社会保険労務士川口正倫のブログ

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帰宅途中に暴漢に襲われた災害は、通勤災害か(その2 昭49.6.19基収1276号)

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帰宅途中に暴漢に襲われた災害は、通勤災害か(その2 昭49.6.19基収1276号)

(問)
中華料理店に勤務する被災労働者は、午後9時に勤務を終了して帰宅するため最寄りの私鉄駅で下車し、自宅に向かって人通りのない暗い道を歩行中、突然背後から何者かに抱きつかれたので、逃げようとして転倒したところを鋭利な刃物で背部を刺され負傷したものである。
被災現場の道路には、20~30m間隔で防犯灯があるが、道は暗く、当該時刻頃は通行人もなく、また近くに住宅もない非常に淋しい箇所で、痴漢が出るとのうわさがある。

(答)
通勤災害と認められる。

(理 由)
本件のように、女子労働者が午後10時15分頃に、暗く人通りの少ない大都市周辺の住宅散在地域を通勤する途上において、変質者等からおそわれ、その結果負傷することは通常考え得ることであり、しかも、被災労働者の退勤時刻は、当該地域における粗暴犯発生の集中している時間帯であって、この種の類似犯も発生しており、また、当事者間に私的関係等があるとする特別の事情なども見いだせないことから、通勤に通常伴う危険が具体化したものと認められる。

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