推進していくことが期待される。 事業主に対しては、トライアル雇用、雇用型訓練、企業内での正規雇用への転換の取組等の青少年の正規雇用化に係る積極的な取組を促していく。

**5 企業における青少年の活躍促進に向けた取組に対する支援

***⑴ 青少年の雇用管理の改善に向けた支援 青少年の適切なキャリア形成の実現のためには、早期離職の防止の観点から入口段階でのマッチングの向上のための取組に加え、青少年の能力や経験に応じた適切な待遇を確保するなど、企業内での適切な雇用管理を促進することが課題となっている。 また、青少年にとって魅力のある職場となるよう、学校卒業見込者等募集(法第13条第1項に規定する学校卒業見込者等募集をいう。)及び学校卒業見込者等求人に当たって提供する青少年雇用情報の内容の充実やユースエール認定制度に係る認定の取得に向け、各企業において自主的に雇用管理の改善が図られることが期待される。

**⑵ 青少年の採用及び育成に積極的な中小企業の情報発信のための支援 青少年の雇用管理に積極的に取り組みながらも、知名度等の点から青少年の採用に課題を抱える中小企業の情報発信を支援するため、ユースエール認定制度等を推進し、公共職業安定所等において重点的にマッチングを行っていく。

**⑶ 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の改善、多様なニーズに対応した働き方の実現 青少年が働きがいを持ちながら、ライフステージに沿って、希望に応じた働き方を選べるような環境づくりに取り組んでいくことが必要である。 具体的には、時間外・休日労働の削減、年次有給休暇育児休業の取得の促進、自己啓発のための時間の確保への配慮等、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の改善に向けた企業における自主的な取組を促していくとともに、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のとれた働き方の円滑な導入の促進を図っていく。

6 職業能力の開発及び向上の促進 *⑴ 職業訓練の推進 公共職業訓練として実施している日本版デュアルシステム等の主として青少年を対象とした訓練メニューや、企業内での実習と教育訓練機関等での座学等を組み合わせて実施する雇用型訓練を引き続き推進する。また、産業界や地域のニーズを踏まえて産学官による地域コンソーシアムを構築し、就職の可能性をより高めるための職業訓練コースの開発・検証を行い、不安定な就労を繰り返す青少年の安定的な就職の実現等にも活用する。 また、離職後、相当な期間が経過した青少年や一度も就労したことのない青少年等雇用保険を受給できない青少年に対しては、求職者支援訓練により早期の就業に向け引き続き支援する。 職業訓練の実施に当たっては、対象となる青少年が職業経験の不足等により、職業能力が十分に形成されていない現状にあることに鑑み、訓練の受講前にキャリアコンサルティングを行うことにより、職業能力開発の課題や目標を明確にした上で適切な訓練へ誘導することが重要である。また、訓練中についても、コミュニケーション能力の不足、人間関係への不安、仕事への理解不足等、最近の青少年の特徴や抱える課題等を踏まえ、社会人・職業人として必要な基礎的能力の習得や職業意識の醸成を図りつつ、きめ細かな職業指導等を併せて行う。 さらに、企業内の青少年の育成については、景気の動向、企業の業績等に関わらず、事業主が中長期的な視点で人材への投資を行うことができるよう、引き続き、助成金、認定職業訓練制度等により必要な支援等を行う。

***⑵ 職業能力検定の活用の促進 職業に関する知識や職歴がない青少年にとって、技能検定を中心とした職業能力検定は、目指すべき職業能力開発の明確な指標となるものであり、また、いわゆるキャリアラダー(職務やこれに応じた職業能力をレベルごとに応じて階層化することにより、労働者がはしごを昇るように着実に職業能力を高め、キャリアの向上を図る道筋としての役割を果たすものをいう。)としての機能も有する。 また、青少年の職業能力の見える化を進めることは、青少年の実践的な職業能力が適正かつ客観的に評価されることにつながり、円滑なマッチングに資するものである。 このため、技能検定制度について、青少年のモチベーションの向上やキャリアアップに資するよう、青少年を主な対象とした技能検定3級の対象職種の拡大など、積極的にその設定を進めるとともに、学校教育等との連携を通じた青少年に対する技能検定の積極的な活用促進を図っていく。 また、今後も雇用吸収力の増大が見込まれ、青少年のキャリア形成上の課題がより顕在化している対人サービス分野等に重点を置いて、業界内共通の職業能力を評価する技能検定の職種の整備等を進める。

***⑶ 職業人生を通じたキャリア形成支援 青少年の主体的なキャリア形成を図ることは、職業能力開発に対する意欲を高め、豊かな職業人生をもたらす等の効果がある。このため、青少年自身が将来の経済及び社会を担う者としての自覚を持ち、職業人生を通じてキャリア形成に取り組むことが必要である。 しかしながら、青少年の中には、職業経験が少ないなど、独力でキャリア形成を図ることが困難な者も少なからず存在する。こうした者のキャリア形成を支援するため、入職後早期のうちから企業内外を問わず必要な時にキャリアコンサルティングを受けられるよう、キャリア形成サポートセンターやオンラインを活用し、キャリアコンサルティングをより身近に受けられる環境の整備に取り組む。 また、青少年のキャリアプランの作成及びこれに基づく職業能力開発の支援を行うため、職業人生の節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を企業内に設けるセルフ・キャリアドックの導入並びにキャリア・プランニング及び職業能力証明のツールであるジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを推進する。 さらに、青少年の主体的なキャリア形成の意識の醸成を図るとともに、これら一連の取組の普及を進めることが重要である。これらの取組を通じて、青少年自身が仕事へのやりがいをより感じられるようになることのほか、生産性が向上すること、職場定着が図られること等が期待される。 これらは、企業にとっても有益であることから、企業自身がキャリアコンサルタントを配置するなどにより青少年の自律的なキャリア形成ができる環境を整えることが重要である。

**7 ニート等の青少年に対する職業生活における自立促進のための支援 将来の労働力を確保する等の観点から、就業、通学及び職業訓練の受講のいずれもしていない青少年であって、職業生活を円滑に営む上での困難を抱えるニート等と呼ばれる青少年に対し、その特性に応じた適職の選択等の職業生活に関する相談の機会の提供、職業生活における自立を支援するための施設の整備等の必要な質の高い支援を継続的に提供する。 具体的には、ニート等の青少年の支援の拠点である地域若者サポートステーションにおいて、公共職業安定所地方公共団体等の関係機関との連携を通じた情報提供等や職場体験の充実を図ることにより就職に向けた支援を行うとともに、就職した者に対する職場定着支援等を実施する。 また、各地域若者サポートステーションが有するノウハウや経験の普及、研修体制の整備、好事例の周知、支援を行う専門人材の育成等に努める。

**8 地域における青少年の活躍促進 青少年が希望する地域において就職することができるよう、国、地方公共団体、事業主、大学等が連携し、地域の募集・求人情報の収集、提供等の必要な取組を進めることにより、いわゆるUIJターン就職を積極的に支援していく。 なお、支援の際には、地域における良質な雇用機会の確保のほか、青少年自身による起業等も含めた多様な選択肢があり得ることに留意することが必要である。

**9 青少年福祉施策の実施 青少年が自律的に職業生活設計を行い、仕事に対する意識改革に取り組み、充実した職業生活を送ることができるよう地域の関係者の意識啓発等を行っていくことは、引き続き重要である。 こうしたことから、地方公共団体、勤労青少年福祉に係る支援機関等が中心となって、地域の実情を踏まえた青少年の福祉の増進に係る事業を実施していくことが期待される。