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新型コロナウイルス感染症の影響により、納付が難しい方へ労働保険料等の納付猶予の特例について

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新型コロナウイルス感染症の影響により、納付が難しい方へ労働保険料等の納付猶予の特例について

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000627591.pdf

猶予(特例)の概要

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業に係る収入に相当の減少があった事業主の方にあっては、申請により、労働保険料等の納付を、1年間猶予することができます。
○この納付猶予の特例が適用されると、担保の提供は不要となり、延滞金もかかりません。

猶予の要件

以下のいずれも満たす事業主の方が対象となります。
新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、事業に係る収入が前年同期に比べて(※1)概ね20%以上減少していること
※1 新規適用事業及び単独有期事業における取り扱いについてはQ&A及び申請の手引きをご参照ください。

②①により、一時に納付を行うことが困難であること(※2)
※2 「⼀時に納付を行うことが困難」かどうかの判断については、少なくとも向こう半年間の事業資金を考慮に入れるなど、申請される方の置かれた状況に配慮し適切に対応します。

③申請書が提出されていること

猶予対象となる労働保険料

令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する労働保険料等が対象となります。]

申請方法

○納期限までに申請してください(※3)。
※3 令和2年2月1日から令和2年6月30日までの間に納期限が到来している労働保険料等については、令和2年6月30日までに申請していただければ、納期限までに申請した場合と同じ取り扱いとします。
○所管の都道府県労働局に「労働保険料等納付の猶予申請書(特例)」等(※4)を提出してください。(郵送又は電子申請でも受け付けております。(電子申請の場合、年度更新の申告等の添付書類として申請いただくことになります。))
※4 根拠となる書類の準備が難しい場合は、職員が聞き取りによりお伺いします。
同一の労働保険適用事業において、国税地方税又は厚生年金保険料等の納付猶予の特例が許可された場合は、当該猶予許可通知書及び当該猶予申請書の写しを添付いただくことで、申請書の記載の一部が省略できる場合があります。

労働保険料等の特例猶予制度FAQ

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000627406.pdf

Ⅰ 猶予制度とは

問1 収入の減少等により税金や社会保険料労働保険料を含む。)を支払えない場合の相談窓口はどこか。

(答)
○税や社会保険料の種類により窓口が異なります。
法人税や源泉所得税、申告所得税、消費税などの国(税務署)へ納付する税金の猶予相談は、「国税局猶予相談センター」にお電話ください。
(注)国税局猶予相談センターの電話番号は国税庁ホームページをご覧ください。
○また、市県民税や固定資産税及び自動車税等の地方税の猶予相談窓口は都道府県や市区町村の担当窓口へ、社会保険料のうち厚生年金保険料等については日本年金機構へ、労働保険料については都道府県労働局へご相談ください。


問2 猶予制度とはどのような制度か。

(答)
労働保険料等の猶予制度は、労働保険料等を一時に納付することにより事業の継続や生活が困難となるときや、災害で財産を損失した場合などの特定の事情があるときは、都道府県労働局長に申請することで、最大1年間、労働保険料等の納付が猶予される制度です。
〇現行法には、①換価の猶予(国税徴収法第151条及び第151条の2)と②納付の猶予(国税通則法第46条)がありますが、この度、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が大幅に減少している方に向けて、③労働保険料等の納付猶予の特例(特例猶予)が創設されました。


問3 特例猶予を受けると労働保険料等の支払いが免除されたり、払った労働保険料等が還付されるのか。

(答)
○特例猶予は、労働保険料等を一時に納付できない場合に、納付を猶予する制度であり、労働保険料等の支払いそのものが免除されたり、支払った労働保険料等が還付されることはありません。

Ⅱ 特例猶予制度について

問4 特例猶予の対象となるのはどの労働保険料等か。

(答)
○特例猶予の対象となるのは、
 (1)一般保険料
 (2)第1種・第2種・第3種特別加入保険料
 (3)特例納付保険料
 (4)労災保険の特別保険料
( 5)石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金
です。印紙保険料については対象となりません。


問5 新規に事業を起こした場合や有期事業でも特例猶予の申請ができるのか。

(答)
○新規適用事業や一括有期事業、単独有期事業についても特例猶予の申請をすることができます(新規適用事業については問13、単独有期事業については問14を参照)。


問6 第2種特別加入者の特別加入団体における申請はどのように行えば良いのか。

(答)
○所属する一人親方等が特例猶予を希望する場合に、当該個々の一人親方等についての収入が前年同月に比べて概ね20%以上減少していることを要件として、当該個々の一人親方等の保険料分を特別加入団体としての保険料のうち「猶予を受けようとする金額」として、労働保険料等納付の猶予申請書(様式第1号)及び第2種特別加入保険料納付猶予申請内訳書(様式第2号)により申請していただくことになります。


問7 特例猶予を受けた後はどのように労働保険料等を払っていくのか。

(答)
○納付猶予決定通知書に記載された納付猶予後の納期限までに納付をする必要があります。


問8 どの程度の期間猶予を受けられるのか。

(答)
○ 特例猶予については原則1年間労働保険料等の納付が猶予されます。


問9 現在滞納している労働保険料等がある場合には特例猶予を受けられないのか。

(答)
〇他に滞納している労働保険料等がある場合も、要件に該当している保険料等については、特例猶予を受けることができます。


Ⅲ 特例猶予を受けられる条件

(特例猶予を受けられる条件①事業の収入)
問10 収入には一時的な収入も含まれるのか。

(答)
○事業等に係る収入が対象となりますので、事業場や個人事業主等の方の経常的な収入(事業の売上高等)が対象となります。
○一時的な所得や臨時収入等については、通常、新型コロナウイルスの影響により減少するものではないと考えられますので、「事業等に係る収入」には含まないものと考えられます。


問11 手元資金の現預金額には国等からの給付金や緊急融資を含める必要があるのか。

(答)
○手元資金には、計算上は給付金や緊急融資の額を含めますが、給付金等について、事業継続等のため支出先が決定している場合は、納付可能額を算出する際に運転資金や臨時支出の額を同額分増加させますので、実質的には猶予を受けられる額には影響しません。現預金額に給付金等の額が含まれている方は、ご相談の際にお申し出ください。


問12 どの程度収入が減少していれば、特例猶予の適用を受けられるか。

(答)
○令和2年2月1日から納期限までの間の任意の期間(1か月以上)の収入金額が、前年同期の収入金額に対して、概ね20%以上減少していれば、特例猶予の要件に該当することとなります。
(注)月の考え方は、1日から末日でなくても構いません(15日~翌14日でも可)
○ただし、新規適用事業については問13、単独有期事業は問14をご覧ください。


問13 前年同期には事業を行っていなかった場合は、減少率をどう算出すれば良いのか。

(答)
○比較対象となる前年同期が無い場合、比較に適した期間(問のケースでは、収入が生じた期間のうち1か月以上の期間)で収入減少率を算出することになりますので、前年の収入状況又は開業後の収入状況等がわかる資料をお手元にご用意の上、ご相談ください。


問14 工事期間が短く前年同期と収入比較ができない単独有期事業はどのように収入比較をすれば良いのか。

(答)
○工事期間における請負金額の支払い予定額に対し、発注者からの支払額が概ね20%以上減額されているか否かで判断することになります。


問15 収入の減少率が20%未満の場合には特例猶予を受けられないのか。
(答)
○「前年同期比概ね20%以上の収入の減少」という基準の適用については、現に収入の減少が20%に満たないことのみをもって一概に特例の適用を否定するものではなく、収入の減少が20%に満たない場合でも、今後、さらに減少率の上昇が見込まれるときなどは、これを勘案して総合的に判断しますので、このような事情がある場合は、所轄の都道府県労働局労働保険徴収課(室)にご相談いただくようお願いします。


問16 対象期間の損益が黒字の場合でも特例猶予が受けられるか。

(答)
○黒字であっても、収入減少などの要件を満たせば特例猶予が受けられます。


問17 不動産賃貸業を営む者が、賃借人に対し賃料を減免したり、支払を一定期間猶予したような場合は、「収入の減少」に該当するのか。

(答)
○特例猶予の適用の条件である「収入の減少」が生じたかどうかを判断するための収入金額の計算に当たっては、新型コロナウイルス感染症のまん延防止のための措置の影響により、事業主(不動産の賃貸人)が収入すべき対価の額(賃料)を減免した場合や納期限まで支払いを猶予している場合には、その減免又は猶予した額は収入金額に含める必要はありません。


(特例猶予を受けられる条件②新型コロナウイルス感染症の影響)
問18 納付が困難な理由は何でもよいのか。

(答)
○特例猶予の場合、新型コロナウイルスの影響によることが必要とされますが、その影響は直接・間接を問いません。


問19 収入減少の原因が新型コロナウイルス感染症の影響であることを証明する必要があるか。

(答)
○申請の際に、新型コロナウイルス感染症等が事業に与えた影響を、申請書にあらかじめ記載してある項目(例えば「イベント等の自粛で収入が減少」)の中から選んでチェックしていただければ結構です。


(特例猶予を受けられる条件③一時に納付することが困難)
問20 「一時に納付が困難」とはどのような意味か。

(答)
○「一時に納付が困難」とは、納付すべき労働保険料等の全額を一時に納付する資金がないこと、又は納付すべき労働保険料等の全額を一時に納付することにより事業の継続若しくは生活の維持を困難にすると認められることをいいます。


(特例猶予を受けられる条件④納期限について)
問21 特例猶予を受けられる条件を満たさない場合は直ちに納付する必要があるのか。

(答)
○特例猶予が認められない場合であっても、他の猶予制度を利用できる場合がありますので、都道府県労働局労働保険徴収課(室)にご相談ください。


Ⅳ 特例猶予申請の手続

問22 特例猶予を受けるためには申請が必要なのか。あるいは、自動的に特例猶予を受けられるのか。

(答)
○特例猶予は事業主の方からの申請に基づいて適用することとなりますので、自動的には猶予を受けられません。納付にお困りの方は、まずは、都道府県労働局労働保険徴収課(室)にご相談ください。


問23 猶予の申請に期限はあるのか。

(答)
○特例猶予の申請は、納期限までに提出する必要がありますが、関係法令の施行日(令和2年4月30日から2か月を経過する日(令和2年6月30日)までは、納期限後においても申請することができます。


問24猶予の申請期限を過ぎてしまうと一切猶予を受けられなくなるのか。

(答)
○期限内に申告・納付された方との公平性を勘案すると、申請期限を経過した場合は、猶予を受けることは難しくなります。


問25申請書の記載方法が分からない場合にはどこに尋ねればよいか。

(答)
○特例猶予申請書の記載方法が分からない場合は、厚生労働省ホームページの猶予申請書の記載例をご参照(
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10647.html)いただくほか、都道府県労働局労働保険徴収課(室)にご相談いただければ、記載の仕方もご案内します。


問26 特例猶予申請のためにはどのような書類を準備する必要があるか。

(答)
○特例猶予の申請に当たっては、以下の書類をご準備いただき、申請書に記載の上、資料の該当箇所のコピーを提出してください。
新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少等を証するに足りる書類(売上帳、現金出納帳、預金通帳の写し等)
※単独有期事業においては変更契約書や帳簿の写し等
②現金・預貯金残高が分かる書類(預金通帳の写し、固定資産台帳、不動産登記謄本等)
③収入及び支出の状況等について分かる書類(仮決算書(将来見込)、資金繰表(試算表)等)
○また、最近において国税地方税、厚生年金保険料等の特例猶予を受けている場合は、その申請書や許可通知書の写しを添付していただくことで、上記①・②の添付が省略できる場合があります。
○なお、帳簿等を準備することが難しい場合は、職員による聞き取りで対応しますので、都道府県労働局労働保険徴収課(室)にご相談ください。


問27 都道府県から外出自粛の要請が出ているが、都道府県労働局に行かなければ申請できないのか。

(答)
○特例猶予申請書の提出は、郵送又は電子申請でも受け付けております。
(電子申請の場合、年度更新の申告等の添付書類として申請いただくことになります。)


問28 労働保険事務組合に委託している事業場の申請書の提出はどうなるのか。

(答)
○申請手続きは、事務処理を委託している労働保険事務組合を通じて行うこととなります。


問29 社会保険労務士に申請書の提出を依頼することは可能か。

(答)
○特例猶予申請書は、社会保険労務士により代理申請が行えます。


問30 国税地方税、厚生年金保険料等についても猶予を受けたいが、それぞれ申請する必要があるのか。

(答)
○それぞれに申請いただく必要はありますが、申請の際のご負担を軽減するとともに、迅速かつ柔軟に猶予を適用していくため、関係機関で連携し、
①猶予申請書の様式は、国税地方税、厚生年金保険料等において可能な限り共通化する
②最近(2か月程度)、労働保険料等の猶予が既に許可されている場合には、国税等の猶予申請に当たり、労働保険料等の猶予申請書や猶予許可通知書のコピーを添付いただくことで、
国税等の猶予申請書の記載等を大幅に省略できる(注)
国税等における審査を大幅に省略し、迅速に猶予を許可する
こととしています。
(注)たとえば、国税の猶予申請書には、住所・氏名のほか猶予対象税額など、「1申請者名等」を記載いただき、「2猶予可能額の計算」欄については、「別紙国税の申請書のとおり」等と記載いただくことにより、記載と添付資料を省略することができます。
なお、労働保険料等の猶予申請における取扱いについては問26参照。
○なお、猶予の適用については、法令が申請主義を採用しているほか、国税地方税・厚生年金保険料等で納期限・申請期限や税額等が異なることから、申請そのものを省略することはできません。お手数ですが、それぞれに申請していただく必要がありますので、ご理解ください。