社会保険労務士川口正倫のブログ

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新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置に関するQ&A(令和2年3月4日版)

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新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置に関するQ&A(令和2年3月4日版)

https://www.mhlw.go.jp/content/000604241.pdf

さらに追加措置が取られています↓
sr-memorandum.hatenablog.com



新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、雇用調整助成金の特例措置を実施しています。
このQ&Aには、当該特例措置等に関する考え方や取扱いを記載しておりますので、ご参考にしてください。
なお、具体的な取扱いやご相談は、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハローワーク)にお問い合わせいただきますようお願いいたします。


問1 そもそも雇用調整助成金とはどのようなものでしょうか。

答1
景気の後退等、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向(以下、「休業等」といいます。)を行い、労働者の雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.htm


問2 今回の特例措置の趣旨・目的について教えてください。また、どのような特例があるのでしょうか。

答2
・今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動が急激に縮小する事業所が生じています。
・また、新型コロナウイルス感染症による影響が広範囲にわたり、長期化することが懸念されます。このため、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を対象に、雇用調整助成金の支給要件を緩和する特例措置を設けました。
このことにより、通常よりも幅広く、労働者の雇用の維持を行った事業主が、この助成金を受給できるようにしています。
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例は以下のとおり実施しています。

  • ① 令和2年1月24日以降の休業等計画届の事後提出を可能とします。 詳細は、問4を参照してください
  • ② 生産指標の確認期間を3か月から1か月に短縮します。 詳細は、問5を参照してください
  • ③ 令和2年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とします。 詳細は、問6を参照してください
  • ④ 最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象とします。 詳細は、問7を参照してください


問3 2月28日の特例措置の対象事業主の範囲の拡大について教えてください。

答3
・今回特例措置の対象を「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主」に拡大しました。
※ 当初は、「日中間の人の往来の急減の影響を受け、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合以上である事業主」としておりました。
・今回の拡大により、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業の事業主の方や、部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象となります。


問4 計画届の事後提出について内容を教えてください。

答4
・令和2年1月24日以降に開始した休業等について、令和2年5月31日までは事後の計画届提出が可能です。
・通常は、助成対象となる休業等を行うに当たり、事前に休業等の計画届を労働局又はハローワークに提出する必要があります。
・今回の特例措置では、令和2年1月24 日以降に初回の休業等を行う計画届の提出について、令和2年5月31 日までに提出いただければ、休業前に提出があったものとして取り扱うこととします。


問5 生産指標の要件緩和について教えてください。

答5
・生産指標(※)の確認期間を3か月から1か月に短縮します。
(※)生産指標とは、販売量、売上高等の事業活動を示す指標のことです。
・通常は、生産指標の減少(10%以上の低下)を、初回の休業等の届出前の3か月間について、対前年比で確認しています。
・今回の特例措置では、最近1か月の生産指標が、前年同期に比べ10%以上減少した場合には、生産指標の支給要件を満たしたものとして取り扱うこととします。
・また、生産指標は、原則として、初回の休業等計画届を提出する月の前月の対前年比で確認しますが、事業所設置後1年未満のため、前年に比較できる月が無い場合は、令和元年12月と比較して確認します。


問6 事業所設置後1年未満の事業主も対象とする特例措置について教えてください。

答6
・令和2年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とします。
・通常は、生産指標を前年同期と比較できる事業主が対象であり、事業所設置後1年未満の事業主は前年同期と生産指標を比較できないため支給対象となりません。
・今回の特例措置では、令和2年1月24日時点で、事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とします。その際、生産指標は、初回の休業等計画届を提出する月の前月と、令和元年12月との1か月分の指標で比較します。(12 月の生産指標は必要となります)


問7 雇用量要件の緩和について教えてください。

答7
・最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象とします。
・通常は、雇用保険被保険者や受け入れている派遣労働者の雇用量の最近3か月の平均値が、前年同期比で一定程度(※)増加している場合は、助成対象とはなりません。
(※)具体的な要件は以下のとおりです。

  • ① 前年同期と比べ5%以上を超えかつ6名以上増加している場合
  • ② 中小企業事業主の場合は、10%を超えかつ4名以上増加している場合

・今回の特例では、その要件を撤廃し、最近3か月の雇用量が対前年比で増加している事業主も対象とします。


問8 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う「経済上の理由」について教えてください。

答8
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う以下のような経営環境の悪化については、経済上の理由に当たり、それによって事業活動が縮小して休業等を行った場合は、助成対象としています。

(経済上の理由例)

  • 市民活動が自粛されたことにより、客数が減った。
  • 風評被害により観光客の予約キャンセルが相次ぎ、これに伴い客数が減った。

個別のお問い合わせにつきましては、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハローワーク)にご相談ください。


問9 特例措置はいつからいつまで適用されるのですか。

答9
・生産指標、1年未満事業主、雇用量要件の特例措置(問4~6)は令和2年1月24 日以降の休業等について、初回の届出時に事業主が設定する休業等の初日が令和2年7月23日のものまで適用されます。
(注)令和2年7月23 日までに届け出ても、初回の休業等の初日が令和2年7月24日以降の休業等の届け出は特例の対象になりませんのでご注意ください。

・休業等の計画届の事後提出を可能とする特例措置(問4)は、令和2年1月24日以降の休業等について、令和2年5月31日までに届け出られた休業等の計画まで適用されます。
・詳細は、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハローワーク)にご相談ください。


問10 雇用調整助成金の「休業」について教えてください。

答10
雇用調整助成金の助成対象となる「休業」とは、所定労働日に従業員である労働者を休ませるものをいいます。単に事業所が営業を休むことをいうのではありません。
・このため、従業員を出勤させ、内部の事務処理等の業務をさせている場合は、「休業」に該当せず、雇用調整助成金の対象とはなりませんのでご注意ください。


問11 雇用調整助成金の「休業」について、全員を休業させなくてはいけないのでしょうか。

答11
・全員でなく、一部の従業員を休業させる場合も雇用調整助成金の対象になります。
・例えば、事業所の半分の従業員を出勤とし、もう半分の従業員を休業させる場合、休業させた従業員分の休業手当は、雇用調整助成金の対象となります。
・ただし、終日ではなく、短時間休業を行う場合には、1時間以上、かつ、従業員全員が一斉に休業する必要があります。


問12 「生産指標」(問5参照)の提出について教えてください。

答12
雇用調整助成金を受給する場合には、生産指標(販売量、売上高等の事業活動)の要件を満たしている必要があり、本特例を利用する場合には、原則、届出の直近の月の生産指標を提出することが必要です。
・現在、支給要件の緩和については、生産指標(問5)と、雇用量の要件緩和の特例(問7)がありますので、詳しくは、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハローワーク)までお問い合わせください。



問13 「事業所設置後1年未満」の「事業所設置」とは、いつの時点を指しますか。

答13
・この「事業所設置」とは、雇用保険適用事業所として設置の届出をした時点をいいます。


問14 どのような事業所・労働者が雇用調整助成金の助成対象になりますか。

答14
雇用調整助成金雇用保険料を財源としているため、助成対象は、雇用保険適用事業所、支給対象労働者は、雇用保険被保険者です。
・その他、休業等を労使協定に基づき実施すること等の要件がありますので、詳しくは、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所ハローワーク)までお問い合わせください。


問15 特例の要件に該当しないと雇用調整助成金を受給できないのですか。

答15
・景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が通常の条件(※)を満たせば、特例の有無にかかわらず支給されるものです。
(※)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
・今回の特例はその条件を緩和したものです。


問16 雇用調整助成金について、手続をしてから助成金が出るまでの流れを教えてください。

答16
雇用調整助成金の対象となる休業等については、事前に労使間で休業等に関する協定を結び、休業等の計画届を所在地管轄の都道府県労働局又は公共職業安定所ハローワーク)に提出して、それが受理された後、実施します。
・初回の休業等計画届を提出する際に、事業所として雇用調整助成金の対象となるか、労使協定や計画届の内容に問題がないかを都道府県労働局において確認します。確認に時間を要する場合がありますので、初回の休業等計画届は、通常、休業開始2週間前までの提出をお願いしています。
・一方、今回の特例では、令和2年1月24日以降に開始した休業等について、令和2年5月31日までは事後の計画届提出が可能です。
・休業等を実施する期間(1~3か月分の賃金締切期間で任意)が終わったら、2か月以内に助成金の支給申請をしてください。都道府県労働局において、実際の休業等の状況を確認の上、助成金を支給します。
・詳しくは、お近くの都道府県労働局又は公共職業安定所(ハローワーク)までお問い合わせください。


雇用調整助成金の制度概要はこちらです(制度概要パンフレット
雇用調整助成金のガイドブックはこちらです(ガイドブック
○雇用関係助成金共通の要件はこちらです(共通の要件