社会保険労務士川口正倫のブログ

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平均賃金・休業手当についての主要通達

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平均賃金についての主要通達

1.平均賃金についての主要通達

労働基準法第12条(平均賃金の定義)における「臨時に支払われた賃金」の解釈(昭.22.9.13発基17号)

臨時に支払われた賃金とは、臨時的、突発的事由にもとづいて支払われたもの及び結婚手当等支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生が不確定であり、且つ非常に稀に発生するものをいうこと。
名称の如何にかかわらず、前記に該当しないものは、臨時に支払われた賃金とはみなさないこと。



平均賃金の算定期間内に賃金水準の変動が行われた場合の平均賃金(昭22.11.5日基発234号)

(問)
 法第12条第1項の期間、即ち平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3カ月間の期間中に賃金水準の変動が行われた場合は、9月13日附発基第17号通牒法第12条関係を準用し、平均賃金を算定すべき事由の発生した日に当該事業場において同業務に従事した労働者の1人平均の賃金額によりこれを推算するか。

(答)
 昭和22年9月13日附発基第17号通牒の法第12条関係は、施行規則第4条の規定により都道府県労働基準局長が、平均賃金の額を定める場合の基準を示したものであるから、一般の場合には同通牒を準用してはならない。
従って、貴見は不可である。⇒つまり、通常どおり計算してくださいということ



平均賃金算定期間に年次有給休暇を含む場合の取扱い(昭22.11.5日基発234号)

(問)
 法第12条の平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3カ月間に法第39条による年次有給休暇を含む場合において、この期間及びこれに対し支払われる平均賃金を法第12条第1項の「総日数」及び「賃金の総額」に算入するときは、平均賃金を含む賃金につき、更に平均賃金を算定する結果となるが、この取扱は如何にすべきか。

(答)
 年次有給休暇の日数及びこれに対し支払われる賃金は、法第12条の平均賃金の計算においては、これを算入しなければならない。



賃上げ分を遡って(さかのぼって)支給する場合の、賃金台帳への記載と平均賃金の算定(昭22.11.5日基発233号)

(問)
 労働組合が賃金増額の要求をなし使用者との協定により新賃金を決定し、かつその新賃金を遡って適用する協定をなした場合、新旧賃金の差額の取扱いについては左の例によって差支えないか。

(一) 労働組合が本年4月に賃金の増額を要求し使用者は増額の必要を認め具体的交渉に入り、8月に増額賃金の協定が成立し要求を提出した月に遡って支給することを約定した場合、4、5、6、7各月の賃金支払日に支給した旧賃金との差額を8月において一括支払した場合においても、その追加額は当然各月毎に分割し賃金台帳に夫々計上して平均賃金計算の基礎とするを適当と考えるが如何。

(二) 労働組合が本年8月に賃金増額の要求をなし、その要求が認められた場合その条件として、本年4月に遡って新賃金を支払うこととしたとき、4、5、6、7月分の加給は臨時に支払われた賃金とみて差支えないと思うが如何。

(答)

(一) 本事案の如く8月の追加額が協約によって過去4、5、6、7月の4カ月間の賃金として支払われた場合には、平均賃金の計算においては、追加額は各月に支払われたものとして行うべきである。
賃金台帳の記載に当っては、過去4カ月分の賃金なることを明記して、8月分の台帳の賃金の種類による該当欄に記入すること。

(二) 前号と同様、各月の追加額の賃金が8月において確定したものとみなすべきであるから、8月の追加額は臨時に支払われた賃金ではない。



通勤手当は平均賃金の算定から除外するか(昭22.12.26基発573号)

(問)
 平均賃金又はその100分の60を支給されるのは概ね通勤を必要としない場合であるから、平均賃金算定の場合通勤手当は賃金の総額より除くことが正当ではないか。

(答)
 通勤手当を平均賃金算定の基礎から除外することは違法である。



電力事情逼迫(ひっぱく)による休電日の休業手当は、平均賃金の算定に入れるか(昭23.3.17基発461号)

(問)
 電力事情の逼迫<編注:ひっぱく>による休電日の休業は、事業主の責に帰すべき事由と認むべきではないがこの場合支給する休業手当は平均賃金の計算に算入することとなり現在4日に1日の電力供給があるに過ぎない実情より妥当でないと思われるが、法第12条第8項より何等か措置するか。

(答)
 休電日の休業手当は、平均賃金計算に算入する。



雇入後3カ月未満の平均賃金算定でも、賃金締切日があればそこから起算するか(昭23.4.22基収1065号)

(問)
 雇入後3カ月に満たない者の平均賃金の算定にあたり賃金締切日があるときはこの場合においても、なおその直前の賃金締切日から起算するか。
(答)
 見解の通り。



雇い入れ後2~3日の者の平均賃金の算定(昭23.4.22基収1065号)

(問)
 雇入後の期間が著しく短い場合、例えば雇入後2日目又は3日目に事故発生の場合、雇入の日に事故発生した場合(その算定額が後者に対して均衡を失する場合が考えられるから)と同じく推定すべきか、もし然りとすればその日数の限界如何。

(答)
 設例の如き場合においては、施行規則第4条ではなく法第12条第6項の規定による。

労働基準法第12条第6項 雇入後三箇月に満たない者については、第1項の期間は、雇入後の期間とする。

2日にわたる深夜業の場合、労働日数は1日か、2日かどちらで算定するか(昭23.7.3基収2176号)

(問)
 2日に亘る深夜業の場合法第12条第1項第一号による労働日数の算定如何により平均賃金に大差を生ずるが、これを如何に計算すべきや。

(一) 1回の労働時間が24時間(1昼夜)勤務で、終業後2日休む者(この場合1カ月の就業回数は10回となる。)の労働日数は2日と算定し差支えなきや。

(二) 12時間交替の勤務を3班で組み、左の如く勤務する場合に於ては、第2班の19時から翌朝7時までの労働は他の班との関係もあるから、1日として算定し差支えなきや。
 1班 自A日 7時 至19時
 2班 自A日 19時 至B日7時
 3班 自B日 7時 至19時
 1班 自B日 19時 至C日7時
 前一号の算定は4週間の総労働時間数を所定労働時間数で除した商を労働日数とする算定方法も一応考慮せられるが、この場合に於ても時間外労働によって労働時間が延長された場合は、1週間に7日以上も労働したような矛盾も生じるのであるが何れを可とすべきや。

(答)
 法第12条第1項但書第一号の「労働した日数」の計算において、1日とは午前零時より午後12時までをいう。この間においてたとえ1分でも労働すればその日は1労働日となる。従って設例(一)の24時間勤務及び設例(二)の第2班の勤務は2日として計算すべきである。
但し同1日に於て午前5時迄働き、次に午後9時より働く等の場合でもその日は1労働日である。



通勤定期乗車券の支給は賃金か(昭25.1.18基収130号・昭33.2.13基発90号)

(問)
 ○○通運株式会社○○支社では労使間の協定書により通勤費として6カ月毎に定期券を購入し、それを支給しているが、このような通勤定期券の支給は法第11条の賃金と解すべきか。

(答)
 設問の定期乗車券は法第11条の賃金であり、従って、これを賃金台帳に記入し又6カ月定期乗車券であっても、これは各月分の賃金の前払として認められるから平均賃金算定の基礎に加えなければならない。



平均賃金の算定期間に、日給から月給に修正された月が含まれる場合の平均賃金の算定(昭25.7.24基収563号)


(問)
 平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3ヵ月間内に日給より月給に修正された月が含まれた場合(その賃金締切日がそれぞれ異なる場合)の期間の取り方について下記の通り疑義があるので回示願いたい。

                             記

 管下某事業場においては入社後満4年に達した日給者は毎年1月1日及び7月1日の両度に月給に引直すように就業規則で規定し、日給より月給になった者は月給になった月1ヵ月分とその前月の11日以降月末迄の日給とを含めて1ヵ月分として支給される。なお当該事業場の賃金締切日は日給者は毎月10日、月給者は毎月月末である。
例 1月1日に日給より月給になった者が2月4日に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合、次の通りA、B、及び直前の賃金締切日である1月31日より起算し、正3ヵ月所謂<編注:いわゆる>11月1日の間をとるCの3方法が考えられるが、Bは法定の3ヵ月に満たず、又Cは11月の賃金締切期間の中途より日割計算をする等その算出に相当手数を要するので当局としては貴局より何分の指示があれば改めてその方法により算出されることとし、取り敢えずAの算定方法によるように指導している。

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A 月給者の賃金締切日は月末であるから2月4日以前3ヵ月間は賃金締切日を基準にすれば1月、12月、11月(自10月11日、至11月10日)となる。

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B 3カ月に近い期間をとれば次の通りとなる。

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(答)
 一、 設問の場合法第12条第8項に基く昭和24年告示第5号第2条によるが、その算定の方法は下記に掲げる額を下らない限り同法第1項本文が規定する方法に従って差支えない。

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二、 期間については見解Bの通りに取り扱われたい。



平均賃金算定期間内における一部休業日の取扱い(昭25.8.28基収2397号)

(問)
 平均賃金を算定すべき事由が生じた場合その算定期間中に一部休業即ち数時間労働した後使用者の責に帰すべき休業をした日があった場合平均賃金の算定に当ってはこの日を労働日として取扱うべきか否かによって算定方法が異るが次の何れによるべきものか。

一、 労働日であると解する場合
 イ、その日を労働日として算入しその日に支払われた賃金を算入し休業手当に該当する部分を除く。
 ロ、その日を労働日として算入しその日に支払われる賃金及び休業手当の合算額を算入する。

二、 その日に支払われた賃金が平均賃金の100分の60即ち休業手当額を基準としこれを超える場合は労働日とし、下る場合は休業日として計算する。

三、 休業日であると解する場合
 その日の労働に対して支払われた賃金が平均賃金の100分の60を超えると否とに拘らず一部休業があった場合はその日を休業日とみなしその日及びその日の賃金を全額控除する。

(答)
 貴見三の通り。



平均賃金の算定期間内に、賃金締切日を変更した場合(昭25.12.28基収3802号)

(問)
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平均賃金算定に当りその期間中に賃金締切日の変更があった為上図の如くその期間のとり方に2種の方法が考えられるが、いずれによるべきか。(旧締切日は毎月10日、改正後の締切日は、毎月25日)


(答)
 設問の場合の平均賃金は、3カ月の暦日数に最も近い77日を期間として算定されたい。



褒賞金は平均賃金の算定に入れるか(昭26.11.1基収169号)

(問)
一、 褒賞金を平均賃金算定の基礎に算入するべきか否かについて
1 賃金規則により支給条件は確定し、且つ支給事由の発生は通常の業務に基く通常の事例であるから臨時の賃金として基礎から除外されるべきではない。
 但し10月に支払われた特別褒賞金は賃金規則の規定とは別個に1回のみ特別に支払われた(賞与的)ものであるから臨時の賃金とみなす。

2 3月を超える期間毎に支払われた賃金であるかどうかについて(工事対象毎の褒賞金はその計算期間も区々であるが、支払は一個又は数個の褒賞金が支払日の属する月に纒めて支払われるのが通例である)
(一) 3月を超える期間毎に支払われた賃金とは3月を超える期間毎に支払われる定期的賃金のみの意であって前述の如き不定期的(個別的には3カ月を超えるものと然らざるものとがある)褒賞金は含まず従って平均賃金算定の基礎から除外すべきでないと解す。
(二) 3月を超える期間ごとに支払われる賃金とは支払のあった月の間隔と解する場合
(イ) 数個の事由による数個の褒賞金をその月における単一の褒賞金と解すれば本件の場合はすべての褒賞金は算定の基礎とすべきこととなる。
(ロ) 個々の事由に基く個々の褒賞金を個々独立に扱うべきものと解すれば各々の褒賞金の間には「3カ月を超える期間ごとに……」の観念を原則として生じない。
(三) 3月を超える期間毎に支払われる賃金とは賃金計算期間(締切期間)の間隔と解する場合(計算期間は起工→進水→、進水→引渡の例により、出勤日数の調査期間は単なる計算上の便宜と解す)
(イ) 数個の事由による数個の褒賞金をその月における単一の褒賞金と解すれば夫々の計算期間は長短区々であり計算期間そのものの測定ができない。従って3月を超えるかどうかの測定ができない。
(ロ) 個々の事由に基く個々の褒賞金を個々独立に扱うべきものと解すれば個々の褒賞金の計算期間は判然としているが、起算日が一定しないので「事由の発生した日以前3カ月間」の枠の内外の関係が判然としない。
(四) 以上の諸点より3カ月を超える期間毎に支払われる賃金であるかどうかを区別し適用することは困難且適当でないので
(イ) 凡ての褒賞金を基礎から除外する。
 制度自体が基準法の規定に即応していない賃金であり臨時の賃金に準ずるものである。
(ロ) 凡ての褒賞金を基礎に算入する。
 日々の通常の労働に対する報償であり本来平均賃金の基礎に算入すべきものであるが賃金規則の規定が明確を欠いているに過ぎない。

二、 当局の見解

1 1の通り。
2 3月を超える期間ごとに支払われる賃金とは支払のあった月の間隔と計算期間の間隔とは原則的に一致すべきものであるが、本件の如く特殊な場合の褒賞金は単一なものとして取扱い支払のあった月の間隔と解すべきである。
3 当該事業場に対し褒賞金の計算期間をできる限り定期的かつ短期的にするよう勧告する。

(答)
 設問の褒賞金は1人の労働者についてみた場合に、殆んど毎月出ているが、平均賃金の算定に当っては個々の褒賞金についてこの支給期間の長短によって算入すべきか否かを決定すべきであり、この計算期間が3カ月を超える期間に亘っている場合については、平均賃金の算定に当ってはこの基礎に含めなくても差支えない。


賃金ごとに賃金締切日が異なる場合の平均賃金算定の算定(昭26.12.27基収5926号)

(問)
 賃金ごとに賃金締切日が異る場合、例えば団体業績給を除いた他の賃金は毎月15日及び月末の2回が賃金締切日で、団体業績給のみは毎月月末1回のみの場合、平均賃金算定の事由が或月の20日に発生したとき、何れを直前の賃金締切日とするか。

(答)
 設問の場合、直前の賃金締切日は、それぞれ各賃金ごとの賃金締切日である。



私傷病欠勤者に支給する私疾病手当は、平均賃金の算定に入れるか(昭26.12.27基収3857号)

(問)
 ○○○○株式会社就業規則第60条に規定されている負傷疾病のため引続いて欠勤した際に支給する通称私傷病手当といわれている賃金は平均賃金算定の際、その額及び日数を算入すべきであると思うが聊か疑義があるので御教示願いたい。

 附記
 ○○○○株式会社就業規則
 第60条
 社員が負傷又は疾病のため引続いて欠勤した場合は左の区別により日割計算で給料及び手当を支給する。
 但し半固定給者及び出来高給者の場合には平均賃金の7割に左の区別による日数を乗じた額を支給する。
 勤続年数 日数
 1年未満 60日
 3年未満 90日
 5年未満 120日
 10年未満 150日
 15年未満 210日
 15年以上 270日
 前項の規定は5日以内の欠勤には適用しない。

(答)
 設問の私傷病手当は、臨時の賃金であるから平均賃金の算定には含まれない。



新設会社へ転籍後3カ月に満たない者の平均賃金の算定(昭27.4.21基収1946号)

(問)
 N石油株式会社は昨年10月製油部門の拡充強化を図るため、N石油精製株式会社を設立した。これに伴い本社在勤者の一部並びにY及びS製油所在勤者は、形式的にN石油㈱を退職(退職金を支給せず)し、N石油精製㈱へ引き継がれることになったが今後も両社の緊密なる連繋強化を図るため、随時人事の交流を図る方針であり、これがため会社機構においても勤労部門の上級者は両社を兼務すると共に、労働協約及び就業規則にも規定してある通り労働条件及び給与は両社全く同一であり、例えば勤続年数を通算する等労働関係は実質的には同一会社におけると何等変りなく取扱うようになっている。
 この場合、N石油からN石油精製に又はN石油精製からN石油に転籍された後、3カ月に満たない間に平均賃金を算定する事由が発生した場合は、労働基準法第12条第6項の規定による雇入後の期間とせず、旧会社における期間を加えた3カ月間を通算の上平均賃金を算定する方法が合理的であり又転籍させる場合に、労働基準法第20条の解雇の予告をしなくても差支えないと考えるが如何。

(答)
 設問の如き場合には夫々(それぞれ)の会社間のおける人事交流に伴う転籍につき労働基準法第20条の解雇予告をすることなく、又転籍後3カ月に満たない間に平均賃金を算定する事由が発生した場合は、平均賃金の算定には労働基準法第12条第6項の規定による雇入後の期間とせず、旧会社における期間を通算した3カ月間につき平均賃金を算定することとして取扱って差支えない。



雇入後3カ月未満の平均賃金の算定で、賃金締切日がある場合の取扱い(昭27.4.21基収1371号)

(問)
 雇入後3カ月に満たない者の平均賃金の算定については、労働基準法第12条第6項の規定があり、この場合においても同条第2項の適用が排除されるものでないと解されているが(昭和23.4.22 基収第1065号)総てこのように一律に取扱うときは極めて妥当をかく場合があるのでその際は当然昭和24年労働省告示第5号第2条により個々のケースにつき本省に稟伺し、その決定を待つものと思料されるが、その煩を避けるため左記の通り取扱ってよいか。

                             記
 雇入後3カ月に満たない者について平均賃金を算定すべき事由の発生した場合は法第12条第2項は適用しないこととする。
 但し直前の賃金締切日から遡って起算してもなお、完全に一賃金締切期間(1カ月を下らない期間)が存している場合はこの限りではない。

(答)
 雇入後3カ月に満たない者について平均賃金を算定する場合は法第12条第1項乃至第6項による。
但し直前の賃金締切日より計算すると未だ一賃金算定期間(1カ月を下らない期間)に満たなくなる場合には、昭和24年労働省告示第5号第2条に基き事由の発生の日から計算を行なうこととする。

※「昭和24年労働省告示第5号」において、労基法第12条第1項ないし第6項によって算定し得ない場合の平均賃金については、基本的には、都道府県労働局長が定め、都道府県労働局長が算定できないと認めた場合には、厚生労働省労働基準局長が定めることとされています。



ベースとなる所定労働時間の半分休業させた日についても、「平均賃金の6割」の休業手当が必要か(昭27.8.7基収3445号)

(問)
 一、労働基準法第26条によれば、休業期間中平均賃金の6割以上の休業手当を支払うべきことを規定しているが、その休業期間が一労働日に満たない場合、例えば週44時間勤務制(日曜日、休日、月曜日より金曜日まで各々8時間、土曜日4時間)において所定労働時間4時間である土曜日に休業を命じられた場合の休業手当は、(イ)平均賃金の6割に相当する額とすべきか、又は(ロ)平均賃金の8分の4の6割に相当する額とすべきか。なお当社は時給制をとっており、所定労働時間4時間である土曜日に就業した場合は4時間分の賃金が支給される定めとなっている。従って休業手当を前記(イ)により平均賃金の6割に相当する額とすればこの休業手当として支給する額は、この日に就業した場合に支給する4時間分の賃金額より多くなるのである。
 二、前掲の勤務制において、所定労働時間8時間である日にその日の前半を就業し後半を休業せしめられた場合この休業せしめられた時間に対し、休業手当を支給すべきであるか。もし支給すべきものとすれば、前記一の(ロ)と同様の方式により算出して差支えないか。なおこれらの労働者が就業したその日の前半の労働時間に対しては前記一と同様に給与は支給されているのである。

(答)
 一、労働基準法第26条は、使用者の責に帰すべき休業の場合においては、その休業期間中平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならないと規定しており、従って1週の中ある日の所定労働時間がたまたま短く定められていても、その日の休業手当は平均賃金の100分の60に相当する額を支払わなければならない。
 二、1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日について平均賃金の100分の60に相当する金額を支払わなければならないから、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければならない。



いわゆる月給日給制で欠勤に応じて月給額が減額する場合の平均賃金の算定方法(昭30.5.24基収1619号)

(問)
 月額で賃金額が定められ、欠勤1日についてその30分の1乃至は25分の1等の如く日割によって賃金額を減額する所謂月給日給制で支払われる賃金については、法<編注:労働基準法。以下、同じ>第12条第1項但書の規定による平均賃金の最低保障額の計算に当っては、月によって定められた賃金とみなすこととされている。
 従って月給日給制で賃金の一部乃至は全部が支払われている労働者の平均賃金の算定に当って、算定の基礎となる過去3ヵ月間におけるその労働者の欠勤日数が多い場合には、算出額が著しく低額となり平均賃金として不適当なものとなるおそれがあるが、この場合の救済については、同条第8項によるべきであるとされている。(昭和27年5月10日 基収第6054号)
 欠勤日数に応じて月給額を減額する月給日給制は、月給制といえども出勤日数に応じて支払われる日給制に比して、実質的にはさしたる差異が認められないから、今後下記の如く、月給日給制で支払われる賃金についても法第12条第1項但書の規定を適用する場合には月によって支払われる賃金とみなすことなく、月額を1ヵ月の所定労働日数を以って除した商が、日給として出勤日数に応じて支払われるものと擬制して平均賃金を算定したいと考えるが宜しいか。

                        記

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(答)
 賃金の一部もしくは全部が、月、週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定の期間中の欠勤日数若しくは欠勤時間数に応じて減額された場合の平均賃金(算定期間が4週間に満たないものを除く。)が左の各号の一によってそれぞれ計算した金額の合計額に満たない場合には、これを昭和24年労働省告示第5号第2条に該当するものとし、自今、かかる場合については、同条の規定に基き都道府県労働基準局長が左の各号の一によってそれぞれ計算した金額の合計を以ってその平均賃金とする。

 一 賃金の一部が、労働した日もしくは時間によって算定され、又は出来高払制によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

 二 賃金の一部もしくは全部が、月、週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定の期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額された場合においては、欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の100分の60

 三 賃金の一部が月、週その他一定の期間によって定められ、且つ、その一定期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額されなかった場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額



定年退職後継続して再雇用された者の再雇用後3カ月に満たない間の平均賃金の算定(昭45.1.22基収4464号)

(問)
 当局管内で下記1のごとき事案が発生し、この場合の平均賃金の算定について、下記2のような二つの方法が考えられ、当局としては(2)によることが妥当と考えられるがいかん。

1 株式会社○○組東京倉庫所属労働者A(大正3年4月28日生55才)は、昭和23年6月21日以来機械工として勤務中のところ、昭和44年4月27日定年退職し退職金の支給を受けた。当該事業場では、満55才になる日を定年の時期と定めて対象者には約3カ月前に予告している。本件労働者は定年退職後も4月28日より臨時工務員として継続して再雇用され従前の業務に従事していたが、昭和44年5月15日業務上負傷し、平均賃金算定事由が発生した。
 なお、定年退職前後の労働条件等は別紙(略)のとおりである。

2 この場合の平均賃金の算定方法としては、次のような方法が考えられる。
(1) 定年退職させるとき、法第20条の解雇予告を行なっていること、形式的には定年退職前の契約と後の契約とは全然別個の契約であること等からみて、定年退職後の再雇用日を法第12条第6項の雇入れの日とみて平均賃金を算定する。
(2) 当該労働者の勤務の実態に即し、実質的に判断することとし、形式的には定年の前後によって別個の契約が存在しているが、本事案のように定年退職後も引続いて嘱託とし同一業務に再雇用される場合には、実質的には一つの継続した労働関係であると考えられるので、労働基準法第12条第1項から第5項までの規定により算定事由発生日以前3カ月間を算定期間として平均賃金を算定する。

(答)
 設問の場合の平均賃金は貴見第2案によって算定されたい。


平均賃金算定期間が2週間未満の場合や完全月給制で一賃金算定期間に満たない場合など、昭和24年労働省告示第5号(労働基準法第12条第8項の規定に基き同条等により算定し得ない場合の平均賃金を定める告示)第2条に基づく平均賃金の決定(昭45.5.14基発375号)


下記事案における平均賃金については、従来、労働基準法(以下「法」という。)第12条第8項の規定に基づく昭和24年労働省告示第5号第2条により労働省労働基準局長が個々の事案ごとに決定を行なってきたところであるが、これらの事案についての個別決定例が多いので、平均賃金決定の迅速化及び事務の合理化を図るため、同告示同条の規定に基づき、今後、都道府県労働基準局長が下記に定める算定方法により算定した金額をその平均賃金とすることとしたので了知されたい。

一、 平均賃金の算定期間が2週間未満の労働者(法第12条第3項の控除期間及び同条第8項に基づく通達により控除される期間を除いた期間が2週間未満の労働者を含む。以下同じ。)で次の(1)又は(2)に掲げるものの平均賃金は、それぞれ次に定める算定方法によって算定した金額とすること。

(1) 平均賃金の算定期間中のすべての日に稼働している者((2)に該当する者を除く。)
 当該算定期間中に当該労働者に対して支払われた賃金の総額をその期間の総暦日数で除した金額に7分の6を乗じて算定した金額

(2) 平均賃金の基礎となるべき賃金が短時間就労、長時間残業その他通常の労働と著しく異なる労働に対する賃金であるため、これを基礎に算定した額を平均賃金とすると著しく不適当なものとなる者

 過去に当該事業場において当該労働者と同種の業務に従事した労働者(以下「同種労働者」という。)の労働時間数(同種労働者がいない場合には、当該労働者にあらかじめ予定され、又は推定される労働時間数)等を勘案して、通常の労働に対する賃金額に修正して算定した金額

二、 賃金の全部又は一部が月によって定められ、かつ、その期間中の欠勤日数に応じて減額されない場合において、平均賃金の算定期間が一賃金算定期間に満たないときは、前記一に該当する場合であっても、次の(1)又は(2)により算定した金額をその平均賃金とすること。
(1) 賃金の全部が月によって定められている場合には、その賃金を30で除した金額
(2) 賃金の一部が月によって定められている場合には、その賃金を30で除した金額とその他の賃金について法第12条により算定した金額を合算した金額

三、 じん肺法第4条第2項に規定する健康管理の区分が管理四に該当するに至った労働者に対する災害補償に係る平均賃金については、その平均賃金の算定期間中に明らかにじん肺に関連するとみられる休業期間(以下「休業期間」という。)がある場合には、その休業期間中の日数及びその賃金を、平均賃金の算定期間及び賃金の総額から控除すること。ただし、休業期間中に平均賃金の算定事由が発生した場合には、その休業を開始した日を平均賃金を算定すべき事由の発生した日とみなすこと。



新規学卒採用内定者の就労始期を繰り下げ自宅待機とした場合の平均賃金の算定(昭和50年3月24日労働省労働基準局監督課長、賃金福祉部企画課長連名内翰)

 新規学卒者のいわゆる採用内定については、遅くも、企業が採用内定通知を発し、学生から入社誓約書又はこれに類するものを受領した時点において、過去の慣行上、定期採用の新規学卒者の入社時期が一定の時期に固定していない場合等の例外的場合を除いて、一般には、当該企業の例年の入社時期(4月1日である場合が多いであろう。)を就労の始期とし、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したとみられる場合が多いこと。したがって、そのような場合において、企業の都合によって就労の始期を繰り下げる、いわゆる自宅待機の措置をとるときは、その繰り下げられた期間について、労働基準法第26条に定める休業手当を支給すべきものと解される。
 この場合における平均賃金は、自宅待機の開始日が労働基準法施行規則第4条の「雇い入れの日」に該当するものと解されるので、同条の規定に基づき都道府県労働基準局長が定めること。この際、あらかじめ賃金額が明確に定められている者については当該賃金額により、その他の者については自宅待機が採用内定者の一部に対して実施された場合には自宅待機とならなかった者の賃金額、自宅待機が採用内定者の全員に対して実施された場合には労働契約の成立時に参考的に示された賃金の額等により推算すること(昭和22年9月13日付け発基第17号参照)。



本採用直後の事故により、平均賃金算定期間がすべて試用期間である場合の平均賃金算定(平2.7.4基収448号)

(問)省略

(答)
 設問の場合のように、試の使用期間を経て本採用された後に平均賃金の算定事由が発生した場合であって、労働基準法(以下「法」という。)第12条第1項から第3項によれば算定期間がすべて試の使用期間に当たるため平均賃金の算定をなし得ない場合には、昭和24年労働省告示第5号第2条によるものとして、その算定方法としては、本採用日以降の賃金及び日数について法第12条第1項の方法を用いること。
 なお、この場合に一賃金締切期間に満たない期間の就労に対して月によって定められた賃金が減額されることなく支払われているときは、昭和45年5月14日付け基発第375号の記の二の方法(少し上にあります)により平均賃金を算定すること。



育児休業の日数及び期間中の賃金は、平均賃金算定期間及び賃金の総額から控除する(平3.12.20基発712号)

法第12条に規定する平均賃金の算定期間中に、育児休業法第2条第1項に規定する育児休業以外の育児休業の期間がある場合においては、昭和24年労働省告示第5号第2条の規定に基づき、平均賃金の算定において、その日数及びその期間中の賃金は、基礎となる期間及び賃金の総額から控除するものとすること。


2.休業手当についての主要通達

休業手当と民法536条(昭22.12.15基発502号)

「使用者の責に帰すべき」休業に平均賃金の6割以上の休業手当を支払うとする労働基準法第26条(休業手当)は、「債権者の責に帰すべき」債務不履行に10割の反対給付を定めた民法第536条(債務者の危険負担等)より労働者に不利な規定か

(問)
 本条は使用者の責に帰すべき事由による休業の場合平均賃金の100分の60以上としており、債権者の責に帰すべき事由に因って債務を履行することができない場合は、債務者は反対給付を受ける権利を失わないとする民法第536条の規定より不利な規定であると考えるが如何。

(答)
 本条は民法の一般原則が労働者の最低生活保障について不充分である事実に鑑み、強行法規で平均賃金の100分の60までを保障せんとする趣旨の規定であって、民法第536条第2項の規定を排除するものではないから、民法の規定に比して不利ではない。



休業手当の支払義務違反の効果(昭23.3.17基発464号)

休業手当や災害補償は労働者の請求の有無を問わず使用者が支払わなければ違反となるか、また、これらの時効により請求権が消滅した場合でも違反に対する罰則規定の適用はあるか

(問)
法第26条の休業手当及び災害補償等は労働者の請求を待たず、使用者において当然支払うべきものと解せられるが、第115条の請求権の消滅時効の規定及び第85条第5項の時効中断の規定等の関係よりすればこれ等の規定は労働者の請求を前提とするものとも解せられるが、これが違反の時期については何れの見解に従い取扱うべきか。即ち労働者の請求あるに拘らず使用者において支払わざる場合初めて違反とすべきか、あるいは請求の有無を問わず単に使用者が支払をしないという事実を以て違反とすべきか。なお時効により請求権が消滅した場合であっても勿論違反に対する罰則規定の適用は当然あるものと解するが如何。

(答)
設例の場合は、労働者の請求の有無を問わず、単に使用者が支払をしない事実を以て違反となるものである。なお、時効によって請求権が消滅した場合においても、刑法の一般原則によって罰則規定の適用はある。



労働安全衛生法第66条と休業手当(昭23.10.21基発1529号・昭63.3.14基発150号・婦発47号)

労働安全衛生法第66条の健康診断の結果に基づいて休業又は労働時間を短縮した場合、休業手当は必要か

(問)
 労働安全衛生法第66条による健康診断の結果、私傷病のため医師の証明により休業を命じ、又は労働時間を短縮した場合、労働契約の不完全履行を理由として休業した時間に対しては賃金を支払わなくてもよいか、あるいは労働衛生行政の見地より法第26条による休業手当を支給しなければならないか

(答)
 労働安全衛生法第66条の規定による健康診断の結果に基いて使用者が労働時間を短縮させて労働させたときは、使用者は労働の提供のなかった限度において賃金を支払わなくても差支えない。但し、使用者が健康診断の結果を無視して労働時間を不当に短縮もしくは休業させた場合には、法第26条の休業手当を支払わなければならない場合の生ずることもある。



休業期間中の休日についても休業手当支給の義務があるか(昭24.3.22基収4077号)

休業期間中の休日についても休業手当支給の義務があるか


(問)
 使用者が法第26条によって休業手当を支払わなければならないのは、使用者の責に帰すべき事由によって休業した日から休業した最終の日までであり、その期間における法第35条の休日及び就業規則又は労働協約によって定められた法第35条によらざる休日を含むものと解せられるが如何。

(答)
 法第26条の休業手当は、民法第536条第2項によって全額請求し得る賃金の中、平均賃金の100分の60以上を保障せんとする趣旨のものであるから、労働協約就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない。



解雇予告の休業手当(昭24.7.27基収1701号)

予告なく解雇した後、相当日数経過後に労働者がこのような解雇が無効であると気づいた場合、休業手当の支払いが必要か(労働基準法20条、26条関係)

(問)
 使用者の法に対する無関心の為に予告することなく労働者を解雇した。労働者は、該解雇を有効であると思い離職後相当日数を経過し他事業場に勤務し、相当日数経過後該事実が判明した。このような事例の場合は法第20条の取扱いについて、休業手当を支払わなければならないか。

(答)
 使用者の行った右解雇の意思表示が解雇の予告として有効と認められ、かつその解雇の意思表示があったために予告期間中労働者が休業した場合は、使用者は解雇が有効に成立する日までの期間、休業手当を支払えばよい。



休業手当の支払時期(昭25.4.6基収207号・昭63.3.14基発150号・婦発47号)


休業手当はいつ支払うのか、所定の賃金支給日に支払うのか

(問)
 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合における休業手当については支払期日に関する明文の定めがないが、休業手当を賃金と解し法第24条第2項に基づく所定賃金支払日に支払うべきものと解してよいか。

(答)
 貴見のとおり。



平均賃金算定期間内における一部休業日の取扱い(昭25.8.28基収2397号)

(問)
 平均賃金を算定すべき事由が生じた場合その算定期間中に一部休業即ち数時間労働した後使用者の責に帰すべき休業をした日があった場合平均賃金の算定に当ってはこの日を労働日として取扱うべきか否かによって算定方法が異るが次の何れによるべきものか。

一、 労働日であると解する場合
 イ、その日を労働日として算入しその日に支払われた賃金を算入し休業手当に該当する部分を除く。
 ロ、その日を労働日として算入しその日に支払われる賃金及び休業手当の合算額を算入する。

二、 その日に支払われた賃金が平均賃金の100分の60即ち休業手当額を基準としこれを超える場合は労働日とし、下る場合は休業日として計算する。

三、 休業日であると解する場合
 その日の労働に対して支払われた賃金が平均賃金の100分の60を超えると否とに拘らず一部休業があった場合はその日を休業日とみなしその日及びその日の賃金を全額控除する。

(答)
 貴見三の通り。



新規学卒採用内定者の就労始期を繰り下げて自宅待機とした場合、休業手当は必要か(昭63.3.14基発150号・婦発47号)

新規学卒採用内定者の就労始期を繰り下げて自宅待機とした場合、休業手当は必要か


 新規学卒者のいわゆる採用内定については、遅くも、企業が採用内定通知を発し、学生から入社誓約書又はこれに類するものを受領した時点において、過去の慣行上、定期採用の新規学卒者の入社時期が一定の時期に固定していない場合等の例外的場合を除いて、一般には、当該企業の例年の入社時期(4月1日である場合が多いであろう。)を就労の始期とし、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したとみられる場合が多いこと。したがって、そのような場合において、企業の都合によって就労の始期を繰り下げる、いわゆる自宅待機の措置をとるときは、その繰り下げられた期間について、労働基準法第26条に定める休業手当を支給すべきものと解される。



派遣労働者に対する休業手当(昭61.6.6基発333号)

派遣労働者について、休業手当支払の要否の判断は、どのようになされるべきか

 派遣中の労働者の休業手当について、労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。したがって、派遣先の事業場が、天災地変等の不可抗力によって操業できないために、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが使用者の責に帰すべき事由に該当しないこととは必ずしもいえず、派遣元の使用者について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて判断し、その責に帰すべき事由に該当しないかどうかを判断することになること。