社会保険労務士川口正倫のブログ

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新型コロナウイルス感染症に関する対応に伴う「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」の一部改正について(令2.3.26雇均発0326 第4 号)

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新型コロナウイルス感染症に関する対応に伴う「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」の一部改正について(令2.3.26雇均発0326 第4 号)

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200330M0060.pdf


新型コロナウイルス感染症に関する対応として、保育所等の臨時休園や、市町村等から登園を控える旨の要請がなされている状況を踏まえ、平成28 年8月2日付け職発0802 第1号・雇児発0802 第3号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」の一部を別紙の新旧対照表のとおり改め、当分の間適用することとしたので、遺漏なきを期されたい。


平成28年8月2日付け職発0802第1号、雇児発0802第3号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」

(追加)
第18 暫定的な取扱い
1 新型コロナウイルス感染症に関する対応に伴う暫定的な取扱い
新型コロナウイルス感染症に関する対応として、保育所等の臨時休園や登園自粛の要請が実施されている状況を踏まえ、当分の間、第2の2(7)ニにかかわらず、則第5条第8号の「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき」には、「保育所等の内定を受けているとき又は保育所等へ子を入所させているときであって、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、再度の育児休業に係る育児休業期間の初日において保育所等が臨時休園となっているとき又は市町村若しくは保育所等から登園を控える旨要請がなされているとき」を含み、第2の3(9) にかかわらず、則第6条第1号の「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」には、「保育所等の内定を受けている場合又は保育所等へ子を入所させている場合であって、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、子が1歳に達する日の翌日において保育所等が臨時休園となっている場合又は市町村若しくは保育所等から登園を控える旨要請がなされている場合」を含むこと。

解説

育児介護休業法
育児休業の申出)
第五条 労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者
二 その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者
2 前項の規定にかかわらず、育児休業(中略)をしたことがある労働者は、当該育児休業を開始した日に養育していた子については厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、同項の申出をすることができない。
3 労働者は、その養育する一歳から一歳六か月に達するまでの子について、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者であってその配偶者が当該子が一歳に達する日(以下「一歳到達日」という。)において育児休業をしているものにあっては、第一項各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。
(中略)
二 当該子の一歳到達日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合

育児介護休業法施行規則
(法第五条第二項の厚生労働省令で定める特別の事情)
第五条 法第五条第二項の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合は、次のとおりとする。
 (中略)
八 法第五条第一項の申出に係る子について、児童福祉法第三十九条第一項に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第六項に規定する認定こども園又は児童福祉法第二十四条第二項に規定する家庭的保育事業等(以下「保育所等」という。)における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき。
 ここに、「保育所等の内定を受けているとき又は保育所等へ子を入所させているときであって、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、再度の育児休業に係る育児休業期間の初日において保育所等が臨時休園となっているとき又は市町村若しくは保育所等から登園を控える旨要請がなされているとき」が含まれます。

育児休業法第5条2項の趣旨は、子が1歳までの育児休業は、原則として同一の子について1回のみすることができるものとし、例外的に厚生労働省令で定める特別の事情がある場合は、2回目以降の申出も認めることとしたものです。そして、育児介護休業法施行規則第5条第8号は、この特別な事情として、現在受けている保育サービスが受けられなくなった等の事情により新たに保育所等に入所申請を行ったが当面入所できないような場合を想定したものですが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、再度の育児休業の期間の初日に、入所の内定を受けている又は入所している保育所等が臨時休園となっているとき又は市町村もしくは保育所等から登園を控える旨要請がなされているときについても、同様に特別な事情とし、2回目以降の申出も認めるというものです。


(法第五条第三項第二号の厚生労働省令で定める場合)
第六条 法第五条第三項第二号の厚生労働省令で定める場合は、次のとおりとする。
一 法第五条第三項の申出に係る子について、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
 ここに、「保育所等の内定を受けている場合又は保育所等へ子を入所させている場合であって、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、子が1歳に達する日の翌日において保育所等が臨時休園となっている場合又は市町村若しくは保育所等から登園を控える旨要請がなされている場合」が含まれます。

育児休業法5条3項は、子が1歳から1歳6か月に達するまでの育児休業の延長ができる必要条件を定めています。そして、雇用の継続のために特に必要であると厚生労働省令が定める場合として、育児介護休業法施行規則6条1号は、保育所等の抽選落ちた場合を想定し、「保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」を定めていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、子が1歳に達する日の翌日において、入所の内定を受けている又は入所している保育所等が、臨時休園となっている場合又は市町村若しくは保育所等から登園を控える旨要請がなされている場合を含め、育児休業の延長を認めるというものです。

Q&Aの次の設問・回答の根拠になっています。
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

保育所への登園自粛を要請された場合の育児休業の延長>
問13 保育所に子どもを入所させる予定だった労働者が、市区町村等から当該保育所への登園自粛の要請を受けたため、当面子どもを保育所に預けないこととなりました。こうした場合、育児休業の延長を認めなければならないでしょうか。

<子どもが1歳までの場合>
現在育児休業中の労働者から申出があった場合、事由を問わず育児休業の終了予定日の繰下げ変更(最長1歳まで(※1))を認める必要があります(※2、3)。なお、繰下げ変更後の休業期間についても育児休業給付金は支払われます。
また、育児休業から一度復帰している方から再度の休業の申出があった場合も、休業(最長1歳まで(※1))を認める必要があります。なお、再度の休業期間についても育児休業給付金は支払われます。
(※1)両親がともに育児休業をする場合、一定の要件を満たせば最長1歳2か月まで(パパ・ママ育休プラス)
(※2)1歳から1歳6か月までの休業、1歳6か月から2歳までの休業それぞれについても同様に繰り下げ変更を認める必要。
(※3)繰下げ変更の申出は1か月前となっているが、申出が直前になった場合でも、繰下げ変更を認めることは可能。

<子どもが1歳又は1歳6か月になるときの場合>
子どもが1歳又は1歳6か月になるときに、引き続き育児休業をしたい旨労働者から申出があった場合、育児休業(1歳からの休業は最長1歳6か月まで又は1歳6か月からの休業は最長2歳まで)を認める必要があります。なお、引き続き休業した期間についても育児休業給付金は支払われます。

このほか、労使の話し合いにより、例えば子どもが2歳以上の場合などについても独自に休業を認めることは差し支えありません。なお、こうした法を上回る対応により認められた休業期間については、育児休業給付金は支払われないためご留意ください。
労働者の雇用が継続されるよう、柔軟なご対応をお願い致します。

(参考)育児・介護休業法に基づく育児休業の要件
育児休業をすることができるのは、原則として子が1歳に達する日までです。
○子が1歳に達する時点で、次のいずれにも該当する場合には、子が1歳に達する日の翌日から1歳6か月に達する日までの期間について、育児休業をすることができます。
①子が1歳に達する日において、労働者本人又は配偶者が育児休業をしている場合
保育所に入所できない等、1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合
○さらに、子が1歳6か月に達する時点で、次のいずれにも該当する場合には、子が1歳6か月に達する日の翌日から子が2歳に達する日まで育児休業をすることができます。
①子が1歳6か月に達する日において、労働者又は配偶者が育児休業をしている場合
保育所に入所できない等、1歳6か月を超えても休業が特に必要と認められる場合