社会保険労務士川口正倫のブログ

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公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号)に関するQ&A(改正法Q&A)

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公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号)に関するQ&A(改正法Q&A)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_200828_0001.pdf


公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和2年法律第51号)(以下「改正法」といいます。)が、令和2年(2020年)6月12日に公布されました。改正法は、公布の日から2年以内に施行することとされており、今後、消費者庁においては、内部通報体制の整備について事業者がとるべき措置に関する指針等の作成を行われる予定です。
具体的な施行日及び指針等の内容については、順次、消費者庁ウェブサイト上で公表される予定です。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/whisleblower_protection_system/overview/


Q1 施行日はいつになるのか。

A 一部の附則規定を除き、公布の日(令和2年(2020年)6月12日)から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日からとされております。
(現時点では未定ですが、十分な準備期間を確保いただけるよう、おおむね令和4年頃(2022年)を予定しております。)

 令和2年6月12日公布
  令和3年 指針、各種ガイドラインの作成
    令和4年6月まで施行予定


Q2 改正後の法第11条(事業者がとるべき措置)(内部通報対応体制整備義務の内容)について詳しい内容を教えてほしい。

Q2-1 事業者は何を行えば、公益通報対応業務従事者を定めたことになり、具体的にどのような措置を講じれば体制の整備その他の必要な措置をとったことになるのか。

A 改正後の法では、事業者に対し、新たに、公益通報対応業務従事者を定める義務(改正後の法第11条第1項)及び内部の労働者等からの公益通報に適切に対応する体制の整備その他の必要な措置をとる義務(改正後の法第11条第2項)を課しています。
前者の公益通報対応業務従事者の定め方については、個別に担当者を指定することのほか、内部規程において一定のポストに従事する者を定めるなどの方法が考えられます。
後者の体制の整備その他の必要な措置の内容は、現時点では、例えば、通報受付窓口の設定、社内調査・是正措置、公益通報を理由とした不利益取扱いの禁止や公益通報者に関する情報漏えいの防止、これら措置に関する内部規程の整備・運用等を想定しています。
公益通報対応業務従事者の定め方や、体制の整備その他の必要な措置の内容については、今後、指針を策定し、事業者の方が御準備いただくお時間を十分に確保できるだけの時期にお示しする予定です。

Q2-2 当社ではグループ会社としての通報窓口を設けているが、グループ内には従業員が300人を超える関係会社が複数社ある。この場合にグループとして1つの通報窓口を設ければよいのか、関係会社ごとに通報窓口を設けなければならないのか知りたい。

A 改正後の法では、事業者に対し、新たに、公益通報対応業務従事者を定める義務(改正後の法第11条第1項)及び内部の労働者等からの公益通報に適切に対応する体制の整備その他の必要な措置をとる義務(改正後の法第11条第2項)を課しています(常時使用する労働者の数が300人以下の事業者については、努力義務となります(改正後の法第11条第3項)。)。
改正後の法においては、独立した法人格を有する事業者ごとにこれら義務を課していることから、グループ全体ではなく、関係会社ごとに改正法に基づく通報窓口を整備する義務を果たしていただくことが必要になります。
なお、例えば、グループ会社全体としての体制整備の一環として、子会社の従業員が行う通報の窓口は親会社とされている場合もあると考えられます。子会社が、自らの内規において定めた上で、通報窓口を親会社に委託して設置し、従業員に周知しているなど、子会社として必要な対応をしている場合には、体制整備義務を履行していると評価できるものと考えられます。
より具体的な考え方については、今後お示ししていく予定です。

Q2-3 常時使用する労働者の数が300人を超える(※つまり301人以上)事業者に対し、内部通報対応体制整備義務が課されるが、この300人には、パートタイマー、役員等も含まれるのか。

A  「常時使用する労働者」とは、常態として使用する労働者を指すことから、パートタイマーであっても、繁忙期のみ一時的に雇い入れるような場合を除いて含まれます。役員については、労働者ではないことから含まれません。

(参考)参照条文(改正後の法)
(事業者がとるべき措置)
第十一条 事業者は、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報を受け、並びに当該公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(次条において「公益通報対応業務」という。)に従事する者(次条において「公益通報対応業務従事者」という。)を定めなければならない。
2 事業者は、前項に定めるもののほか、公益通報者の保護を図るとともに、公益通報の内容の活用により国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図るため、第三条第一号及び第六条第一号に定める公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。
3 常時使用する労働者の数が三百人以下の事業者については、第一項中「定めなければ」とあるのは「定めるように努めなければ」と、前項中「とらなければ」とあるのは「とるように努めなければ」とする。
4~7 (略)


Q3 法改正がなされたが、地方公共団体としての外部通報に対する取組や体制の整備として、今後準備しなければならないことを教えてほしい。

A 改正法では、地方公共団体を含む行政機関に対し、新たに、外部の労働者等からの公益通報に適切に対応する体制の整備その他の必要な措置をとる義務(改正後の法第13条第2項)を課しています。
体制の整備その他の必要な措置の具体的な内容については、行政機関の意見を聞きつつ、ガイドライン等においてお示しすることを予定しています。
現時点においては、①外部からの通報受付窓口の設定・制度の周知、②処分権限等に基づく調査・是正措置、③公益通報者に関する情報漏えいの防止・事後の措置、④これら措置に関する内部規程の整備・運用等を想定しておりますが、地方公共団体の方が準備をしていただく時間を十分に確保できるだけの時期に、お知らせしてまいります(ウェブサイト上でも公表いたします。)。


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