労働政策研究・研修機構による「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」の概要
独立行政法人労働政策研究・研修機構によって行われた「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」の結果が公表されています。
この調査は、企業を対象とするものと従業員を対象とするものが並行して行われました。
新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いた後、「仕事のやり方」や「働き方」の変化に伴って予想される人材育成・能力開発への影響として、企業側の3割強が「個人の仕事の範囲や役割がより明確になる」と個人に焦点を当てた人材育成を重視する姿勢を示し回答をしているのに対し、従業員側は「自己啓発を行うなど自ら能力を伸ばすことに積極的になる」は1割強に留まっており、ギャップがあるとされています。
しかし、「個人の仕事の範囲や役割がより明確になる」とはジョブ型雇用を彷彿とさせ、従業員側は同質問に対して37.3%が「より生産性や効率性を意識する」と回答しています。私には、ギャップというよりは生産性や効率性を意識したジョブ型雇用という共通認識が反映されているように思えるのです。
それはさておき、結果の概要を抜粋しました。詳細は次のリンクをご確認ください。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20210205.pdf
(労働政策研究・研修機構による「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査」のより抜粋)
1.企業調査
<3割の企業は人材育成・能力開発について特に方針を定めていない>
人材育成・能力開発について特に方針を定めていないとする企業は29.6%に上る。前回(2016年)調査の18.2%を大きく上回った。規模別では9人以下の企業で4割超(42.2%)と特に高い。
2.労働者調査
<2割以上が能力開発により会社への定着意欲、仕事に対するモチベーションが高まったと認識>
これまで仕事をしていく上での能力を高めてきたことで、22.5%が会社への定着意欲が「高まった」または「やや高まった」と回答。また、26.2%が仕事に対するモチベーションが「高まった」または「やや高まった」と回答。
会社の人材育成や能力開発の方針が明確かどうかによって分けてみると、方針が明確な企業に勤める者は、能力を高めてきたことで、会社への定着意欲や仕事に対するモチベーションが高まったとする回答割合が高い。