社会保険労務士川口正倫のブログ

都内の社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のブログ



意外と知られていない「家内労働法」の概要

バナー
Kindle版 職場の出産・育児関係手続ガイドブック~令和の常識~
定価:800円で好評発売中!!


にほんブログ村
続き

意外と知られていない「家内労働法」の概要

「家内労働法」は、いわゆる「内職者」(家内労働者)を保護するための法律で、工賃の最低額、安全および衛生その他の家内労働者に関する必要な事項を定めて、家内労働者の労働条件の向上を図り、もつて家内労働者の生活の安定に資することを目的とするのです。
内職自体をしている人はそれほどいないでしょうが、この法律のアナロジーにより、自営型テレワーカー等のいわゆる「フリーランス」の働き方やあるべき法的保護についてに検討するのに役立つことから、概要をまとめるものです。

第1章 総則

1.家内労働法の目的

(目的)
第1条 この法律は、工賃の最低額、安全及び衛生その他家内労働者に関する必要な事項を定めて、家内労働者の労働条件の向上を図り、もつて家内労働者の生活の安定に資することを目的とする。
2 この法律で定める家内労働者の労働条件の基準は最低のものであるから、委託者及び家内労働者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

家内労働法は、家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を図ることを目的として、家内労働手帳の交付の徹底、工賃支払いの確保、最低工賃、安全衛生の措置などについて定めたものです。
この法律は、家内労働者の労働条件の最低基準を定めたもので、委託者および家内労働者は、この基準より労働条件を低下させてはならないことはもちろん、その向上を図るように努めなければなりません。

2.定義

(定義)
第二条 この法律で「委託」とは、次に掲げる行為をいう。
一 他人に物品を提供して、その物品を部品、附属品若しくは原材料とする物品の製造又はその物品の加工、改造、修理、浄洗、選別、包装若しくは解体(以下「加工等」という。)を委託すること。
二 他人に物品を売り渡して、その者がその物品を部品、附属品若しくは原材料とする物品を製造した場合又はその物品の加工等をした場合にその製造又は加工等に係る物品を買い受けることを約すること。
2 この法律で「家内労働者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう。
3 この法律で「委託者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他前項の厚生労働省令で定める者であつて、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について家内労働者に委託をするものをいう。
4 この法律で「補助者」とは、家内労働者の同居の親族であつて、当該家内労働者の従事する業務を補助する者をいう。
5 この法律で「工賃」とは、次に掲げるものをいう。
一 第一項第一号に掲げる行為に係る委託をする場合において物品の製造又は加工等の対償として委託者が家内労働者に支払うもの
二 第一項第二号に掲げる行為に係る委託をする場合において同号の物品の買受けについて委託者が家内労働者に支払うものの価額と同号の物品の売渡しについて家内労働者が委託者に支払うものの価額との差額
6 この法律で「労働者」とは、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

①「委託」の定義

この法律で「委託」とは、次のいずれかに該当することをいいます。
(1)他人に物品を提供して、物品の製造または加工等を委託すること
(2)他人に物品を売り渡して、物品の製造または加工等を委託し、その製造または加工等に係る物品を買い受けることを約すること

家内労働者が委託者以外のものから原材料等を購入して製造加工等に従事する自営業的なものは、この法律にいう「委託」には含まれません。
また、運搬や販売等物品の製造または加工等以外の委託は、この法律にいう「委託」には含まれません。

②「家内労働者」の定義

この法律で「家内労働者」とは、次の要件をすべて備えた者をいいます。
(1)製造・加工業者や販売業者(問屋など)またはこれらの請負業者(請負的仲介人を含む。)から委託を受けること。
※近所の一般家庭からセーター編みや洋服の仕立てを頼まれる場合は、家内労働者とはなりません。
(2)物品の提供を受け、その物品を部品・附属品または原材料とする物品の製造、加工などに従事すること。
※物品の販売などのセールスマン、運送などの仕事をする者は家内労働者とはなりません。
(3)委託業者の業務の目的である物品の製造加工などを行うこと。
(4)主として、労働の対償を得るために働くものであること。
※大規模な機械設備を設置して、企業的に仕事を行う場合は家内労働者とはなりません。
(5)本人のみ、または同居の家族とともに仕事をし、常態として他人を使用しないこと。

③「委託者」の定義

この法律で「委託者」とは、次の要件をすべて備えた者をいいます。
(1)製造・加工業者や販売業者(問屋など)またはこれらの請負業者(請負的仲介人を含む。)であること。
運送業者や建築業者は委託者とはなりません。
(2)その業務の目的物である物品について、仕事を委託すること。
※電機メーカーがテレビやラジオのコイルの組立てを委託するときは委託者となりますが、創立記念日に社員に配るメダルの加工を委託するときは委託者とはなりません。
(3)仕事を委託するときに、原則として、原材料などの物品を提供して、その物品を部品、附属品または原材料とする物品の製造、加工などを頼むこと。
(4)家内労働者に直接仕事を委託すること。
※直接家内労働者に委託しないで、委託者に委託する場合や、下請け企業に委託する場合には、委託者とはなりません。

なお、、「これらの行為に類似する行為を業とする者であつて労働省令で定めるもの」は定められていません。

④「補助者」の定義

補助者とは、家内労働者と同居している親族で、家内労働者の仕事を手伝っている者をいい、就業時間、安全衛生および申告について直接この法律の適用の対象となります。


第2章 委託

1.「家内労働手帳」について

(家内労働手帳)
第三条 委託者は、委託をするにあたつては、家内労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、家内労働手帳を交付しなければならない。
2 委託者は、委託をするつど委託をした業務の内容、工賃の単価、工賃の支払期日その他厚生労働省令で定める事項を、製造又は加工等に係る物品を受領するつど受領した物品の数量その他厚生労働省令で定める事項を、工賃を支払うつど支払つた工賃の額その他厚生労働省令で定める事項を、それぞれ家内労働手帳に記入しなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、家内労働手帳に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

【家内労働法施行規則】

(家内労働手帳)
第一条 委託者は、委託をするにあたつては、家内労働者に対し、委託に係る物品を提供するときまでに家内労働手帳を交付しなければならない。
2 家内労働法(以下「法」という。)第三条第二項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 委託をするつど、その年月日、納入させる物品の数量及び納品の時期
二 製造又は加工等に係る物品を受領するつどその年月日
三 工賃を支払うつどその年月日
3 委託者は、委託をするにあたつては、家内労働手帳に次の事項を記入しなければならない。
一 家内労働者の氏名、性別及び生年月日並びに当該家内労働者に補助者がある場合にはその氏名、性別及び生年月日
二 委託者の氏名、営業所の名称及び所在地並びに委託者が当該家内労働者に係る委託について代理人を置く場合にはその氏名及び住所
三 工賃の支払場所、毎月一定期日を工賃締切日として定める場合にはその定め及び通貨以外のもので工賃を支払う場合にはその方法
四 物品の受渡し場所
五 不良品の取扱いに関する定めをする場合にはその定め
4 委託者は、前項各号の事項に変更があつた場合には、そのつど、変更があつた事項を家内労働手帳に記入しなければならない。
5 委託者は、委託に関し、家内労働者に機械、器具その他の設備又は原材料その他の物品を自己から購入させようとする場合には、そのつど、その品名、数量及び引渡しの期日並びにその代金の額並びに決済の期日及び方法に関する事項を家内労働手帳に記入しなければならない。
6 家内労働者は、委託者が家内労働手帳に記入した事項を確認しなければならない。
7 家内労働者は、委託者が家内労働手帳に最後の記入をした日から二年間当該家内労働手帳を保存しなければならない。
8 家内労働手帳は、様式第一号による。

①「家内労働手帳」の目的

家内労働手帳は、家内労働者の権利を保護し、不明確な委託関係から生じる当事者間の争いを防止するため、委託条件を文書で明確にさせようとするものです。

②「家内労働手帳」の取扱い

家内労働手帳は委託者が家内労働者に交付し、記入しなければなりません。なお、家内労働手帳の交付は、最初に物品を提供するときまでに行う必要があります。
一方、家内労働者においても、記入された事項に誤りがないか確認するとともに家内労働手帳を委託者が最後の記入をした日から2年間保存しなければなりません。(家内労働法施行規則1条7項)

③「家内労働手帳」の様式

委託者・家内労働者間の無用の紛争を防止するため、委託者は、家内労働者に家内労働手帳を交付し、委託をするつど、必要事項を記入しなければならないと定められています。記入すべき内容は以下のとおりです。(家内労働法施行規則1条2項・3項)
また家内労働者は、委託者が家内労働手帳に記入した事項を確認しなければなりません。(家内労働法施行規則1条6項)
なお、家内労働手帳は、法令で定める事項が記載されていれば、別の様式でも差し支えありません。厚生労働省では、下記のモデル様式の普及を図っています。

委託の原材料などの引渡しのときまでに(基本委託条件の通知)

  • 家内労働者の氏名
  • 委託者の氏名
  • 営業所の名称・所在地
  • 工賃の支払方法、その他の委託条件 など

f:id:sr-memorandum:20200103020337p:plain

原材料の受渡しのつど(注文伝票)

  • 委託業務の内容
  • 工賃の支払期日
  • 納入させる物品の数量
  • 納品の時期
  • 工賃単価 など

f:id:sr-memorandum:20200103020650p:plain

物品の受渡し、工賃の支払いのつど(受入伝票)

  • 受領年月日
  • 工賃支払額 など

f:id:sr-memorandum:20200103020900p:plain

下請代金支払遅延等防止法による親事業者の交付書面との関係

資本金または出資額が1,000万円をこえる法人たる事業者から製造委託または修理委託を受ける家内労働者は、親事業者との取引関係において下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)でいう下請事業者に該当するので、家内労働手帳の交付義務と下請法による親事業者の書面の交付義務が競合しますが、委託者の負担が過重となることをさけるため、下請法の書面に記載すべき事項は、すべて家内労働手帳の記入事項とし、家内労働手帳が交付された場合には下請法の書面の交付もあつたものと取り扱うことができます。

2.「就業時間」について

(就業時間)
第四条 委託者又は家内労働者は、当該家内労働者が業務に従事する場所の周辺地域において同一又は類似の業務に従事する労働者の通常の労働時間をこえて当該家内労働者及び補助者が業務に従事することとなるような委託をし、又は委託を受けることがないように努めなければならない。
2 都道府県労働局長は、必要があると認めるときは、都道府県労働局に置かれる政令で定める審議会の意見を聴いて、一定の地域内において一定の業務に従事する家内労働者及びこれに委託をする委託者に対して、厚生労働省令で定めるところにより、当該家内労働者及び補助者が業務に従事する時間の適正化を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。

①就業時間の趣旨

家内労働者が就業する場所の周辺地域、具体的には、家内労働産地などにおいて、同種の雇用労働者の通常の労働時間と比較して家内労働者および補助者に長時間にわたる労働を余儀なくさせるような委託をし、または委託を受けることがないように委託者または家内労働者が努めなければならないものとしています。

②「通常の労働時間」の意義

労働者の「通常の労働時間」とは、労働者の所定労働時間を意味するものではなく、時間外労働及び休日労働を含む通常の労働時間をいいます。

都道府県労働局長による勧告

具体的には、家内労働者と雇用労働者とが同様の業務を行なつているような特定の産地において、家内労働者または補助者が雇用労働者の通常の労働時間をこえて業務に従事している場合には、当該産地の家内労働者およびこれに委託する委託者に対して、一斉始業、一斉終業その他就業時間の適生化を図るために必要な措置をとることを勧告することができるものとされています。
なお、この場合の勧告は個別的ではなく、当該特定産地における関係委託者および家内労働者全般に対して行われます。

3.委託の打切りの予告

(委託の打切りの予告)
第五条 六月をこえて継続的に同一の家内労働者に委託をしている委託者は、当該家内労働者に引き続いて継続的に委託をすることを打ち切ろうとするときは、遅滞なく、その旨を当該家内労働者に予告するように努めなければならない。

委託者は、同じ家内労働者に6か月以上継続して委託している場合に、その委託を打ち切ろうとするときは、ただちにその旨を家内労働者に予告するよう努めなければなりません。なお、家内労働が雇用労働と異なり一般に委託量の変動が激しいという事情を考慮して、努力規定にとどめられています。

第3章 工賃及び最低工賃

1.工賃の支払い

(工賃の支払)
第六条 工賃は、厚生労働省令で定める場合を除き、家内労働者に、通貨でその全額を支払わなければならない。
2 工賃は、厚生労働省令で定める場合を除き、委託者が家内労働者の製造又は加工等に係る物品についての検査(以下「検査」という。)をするかどうかを問わず、委託者が家内労働者から当該物品を受領した日から起算して一月以内に支払わなければならない。ただし、毎月一定期日を工賃締切日として定める場合は、この限りでない。この場合においては、委託者が検査をするかどうかを問わず、当該工賃締切日までに受領した当該物品に係る工賃を、その日から一月以内に支払わなければならない。

①毎月1回以上払いの原則

賃金と同様に、委託者が家内労働者から物品を受領した日から1月以内に、または毎月の工賃締切日から1月以内に支払うこととされています。あらかじめ支払日を特定すべきことは明確に規定されていませんが、本法の目的からみて、製品の受領後一定期日払いまたは毎月一定期日払いの定めをすることが望ましいです。

②通貨払いの原則

賃金と同様に、工賃は原則として、通貨で支払うこことされています。ただし、委託者の営業所と家内労働者の作業場とが遠く離れている場合などには家内労働者にとつても便利な場合があることを考慮し、家内労働者の同意を得た場合には、郵便為替の交付、銀行等に対する預貯金への振込または郵便振替口座への払込みもしくは振替によることができるものとされています。(家内労働法施行規則3条)

③全額払いの原則

家内労働者は、その工賃により生活を維持し、または生計を補助するため労働しているものであるから、賃金と同様に、工賃はその全額を支払うこととされ、工賃からの控除は禁止されています。例えば、原材料等の代金その他委託者が家内労働者に対して持つ債権と工賃との相殺は認められません。

④委託者による検査の不要の意義

検査をするかどうかを問わず1か月以内に工賃を支払わなければならないこととしたのは、検査が完了していないことを理由として、工賃支払いを延引することを防止する趣旨です。従って、ただし1月以内に検査をして不良品が発見された場合には、それに対応する工賃を支払わなくても本条の適用はありません。逆に、1か月経過後に検査をして不良品が発見されても、委託者は工賃の支払義務を免れることはできません。

2.最低工賃

(最低工賃)
第八条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域内において一定の業務に従事する工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るため必要があると認めるときは、労働政策審議会又は都道府県労働局に置かれる政令で定める審議会(以下「審議会」と総称する。)の調査審議を求め、その意見を聴いて、当該業務に従事する家内労働者及びこれに委託をする委託者に適用される最低工賃を決定することができる。
2 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の審議会の意見の提出があつた場合において、その意見により難いと認めるときは、理由を付して、審議会に再審議を求めなければならない。

①最低工賃とは

最低工賃とは、ある物品について、その一定の単位ごとに工賃の最低額を決めるものです。厚生労働大臣または都道府県労働局長は、一定の地域内で一定の業務に従事する工賃の低い家内労働者の労働条件を改善するために必要があると認めるときは、審議会の意見を聴いて、家内労働者と委託者に適用される最低工賃を決定することができます。

(審議会の意見に関する異議の申出)
第九条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前条第一項の審議会の意見の提出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。
2 前条第一項の審議会の意見に係る家内労働者又は委託者は、前項の規定による公示の日の翌日から起算して十五日以内に、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に、異議を申し出ることができる。
3 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による申出があつたときは、その申出について、審議会に意見を求めなければならない。
4 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第一項の規定による公示の日の翌日から起算して十五日を経過する日までの間は、前条第一項の規定による決定をすることができない。第二項の規定による申出があつた場合において、前項の審議会の意見が提出されるまでの間についても、同様とする。
5 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前条第一項の規定による決定をする場合において、第二項の規定による申出があつたときは、第三項の審議会の意見に基づき、当該最低工賃において、一定の範囲の業務について、その適用を一定の期間を限つて猶予し、又は最低工賃額(最低工賃において定める工賃の額をいう。以下同じ。)について別段の定めをすることができる。
6 前条第二項の規定は、第三項の審議会の意見の提出があつた場合について準用する。

②最低工賃に対する異議申出

家内労働者または委託者を代表する者は、厚生労働大臣または都道府県労働局長に対し、その家内労働者や委託者に適用される最低工賃の決定や、現に適用されている最低工賃の改正または廃止の決定をするよう申し出ることができます。

(最低工賃の改正等)
第十条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、最低工賃について必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をすることができる。

(最低工賃の決定等に関する関係家内労働者又は関係委託者の意見の聴取等)
第十一条 審議会は、最低工賃の決定又はその改正若しくは廃止の決定について調査審議を行なう場合には、厚生労働省令で定めるところにより、関係家内労働者及び関係委託者の意見をきくものとする。
2 家内労働者又は委託者の全部又は一部を代表する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に対し、当該家内労働者若しくは委託者に適用される最低工賃の決定又は当該家内労働者若しくは委託者に現に適用されている最低工賃の改正若しくは廃止の決定をするよう申し出ることができる。
3 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による申出があつた場合において必要があると認めるときは、その申出について審議会に意見を求めるものとする。

(公示及び発効)
第十二条 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、最低工賃に関する決定をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、決定した事項を公示しなければならない。
2 最低工賃の決定及びその改正の決定は、前項の規定による公示の日から起算して三十日を経過した日(公示の日から起算して三十日を経過した日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、最低工賃の廃止の決定は、同項の規定による公示の日(公示の日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、その効力を生ずる。

(最低工賃額等)
十三条 最低工賃は、当該最低工賃に係る一定の地域と同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)の規定による最低賃金をいう。以下同じ。)(当該同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金が決定されていない場合には、当該労働者の賃金(労働基準法第十一条に規定する賃金をいう。))との均衡を考慮して定められなければならない。
2 最低工賃額は、家内労働者の製造又は加工等に係る物品の一定の単位によつて定めるものとする。

(最低工賃に関する職権等)
第十五条 第八条第一項及び第十条に規定する厚生労働大臣又は都道府県労働局長の職権は、二以上の都道府県労働局の管轄区域にわたる事案及び一の都道府県労働局の管轄区域内のみに係る事案であつて厚生労働大臣が全国的に関連があると認めて指定するものについては、厚生労働大臣が行い、一の都道府県労働局の管轄区域内のみに係る事案(厚生労働大臣の職権に属する事案を除く。)については、当該都道府県労働局長が行う。
2 厚生労働大臣は、都道府県労働局長が決定した最低工賃が著しく不適当となつたと認めるときは、労働政策審議会の調査審議を求め、その意見を聴いて、当該最低工賃の改正又は廃止の決定をすべきことを都道府県労働局長に命ずることができる。
3 第八条第二項の規定は、前項の労働政策審議会の意見の提出があつた場合について準用する。

②最低工賃の決定や意見の聴取等

最低工賃の決定にあたつての審議会等への諮問(第8条)、最低工賃の決定についての審議会の意見に関する異議の申出(第9条)、最低工賃の改正および廃止(10条)、最低工賃の決定等に関する関係家内労働者または関係委託者の意見の聴取等(第10条)、最低工賃の公示および発効(第12条)および最低工賃に関する職権等(第15条)に関する各規定は、最低賃金法に基づく最低賃金の決定等の場合と同様の制度が定められています。

(最低工賃の効力)
第十四条 委託者は、最低工賃の適用を受ける家内労働者に対し、その最低工賃額以上の工賃を支払わなければならない。

③最低工賃の最低基準効

最低工賃が決まれば、委託者は、決められた最低工賃額以上の工賃を支払わなければなりません。最低賃金と同様の考え方です。

(工賃及び最低工賃に関する規定の効力)
第十六条 第六条又は第十四条の規定に違反する工賃の支払を定める委託に関する契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、これらの規定に定める基準による。

④最低工賃の強行的直律的効力

委託者が最低工賃額に満たない工賃額を家内労働者と取り決めたとしても、その取り決めは無効であり、最低工賃額以上の工賃を支払わなければなりません。最低賃金と同様の考え方です。

第4章 安全及び衛生

(安全及び衛生に関する措置)
第十七条 委託者は、委託に係る業務に関し、機械、器具その他の設備又は原材料その他の物品を家内労働者に譲渡し、貸与し、又は提供するときは、これらによる危害を防止するため、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。
2 家内労働者は、機械、器具その他の設備若しくは原材料その他の物品又はガス、蒸気、粉じん等による危害を防止するため、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。
3 補助者は、前項に規定する危害を防止するため、厚生労働省令で定める事項を守らなければならない。

1.安全・衛生についての措置

①委託者の義務

家内労働は、一般に家内労働者の自宅で行なわれているので、家内労働者みずから管理する作業環境から生ずる危害の発生についてすべて委託者に責任を課すことは困難ですが、委託者が家内労働者に一定の機械器具または有機溶剤等一定の原材料等を譲渡し、貸与し、または提供する場合には委託者は、安全装置の取付け(家内労働法施行規則第10条)、構造規格適合等の確認(家内労働法施行規則第11条および第12条)、防護措置(家内労働法施行規則第13条)、危害防止のための書面の交付(家内労働法施行規則第14条第1項)および有害物について必要条件をみたした容器の使用(家内労働法施行規則第15条第一項)の措置を講じなければならないとされています。
また、このほか委託者は、家内労働者等が危害防止のために講じる措置について必要な援助を行なうよう努めなければならないとされています(家内労働法施行規則第21条)。

②家内労働者の義務

家内労働者および補助者の生命身体を保護するためには作業の性質上委託者が必要な措置を講ずるだけでは、不十分であるので、家内労働者自身も危害防止のための書面の掲示(家内労働法施行規則第14条第2項)、保護具等の使用(家内労働法施行規則第19条)および危険物の取扱いにあたつて必要な事項の遵守(家内労働法施行規則第20条)などの措置を講じなければならないとされています。
また、このほか家内労働が一般的に家内労働者自らが管理する作業環境において行なわれている事情にかんがみ、家内労働者は、危害防止のための書面に記載された注意事項の遵守(家内労働法施行規則第14条第3項)、家内労働者が委託者以外から調達する有害物または機械器具についての必要な容器の使用または危害防止装置の取付け(家内労働法施行規則第15条第2項および則第17条)および有機溶剤等を取り扱う業務等に従事する場合における局所排気装置等の設置(家内労働法施行規則第18条)などの措置を講ずるよう努力義務が定められています。

③補助者の義務

補助者についても、危害防止のための措置がより効果のあるものとなるよう、守らなければならない事項として、保護具等の使用(家内労働法施行規則第19条)および危険物の取扱い事項(家内労働法施行規則第20条)が定められ、危害防止のための書面に記載された注意事項を守るよう努力義務が定められています。

【家内労働法施行規則】

(女性及び年少者の就業制限)
第十六条 委託者は、満十八才に満たない家内労働者又は補助者が、次の業務に従事することとなる委託をしないように努めなければならない。
一 丸のこの直径が二十五センチメートル以上の木材加工用丸のこ盤(横切用丸のこ盤、自動送り装置を有する丸のこ盤その他反ぱつにより作業者が危害をうけるおそれのないものを除く。)に木材を送給する業務
二 動力により駆動されるプレス機械の金型又はシヤーの刃部の調整又はそうじの業務
三 手押しかんな盤又は単軸面取り盤の取扱いの業務
四 火工品を製造し、又は取り扱う業務であつて取り扱う物品が爆発するおそれのあるもの
五 別表第二に掲げる発火性の物品、酸化性の物品、引火性の物品又は可燃性のガス(以下「危険物」という。)を取り扱う業務であつて取り扱う物品が爆発し、発火し、又は引火するおそれのあるもの
六 鉛等(鉛中毒予防規則(昭和四十七年労働省令第三十七号)第一条第一号の鉛等をいう。以下同じ。)の蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
七 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する場所における業務
2 委託者は、満十八才以上の女性である家内労働者又は補助者が、前項第一号、第三号及び第六号の業務に従事することとなる委託をしないように努めなければならない。
3 満十八才に満たない家内労働者又は補助者は、第一項各号の業務に従事しないように努めなければならない。
4 満十八才以上の女性である家内労働者又は補助者は、第一項第一号、第三号及び第六号の業務に従事しないように努めなければならない。

④女性及び年少者の就業制限

女子年少者労働基準規則第8条または第9条に就業制限業務として掲げる業務のうち、家内労働に関係のある業務については、委託者は満18歳未満の家内労働者もしくは補助者(家内労働法施行規則第16条第1項)または満18歳以上の女子である家内労働者もしくは補助者(家内労働法施行規則第16条第2項)を就業させることとなる委託をしないように努めなければならず、またこれらの家内労働者または補助者自身もこれらの業務に従事しないように努めるものと定められています(家内労働法施行規則第16条第3項および第4項)。

(安全及び衛生に関する行政措置)
第十八条 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、委託者又は家内労働者が前条第一項又は第二項の措置を講じない場合には、委託者又は家内労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、委託をし、若しくは委託を受けることを禁止し、又は機械、器具その他の設備若しくは原材料その他の物品の全部若しくは一部の使用の停止その他必要な措置を執ることを命ずることができる。

2.安全及び衛生に関する行政措置

安全及び衛生について必要な措置を講じない場合は、委託及び受託を禁止、または機械や器具等の全部もしくは一部の使用停止等を、都道府県労働局長または労働基準監督署長は命じることができます。なお、前段の委託及び受託の禁止に反した場合の罰則がこの法律で最も重い罰則です。(第33条)

家内労働法の安全・衛生の詳細については、厚生労働省の「家内労働のしおり」をご参照ください。
www.mhlw.go.jp

第5章 家内労働に関する審議機関

第十九条 削除

第二十条 削除

(専門部会等)
第二十一条 審議会は、最低工賃の決定又はその改正の決定について調査審議を求められたときは、専門部会を置かなければならない。
2 前項の専門部会は、政令で定めるところにより、関係家内労働者を代表する委員、関係委託者を代表する委員及び公益を代表する委員各同数をもつて組織する。

第二十二条 削除

(関係家内労働者及び関係委託者等の意見聴取)
第二十三条 審議会は、この法律に別段の定めがある場合のほか、審議に際し必要と認める場合には、関係家内労働者、関係委託者その他の関係者の意見を聴くものとする。

政令への委任)
第二十四条 この法律に規定するもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。

第6章 雑則

(援助)
第二十五条 国又は地方公共団体は、家内労働者及び委託者に対し、資料の提供、技術の指導、施設に関する便宜の供与その他この法律の目的を達成するために必要な援助を行なうように努めなければならない。

1.国または地方公共団体の援助

この法律の目的を達成するために国または地方公共団体は、家内労働者および委託者に対し、資料の提供、技術の指導、施設に関する便宜の供与その他必要な援助を行なうよう努めなければならないとされています。なお、本条に基づく国または地方公共団体の努力の一環として、「内職公共職業補導所」という施設を地方公共団体が運営し、内職の斡旋や業所調査を定期的に行い、工賃の適正化、苦情処理および内職者に対する技術指導が行われていました。

(届出)
第二十六条 委託者は、厚生労働省令で定めるところにより、委託に係る家内労働者の数及び業務の内容その他必要な事項を都道府県労働局長に届け出なければならない。

(届出)
第二十三条 委託者は、法第二条第三項の規定に該当するに至つた場合には、遅滞なく、委託状況届(様式第二号)を当該委託者の営業所の所在地を管轄する労働基準監督署の長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)を経由して当該営業所の所在地を管轄する都道府県労働局の長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)に提出しなければならない。
2 委託者は、毎年、四月一日現在における状況について、委託状況届(様式第二号)を同月三十日までに、所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
3 委託者は、家内労働者又は補助者が、委託に係る業務に関し負傷し、又は疾病にかかり四日以上休業し、又は死亡した場合には、遅滞なく、家内労働死傷病届(様式第三号)を所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。


家内労働の現状の把握するため、委託者は次の届けを労働基準監督署に提出しなければなりません。(家内労働法施行規則第23条)
※各種申請・届出などの手続きをe−GoVから申請することもできます。(https://www.e-gov.go.jp/

①委託状況届

委託者は、家内労働法にいう委託者になった場合には遅滞なく、それ以後は毎年4月1日現在の状況について4月30日までに、委託業務の内容、家内労働者数などを記入した委託状況届を労働基準監督署に提出しなければなりません。
f:id:sr-memorandum:20200103125210p:plain

②家内労働死傷病届

委託者は、委託した業務のため、家内労働者または補助者がけがや病気で4日以上仕事を休んだ場合や死亡した場合には、家内労働死傷病届を労働基準監督署に遅滞なく提出しなければなりません。
f:id:sr-memorandum:20200103125424p:plain

(帳簿の備付け)
第二十七条 委託者は、厚生労働省令で定めるところにより、委託に係る家内労働者の氏名、当該家内労働者に支払う工賃の額その他の事項を記入した帳簿をその営業所に備え付けて置かなければならない。

【家内労働法施行規則】

(帳簿)
第二十四条 法第二十七条の帳簿には、委託に係る家内労働者各人別に、次の事項を記入しなければならない。
一 家内労働者の氏名、性別、生年月日、住所及び家内労働者の作業場の所在地が住所と異なる場合にはその所在地
二 委託に係る家内労働者に補助者がある場合には、その氏名、性別及び生年月日
三 委託に係る業務に関し、代理人を置く場合には、当該代理人の氏名、住所及び代理業務の範囲
四 委託をするつど、その年月日、委託をした業務の内容、納入させる物品の数量、工賃の単価、納品の時期及び工賃の支払期日
五 製造又は加工等に係る物品を受領するつど、その年月日及び受領した物品の数量
六 工賃を支払うつど、その年月日、支払つた工賃の額並びに通貨以外のもので工賃を支払つた場合にはその方法及び額
2 委託者は、前項の帳簿に最後の記入をした日から三年間当該帳簿を保存しなければならない。
3 第一項の帳簿は、様式第四号による。

2.帳簿の備え付け

委託関係を明確化にするため、委託者は、家内労働者ごとに、氏名や工賃支払額など、必要な事項を記入した帳簿を作って、営業所に備え付けておかなければなりません。また、委託者は帳簿を最後に記入した日から3年間保存しなければなりません。

f:id:sr-memorandum:20200103125801p:plain

(報告等)
第二十八条 厚生労働大臣都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、委託者又は家内労働者に対し、工賃に関する事項その他必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

労働基準監督署長及び労働基準監督官)
第二十九条 労働基準監督署長及び労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。

【家内労働法施行規則】

(報告等)
第二十五条 厚生労働大臣都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官は、法第二十八条の規定により委託者又は家内労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずる場合には、次の事項を通知しなければならない。
一 報告をさせ、又は出頭を命ずる理由
二 出頭を命ずる場合には聴取しようとする事項

3.報告

労働大臣、都道府県労働基準局長、労働基準監督署長または労働基準監督官は、委託者または家内労働者に対し、報告させ、または出頭を命ずることができるものとされています。

(労働基準監督官の権限)
第三十条 労働基準監督官は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、委託者の営業所又は家内労働者が業務に従事する場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは関係者に質問し、又は試験のため必要な最少限度の分量に限り、家内労働者及び補助者に危害を与える物若しくはその疑いのある物であつて厚生労働省令で定めるものを収去することができる。
2 前項の規定による立入検査等をする労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査等の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第三十一条 労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員の職務を行なう。

4.労働基準官の権限

家内労働に関する監督等この法律に関する事務は、労働基準監督署長および労働基準監督官が行います。家内労働が一般に家内労働者の自宅で行なわれているなどの事情を考慮して、立入検査等の権限の行使が定められています。
また、労働基準監督官は、本法違反の罪については、特別司法警察職員として司法警察員の職務を行います。

(申告)
第三十二条 委託者に、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する事実がある場合には、家内労働者又は補助者は、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告することができる。
2 委託者は、前項の規定による申告をしたことを理由として、家内労働者に対して工賃の引下げその他不利益な取扱いをしてはならない。
3 委託者が家内労働者に対して前項の規定に違反する取扱いをした場合には、都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、当該委託者に対し、その取扱いの是正を命ずることができる。

5.申告

家内労働者や補助者は、家内労働法または同法に基づく命令に違反する事実が委託者にある場合には、都道府県労働局または労働基準監督署に申告することができます。


第7章 罰則

※第33 条~第36条において罰則額が定められていますが、罰金等臨時措置法第2条により、各条とも、2万円以下の罰金とされています。現在の物価と比較して、罰金の額が著しく低いため調整されているものです。

第三十三条 第十八条の規定による委託をすることを禁止する命令に違反した者は、六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。

安全及び衛生について必要な措置を講じない場合は、委託及び受託を禁止を、都道府県労働局長または労働基準監督署長は命じることができ(第18条)、その命令に反して委託や受託を行った場合は、6月以下の懲役又は2万円以下(罰金等臨時措置法第2条)の罰金に処せられます。

第三十四条 第十四条の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。

最低工賃を支払わなかった場合については、2万円以下(罰金等臨時措置法第2条)の罰金に処せられます。

第三十五条 次の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項、第六条又は第十七条の規定に違反した者
二 第三条第二項の規定による記入をせず、又は虚偽の記入をした者
三 第十八条の規定による命令(委託をすることを禁止する命令を除く。)又は第三十二条第三項の規定による命令に違反した者
四 第二十六条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
五 第二十七条の規定による帳簿の備付けをせず、又は同条の帳簿に虚偽の記入をした者
六 第二十八条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
七 第三十条第一項の規定による立入り、検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

家内労働手帳の未交付(第3条第1項)、工賃の未払いまたは不適切な支払い(第6条)、安全衛生措置の不履行(第17条)、家内労働手帳の未記入または虚偽記入(第3条第2項)、安全及び衛生について必要な措置を講じない場合における機械や器具等の全部もしくは一部の使用停止等命令の違反(第18条後段。委託禁止もしくは受託禁止の違反の場合は、第33条)、是正命令違反(第32条第3項)、委託状況届もしくは家内労働死傷病届の届出懈怠もしくは虚偽届出(第26条)、帳簿の備付け懈怠もしくは虚偽記入(第27条)、厚生労働大臣都道府県労働局長、労働基準監督署長または労働基準監督官による報告命令もしくは出頭命令の不履行(第28条)、労働基準官による立入り検査等における妨害行為等(第30条第1項)については、2万円以下(罰金等臨時措置法第2条)の罰金に処せられます。

(両罰規定)
第三十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

委託者の代理人、使用人その他の従業員が違反行為をしたときは、本人が罰せられるだけでなく、委託者にも罰金刑が科せられる、両罰規定がもうけられています。