社会保険労務士川口正倫のブログ

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通勤災害における「逸脱」、「中断」及び「日用品の購入その他これに準ずる日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」の意義(昭48.11.22基発644号・平27.3.31基発0331第21号・平28.12.28基発1228第1号)

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通勤災害における「逸脱」、「中断」及び「日用品の購入その他これに準ずる日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のもの」の意義(昭48.11.22基発644号・平27.3.31基発0331第21号・平28.12.28基発1228第1号)

① 「逸脱」とは、通勤の途中において就業又は通勤とは関係のない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」とは、通勤の経路上において通勤とは関係のない行為を行うことをいう。具体的には、途中で麻雀を行う場合、映画館に入いる場合、バー、キャバレー等で飲酒する場合、デートのため長時間にわたってベンチで話しこんだり、経路からはずれる場合がこれに該当する。

しかし、経路の近くにある公衆便所を使用する場合、帰途に経路の近くにある公園で短時間休息する場合や、経路上の店でタバコ、雑誌等を購入する場合、駅構内でジュースの立飲みをする場合、経路上の店で渇をいやすため極く短時間、お茶、ビール等を飲む場合、経路上で商売している大道の手相見、人相見に立寄って極く短時間手相や人相をみてもらう場合等のように通常経路の途中で行うようなささいな行為を行う場合には、逸脱、中断に該当しない。ただし、飲み屋やビヤホール等において、長時間にわたって腰をおちつけるに至った場合や、経路からはずれ又は門戸を構えた観相家のところで、長時間にわたり、手相、人相等をみてもらう場合等は、逸脱、中断に該当する。

② 逸脱、中断の間及びその後の移動は原則として通勤とは認められないが、当該逸脱・中断が日用品の購入その他これに準ずる行為等をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、当該逸脱、中断の後、合理的な経路に復した後は通勤と認められることとされている。

なお、「やむを得ない事由により」とは、日常生活の必要のあることをいい、「最小限度のもの」とは、当該逸脱又は中断の原因となった行為の目的達成のために必要とする最小限度の時間、距離等をいう。

(1) 「日用品の購入その他これに準ずる行為」とは、具体的には、帰途で惣菜等を購入する場合、独身者が食堂に食事に立ち寄る場合、クリーニング店に立ち寄る場合等がこれに該当する。

また、労災保険法第7条第2項第2号の通勤では、これらに加え、次の就業場所の始業時間との関係から食事に立ち寄る場合、図書館等における業務に必要な情報収集等を行う場合等も含み、同項第3号の通勤では、長距離を移動するために食事に立ち寄る場合やマイカー通勤のための仮眠を取る場合等も該当するものとする。

(2) 「これらに準ずる教育訓練であつて職業能力の開発向上に資するものを受ける行為」とは、職業能力開発総合大学校における職業訓練及び専修学校における教育がこれに該当する。各種学校における教育については、就業期間が1年以上であって、課程の内容が一般的に職業に必要な技術、例えば、工業、医療、栄養士、調理師、理容師、美容師、保母教員、商業経理、和洋裁等に必要な技術を教授するもの(茶道、華道等の課程又は自動車教習所若しくはいわゆる予備校の課程はこれに該当しないものとして取り扱う。)は、これに該当するものとして取り扱うこととする。

(3) 「選挙権の行使その他これに準ずる行為」とは、具体的には、選挙権の行使、最高裁判所裁判官の国民審査権の行使、住民の直接請求権の行使等がこれに該当する。

(4) 「病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為」とは、病院又は診療所において通常の医療を受ける行為に限らず、人工透析など比較的長時間を要する医療を受けることも含んでいる。また、施術所において、柔道整復師あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等の施術を受ける行為もこれに該当する。

(5) 「要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)」とは、例えば、定期的に、帰宅途中に一定時間父の介護を行うために父と同居している兄宅に立ち寄る場合等が該当する。

「介護」とは、歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与するという意である。「継続的に又は反復して」とは、例えば毎日あるいは1週間に数回など労働者が日常的に介護を行う場合をいい、初めて介護を行った場合は、客観的にみてその後も継続的に又は反復して介護を行うことが予定されていればこれに該当する。

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